【滞在記・下川町】極寒の町の熱いサウナ 森の仲間が手貸して
地域にディープな人脈を持つ「ローカルフレンズ」のもとにディレクターが1か月滞在し地域の宝を探す「ローカルフレンズ滞在記」。
2月の舞台は道北・下川町。冬はマイナス30度になる寒さで、東京23区と同程度の面積のうちの9割は森で覆われ、自然を全身で感じられる町。スキージャンプ選手を多数輩出した町としても有名です。
ローカルフレンズは、おととし道外から移住し、下川町でサウナやジビエ料理の事業化に取り組む谷山嘉奈美さん。NHK札幌局の小林美月ディレクターがお邪魔しています。
札幌市から下川町まで、JRとバスを乗り継いで3時間。たどり着いた冬景色を目の前に、滞在への気分も高まります。早速町を歩こうと思うも、あまりの寒さに一度引き返し、カイロを体じゅうに貼り、気も引き締め直して町へ繰り出していきました。
車から降りてきて笑顔で迎えたのは、今回のローカルフレンズ、谷山嘉奈美さん。おととし道外から下川町へ移住し、サウナを事業化したいという思いで活動しています。
滞在を始めてわずか数日。ディレクターを置いて、谷山さんは出張で札幌へ。3日後、ディレクターの元へ届いたビデオレターでは、軽トラックの荷台にサウナが乗った「サウナトラック」と共に笑顔で映る谷山さんの姿が。
出張から帰ってきた谷山さんの表情は安堵に包まれた笑顔。谷山さんは、下川町を拠点にサウナを事業として成立させたいという構想があります。このサウナトラックは、町のみんなで踏み出す”夢”への第一歩です。
その仲間の一人が、町内でカレー店を営む栗岩英彦さん。かつて自作のトラックで全国を旅した経験を元に、谷山さんのサウナトラックの設計にアドバイスしました。さらに、地元の建設会社やガイドといった人たちが、木材の選定や調達など全面的に協力してくれています。
谷山さんは、下川町へ移住する前は、名古屋で保健師をしていました。忙しい仕事の合間に参加した行き先を告げられない「ミステリーツアー」で連れてこられたのが下川町。初めての訪問でしたが「一目惚れした」という谷山さん。それまで趣味として取り組んでいたサウナやジビエ料理づくりを、下川町で事業化したいと移住を決めました。
しかし、移住からわずか3か月後、大きな手術が必要な病気が見つかります。「まだ死ねない」という思いで、去年、手術を乗り越え下川町へ戻ると、町の人は再び谷山さんの背を押してくれました。
この日、谷山さんが訪ねたのは薪店を営む富永紘光さん。サウナ用の薪を買いに行ったのですが、富永さんからお土産に鹿肉まで持たせてもらったといいます。町の人が思わず応援したくなる谷山さんの人柄が町の人を巻き込み、多くの人が谷山さんの取り組みで笑顔になっていました。