訪問介護事業者 コロナ対策学ぶ

新型コロナウイルスの感染防止対策に役立ててもらおうと、訪問介護事業者を対象にした専門家による研修会が15日夜、墨田区で開かれました。

研修会には、墨田区内の訪問介護事業者などおよそ30人が参加しました。
はじめに墨田区保健所の西塚至所長が「今月に入り区内では家庭内感染が最も多くなっていて、感染で介護従事者の自宅待機が相次げば介護崩壊のおそれがある。この機会に正しい知識を身につけて実践してほしい」と挨拶しました。
続いて講師として招かれた感染症対策の専門家で、東京都看護協会危機管理室アドバイザーの堀成美さんが、ヘルパーと利用者の双方がマスクの着用を徹底すれば、感染リスクは十分減らせると説明しました。
そのうえで、利用者がマスクをつけることが困難な場合は、顔と顔を近づけないことや、正面に立たずに横や後ろから介助することで、感染を防ぐことができると話しました。
また、入浴の介助など暑いところでサービスを行うときは、口元をプラスチックフィルムで覆うマウスシールドも有効だとしました。
このほか、感染した疑いがある人を介助する際に着用する防護服や手袋の脱ぎ方についても実演が行われ、手指がいちばん汚れやすいのでこまめにアルコール消毒をしながら脱ぐことや、手袋は静かに外すことがポイントだと指摘しました。
参加者からは「新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行にどう備えたらいいか」という質問があがり、堀さんは「インフルエンザも新型コロナも予防法はほぼ一緒で、何か特別な対策が必要ではないので基本的な対策を徹底してほしい」と答えていました。
研修会のあと、堀さんは「介護事業者にとって感染予防対策が大変なのはこの先も続いていくが、過剰に不安になる必要はない。地域や業種ごとにどのような対策をとるべきか情報を提供していきたい」と話していました。
墨田区の訪問介護事業所で所長を務める小谷庸夫さんは「ウイルスに関する知識を持って、不安になりすぎずに正しくおそれることが大切だとわかりました」と話していました。

東京・墨田区の訪問介護事業所「ヘルパーステーション和翔苑」は、7人のヘルパーでおよそ20人の利用者を支えています。
小谷庸夫さんは事業所の所長を務めながら、自身もヘルパーとして働いています。
新型コロナウイルスの感染を防ぐため、利用者の自宅を訪れる際にはマスクの着用や手洗いなど基本的な対策を徹底していますが、不安はつきまとうといいます。
感染対策の基本のマニュアルはありますが、具体的にどう対応すればいいかわからない点も多いからです。
小谷さんは「食事や入浴の介助やおむつ交換など密着しないとできない仕事なので、接触は避けられない。利用者の中には体調が悪くなるからマスクがつけられない人もいる。コミュニケーションとるのに言葉は必要だし、ソーシャルディスタンスは難しい」と話しています。
さらに、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行も懸念しています。
小谷さんは「秋以降、インフルエンザか新型コロナか利用者の症状を見てもどちらかわからない状況になるかもしれない。どんな対策が必要なのか不安でしかたない」と話しています。
また、事業所ではヘルパーが不足していて小谷さん自身が多いときは1日に5件の訪問介護を行っていますが、感染が続くことで介護人材の確保がさらに難しくなるのではないかと考えています。
小谷さんは「訪問介護は、どうしても密になる仕事なのでそのこわさという部分で不安が解消されないと介護人材も増えていかないと思う」と話しています。

新型コロナウイルスの感染拡大で「通所型」の介護事業所の自主休業の動きが広がったため、「訪問介護」はその重要性を増しました。
厚生労働省が今月1日に公表した介護保険事業状況報告によりますと、緊急事態宣言が出されたことし4月にデイサービスや訪問介護など自宅で生活する人を対象とした「居宅サービス」を利用した人は383万6000人で、ことし1月に比べて2万6000人減り、サービスの利用を控える動きが広がっていたことがわかります。
サービス別にみると、通所型の「デイサービス」が107万7000人と、ことし1月に比べて7万6000人、率にして6.6%減った一方で、ホームヘルパーなどが自宅を訪れる「訪問介護」は97万1000人と1万人、率にして1.1%の減少にとどまりました。
在宅で生活を維持するのが難しい人にとっては「訪問介護」は“最後のとりで”で、利用を控える動きが少なかったとみられています。