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◆スピードスケートにハイビジョン無線レールカメラを活用
〜 トリノから迫力ある映像を世界に配信 〜
(平成18年2月10日)


○ NHKは、トリノオリンピックで初めてスピードスケートの国際信号*を制作することになりました。このスピードスケートで、NHKは新たに開発したハイビジョン無線伝送システムを選手に併走するレールカメラとして世界で初めて使用し、選手のリアルな表情を捉えた迫力ある映像を世界に配信します。

○ スピードスケート中継で用いられるレールカメラは、ケーブルで伝送する場合、その重量のために選手の滑走スピードに合わせて走行することができません。
一方、無線伝送では高速走行は可能ですが、これまでのハイビジョン無線伝送システムでは信号圧縮に伴う遅延が発生し、他の遅延のない固定カメラとの切り替えが困難でした。

○ 今回、レールカメラの無線伝送システムに、2.5GHzという広い周波数帯域幅を利用できる60GHz帯の電波を用いることにより、ハイビジョン信号を非圧縮で遅延なく伝送することが可能になりました。

○ 60GHz帯の電波は指向性が強いため、これまでは直線走行の場合しか使用することができませんでした。今回、複数台の送受信機を用いて、受信状態の良い信号を選択するダイバーシティ機能を有する無線伝送システムを開発することで、スピードスケートの直線とカーブの全区間で安定したハイビジョン伝送を実現しました。

○ NHKは今後も、視聴者の皆さまに魅力的な番組をお届けするために、ハイビジョン伝送機器をはじめとしたさまざまな放送機器の研究・開発を進めていきます。

※国際信号: オリンピック組織委員会が各国の代表的な放送局に制作を依頼して公式に制作する競技映像。トリノでは、日本の放送局はNHKのみ。


[図1] レールカメラ上の送信機配置


[図2] 受信点の配置


[図3] ダイバーシティ受信システム

[特長]
(1)送信側 ・レールカメラの送信機を直線区間用とカーブ区間用の2台搭載
・直線ではレールカメラ進行方向に、カーブでは進行方向と直角のカーブ中心に向け電波を発射
(2)受信側 ・受信点を直線用2か所、カーブ用1か所の計3か所設置
・各受信点で3台ずつ設置した受信機の中で受信状態の良い信号を選択するダイバーシティ方式を使用


[ 写真 ] レールカメラ

[ 表 ]  60GHz送受信機の諸元
送信周波数
60GHz
送信電力
10mW以下
変調方式
ASK
占有周波数帯域幅
2.5GHz以下
伝送ビットレート
1.5Gbps
入出力信号
HD-SDI信号
1080/50i, 1080/59.94i
重量
1.2kg (送・受信機共)
消費電力
10W以下 (送・受信機共)





 
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