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◆世界初 スーパーハイビジョン生中継
〜 11/2,3のNHK技研75周年記念イベントで 〜
(平成17年10月6日)


○ NHK放送技術研究所は、今年で開所75周年を迎えました。これを記念して、11月2日(水)、3日(木)の2日間、同所において記念イベントを開催します。その中で、世界初となるスーパーハイビジョンの生中継の実験を行います。

○ スーパーハイビジョンは、ハイビジョンの16倍の画素数を持つ超高精細 映像と、22.2chの立体音響からなる高臨場感映像・音響システムです。今年3月25日から9月25日まで開かれた愛・地球博でも、博覧会協会のシンボルパビリオン「グローバル・ハウス」において約153万人の来場者の方々に、スーパーハイビジョンの臨場感あふれる映像と音の世界を体験していただきました。

○ スーパーハイビジョンは、これから発展していく放送技術です。これまでのスーパーハイビジョンの映像制作は、情報量が多いなどの理由から、1台のカメラで撮影したものを大容量のサーバーに収録し、編集する作業が必要でした。また、音響も計24チャンネル(22+2)というこれまでにないチャンネル数のため、遠隔地への伝送・中継を行うことが困難でした。

○ 今回のスーパーハイビジョンの生中継実験では、千葉県の鴨川シーワールドと世田谷区砧にあるNHK技研との約260kmを光ファイバーで結び、鴨川シーワールドから迫力あるスーパーハイビジョンの映像と音をリアルタイムでNHK技研に届けます。

○ 実験では、非圧縮のスーパーハイビジョン信号を16本のHD−SDI1信号に分けて波長の異なる16の光信号として多重伝送するDWDM2方式を用いることにより、1本の光ファイバーで伝送することが可能となりました。さらに、多段に接続した光増幅器で伝送損失を補償することにより、長距離伝送を実現しています。

○ 今回の中継では、スーパーハイビジョンとしては初めて2台のカメラの映像をリアルタイムで切り替えて伝送します。また、複数のマイクで収音した素材音をそのまま伝送し、NHK技研側で22.2chの立体音響によるリアルな音場を再現します。これらは、今までのスーパーハイビジョンの番組制作の制約を破るもので、スーパーハイビジョンがテレビメディアとしてさらなるステップを踏み出したことになり、今後は、光ファイバーを使ってさまざまな場所から生中継を実現できる見通しが得られたことになります。

○開所記念イベントの開催期間は、2日間です。初日の11月2日には、マサチューセッツ工科大学・利根川進教授と国立情報学研究所・末松安晴顧問のお二方をお招きし、記念講演会を開きます。また、11月3日には、 地域イベントとして、体験型の展示を含む研究展示およびスーパーハイビジョンの上映を行います。

1 HD−SDI信号 : ハイビジョンシリアルデジタルインターフェース信号。伝送ビットレートは約1.5Gbps。
2 DWDM(Dense Wavelength Division Multiplex) : 高密度波長多重。多重間隔0.8nm。

75周年記念講演会
日時 11月2日(火) 14:00〜17:10
場所 NHK放送技術研究所 講堂
式次第  
  榎並所長あいさつ
  講演 NHK 理事 西山博一 題目 : 進化する技術 「放送の、これから」
  特別講演1) マサチューセッツ工科大学・ 利根川進 教授
 題目 : 学習と記憶の脳内メカニズム
  特別講演2) 国立情報学研究所・ 末松安晴 顧問
 題目 : 電子映像「イ」の字からスーパーハイビジョンまで
  *11月2日については、招待者のみに限らせていただきます。


75周年地域イベント
日時 11月3日(水) 10:00〜16:00
場所 NHK放送技術研究所
内容 スーパーハイビジョン上映,研究展示,体験型展示など
     
*11月2日に実施したスーパーハイビジョンの生中継実験の映像・音響を収録したものを、11月3日の地域イベントで上映いたします。なお、当日は混雑が予想されるため、スーパーハイビジョンの上映については、事前に登録していただく申し込み制となります。
また、 申し込み多数の場合は、抽選とさせていただきます。






スーパーハイビジョン中継系統図


伝送経路 (鴨川シーワールドからNHK技研まで約260km)


 
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