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◆電波テレビカメラ用 ミリ波帯大型リフレクトアレーアンテナを開発
〜電波のビームを自在にコントロールして、動画も撮影可能に〜
(平成22年5月24日)


○ NHKは、煙や霧の向こうの様子など、普通のテレビカメラでは撮影できない被写体を、ミリ波という非常に周波数の高い電波を利用して撮影する電波テレビカメラの開発を進めています。電波テレビカメラは、災害報道などに役立つものと期待されています。

○ 電波テレビカメラは、被写体に向けて60GHz帯のミリ波を放射し、受信アンテナのビームを上下左右に高速に走査しながら反射波を受信します。その反射波の伝搬遅延時間を解析して奥行き方向の距離情報を得ることにより、被写体以外の遮へい物や背景からの反射波を消去して画像化しています。

○ 被写体を撮影するため、アンテナビーム(電波の受信方向)を変えられる受信アンテナが必要です。これまで試作していた電波テレビカメラでは、アンテナの向きを機械的に動かしてアンテナビームを変えていたため、撮影に時間がかかり、動く被写体を撮影することができませんでした。今回、受信アンテナとして、電子的にビーム走査が可能なリフレクトアレーアンテナ*1を新たに開発しました。

○ このリフレクトアレーアンテナは、多数の小さな反射素子の1つ1つの反射特性を、電子的に個々に制御することにより、機械的にアンテナを動かすことなく、アンテナビームを高速に制御することができます。60GHz帯のミリ波という高周波数帯で、57cm×57cmの大型リフレクトアレーアンテナの開発例は、世界で初めてです。機械走査方式のアンテナに比べて、ビームを高速に走査できるので、フレーム周波数 2.3Hzを実現し、従来の電波カメラに比べ約23倍向上することができました。

○ このアンテナを用いた電波テレビカメラ装置は、5月27日から30日に開催するNHK放送技術研究所の一般公開で展示します。

*1小さな反射素子を多数配置した反射鏡アンテナ。



 
 
 
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