放送倫理の確立に向けて NHK information
Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。
平 成 11 年 4月 19日   

放送現場の倫理に関する委員会

 
 日本放送協会(以下「NHK」という)は、放送番組の制作にあたり、放送法に基づき自主的に制定した番組基準を順守するとともに、平成8年9月日本民間放送連盟と共同で「放送倫理基本綱領」を制定し、これを尊重、順守している。
 この文書は、NHKの放送倫理に対する姿勢に関し、番組基準や綱領の精神を踏まえ、内外に基本的な考え方や取り組みを明らかにするものである。
 
【放送倫理の意味】
 放送は、ジャーナリズムの一つとして、表現の自由のもとに、国民に多様な情報を提供するという民主主義にとって欠かせない役割を担っている。このため、制度的に番組編集の自由が保障されている。
 この番組編集の自由を実質的に支えるのは、番組編集に関する放送事業者の自律であり、その自律の根底にあるのが、取材・制作に携わる者一人ひとりの「放送倫理」である。
 なかでも公共放送であるNHKは、国民の受信料によって成り立っていることから、その存立には視聴者との信頼関係が不可欠であり、とりわけ高い放送倫理が求められる。
 放送現場の一人ひとりが、放送倫理の重要性を深く自覚し、厳しい自己研さんをたゆまず行っていくことによってのみ、NHKは将来にわたって、視聴者の信頼と支持を得て、豊かで良い番組を届けるという使命を全うできると考えるのである。

【公共放送としての基本的な姿勢】
 NHKでは、公共放送の基本的な姿勢として、その放送番組の取材・制作において、以下の諸点を順守する。
 
 □  人権を尊重する。
 
 ・  取材相手をはじめ関係者の立場に立ち、人権を尊重し、名誉棄損やプライバシー の侵害にならないよう配慮する。また、関係者の業務などへの影響にも十分注意して、コメントや編集のカットにいたるまで気を配る。
 ・  職業をはじめ地位や身分などを差別的に扱ってはならない。
 
 □  正確を期す。
 
 ・  NHKのニュース・番組は「正確」でなければならない。
  「正確」は、事実を正しく把握することを前提とする。しかし、何が真実であるかを確かめることは容易ではない。したがって、真実に迫ろうとする姿勢が、取材・制作のあらゆる段階で不可欠である。
 ・  事実関係の誤りは、調査のうえ明らかになれば、直近の機会に訂正する。
 
 □  公平・公正の立場を堅持する。
 
 ・  放送は、公平・公正を維持するため、視聴者にできるかぎり幅広い視点から情報を提供する。
 ・  公平さは、見かけ上の単純な中立性によってのみ得られるものではなく、公平さを求める厳格な姿勢によって確保されるものである。
 ・  意見の対立する公共の問題を取り扱う番組では、個々の番組内、同一のシリーズ内または一定期間内の適切な場所でバランスをとる必要がある。
 
 □  品位の保持に努める。
 
 ・  放送は、暴力、俗悪、差別などを排除し、社会に受け入れられる倫理や価値を反映していなくてはならない。あわせて、常に品位 と節度を心がけ、視聴者に不快感や苦痛を与える内容・場面は排除する必要がある。とりわけ、青少年に及ぼす影響については、慎重な配慮が求められる。
 ・  性の取り扱いおよび表現については、「茶の間にそのまま持ち込まれる」という放送の性質上、また、公共放送という立場から、品位 を失わないよう細心の注意を払う。
 
 □  取材相手には誠実に接する。
 
 ・  取材相手には、取材の意図・内容や取材結果の取り扱いを正確に伝える。取材の許諾を得るために、番組のテーマや取材趣旨をゆがめて伝えたり、あいまいにしてはならない。
 ・  制作過程で、あらかじめ取材相手に伝えていた目的や内容に変更が生じた場合は、改めて、取材相手に説明しなければならない。
 
 □  企画の独自性・真実性。
 
 ・  番組の企画は、独創性・独自性が重要である。
 ・  現実の事象を取り上げる番組は、事実に基づかなければならない。事実関係は、直接関係者に取材したり原資料にあたって調査したりして、確認する。
 
 □  取材源を秘匿する。
 
 ・  部外者に対する取材源の秘匿は、取材する者の最も守らなければならない職業倫理の一つである。この保証がなければ、何人といえども真実を言わなくなり、取材が成立しなくなる。
 
 □  著作権を尊重する。
 
 ・  放送番組は、様々な著作物を利用することによって成り立っている。著作物の利用にあたっては、それを創作した著作者に敬意を払うことが必要であり、必要な権利処理を確実に行う。
 
 □  公私のけじめをつける。
 
 ・  取材で得た情報を、私益のために利用することは許されない。
 ・  NHKの主たる財源は、視聴者が直接負担する受信料であり、職員はこのことを重く受け止め、常に効率的な業務運営に努めなければならない。
 
【放送倫理の体制】
 □  「放送現場の倫理に関する委員会」(以下「倫理委員会」という)は、公共放送における放送倫理について、日常的に自己検証を行い、自らを律する場として、本部に設置した機関である。
 □  「倫理委員会作業部会」は倫理委員会と連携しつつ、その方針を放送現場に周知し、指導するとともに、放送倫理に関する活動に関し計画・報告・記録等の任にあたる機関である。
 □  「九条委員会」は、法律の規定に則った訂正または取消しの放送の請求があった場合に、訂正または取消しの放送が必要か否かを検討する機関である。

 
 
 
関連ホームページ:
 「放送倫理・番組向上機構」(BPO) (NHKサイトを離れます)
 
 
ページトップ
経営情報へ戻る