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◆カメラの揺れを大幅に吸収できる“肩載せ型カメラ防振装置”を開発
〜 バランスのとれた撮影スタイルで、迫力ある映像が可能に 〜
(平成20年5月13日)

○ NHKは、ニッパツ(日本発条株式会社)と共同で、カメラの肩パッドの部分で振動を吸収できる “肩載せ型カメラ防振装置”を開発しました。機動性を保ちつつ、カメラに発生する揺れを大幅に吸収できる新しい発想の装置です。

○ 最近、テレビ画面の大型化・高精細度化に伴い、以前に増して撮影時の映像の揺れが画面上で誇張され、顕著に目立つようになってきています。こうした揺れは、頭痛やめまいなどを引き起こす、いわゆる「映像酔い」の原因となる可能性があり、問題視されてきています。

○ 今回、肩の揺れ状態を2軸のジャイロセンサー(角速度センサー)で検出し、カメラを支えるクッションの柔らかさを制御する※1ことにより、カメラの振動を大幅に吸収する手法を開発しました。画面の揺れに最も悪影響を与えるカメラのピッチ方向※2と、ロール方向※3の2方向について補正を行っており、それぞれの揺れを吸収することができます。

○ また、肩の真上に載せる方式のため、バランスが良く、小型、軽量であることから、誰でも手軽に活用することができるだけでなく、カメラマンの動きや好みに合わせて、効き具合を調整することもできます。

○ 今回開発した防振装置は、5月22日から25日まで、世田谷区砧のNHK放送技術研究所で開催される、「平成20年度放送技術研究所の公開」(技研公開)に展示する予定です。

○ 今後は、さらに振動抑制性能の向上、軽量化を図り、様々な番組制作や緊急報道などで、幅広く活用していく予定です。

※1 モーターでカメラの姿勢を動かすのではなく、カメラの振動を減衰させるように柔らかさ(粘性抵抗)を調整する方式で、大きな駆動トルクを必要とせず消費電力も少なくてすみます。
※2 遠方を撮影する場合、ピッチ方向にカメラが傾くと、画面上では大きな変動となってしまいます。カメラの上下動(重力方向の変位)よりも、画像の揺れに影響を与える大きな要因です。
※3 人間の肩は平らではないため、撮影時に姿勢を変えたり、カメラを持ち直したりすると、カメラはロール方向に傾いてしまいます。水平のとれていない画像は、見にくさの要因です。

 

[諸元]
駆動方向
ピッチ、ロール
駆動方式(アクチュエータ)
直動型、粘性抵抗可変方式
制御角度量
±2度
駆動電圧
12V
消費電力
10W
応答周波数
0.2Hz〜10Hz
最大搭載カメラ重量
10kg
本体重量
3.5kg
サイズ
350mm×130mm×60mm
 
 
 
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