NHK“約束”評価委員会 NHK information
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2005年12月2日
NHK“約束”評価委員会
委員長 辻 正次

 
平成17年度のNHK“約束”の評価方針まとまる
 
 NHK“約束”評価とは、NHKが視聴者のみなさまに対してお示しした“約束”に基づいて実施した各種活動により、NHKに対する国民の信頼回復がどの程度達成されているかを検証することである。
 NHK“約束”評価委員会は、NHK執行部とは完全に独立して活動し、議論にはNHKの役職員は関与せず、議事内容等もNHKに対して公表していない。

 当委員会は、NHKに対する国民の信頼回復が果たされる上で、番組に代表される「サービスの向上」と、コンプライアンスや説明責任など「経営改革の可視化」の2つが重要であると認識する。その意味で、6つの“約束”の中では、特に「みなさまにお支払いいただく受信料にふさわしい、豊かで良い番組を充実します。」「不正を根絶し、透明性と説明責任を重視する事業運営を進め、信頼回復を図ります。」「経費の節減を図り、効果的で効率的な事業運営を行います。」の3つを重視する。後者の2つは、内部の改革努力が国民の目に見える形でどのように表れたのかを評価する。

 NHKに対する信頼度は、最終的には受信料の収納という形に還元される。不祥事をきっかけとした受信料の支払拒否・保留件数や、支払拒否・保留の構造が、“約束”に基づいて実施された各種活動でどのように変化したかが評価の上での大きなポイントとなる。

 以上の視点に基づき、別紙のように「平成17年度のNHK“約束”評価方針」を定めた。今後この評価方針に則って、国民の意識調査・分析等を行い、来年6月頃をめどに報告書をとりまとめる予定である。当委員会としては、NHKの経営改革のうえで実効性があるような評価となるよう努める。

 NHKが“約束”を発表したのが6月21日であり、以来、5ヶ月以上が経過したが、NHKが視聴者のみなさまに“約束”をお示ししたこと、そして“約束”の内容が具体的にどのようなものであるかが十分に浸透しているとは言いがたい状況にある。当委員会としては、視聴者のみなさまの中に“約束”が浸透していくよう、NHKが改革・新生の取り組みと併せて努力していくことも期待する。



(別紙)
平成17年度のNHK“約束”評価方針

【“約束”評価の手法】
“約束”評価とは、NHKが施策を実施したか・しなかったか(アウトプット)を評価するだけではない。 “約束”を果たすためにNHKが行った各種活動が、サービス受益者(最終的には国民全体)に対してどの程度の成果を上げたのか(アウトカム)を重視して評価する。例えば、視聴者の満足度がどの程度高まったのか、視聴者の受信料不払いの意識はどのように変わっていったか、というような観点である。
アウトカムを評価するに当たっては、視聴者アンケート調査、CVM(仮想市場価値法)、職員アンケート調査など、可能な限り客観的・定量的な測定手法を用いて、評価のための情報を収集する。

【個別の“約束”の評価方針】
◆みなさまにお支払いいただく受信料にふさわしい、豊かで良い番組を充実します。
公共放送のNHKでなければ提供できない番組価値を、接触者率、CVMによる貨幣価値(「いくらまでなら支払ってもよいか」)などの観点から、映像5波(地上波2波、衛星3波)別に評価する。緊急災害報道、地域放送、福祉放送、教育放送などが公共放送特有の番組ジャンルと位置づけられる。
その他、視聴率や接触者率等だけではとらえきれないNHKの社会的意義や社会に対して提供している価値を、視聴者からの評価などをもとに探索し、総合的に評価する。

◆みなさまに受信料制度の理解をいただき、公平負担の徹底を図ります。
NHKに対する国民の信頼回復の動向を把握するために、不祥事以降の支払拒否・保留者が支払いを再開した状況に着目する。
受信料制度を視聴者がどのように認知、理解、評価・納得しているか、現行の受信料制度に関して不公平感がないかという点も重要な評価対象なので、不払者がなぜ受信料を支払っていないのかという意識の分析を重視する。
受信料収納率の向上に向けた営業・広報活動、新生プランなどの施策が視聴者にどのように受け止められたかを評価する。

◆みなさまとの結びつきをいっそう強化し、みなさまの声を事業運営に反映します。
視聴者のみなさまからの声を聞くために実施している施策(例えば「ふれあいミーティング」、「ハートプラザ」、コールセンターへの入電など)に関して、それらによって集められた意見が実際の事業運営に役立てられた件数などを定量的に把握する。その際、反映された内容が、番組面と経営面のいずれにおけるものなのかという点を併せて把握する。
NHKの事業運営に反映されていない声についても、どのような理由から反映できなかったかを分析する。
事業運営への反映状況とは別に、NHKのこうした活動を視聴者が認知しているのか、満足しているのかをアンケート調査等により定量的に把握する。

◆不正を根絶し、透明性と説明責任を重視する事業運営を進め、信頼回復を図ります。
不正行為の根絶の状況を評価するに際しては、職員の行動変容を重視し、そのために実施した組織的な取り組み(例えば、コンプライアンス意識の向上に向けた研修の実施規模、頻度、カバレッジ等のアウトプット指標)も継続的にウォッチする。
経営の透明性の向上については、NHKが経営に関して公表している情報の範囲や分解能について、公社・公団、民間企業や自治体と比較し、可能な限り客観的に評価する。

◆経費の節減を図り、効果的で効率的な事業運営を行います。
受信料制度(予算制度)による組織の特殊性等から、効率性(コスト)そのものよりも、コストに見合う成果を上げているか=効果性(VFM;Value for Money)を重視する。
組織が常に効果的で効率的な経営を実現するよう、自律的なチェックと軌道修正が図られる組織の「自浄能力」の程度について、制度や仕組みの有無の観点から評価する。例えば、経営に関するPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルがきちんと回っているかなどを、経営層へのヒアリング等を通じて把握する。

◆進歩するデジタル技術の成果をみなさまに還元します。
デジタル技術の研究開発の最終目標は、デジタル放送サービスに対する国民の満足度の向上である。従って、デジタル放送がいかに国民に受け入れられつつあるかを中心に評価する。
その他、NHKが公共放送としての使命から実施している基礎的な研究開発に関しては、パートナー(企業、大学等)と実用サービス・実証実験に至った事例を取り上げ、NHKの果たした役割について評価する。

 

以上


(参考)
NHK“約束”評価委員会
 
(目的)
事業運営の具体的な目標を“約束”で視聴者に示し、その遂行状況を「NHK“約束”評価委員会」のもとで視聴者の視点から評価し、翌々年度の予算・事業計画などの重要方針の立案・決定にあたっての客観的情報として活用する。なお、当面3年程度実施し、より良い評価システムのあり方について、改めて検討する。

 


 
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