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  ◆NHKデジタルハイビジョンに初の5.1サラウンド放送が登場!!
ハイビジョンスペシャル「北海道・知床半島 森と海 壮大な命のつながり」
(平成13年3月13日)


 BSデジタル放送の「高画質・高音質」といった数多くある魅力のひとつに、多様な音声モードが放送できるという点があります。  
 様々な音声モードのなかでも、5.1サラウンドによる放送は、ハイビジョンソフトをより魅力あるものにするための音声表現のひとつであり、今後家庭での大型ディスプレーの普及に合わせて、ますます注目を浴びると考えられています。
 このたびNHKでは、これまでの5.1サラウンド番組制作への取り組みの成果として、次の番組を放送することにいたしました。

【番組名】 ハイビジョンスペシャル「北海道・知床半島 森と海 壮大な命のつながり」
【放送日】 2001年3月19日(月)午後7時30分〜9時30分
【内  容】  北海道、知床半島。世界でも例のない多様で豊かな生きもの楽園である。
春、目覚めは海からやってくる。半年もの冬の間、海を閉ざしてきた流氷原。冬でさえ、そこには大陸のアザラシ、オオワシをはじめ多くの生きものが姿を見せる。また分厚い氷の下では、小さな北の妖精、クリオネが神秘的に舞う。ほどなく地上は春を迎え、クマゲラやエゾシカが子育てをし、日本最大の哺乳類、エゾヒグマが冬ごもりから目覚める。森は、ダケカンバやミズナラが織り成す、豊かな原生林。その森で、150頭ものヒグマが、世界一高密度に生息している。 晩夏、知床の川に日本では例がないほどのカラフトマスの大群が大挙して遡上する。マスを巡るヒグマの豪快なハンティング。そのおこぼれを狙う様々な生き物たちの攻防…。
短い躍動の季節が終り、クマたちは冬ごもりを前に貯えの季節を迎える。突然訪れた海からの恵みクジラの漂着で、クマたちは賑わい、生き延びる。ヒグマは森だけでなく、海の恵みにも支えられている。陸、海、そして両者を結びつける川。そこには壮大な命の繋がりがある。
番組では、知られざる知床の自然の素顔を紹介し、健全な形で残されている知床の自然と深く関わって生きる命の営みを描く。
現場でサラウンド収録した効果音と、サラウンドとしてオリジナル制作した音楽による音響によって、デジタルハイビジョンの臨場感をより高めている。
なおNHKでは、この後4月以降にも数本の5.1サラウンド放送を行うことにしています。
(放送予定作品)
・「三蔵法師・祈りの旅」 4月28日(土)午後7時30分〜9時30分
・「平山郁夫・いのちの大壁画」 4月28日(土)午後9時30分〜10時30分
・「世界百名山」 4月29日(日)午後7時20分〜9時20分
【5.1サラウンドとは?】  
 BSデジタル放送の音声で採用された「MPEG-2 AAC(Advance Audio Coding)圧縮方式」の最大の特徴は5.1サラウンド音声による放送が可能になったことである。  
 5.1サラウンドは、映画のデジタル化によって従来のマトリックス方式(ドルビーサラウンド)にかわって提案された方式で、前方3チャンネル、後方2チャンネルの5チャンネルに加えて低音補強用のチャンネル(これを0.1チャンネルと数える)を備えている。この方式はDVDでも採用されており、家庭でも簡単に映画館と同等の音響で楽しむことができるようになっている。  
 BSデジタル放送で採用されたMPEG-2 AACは、映画やDVDの圧縮方式(AC-3)に比べ、低ビットレートにも関わらず高音質での伝送が可能で、かつ将来には、より多くのチャンネルを用いた放送にも対応できるよう規格化されている。
5.1サラウンドはこれまで慣れ親しんだ2chステレオと比べて下記の点が優れている。
  1. センタースピーカーの存在によって、視聴位置がセンターをずれても定位がハッキリしている。
  2. 後方のスピーカーを用いることで、前後の拡がり感、定位感を表現できる。
  3. 低音補強チャンネル(LFE)によって、より迫力のある音が表現できる。

L  : 左スピーカー
R : 右スピーカー
C : センタースピーカー
SL: 左後方スピーカー
SR: 右後方スピーカー
LFE:低域補強スピーカー
 
 











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