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◆小型・低価格の屋外設置型デジタルTTL装置を開発
〜 地上デジタル放送 “全国あまねく” の実現に向けて 〜
(平成17年11月29日)


○ 放送の番組中継ネットワークのうち中継局間をマイクロ波などで接続する無線システムをTTL(Transmitter to Transmitter Link)装置と言います。NHKは今回、地上デジタル放送用のコンパクトで低価格の屋外設置型デジタルTTL装置を開発しました。従来のデジタルTTL装置は複数の送信ユニットで構成されており、大型で中継局の局舎など屋内に設置していましたが、開発した装置は地上デジタル放送中継局の送信鉄柱にアンテナとともに取り付け可能です。

○ 2003年に始まった地上デジタル放送は、2006年末までに全国都道府県の親局で放送を開始する予定です。“全国あまねく“に向けて親局の建設と平行して整備を進めている小規模中継局では、新たな局舎建設などによる整備経費を抑制するため、コンパクトなTTL装置が求められていました。

○ 今回、開発した装置は送受信回路の簡素化*1と高効率な放熱技術*2を使用することで装置の大幅な小型化を実現しました。送信鉄柱に直接、取り付けられるため、既設の局舎を利用可能なほか、アンテナとTTL装置間のケーブル長を短くできるため、従来の導波管に代わって同軸ケーブルの使用が可能となり、工期の短縮と工事費の大幅なコストダウンが図れます。

○ NHKは今後も、地上デジタル放送の全国展開に向けた効率的な中継ネットワークを構築するため、無線中継装置をはじめとしたデジタル送信・受信機器の研究・開発に取り組んでいきます。

※ 1 送信・受信装置で生じる位相雑音と呼ばれる不要な周波数成分を除去するために挿入する信号等化用パイロット信号を、従来の2波方式に替わり1波にすることで、回路の簡素化を 図るとともに、ネットワーク設計上十分なC/N比を実現。

※ 2 直射日光による内部の温度上昇を抑えるため、ヒートシンクとヒートパイプを併用した小型で高性能な放熱構造を開発。さらに本体の筐体全面に遮光板を取り付けることで屋外環境での安定動作を実現。




[写真1] 装置の外観



[写真2] 送信装置

[表] 装置の主要諸元
項 目
緒  元
周波数 7 GHz帯
送信電力 0.5 W
伝送方式 IF伝送方式 (1パイロット方式)
等価C/N 40dB   (-45dBm入力時)
電源電圧 DC +48V
使用温度範囲 -10℃〜+45℃  (性能補償範囲)
-20℃〜+60℃  (動作補償範囲)
ケース寸法および重量 送信装置:W265×H608×D237 (mm) / 13.8 Kg
受信装置:W265×H608×D251 (mm) / 10.8 Kg



 
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