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2006年11月7日
NHK“約束”評価委員会
委員長 辻 正次

 
平成18年度のNHK“約束”の評価方針まとまる
- 2年目の取り組み −
 
 NHK“約束”評価とは、NHKが視聴者のみなさまに対してお示しした“約束”に基づいて実施した各種活動により、NHKに対する視聴者からの信頼回復がどの程度達成されているかを検証することである。今年度が活動の2年目に当たる。
 NHK“約束”評価委員会(以下、「当委員会」)は、NHK執行部とは完全に独立して活動し、議論にはNHKの役職員は関与せず、議事内容等もNHKに対して公表していない。
 当委員会は、“約束”の意図・狙いをNHK執行部より明示してもらった上で、評価指標を執行部と共有し、委員会独自の視点も加味した上で、施策のPDCA(Plan-Do-Check-Action)を確認し、当初の意図・狙いが達成されたかを評価する。
 その際、NHKが施策を実施したか・しなかったか(アウトプット)を評価するだけではなく、 “約束”を果たすためにNHKが行った各種活動が、視聴者全体に対してどの程度の成果を上げたのか(アウトカム)を重視して評価する。例えば、視聴者の放送に対する満足度がどの程度高まったのか、視聴者の受信料不払いの意識はどのように変わっていったか、というような視点である。
 以上は昨年度の評価方針を踏襲するものであるが、今年度は下記の新たな視点を加えて「平成18年度のNHK“約束”評価方針」を定めた(詳細は別紙参照)。

◆公共放送の価値分析の深化
−NHKが追求すべきものとして視聴者から支持を受けた19の価値を軸に、民放、新聞、雑誌、各種ネットサービスなどとの関係性の中で、視聴者がNHKに求める価値を更に詳細に検証
◆プロセス評価への取り組み
−NHKの組織内部の業務サイクルが円滑に機能しているかを確認

 今後この評価方針に則って、次年度までに客観的なデータの収集に努めるとともに、視聴者調査やNHK職員の意識調査等を行い、来年5月末を目処に報告書をとりまとめる予定である。当委員会としては、NHKの経営改革のうえで実効性があるような評価となるよう引き続き努める。



平成18年度NHK“約束”評価方針のポイント
【約束全体(前文)】
NHKに対する視聴者からの信頼度がこの1年でどの程度回復したかを定量的・多角的に評価。
公共放送の価値(昨年度19に分類)のNHKとしての実現度が向上したかどうか。
視聴者がNHKに期待する価値が、民放、新聞、雑誌、各種ネットサービス等の媒体間競争の中でいかなる関係にあるかを確認し、NHKが今後いかなる価値を向上させていけばよいかを検証する。

【約束1:NHKだからできる放送】
NHKの放送の視聴が社会の中核層(40代・50代)、若年層(20代・30代)に広がってきているかどうか。
平成18年度の代表的な番組がターゲット視聴者層の満足度向上や、番組の質の向上に効果を上げたか。

【約束2:受信料制度の理解と公平負担】
契約率、収納額、営業経費率の改善状況を評価。特に平成16年7月の不祥事以降の支払拒否・保留者の再開状況に着目。
視聴者の受信料制度に対する認知・理解・納得感。特に平成18年10月に発表された民事手続きの実施の結果及びそれに対する視聴者の反応に注目。

【約束3:みなさまの声を事業運営に反映】
集められた視聴者の声が、どの程度事業運営の改善に反映されているか。特に経営に関する改善事項に着目。
放送・イベント等あらゆる機会を通じて取り組んだ結果、NHKの公共放送としての価値が若年層に浸透しているかどうか。

【約束4:不正の根絶】
不正の根絶のため、NHK職員の意識や組織風土を変えるための取り組みについて、昨年度との比較(変化率)を基軸に評価。
コンプライアンス委員会が発表する資料も参考にしたい。

【約束5:事業運営の改革】
各種事業運営の改革を通じて、効果的・効率的な事業運営が進められたか、それが視聴者に実感としてどのように伝わっているかを評価。

【約束6:デジタル技術の成果の還元】
地上デジタル放送普及について民放の先導的役割を果たしているか。
視聴者のデジタル放送に対する認知・理解にNHKはどの程度貢献できているか。
デジタル技術開発の実用化状況、研究マネジメントの状況、次のテーマ開発に向けたロードマップ。
 
以上


(別紙)
平成18年度のNHK“約束”評価方針

【“約束”評価の手法】
“約束”評価とは、NHKが施策を実施したか・しなかったか(アウトプット)を評価するだけではない。 “約束”を果たすためにNHKが行った各種活動が、視聴者全体に対してどの程度の成果を上げたのか(アウトカム)を重視して評価する。例えば、視聴者の満足度がどの程度高まったのか、視聴者の受信料不払いの意識はどのように変わっていったか、というような観点である。
アウトカムを評価するに当たっては、視聴者アンケート調査、NHK職員アンケート調査・職員ヒアリング調査など、可能な限り客観的・定量的な測定手法を用いて、評価のための情報を収集する。
18年度の“約束”には、業務プロセス自体を評価するもの、あるいは中長期的目標を評価するものが含まれているので、昨年度よりも現場の業務実態に近いところで評価作業を行う。

