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◆ハイビジョンIP伝送を活用した
出先スタジオ・ハイビジョン中継システム“IPスタジオ”の開発
(平成16年9月16日)
○ NHKは、IP伝送による出先スタジオ・ハイビジョン中継システム“IPスタジオ(情報発信簡易スタジオ)”を開発しました。このシステムは、ブロードバンドネットワークを使用して中継現場を出先スタジオとしてハイビジョン中継するシステムで、ハイビジョン映像と音声を放送局へリアルタイムに伝送するだけではなく、掛け合い*1に必要な映像と音声を出先スタジオへ送り返すことができます。
○ 従来のFPU(Field
Pick-up Unit:地上マイクロ波中継装置)や光回線を使用した伝送方式では、映像と音声を単一方向へのみ伝送が可能であり、放送局から中継現場へ音声だけを送り返す場合でも電話など別の伝送路を確保する必要がありました。しかし、ブロードバンドネットワークを使用したIP伝送システムにより、映像・音声を双方向に伝送できる出先スタジオ・ハイビジョン中継システムが実現しました。
○ 映像・音声を伝送するほかに、放送局から中継現場にあるカメラ、照明、ディスプレイをリモートで制御したり、タリーランプ(オンエア中を伝える信号)を中継現場に送るなど、IPネットワークの双方向性を活用したさまざまな新しい機能を盛り込みました。
○ システムは中継現場の「出先スタジオ設備」と放送局側の「コントロールシステム」で構成され、出先スタジオ設備は容易に運搬・設営が可能であり、大幅な省力化を図りました。ブロードバンドネットワークを使用できる所ならどこでもスタジオを設営し、きめ細かな地域情報などを視聴者の皆さまへお届けすることができます。
○ 出先スタジオ・ハイビジョン中継システムは、最大8か所の中継先を試写・管理することができ、その中から選択した2か所を同時にハイビジョン中継することができます。地上デジタル茨城県域放送の開始に合わせ、この“情報発信簡易スタジオ”システムを水戸放送局に整備します。茨城県「いばらきブロードバンドネットワーク」を使用し、地域サービスに活用していきます。
※1 掛け合い:放送の中で放送局と中継現場のキャスターが会話すること
[諸 元]
接続出先スタジオ数 |
最大8か所 |
ハイビジョン同時中継数 |
最大2か所 |
映像の圧縮方式 |
ハイビジョン(MPEG2)と試写・確認用
低レートSD(MPEG4)のデュアルストリーム |
ハイビジョン符号化レート |
20Mbps〜55Mbps |
伝送保証機能 |
ストリームデータシェーピング*1
誤り訂正(FEC)*2
自動再送要求(ARQ)*3 |
※1 |
ネットワーク通信時に、帯域を超えるようなトラフィックが発生することが予想される際に、データの損失が発生しないよう送信側のトラフィック転送速度を遅らせるなどの帯域制御を行うこと。 |
※2 |
Forward
Error Correction。データの廃棄や誤りを検出した時に、そのデータを再送することなく、データに付加した誤りを検出・訂正する冗長データを用いて、復元する通信方式。 |
※3 |
Automatic Repeat
Request。無線通信などで、通信ルールと異なるなどの誤ったデータを受信した受信側が送信側に対して、再送するように要求すること。 |
【図1】 システム概念図
【写真1】 操作端末の試写・管理画面
【写真2】 中継現場の出先スタジオ設備
【写真3】 出先スタジオ設備を使用した中継風景
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