【滞在記・下川町】深い森の贈り物 冬の川には美が宿る
地域にディープな人脈を持つ「ローカルフレンズ」のもとにディレクターが1か月滞在し地域の宝を探す「ローカルフレンズ滞在記」。
2月の舞台は、自然を全身で感じられる町、道北の下川町。
スキージャンプ選手を多数輩出した町としても有名です。
ローカルフレンズは、3年前に東京から下川町へ移住した塚本あずささん。
NHK札幌局の小林美月ディレクターがお邪魔しています。
まず会いに行ったのは、下川町の自然を満喫させてくれるというネイチャーガイドの”べえやん”こと園部峻久さん。
べえやんは北海道の川専門のネイチャーガイドで、身を浸して歩いた川は50を超え、年間250日以上を川と共に過ごしているそうです。
最初はカメラを向けられ緊張のあまり無口だったべえやんですが、川を案内し始めると一変。
「あそこの水がぶつかっている感じとか見てよ!超いいやん!絶対見る価値あるって!」と、森一面に響く声でガイドしてくれます。
さらに進むと厳しい冬ならではの貴重な風景が。
川面に薄く張った氷の上にまるで白い花のように降りる霜。
せせらぎが凍り付いて生まれる不思議な氷の造形など、冬の下川町の自然を堪能することができました。
下川町には森の恵みを楽しんで暮らす人もいます。
今回のローカルフレンズの一人、塚本あずささん。
3年前に東京から移住してきた塚本さんは、元々アロマを専門とするお店で働き、イギリスではアロマテラピーの専門知識を学びました。
自分のお店を持ちたかったという塚本さんが、各地を巡る中で出会ったのが下川町でした。
下川町では町の人たちがアロマオイルを手作りしています。
それを知った塚本さん。
「ここにきたら原料を取っている人も、作っている人も分かる、ちゃんと顔が見える」と感動したそうです。
塚本さんは町内に開いたカフェで、下川町で作られるオイルを使ったアロマテラピーを提供しています。
この他にも「美と安心を届けたい」と、手作りのお菓子を作ったり、お茶を素材から仕入れて配合したりと、町の人々へ癒やしを届けています。
塚本さんは、リフレッシュしたくなった時に訪ねる森へと案内してくれました。
散策の途中で渡してくれたのは、自身のカフェで作ったおまんじゅうとゆべし。
キリッと冷え込む空気の中で、甘いものが体に沁みる贅沢な時間です。
溢れる木漏れ日を全身で受けながら、塚本さんは「森が好き」と笑顔でつぶやきました。
荘厳で豊かな下川町の自然は、たくさんの人々を引き寄せ、それぞれに豊かな暮らしを届けてくれていました。
その魅力は、移住してきた塚本さんたちだけでなく、ずっと下川町に住み続けてきた人たちにも届き始めています。