【“約束”全体(前文を含む)の評価方針】
◆視聴者のみなさまから期待していただいている創造性、信頼性などが、NHKの追求すべき公共放送の価値であると認識し、改革を進めて、その向上を図ります。
NHK“約束”評価の原点は、NHKが1年間に実施した各種施策により、視聴者からの信頼がどの程度回復したのかを定量的・多角的に評価するものである。昨年度の評価では、NHKの「組織や経営」についての視聴者からの信頼回復はまだ十分ではなく、「視聴者からの信頼回復は道半ば」という結論を導いた。今年度も引き続き、視聴者からの信頼回復はどの程度達成されたのか、信頼回復を図るためには何に注力すればよいか、という点を視聴者調査等に基づき評価していく。
昨年度、当委員会は公共放送の価値を19に分類し、それらについて視聴者からNHKに対する期待度、NHKとしての実現度を評価してもらった。今年度も、公共放送の価値を視聴者から評価してもらい、NHKとしての実現度が向上したかを確認する。加えて、視聴者がNHKに期待する価値が、民放、新聞、雑誌、各種ネットサービス等との関係の中でいかなる位置づけとなっているかを確認し、今後NHKはいかなる価値を向上させていけばよいかを検証する。

【個別の“約束”の評価方針】
◆“NHKだからできる放送”に全力で取り組みます。
NHKの放送は幅広い世代に視聴してもらえる番組編成・番組開発という点が重要であるが、実際の視聴は60代以上の層に集中している。今年度は、NHKの放送の視聴が40代・50代という社会の中核層に広がってきているかという点を評価する。そして、将来に向けて20代・30代の視聴層を獲得できているかという点も重視する。
公共放送NHKの使命として、番組内容や提供方法について不断のイノベーションを検討・実施していくことが重要と思われる。18年度の番組編成については従来以上に斬新な試みが多いので、番組が狙いとしているターゲット視聴層の満足度や番組の質についても可能な限り客観的な指標を用いて評価し、新しい試みが視聴者に対して効果を上げたかを検証する。
教育、福祉、地域放送など公共放送の幅広い役割についても着目し、社会的影響や対象者に役立ったかなどの視点から評価する。
「インターネットを利用したアーカイブスの展開」や「デジタル技術を活用した新しいサービス」については、平成18年度はパイロット的な取り組みが始まったばかりであるが、その取り組み内容が視聴者の支持を得ているものであるかという点を評価する。

◆みなさまに受信料制度のご理解をいただくよう努め、公平負担の徹底を図ります。
営業活動の最終的な目標は、契約率の向上、収納額の確保であり、それが結果として視聴者の意向も反映した評価指標となる。信頼回復の動向を把握するために、平成16年7月の不祥事以降の支払拒否・保留者の再開状況に着目する。
受信料制度を視聴者がどのように認知・理解・評価・納得しているか、不公平感がないかという点も重要な評価指標となる。特に平成18年10月に発表された民事手続きの実施の結果及びそれに対する視聴者の反応には注目する。
今年度の“約束”に追加された「営業経費率の改善」については、経費の内訳ごとに改善状況を整理した上で評価する。

◆みなさまの声を事業運営に反映するとともに、公共放送へのご理解を深めていただけるよう努めます。
NHKは視聴者全てを受益者としてサービスを提供する機関であり、視聴者からの意見・要望を的確に取り上げているかが組織運営上重要な課題となる。コールセンターをはじめ、ふれあいミーティング、ハートプラザ、更に各種のイベントや公開番組など視聴者から声を吸い上げる仕組みは整備されていると言ってよいが、そうして集められた視聴者からの意見・要望にどれだけ応えられているか、事業運営の改善に反映されているかの質・量に着目する。特に、経営に関する改善事項が果たされれば、それは高く評価できる。
若年層のNHK離れは深刻な問題であるが、放送・イベント等あらゆる機会を通じて取り組んだ結果、高い満足度が得られているのか、NHKの公共放送としての価値が若年層に浸透しているかを検証し、取り組みが適切であったかを評価する。

不正の根絶に徹底して取り組みます。
不正の根絶・コンプライアンス強化のためにはNHK職員一人ひとりの意識やNHKの組織風土の変革が不可欠である。今年度の評価では、職員意識や組織風土を変えるための取り組みについて、その活動規模や有効性を評価の対象とする。
具体的には、視聴者から見た達成状況、NHK職員から見た組織・風土の変革状況に加え、役員の現場訪問や各種研修、会計規則の変更等の実施内容・規模及びその効果について、昨年度との比較(変化率)を基軸に評価する。
コンプライアンス委員会が発表する資料も参考にしたい。

◆事業運営の改革を進めます。
各種の事業運営の改革を通じて、効果的・効率的な事業運営が進められたか、それが視聴者に実感としてどのように伝わっているかを評価する。また、事業運営改革の具体的な項目についても、方策の内容、活動量、作業の進捗状況・浸透度などを評価の対象とする。

◆デジタル技術の成果をみなさまに還元します。
「デジタル放送の普及への取り組み」については、地上デジタル放送普及状況を数値で把握するとともに、NHKが民放に対して先導的役割を果たしているかについても併せて評価する。
「デジタル技術の開発」については、昨年度と同様、いくつかの研究テーマについて取り上げて評価するとともに、今年度実用化した案件があればその件数を評価指標とする。また、NHKの研究マネジメントについて、メーカー等の研究所や公的研究機関とのベンチマーク、もしくは有識者の視点から評価する。更に、デジタル技術に続く次のテーマ開発に向けたロードマップがあることが望ましい。
「視聴者の理解促進」は、視聴者のデジタル放送に対する認知度や理解が進んでいるか、それらにNHKが貢献できているかを検証する。

 

以上


(参考)
NHK“約束”評価委員会
 
(目的)
NHKは事業運営の具体的な目標を“約束”で視聴者に示し、その遂行状況を「NHK“約束”評価委員会」のもとで視聴者の視点から評価し、翌々年度の予算・事業計画などの重要方針の立案・決定にあたっての客観的情報として活用する。なお、当面3年程度実施し、より良い評価システムのあり方について、改めて検討する。

 



(NHK“約束”評価委員会は、平成17年5月に発足)


 
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