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技術情報

  ◆小型・軽量 で、スムーズなズームが可能な立体ハイビジョンカメラの開発
(平成10年10月23日)

〜 自然な立体映像の撮影に威力 〜

 NHK放送技術研究所(吉野 武彦 所長)は、従来のものに比べて大幅に小型・軽量 なうえに、スムーズなズームが可能な「2眼式」立体ハイビジョンカメラを開発しました。

 「2眼式」立体テレビは、現在多く用いられている立体方式で、人間の右目、左目に相当する2台のカメラで撮った画像を、それぞれ右目と左目で見ることで立体感を得ます。これまでは立体感を得るのに、2台のカメラの間隔や、レンズの焦点距離、また、レンズの光軸が交差する交点の位 置等の条件を各シーンに応じて設定するため、撮影に手間がかかると同時に、そのための機構が複雑で、サイズも大きなものでした。

 最近の研究では、違和感がなく自然な立体映像を得るためには、カメラの光軸は平行に保つと同時に、その間隔を人間の平均的な瞳孔間隔にすることが有効であることが明らかになりました。この研究結果 を活かし、左右2台のカメラの配置を一定とすることで、小型・軽量の立体ハイビジョンカメラの開発に成功しました。

今回のカメラ 本体重量 約 8 kg
従来のカメラ 本体重量 約20 kg
 
 さらに、新しい立体ズームの機構も併せて開発しました。左右のカメラのズーム連動が精度よく行なえると同時に、ズームに応じて立体感を自然に変化させることが可能となり、臨場感のある立体ズーム映像を実現しました。

 今回開発したカメラは、小型・軽量による高い機動性とズーム機能などのすぐれた操作性を活かし、現在アフリカでの動物撮影(ハイビジョン・シティ促進協議会との共同研究)等に使用されています。今後は、さらに自然で見やすく疲労を感じない立体テレビの基礎検討を重ねて行くとともに、番組制作手法や立体映像機器の開発を進めて行きます。











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