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【全文】侍ジャパン栗山新監督 2023年WBC優勝へ「全力尽くす」

2021-12-02 午後 08:28

  

2023年に予定されている野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックに向けた日本代表の新しい監督に今シーズンまで日本ハムの監督を務めた栗山英樹氏が就任し会見で「日本の野球を結束させて優勝できるように全力を尽くす」と意気込みを述べました。

初采配は来年3月予定の台湾戦


プロとアマチュアの代表で作る日本野球協議会の「侍ジャパン強化委員会」は2日、都内で会見を開き、2023年に予定されているWBCに向けた日本代表の新しい監督に栗山氏が就任したと正式に発表しました。

栗山監督は平成24年のシーズンから10年間日本ハムを率いて、チームを2回のリーグ優勝と球団史上3回目の日本一に導きました。

栗山監督は会見で「日の丸をつけることの意味、その重さ、責任を心の底から感じている。日本の野球を結束させて、WBCで優勝できるように全力を尽くす」と意気込みを述べました。

また、最初に監督就任の要請があった時を振り返り「本当に驚いたというか、想像もしていなかったので思考が1回止まった感じだった。大変な仕事だとわかっていたので、しっかり考えた結果、精いっぱいやるべき事があると考えた。誰よりも野球を愛して、選手を愛して精いっぱい務めていきたい」と話しました。

そして、日本ハムで投打の「二刀流」で育成し現在、大リーグのエンジェルスでプレーする大谷翔平選手の招集について質問されると「ファンが見たい夢のようなチームにしたいという思いはある。大谷選手だけでなく、すべての要素から考えて勝てる選手を選んでいくだけ。特別にという考えはない」と述べました。

栗山監督は、来年3月に東京ドームで予定されている台湾との強化試合で初めて指揮を執ります。


栗山氏 日本ハムで監督10年 大谷育て日本一も


栗山英樹氏は東京出身の60歳。昭和59年に東京学芸大からヤクルトに入団して外野手として活躍し、ゴールデン・グラブ賞も受賞しました。

平成2年に現役を引退したあとは、野球解説者やスポーツキャスターなどを経て平成24年のシーズンから日本ハムの監督を10年間務めました。

指導者の経験はなかったものの、1年目の平成24年にリーグ優勝を果たしました。またこの年のドラフト会議では当時高校から直接大リーグへの挑戦を明言していた大谷翔平選手を指名し、投打の二刀流で育成する方針を示して入団を実現させました。

栗山監督は大谷選手の能力を伸ばす環境を整えて投打ともに一流の選手に育てて球界の常識を覆し、平成28年にはその大谷選手を中心にリーグ優勝と球団史上3回目となる日本一を果たしました。
そして10年目の今シーズン終了後に退任しました。


栗山監督 記者会見 【全文】


(冒頭あいさつ)
「本日、侍ジャパントップチームの指揮を執ることになりました。監督をファイターズでやる前、WBCは第1回、第2回すべて現場で見させてもらいました。オリンピックもシドニー、アテネ、北京、すべて現場で見させてもらいました。日の丸をつけることの意味、日本野球の意味、ジャパンチームの意味、その重さ、責任を心の底から感じています。

ことしは稲葉監督と選手の頑張りで悲願だったオリンピック金メダル。そして日本シリーズでもすばらしい戦いの中で、野球のすばらしさを伝えられた年だったと思います。

ただ、その野球をこれからどういうふうに発展させていくのか、そのすばらしさをどうやって理解してもらうのか、そういったことを含めて全力を尽くしなさいと問いかけられているような気がしました。

過去、野球が始まったころから野球の大先輩が作ってきた環境をどうやって次の世代に残していくのか。野球の先輩から言われ続けました。
歴代のすばらしいジャパンの監督さんも、その思いを持ってやってこられたと思います。その先輩の思いを胸に刻んでやっていかないといけないと思います。

僕もそうですが、プロ野球に憧れて、日の丸に憧れて、みんなが野球をやっている。軟式野球であったり、社会人になって野球やっている皆さん、少年野球をしている、ソフトボールなどをやっている人たちの力を携えて、これから日本野球が結束してWBC、2023年優勝できるように全力を尽くしていきます。

誰よりも野球を愛して選手を愛して、精いっぱい務めてさせていただきます。どうかよろしくお願いします」



(以下 質疑応答)
ー新監督就任のオファーを受けた際の気持ちは
「正直、本当に頭の中が真っ白というか想像もしていなかったので、本当に驚いたというか、びっくりして思考が1回止まった感じでした」

ー東京オリンピックで金メダルを獲得。新たな侍ジャパンはどんなチームにしたいか
「スケジュール的にも本番に向かって試合数も少ないし、期間も、選手が集まる時間も少ない。これまで10年間、現場でやらせてもらったが日本の選手は日の丸に対して魂がある選手が多いので、その思いを持った選手とこのスケジュールを乗り越えて、野球の本場のアメリカに勝ちきるというのはどんな大変さがあるかわからないですけど、感動を呼び込むので、見ている方が感動してくれるようにしっかりやっていきます」

