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◆立体HDTV伝送システムを開発
(平成13年12月13日)


○ NHK放送技術研究所は2眼式立体HDTV伝送システムを開発し、このほど岡山−東京間のネットワーク伝送実験を初めて行い、成功しました。

○ 従来、立体HDTV伝送システムとして、左右の映像を1つの映像上に多重して伝送する方式、および、左右の映像を独立に伝送する方式があります。しかし、前者では解像度の低下が発生し、後者では左右映像の再生時間誤差が発生するという画質劣化要因がありました。

○ NHKが開発した伝送システムは、左右の映像をそれぞれ独立に符号化して伝送する方式の一つで、左右の映像の上端に時刻情報を多重し、受信装置では多重された時刻情報を観測しながら左右映像の表示時刻を一致させるように制御しています。この伝送システムは、MPEG2圧縮装置2式と新たに開発した時刻情報多重装置を組み合わせて、左右眼カメラの映像を45Mbpsで伝送します。この多重化された時刻情報を受信機側で利用することにより、左右映像の表示時間にずれが生じることなく、正しいタイミングで立体表示することが可能になります。このシステムは伝送だけではなく、立体HDTVコンテンツのサーバへの記録にも利用できます。

○ 今回のネットワーク伝送実験は、KDDI(株)、独立行政法人通信総合研究所(CRL)、通信放送機構(TAO)、(株)NHKテクニカルサービスと共同で実施したもので、時刻情報を多重した立体HDTVコンテンツを圧縮記録したサーバをテレポート岡山1に、受信システムをKDDI大手町ビル内およびNHK岡山局に設置して行いました。岡山から東京までの伝送にはJGN2の広帯域ネットワーク、NHK岡山局へは岡山情報ハイウェイ3を使いました。

○ この実験の成功で、スポーツイベントなどを全国に数十ヶ所ある立体HDTV展示施設に配信することも技術的には可能になりました。本システムは通信衛星など、有線ネットワーク以外のデジタル回線にも適用できるので、今後、幅広い応用が期待できます。

(参考)



図1 ネットワーク実験系統図











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