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技術情報

  ◆宇宙仕様ハイビジョンカムコーダの開発(平成10年10月27日)
〜スペースシャトルに初の搭載〜

 NHKは、宇宙開発事業団(NASDA)、およびソニー(株)の協力のもとアメリカNASAと連係し、スペースシャトルに搭載する宇宙仕様のハイビジョンカムコーダ(VTR一体型カメラ)を開発しました。

 今回開発したハイビジョンカムコーダは、日本人宇宙飛行士向井千秋さんの搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー」(現地時間10月29日打ち上げ予定(日本時間10月30日午前4時))に搭載し、飛行士自らがシャトル内部や宇宙から見る地球の姿などを撮影することになっています。スペースシャトルにハイビジョン機材を搭載するのは今回が初めてで、これらの映像はNHKのハイビジョン番組等で紹介する予定です。

 スペースシャトル搭載設備については厳しい安全基準が定められてることから、NHKでは開発にあたりこの厳しい基準に適合できるよう約8ケ月の期間NASAと詳細な打ち合わせを重ねました。そして現在ハイビジョン番組制作に使用しているハイビジョンカムコーダ(HD−CAM)をベースに、主として以下の「安全基準対策」(全28項目)を実施し、宇宙仕様のハイビジョンカムコーダの開発に成功しました。

 ・バッテリーの耐圧構造や可燃性部品の確認・取り替えなどの「安全対策」。
 ・カメラ内部で発生する放射電波がスペースシャトル内機器に悪影響を及ぼさないよう、カメラ内部のシールド強化や配線変更などを行った「電磁輻射対策」。
 ・部品から出てくるガスを一定値以下に押さえるための「オフガス対策」。
 ・カメラレンズが衝撃で飛散しないようレンズ前面に特殊なアクリル製フィルタを取り 付けるなどの「衝撃対策」。
 ・スペースシャトル内電源を使用できるよう宇宙仕様電源アダプタ等の開発。

 撮影をお願いした向井さんを含め計7人の宇宙飛行士には、このハイビジョンカムコーダの操作方法等について7月に運用訓練を実施し、初のハイビジョン宇宙映像の実現に向けて万全の体制で準備を進めています。
 NHKでは今後ともさまざまなハイビジョン映像にチャレンジし、より豊かで魅力のあるハイビジョン番組制作に積極的に取り組んでいくことにしています。


ハイビジョンカムコーダを搭載したスペースシャトル関連番組
【スペースシャトル「ディスカバリー」飛行予定】
飛行全日程は9日間。NHKカメラを向井千秋さんが担当する。また1962年にアメリカ人として初めて地球周回に成功した米上院議員ジョン・グレン氏が再搭乗する。  
米クリントン大統領が打ち上げに訪問するなど、全米メディアの注目を浴びている。

○10月29日14時(現地時間)
打ち上げ(ケネディースペースセンター)
(日本時間 10月30日午前4時)

○11月 7日11時(現地時間)
帰還(同センター)
(日本時間 11月 8日午前1時)


【ハイビジョン番組放送予定】

○10月30日(金) 10時〜11時 「スペースシャトル打ち上げのすべて」
21時45分〜22時45分 同番組再放送

○11月13日(金) 21時〜21時45分
週刊ハイビジョンニュース(シャトル機上映像)

○11月17日(火) 21時〜22時
宇宙スペシャル「宇宙から見た地球」

○11月25日(水) 21時〜22時30分 同番組(時間拡大)

※なお放送予定はすべて日本時間。 打ち上げ及び帰還遅延の場合、放送日変更。


【総合テレビ、衛星第1での生放送予定】

○総合テレビ 随時、特設ニュース枠や通常のニュース枠内で、お伝えする予定です。
○衛星第1  『ジョン・グレン 77才宇宙への挑戦』として以下のように放送する予定です。

10月30日(金) 午前3時30分〜4時30分
         「グレン・向井さん 宇宙ふたたび」
11月 2日(月) 午前7時〜8時
         「グレン飛行士 宇宙からのメッセージ」
11月 3日(火) 午前6時35分〜7時10分
         「ジョン・グレン 家族と交信」
11月 5日(木) 午前5時30分〜6時
         「向井・グレンVIPコール」
11月 6日(金) 午前2時45分〜3時45分
         「7人の飛行士 軌道上記者会見」
11月 8日(日) 午前1時30分〜2時30分
         「スペースシャトルディスカバリー無事帰還」

 その他生放送以外にも上記番組の再放送(同日18時〜)やBS22(22時〜)枠の特集として随時お伝えします。











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