ーこれまで10年間監督を務めた経験を踏まえて特に大切にしていきたいことは
「ひと言で言えば選手を信じること、それだけなので。世界一になりたいという選手を信じて、ひとつひとつ安心してプレーができるようにやっていきたい。それから、ひとつのチームを預かるのと違って代表チームは日本の球界の宝を預かる形になるので、けが人だけは絶対に出さないように、しかも勝ちきるということをベースにやっていきます」

ー侍ジャパンだからこそ変えていきたい部分、変革の部分はあるか
「野球界の先輩が選手の皆さんが作った大切なものを継承しながら、すべての野球人が結束して、日本の野球がなんたるものか見せられるようにやっていきます」

ー新チームを作る上で鍵を握る具体的な選手名は
「具体例は今、ここで言うことではないですが。シンプルに世界一になれる選手たち、よろしくお願いします。それが選ぶ基準です」

ー必要な選手像とは
「選手像よりも追い込まれて苦しい展開になって、これは負けたかなとみんなが思う状況でもでも心の底から『絶対大丈夫』と信じていける選手が必要なので、そういう選手の集まりを作っていきたいです」

ー3月には試合がある。監督を支える首脳陣の選考は進んでいるか
「進めさせてもらっています。一緒にチームを作ってやる期間や試合数がこれだけ少なく非常に難しい状況なのはわかっている。そういうことを踏まえて一緒になってこの難しい宿題を解いてくれるコーチが集まってくれるはずなので、もう少しだけ時間をください」

ー栗山監督といえば親交の深い大谷選手。侍ジャパンでの姿を見たいと思うファンは多いと思うがどう考えているか
「必要ですか、翔平?」

ー待っているファンは多いと思う
「僕の中でファンが見たい夢のようなチームになってほしいという思いはあるし。そのためにどうしていけばいいか考えていきます。
そして大谷選手だけでなくて、アメリカでプレーしている選手、そしてNPBでもしかしたらプレーした経験がない選手でもいい選手がいると信じて、すべての要素から考えながら勝てる選手を選んでいくだけなのでね。
ひとつ言えるのは日本ハムのときもそうでしたが、大谷選手の質問があると、いつもバッター大谷とピッチャー大谷の2人がいた。
その2人の選手が全体像の中で必要ならもちろんそういうふうに思うし、もちろんそこだけを特別にというのはないですし、ただ本当に必要ならどこに誰がいようとこちらはお願いに行く。勝つために必要な選手を呼ぶという感覚です」

ー2023年のWBCどんな野球どんな目標で挑むのか
「金メダルをとったオリンピックの感動。日本の野球はすごいなとみんなが感じたと思う。うれしかったし、僕らも感動したし。大リーガーたちが出てくる戦いの中で、アメリカを含めたチームに打ち破って頂点に上り詰めることを野球ファンはみんな待っていると思う。それが現実になるようにしたい。なんとか勝ちきって選手の思いや選手たちのすばらしさ、日本野球のすごさを伝えられるように全力を尽くしていきます」

ー監督のオファーを受けて、悩んだのかすぐに決断できたのか
「それは日本ハムを辞めたばかりだからこそ、というのも逆にありました。日本ハムを辞めた時、心の中で改めて野球の大切さを感じました。責任は重いし、結果を残していかないといけない、本当に大変な仕事だとわかっていたのでそのことはしっかり考えました。自分でも精いっぱいやるべき事があるのかもしれないと思いました。
これまで選手たちには『野球界ためになることはちゃんとやるんだぞ』とずっと言ってきたので、自分の感情は別問題として、いろいろ考えて整理をつけました」

ーWBCの世界一は遠ざかっているが勝ちきるために必要なものは
「いろんな要素はこれから細かく考えますけど、日本の野球の本質的なよさはきめ細かい、精度の高い、まずはピッチャーを中心とした守りの野球というのはベースにあると思う。
ただ、それだけで勝ちきれないなら思い切ってやらないといけないと思う。実際にあれだけ追い込まれた状況で勝ちきるというのは1回目、2回目の大会でずっと一緒にアメリカも行かせてもらって間近で見ていますので。本当に命を削るようなものを取材している側でも受けたので。きめ細かく、しっかりコーチの皆さんを決めて、NPBのスタッフも経験豊富なので、皆様と相談して誰の意見でもいいから、勝てるなら何でもやるんだという思いでやっていきます」

