教科書会社「大日本図書」幹部 茨城 五霞町教育長を接待

教科書会社「大日本図書」の幹部が茨城県五霞町の教育長と会食し、飲食代を全額支払うなどの接待をしていたことがわかりました。
教科書会社でつくる団体は教科書採択の関係者への接待を禁止していて、会社は「重大なコンプライアンス違反でおわび申し上げます」としています。

教科書会社「大日本図書」によりますと、ことし7月、役員を務める東日本支社長と茨城県内の営業担当社員の2人が茨城県五霞町の教育長ら2人と会食し、会社側が1人およそ9500円の飲食代を支払い、およそ1600円の菓子も渡したということです。
会社の聞き取りに対し、支社長ら2人は「教育長がことし3月に校長を退職するころ、慰労の目的で会食の約束をした。取りやめるべきだった」と話しているということです。
教科書会社でつくる一般社団法人「教科書協会」は自主的なルールとして、教育長や教員など教科書採択の関係者への接待や物品の提供などを禁じています。
大日本図書は「重大なコンプライアンス違反で心よりおわび申し上げます。徹底した社内調査と再発防止が必要だと考えています」と話しています。
文部科学省は「事実なら極めて遺憾だ。会社に対して詳細な調査を指示しており、結果を踏まえて厳正に対処する」としています。

茨城県教育委員会によりますと、五霞町を含む4つの市と町の地区では今年度、小学校の「算数」「理科」「生活」「体育」の4教科、中学校の「数学」と「理科」の2教科で大日本図書の教科書を採択しています。

茨城県五霞町の倉持伸樹教育長(60)が教科書会社から接待を受けていた問題で、染谷森雄町長は30日夕方、会見を開いて陳謝しました。
会見のなかで染谷町長は「教育長本人に事実確認をしたところ、会食の場をもったことは事実だ」と述べたうえで、「疑念を抱かれるようなことを行ったのは誠に遺憾で、厳正に対処していく。再発防止に向けて綱紀粛正に努めたい」と述べ、陳謝しました。

教員などへの金品の提供などを禁じる教科書協会のルールは、教科書会社が意見を聴くためとして教員に金品を渡していたことなどが相次いで発覚したことを受け、6年前に大幅に見直されました。
教科書協会は大日本図書の件について、「事実関係を確認中だが、事実ならルールで禁止される行為に抵触する可能性が高く極めて遺憾だと言わざるを得ない。今後も自主ルールの趣旨の徹底を図る」としています。