菅政権発足 五輪相は橋本氏再任

自民党の菅義偉総裁は16日、衆参両院の本会議で行われた総理大臣指名選挙の結果、第99代の総理大臣に選出されました。16日夜、菅内閣が正式に発足します。

安倍内閣は16日午前、総辞職し、これを受けて16日午後1時から開かれた衆議院本会議で総理大臣の指名選挙が行われました。
その結果、▽自民党の菅総裁が314票、▽立憲民主党の枝野代表が134票、▽日本維新の会の片山共同代表が11票、▽希望の党の中山代表が2票、▽自民党の小泉進次郎氏が1票で、菅義偉総裁が自民党や公明党などの支持を受けて総理大臣に指名されました。
一方、午後1時40分から開かれた参議院本会議でも総理大臣の指名選挙が行われ、▽自民党の菅総裁が142票、▽立憲民主党の枝野代表が78票、▽日本維新の会の片山共同代表が16票、▽国民民主党の伊藤孝恵氏が1票、▽白票が3票で、菅総裁が総理大臣に指名され、第99代の総理大臣に選出されました。
菅総理大臣は閣僚人事を行い、加藤官房長官が閣僚名簿を発表しました。
道内関係ではオリンピック・パラリンピック担当大臣に、いまの安平町出身の参議院議員、橋本聖子氏が再任されました。
また、沖縄・北方担当大臣は河野太郎氏が行政改革担当大臣と兼務することになりました。

【橋本五輪相とは】
橋本氏は参議院比例代表選出の当選5回で55歳。自民党細田派に所属しています。
スピードスケートや自転車競技の選手として、冬と夏合わせて7回オリンピックに出場し、平成4年のアルベールビル大会では銅メダルを獲得しました。
平成7年の参議院選挙で初当選し、これまでに外務副大臣や党の参議院議員会長などを歴任し、去年9月からオリンピック・パラリンピック担当大臣を務めてきました。
菅総理大臣としては橋本氏を引き続き担当大臣に起用することで、来年に延期された東京大会を成功に導きたいという狙いがあるものとみられます。

【河野沖縄北方相とは】
河野氏は衆議院神奈川15区選出の当選8回で57歳。自民党麻生派に所属しています。
自民党総裁を務めた河野洋平元衆議院議長の長男で、平成8年の衆議院選挙で初当選しました。
行政改革担当大臣などを経て、3年前の内閣改造で外務大臣に起用されました。
父の洋平氏も外務大臣を務め、祖父の河野一郎・元農林水産大臣は当時の鳩山一郎総理大臣とともに日本とソビエトの国交正常化に尽力するなど3代続けて外交に携わっています。去年からは防衛大臣を務めていました。

【道内各地の反応】
新型コロナウイルスの影響が続く中で新たに発足する菅政権に、さまざまな課題を抱える北海道では何を望むのかー。道内各地で聞きました。

農業ではTPP=環太平洋パートナーシップ協定や日米貿易協定などの発効に伴う競争力強化のほか、慢性的な人手不足も課題になっています。
帯広市で小豆やビートなどを生産する畑作農家の加藤哲佳さんは「今の世界情勢を考えると、農産物の貿易自由化はやむをえないと思うので、そこで打撃を受けたものについては、国策でしっかりとカバーしてほしい。菅氏は安倍前総理大臣の右腕として7年8か月やってこられたので、安倍政権同様に農家を守ってくれるのではないか」と期待していました。
また、菅総理大臣について「秋田のいちご農家の出身ということなので、私たち農家のことをよく理解してくれると期待している。後継者不足で働き手がいなかったり、コストがかかったりするので、国で対策してほしい」と話していました。

漁業では新型コロナウイルスの影響による消費の低迷や担い手の不足が大きな課題となっています。
北見管内漁業協同組合長会の阿部與志輝会長は「地方では労働力の確保を外国人の技能実習生に頼っていますが、新型コロナウイルスの影響で入国できない状況が続き、大きな痛手になっています。菅氏は感染拡大の防止と社会経済の再生をうたっているので、期待したいと思っています」と話していました。
また、菅総理大臣の人柄については「地方から出た総理大臣なんだと思うと親しみもわくし、期待も膨らむ感じがします」と話していました。

