乗客を特殊詐欺被害から防ぐ 網走市のタクシー運転手に感謝状

乗客が特殊詐欺に巻き込まれていると気付いて被害を防いだ網走市のタクシー運転手が警察から感謝状を贈られました。乗客を思いとどまらせたのは、「それは詐欺だから」という言葉と、粘り強い説得でした。

特殊詐欺の被害を防いだのは網走市のタクシー運転手、藤石篤嗣さん(61)で、9日、網走警察署の端耕起署長から感謝状を贈られました。
藤石さんは今月2日、市内で1人暮らしをしている70代の女性を乗せてコンビニエンスストアに向かった際、女性が「電子マネーでお金を払いに行く。きょう中に払わないと裁判になってもっと多く請求される」と話し、請求書も受け取っていなかったことから、特殊詐欺に巻きこまれていると気付いたということです。
藤石さんは被害を防ごうと、コンビニエンスストアで女性を降ろさずに警察に通報し、「それは詐欺だから。請求書も出さないで請求するわけないでしょ」などと何度も繰り返し説得しながら女性の家まで戻り、警察官の到着を待ったということです。
当時の状況を振り返って、藤石さんは「説得し続けるのは大変でしたが、日ごろから乗せているお客さんだったので、詐欺に気付くことも、強い口調で説得することもできました。年金生活者にとっては大きい金額なので、被害を防げて良かったです」と話していました。
警察によりますと、最近の特殊詐欺ではさまざまな名目で電子マネーを購入させる手口が増えていますが、タクシー運転手が被害を防いだケースは非常に珍しいということで、「店に行かせずに通報して、説得までしてくれたのはありがたいかぎりです」と感謝しています。