□ NHKは、マラソンや駅伝などのロードレース番組を4K・8K制作するために、移動する中継車から8K映像の生中継を可能にする8K移動中継用FPU(Field Pick-up Unit)を開発しました*1)。
□ FPUは、ニュースの現場やスポーツ中継現場など、さまざまな場所から映像や音声を放送局へ伝送する可搬型の無線伝送装置です。ロードレース中継などでは、走行する中継車で撮影した映像を無線伝送するために移動中継用FPUが使用されています。
□ 従来のハイビジョン移動中継用FPUは、周波数1.2GHz/2.3GHz帯において17.5MHzの帯域幅を使用して、2送信2受信MIMO*2)技術により最大44Mbpsのハイビジョン信号を伝送することができます。
□ 今回開発した8K移動中継用FPUは、MIMOの送受信数を4送信4受信に拡大するとともに、移動することにより変動する伝搬路の状態に応じて、変調方式などの伝送パラメータが逐次自動的に変更される適応送信制御MIMO技術を導入することにより、同じ周波数・帯域幅で従来の3倍以上となる最大145Mbpsでの8K映像の移動伝送を可能にしました。
□ 開発したFPUは、5月24(木)〜27日(日)に開催する「技研公開2018」で展示します。今後、実用化に向けて性能改善に取り組み、8K移動中継用FPUの標準規格化を進めていきます。
*1) 総務省の委託研究「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」を(株)NHKアイテック、パナソニック(株)、(株)日立国際電気と共同で受託して研究開発しました。
*2) MIMO(Multiple-Input Multiple-Output):送信と受信の両方で複数のアンテナを使用して、同じ周波数で複数の無線信号を多重して伝送する無線伝送方式。