◆高性能AMラジオを開発
〜RZ SSB方式により、受信性能が大幅にアップ〜
(平成15年5月13日)
○ NHKは、(財)NHKエンジニアリングサービスとアールコム(株)と共同でRZ SSB方式*1を採用した高性能AMラジオを開発しました。特徴は次の通りです。
・ 振幅ではなく位相から音声を復元
・ フェージングに強い
・ 混信や干渉による影響を回避可能
・ 航空無線など他のシステムへの応用可能
○ 従来のAMラジオは、放送波の振幅情報から音声信号を取り出していますが、今回開発したラジオは、放送波の位相情報から音声信号を取り出しています。一般に、AMラジオの放送波は、周波数領域では搬送波を挟んで上下2つのスペクトルで構成されています。今回開発したラジオは、搬送波と上下どちらかのスペクトルのみを用いることにより位相情報を得ることができます。
○ 位相情報から音声を取り出すため、フェージングの影響を受けにくいという特徴があります。また、2つのスペクトルのうち、片方に混信や干渉があっても、そのスペクトルを取り除くことで、混信等の影響を回避できます。従って、電波が弱い地域や混信の多い地域においても、従来のラジオに比べて格段に聞きやすくなりました。また、AM方式を使用している船舶や航空無線などの音声品質改善などにも有効で、幅広い応用が期待できます。
○ 今後、外国短波の受信機や放送局の放送電波監視用受信機にも、今回のラジオに導入したRZ SSB方式を応用していく予定です。
*1 RZ SSB:
R
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Z
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and (実数零点単側波帯)
今回発表した無線機は、5月22日から25日に開催される“技研公開”にてご覧になれます。
(別紙1)
図1 従来のAMラジオとRZ SSB方式によるAMラジオとの比較
(別紙2)
写真 試作したRZ SSB方式AMラジオ