“オペラ歌手”校長先生 児童に自慢の歌声を披露 埼玉 和光

埼玉県和光市の小学校でアマチュアのオペラ歌手として活動している異色の校長が、コロナ禍で封印していた自慢の歌声を3年ぶりに子どもたちの前で披露しました。

和光市立下新倉小学校の校長、藤原啓さん(58)は大学生の時にオペラに魅せられ、卒業後に2年間、イタリアに留学して本格的に学んだ経験があります。
プロのオペラ歌手になる夢はかないませんでしたが、音楽の楽しさを子どもたちに伝えたいと小学校の教諭になりました。
こうした経験を買われ、地元などで開かれるオペラの公演では、バリトンの歌手としてこれまでに20を超える演目に出演してきたということです。
藤原さんは「オペラは自分にとっては一生涯、続けていくものだし、自分を高める大きな存在です」と話しています。
藤原さんは勤務先の学校でも時々、子どもたちの前で歌声を披露してきましたが、この3年間は新型コロナの影響で封印せざるを得ませんでした。
そうしたなか、ことし4月に転機が訪れます。
音楽大学で声楽を学んだ石橋怜奈さん(23)と、ピアニストとして活動し国内外のコンクールで入賞した実績のある柳瀬亮佑さん(30)が、新任の教諭として赴任してきたのです。
感染状況もちょうど落ち着いてきたなかで音楽に秀でた人材がそろったチャンスを生かそうと、藤原さんは子どもたちの前で生の歌声と演奏を披露することを決めました。
3人は本番の1か月前ほどから授業の準備など忙しい業務の合間を縫って、放課後にリハーサルを繰り返しました。
藤原さんは「自分が音楽に対して真剣に向き合っている姿勢を子どもたちに感じ取ってもらいたい」と話していました。
そして、先月下旬、子どもたちが集まる朝礼の場で3人の先生によるオペラが行われ、藤原さんは3年ぶりに歌声を披露しました。
感染対策のため、オペラを行う朝礼は学年ごとに開くことにして、この日は、藤原さんの歌を初めて聴く3年生が対象でした。
ちょうネクタイ姿の藤原さんは石橋さんとのデュエットで、モーツァルト作曲のオペラ「ドン・ジョバンニ」の楽曲からイタリア語で美しい歌声を響かせました。
ソロの場面では、自分のはまり役だという主人公の従者役として「カタログの歌」を熱唱しました。
主人公がつきあった女性の人数を記した紙を大きく広げてみせるユーモラスな場面では、子どもたちは笑顔になって聞き入っていました。
オペラの曲が終わったあとは、子どもたちが音楽の授業で習った「夢の世界を」を全員で合唱して閉会になりました。
子どもたちは「校長先生の歌声がすごくきれいで感動しました」とか、「久しぶりにみんなで集まって音楽朝会ができてよかったです。音楽は楽しいと思いました」などと話していました。
藤原さんは「音楽の楽しさ、喜びを届けたいと思い力を込めて歌いました。音楽は楽しいもので、人の気持ちを豊かにするものだということを感じてほしいです」と話していました。