ーキャスターとして代表の監督のことを近くで見て話してきたと思うが、ジャパンの監督を務める大変さやつらさをどう思うか
「王さんもそうでしたが、大先輩方が、人生をかけてというのはおかしいかもしれませんが、それだけ必死になる緊張感だったり大変さだったりを感じた。質問者としてもいいかげんなことを聞いてはいけないという空気感があったので、そのことを思い出して、大丈夫なのかなという思いもある。
野球界を作った先輩たちに少しでも恩返しするんだと、先輩方にずっと言われてきたので心の中で大事にしていこうと思います」

ー選手選考で具体的に大事にしていることは
「ある程度、『こう戦いますよ』となった時に体現できる選手は日本にいると思います。例えばボールの問題、ストライクゾーンの問題、いろいろWBCであると思うので対応力を持った選手。
ストライクゾーンでいうとゾーンを広めで対応する選手など具体的に言うといろいろな要素があると思う。
状況に合わせて対応ができるかが非常に重要になってくるので、ある意味、幅が広く体力があって、力のある選手。すごく大ざっぱな言い方ですけど。
選手のスケジュールの大変さもわかっていますけど、責任があると思ってくれる選手が集まってくれると思うので、魂の部分も含めて選手にお願いしていきながらチームを作っていきたいです」

ーオリンピックでは金メダルを獲得。これまでのチームをベースにして選考するのか、フラットに人選をするのか
「ことしの戦いは細かく見させてもらいました。すばらしかったです。ただ、野球の選手の状態は、その時期で全然違う。あまりイメージを持たないように先入観を持たないようにと思っています。
ただ野球界は一気に主力選手も若返ろうとしているように見えるのも事実だし、これまで経験をしたすばらしい選手の力も必要なので。そういったものをどう自分で感じられるのか。間違いということばがいいのかわかりませんが、自分が間違わないようにやっていきたいと思います」

ー大会の認知度が上がると勝つのも難しくなってきたが、その流れをどう感じているか
「戦いが進むにつれて『自分たちのプライドをかけて』というふうに、プライドをかけて集中している状況に監督としてチームを持っていってあげられれば、あとは選手たちが『がーっ』と行って『がーっ』と走り出す。そこに持って行けないのが勝てないシーズンだと思います。
そこに持って行くためにもいい戦い方をして大会に入っていけるかどうか。選手たちが『絶対に勝てるんだ』と思える空気感を出さないといけないと思います。
WBCはちょっと時間が一気に終わる戦いではなく少し時間がかかりながら大会が進むので、そういう時間をうまく使わせてもらいながら日本のプロ野球だけではなくて野球人全員が、野球ファン全員が野球に興味ない方もそこに巻き込んで喜んでもらえる空気感を作っていきます」

ー韓国とアメリカの力の入れ具合についての考えは
「想像ですけどオリンピックも韓国は、なにがなんでもという戦いできていると思うし、今度のWBCも力を入れてくると思う。アメリカもだんだん火がついてくるという感じになって見えるので、より一層、勝ちきるのが難しいのはわかるが、そんなこといっている場合ではないので負けないようにしっかりやっていきたいと思います」

ー第1回、第2回とチームには大リーガーも。国際大会での日本出身大リーガーの存在の大きさはどう感じたか
「大リーグでやっていることでアメリカの環境やボール、選手を肌で感じている知っている経験は大きいものだと当時は思いました。プラス、アメリカで活躍している選手はほぼ日本で大きな実績を残したみんなの憧れる、若い選手が憧れる選手。
そういう選手と一緒にプレーできることはとても意味があると思うしその重要性を感じています」

ーオリンピックの稲葉監督はスモールベースボールにスピードとパワーを兼ね備えたチームを目指していた。栗山監督はどういうチームスタイルを目指す考えか
「10年間、監督していてどういう野球をやるんですか?聞かれることがある。やりたい野球はあるんですけど、選手がいちばん勝ちやすいようにするのが監督の仕事だと思っているところがある。
『日本野球はこういうもんだぜ』というのはベースにありますけど。戦いが始まるまでに、こういう野球をするんだとみんなにわかってもらえる形を作るのが仕事だと思っているのでもう少し時間をください。
もちろん守りから入ってピッチャーがすごくて、スピードがあって大リーグよりもパワーがあるとか要素は並べますけど、勝つことがすべてだと思っているので。要素を並べるよりも集まった選手がどうすれば勝ちやすいのかそこを間違ってはいけないと思っています」

ー若手の新戦力の台頭もあるが、若い選手の選考も考えているか
「野球の世代間というか、それぞれのチームの世代交代というと失礼ですけど、いいベテランもいながら若い選手がレギュラーを獲得する、ことしはそういう年だった思うんですね。
ジャパンだけではなくて僕がいち野球ファンとして感じているのは、スター選手、日本の野球の中心の選手が変わっていく時期にきているという感じは正直あります。そういう選手たちをなんとか選考したいという思いもあります。ただ冷静に考えるのも大切な要素だと思う。
『若いスターが出てきたな』『日本の野球を引っ張るように駆け上がってほしいな』という思いはあります」


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