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◆新しい光波長多重装置による地上デジタル放送の伝送に成功
〜光通信網への地上デジタル放送の伝送に向けて〜
(平成16年12月2日)


 NHKは既に整備された自治体や民間などの光通信網に、地上デジタル放送を多重しても、通信に干渉を及ぼすことなく安定な伝送が可能となる光波長多重装置を新たに開発しました。茨城県が県内の市町村に敷設している 「いばらきブロードバンドネットワーク(IBBN)」において、今回開発した装置を用いた地上デジタル放送の伝送に成功しました。

○ これまでの光通信網では、事業者側からユーザー側へ伝送する下りの通信回線にCバンド*の波長帯を主に使用しています。このような光通信網に、同じCバンドの光信号で地上デジタル放送などの番組を波長多重しようとすると、通信と波長が重なり伝送できないことがありました。

○ 今回、Cバンドより波長が長いLバンド*に光波長多重するための光変調器、増幅器、分波器を開発し、通信信号との干渉を起こすことなく、放送番組を伝送することが可能となりました。

○ IBBNを利用した実証実験の結果、既存の通信サービスに影響を与えることなく、地上デジタル放送波24チャンネル分の伝送を実現し、良好なハイビジョン画像の受信が可能であることを確認しました。

○ 2011年7月までに地上アナログ放送を終了し、全国あまねく地上デジタル放送を受信できることが国の計画として示されています。NHKは、地上デジタル放送の円滑な普及に向けて、全国のテレビ放送所における送信設備のデジタル化とあわせ、国・自治体や民間などと連携しながら、既設の光通信網を活用してデジタル放送をお届けするなど、計画的・効率的な整備に向けた検討を進めていきます。


※光伝送波長帯

バンド名
適 用
Cバンド
1530〜1565nm 光通信の主流となっている波長帯
Lバンド
1565〜1620nm 今回、機器開発した波長帯

○ 装置の諸元
(1)Lバンド帯光送信器  
  ・入力信号 70〜770MHz OFDM信号*
  ・出力光波長 1570.42nm
  ・光出力電力 8.5dBm
  ・光変調度 標準3.0%/ch@80dBμV入力
(2)Lバンド帯光増幅器  
  ・光入出力波長 標準1570nm
  ・光入力電力範囲 0〜10dBmW
  ・光出力電力範囲 17dBm
(3)光波長多重合分波器  
  ・適用光波長帯 1290〜1557nmと1570±6.5nmの合分波
  ・挿入損失 1.5dB以下
※ OFDM信号:直交周波数分割多重信号(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)で、地上デジタル放送に用いられている広帯域伝送用多重方式。

○ 実験系統概念図

※ 茨城県域地上デジタル放送を大宮アクセスポイントで受信し、IBBNに光波長多重。大子町で市販のデジタル受信機により受信。(協力:茨城県、茨城県大子町) 

○装置の概観


地上デジタル放送波用Lバンド光変調器


Lバンド光増幅器
 
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