函館市の観光名所・函館朝市では新型コロナウイルスの感染拡大が本格化したことし3月以降、観光客が減少していることから、感染の収束と観光の振興策を望む声が相次ぎました。
67歳の男性店主は「菅氏は改革を進めてくれると期待しています。インバウンドがなくなり商売あがったりなので、早く安心して買い物をしてもらえるようにしてほしい」と話していました。
72歳の女性店主は「菅氏には野望がないように見えていたが、最近は野望を感じるようになった。コロナが落ち着いて早く景気が回復することを期待したい」と話していました。
函館朝市協同組合連合会の藤田公人理事長は「新型コロナウイルスが収束しなければわれわれはかなり厳しい状況です。世界的に流行している以上、国内観光の政策を頑張ってもらいたい」と話していました。
また、「菅氏は安倍政権でいろいろな経験をしてきたと思うので、これからは自分のカラーを出して皆さんが良かったと言ってもらえるような人になってほしい」と話していました。

北方領土問題をめぐっては、安倍前総理大臣はロシアのプーチン大統領と27回の首脳会談を重ねてきましたが、平和条約交渉で大きな進展は見られず、元島民の高齢化が進む中、交渉をどう進展させるかも新政権の課題です。
元島民でつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」根室支部長の宮谷内亮一さんは「前の体制では安倍前総理大臣に領土交渉を頼り切ってきた印象がある。菅総理大臣と交渉の窓口である外務省、また、安倍氏の経験を活かして、三位一体となって結果を出してほしい」と話していました。
また、元島民は平均年齢が85歳を超えるなど高齢化が進んでいて、宮谷内さんは「元島民が1人でも生きてるうちに島の返還に対する道筋をつけて、元島民に寄り添いながら一歩でも半歩でも進めてほしい」と述べました。

菅総理大臣は政府のアイヌ政策推進会議の座長を務め、アイヌ民族を法律として初めて「先住民族」と明記したアイヌ施策推進法の成立や、白老町にあるアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」の開設に向けて尽力しました。
北海道アイヌ協会の加藤忠常務理事は「バンザイと手を上げたいくらいうれしい。アイヌ民族に対する過去の固定観念を乗り越えて、アイヌの人たちに寄り添う菅氏の考え方がウポポイやアイヌ施策推進法を形づくってきた」と述べました。
その上で「アイヌ施策推進法をどう進めるかはこれからの話になっていくので対話を通して作り上げていくことが必要だ。菅氏は、私たちがどういう覚悟で物事を進めてきたかを知っている人だと思うので、今後も期待したい」と述べました。

菅総理大臣の選出を受けて、JR北海道の島田修社長は「北海道に大変理解のある総理の誕生に心よりお喜び申し上げる。国難とも言えるコロナ禍の中の就任なので、感染拡大の収束と経済の再生に向けて強力なリーダーシップの発揮に期待するとともに、打撃を受けている北海道の観光産業の再生とJR北海道が抱える構造問題の早期解決に、引き続き強力なご支援をお願いしたい」と述べました。

【知事は 札幌市長は】
鈴木知事は「北海道の可能性に大きな期待を寄せ、その発展に格別の尽力を頂いている菅総理大臣が国政を担うことは大変心強い。新内閣では強力なリーダーシップのもと、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、経済の再生や雇用の確保、地方創生や強靭な国づくりなど山積する課題の解決に取り組み、地域の実情を踏まえた政策を進めていただくことを期待する」などとしたコメントを出しました。

札幌市の秋元市長は「菅内閣には地方の声に耳を傾けながら、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策に最優先で取り組むとともに、さまざまな国政課題に対して力を注いでいただくことを期待する」というコメントを出しました。