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技術情報

 
◆地上デジタル放送用
ダイバーシティ受信型中継装置の開発
(平成14年2月1日)


○ NHK放送技術研究所は、地上デジタル放送の放送波中継局に用いるダイバーシティ受信型中継装置を開発し、野外実験により複数のアンテナで信号を受信し、高品質の信号を再生することに成功しました。

○ 地上デジタル放送では、放送所から中継放送局への伝送手段として、親局の放送波をそのまま中継信号とする放送波中継が検討されています。今回開発したダイバーシティ受信型中継装置は複数のアンテナで受信した信号を合成することにより高品質の信号を得るもので、デジタル放送波の信号の品質を改善し、再送信できることなどの特長を持っています。これにより、安定で高品質かつ低廉な地上デジタル放送のネットワーク実現が期待できます。

○ この装置を用いると、親局受信波が長距離伝搬や海上伝搬の場合などマルチパスやフェージングによって1本の受信アンテナでは信号が劣化する場合や、多段中継のため通常の放送波中継では必要な特性を得られない場合でも、放送波中継が可能になります。また、1〜10マイクロ秒という極めて短い時間の信号遅延で再送信することを可能としているため、SFN(単一周波数ネットワーク)の中継局にも対応可能です。

○ 野外実験については、NHK放送技術研究所とNHK名古屋および津放送局が、東海地上デジタル放送実験協議会の実験として実施しました。実験には通信・放送機構の東山局を親局、長谷山局を中継局として利用し、2局間で約67kmの海上伝搬信号を2本のダイバーシティアンテナで受信し、安定した動作を確認しました。

○ この装置は、地上デジタル放送の信号を中継し、伝送するケーブルテレビ局やギャップフィラーなどにも利用可能です。今後、条件のさらに厳しい海上伝搬や長距離伝搬での実証実験を進める予定です。NHKは地上デジタル放送の低廉で、かつ効率的な送信ネットワークの実現に向けて、積極的に研究・開発を進めていきます。

※別紙参照











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