日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 9月10日開催分)
平成25年 9月27日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 9月10日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、石田専務理事、
 木田理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、福井理事、下川理事、
 森永理事
 井原監査委員、上田監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)新放送会館の用地取得について

2 報告事項
(1)2013年6月全国放送サービス接触動向調査の結果について

1 審議事項
(1)新放送会館の用地取得について
(経理局)
 大津放送会館は、築後46年が経過し、老朽化・狭あい化が進んでいることなどから、かねてより移転用地の取得について検討を行ってきました。滋賀県が、平成25年6月に公募による売却手続きを実施した旧滋賀会館の跡地が、移転用地として絶好の立地条件にあったため、7月16日の理事会、7月23日の第1194回経営委員会で公募参加について報告した後、滋賀県に対し、大津放送会館の建設・移転を内容とする事業提案を行いました。その結果、滋賀県より買受事業者に選定されましたので、当該用地の取得について審議をお願いします。
 取得予定地は、大津市京町の敷地面積4,231.91m2の商業地域で、建ぺい率80%、容積率400%です。滋賀県庁に隣接し、27年度には至近の場所に県の防災拠点となる危機管理センターが整備されるほか、国の出先機関も集中している場所です。3方向が道路に面し、JR大津駅まで徒歩7分程度と利便性のよい土地です。また、現放送会館より標高が5mほど高く、ハザードマップでは、琵琶湖の氾濫や大雨等による浸水の想定地域に含まれていない場所です。
 契約先は滋賀県で、売買代金は10億9,500万円です。
 今後のスケジュールについては、9月17日に公有財産売買(仮)契約を締結し、滋賀県が建物の解体・撤去を行いさら地とした後、本契約を締結します。物件の引き渡し時期は、26年度末の予定です。その後、整備方針・整備概要の検討を行い、27・28年度に設計、建物着工、30年度に建物完成、運用開始を予定しています。
 本件が了承されれば、本日開催の第1196回経営委員会に諮ります。

(上滝理事)  放送会館の移転用地として良い場所だと思います。敷地面積は、現会館の2倍近くとなっていますが、これは適当な大きさですか。
(経理局)  地域放送局の標準的な規模なので、適当と考えています。
(会 長)  取得予定地の概要や契約について、問題点はありませんね。
(経理局)  特に問題はありません。
(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)2013年6月全国放送サービス接触動向調査の結果について
(放送文化研究所)
 2013(平成25)年6月に実施した、「全国放送サービス接触動向調査」(以下、「接触動向調査」)の結果について報告します。
 「平成21〜23年度 NHK経営計画」で経営目標の1つとしていたNHKへの接触者率については、これまで「全国接触者率調査」を実施して測定してきましたが、24年6月の調査をもって終了し、今年から、時代状況に合わせて質問項目等を見直した、接触動向調査を開始しました。1週間に特定の局やメディアに接触した人の割合(リーチ)を測定するという調査概要は変わらないものの、接触動向調査では、NHKへのリーチに加えて民間放送も同様に測定することとしましたので、両者を比較・分析することが可能です。
 6月24日月曜日から30日日曜日までの1週間、全国の7歳以上の男女3,600人を対象に、1日単位で5分以上の視聴・利用があったかどうかを記入する方法で実施しました。有効数は2,549人、有効率は70.8%でした。
 接触動向調査では、テレビ・ラジオの放送に加え、録画再生、録音再生、ウェブサイト、動画サイト、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や、VOD(ビデオオンデマンド)等の放送局で展開するインターネットサービス等について、NHK、民放それぞれへの接触の有無を調査しています。従来の調査では「放送リーチ」とそれ以外の「放送外リーチ」に分けて集計していましたが、接触動向調査では、放送と同時の接触を示す「リアルタイムリーチ」、録画再生など番組への時差接触を示す「タイムシフトリーチ」、デジタルコンテンツサービスへの接触を示す「インターネットリーチ」の3つのリーチを、分析の基本としています。
 1週間のリーチを見ると、「リアルタイムリーチ」は、NHK74.0%、民放(民放各局のいずれかに接触した率)87.3%でした。「タイムシフトリーチ」は、NHK17.7%、民放43.3%と、民放がかなり高い数値となっています。このうち録画再生については、地上波はNHK13.9%、民放37.4%で、BSはNHK6.4%、民放9.5%となっています。「インターネットリーチ」は、NHK5.7%、民放14.7%でした。
 NHKおよび民放の3つのリーチの年層別傾向について説明します。「リアルタイム」は、NHKは60代以上、民放は50・60代で高く、中・高年層でリーチが高くなっています。「タイムシフト」は、NHKは50・60代で高いのに対し、民放は7〜19歳、30代から50代と若年層から中年層までのリーチが高く、年層別の傾向が若干異なります。「インターネット」は、NHKは20代と40代、民放は13歳から40代までが高くなっていて、どちらも若年層・中年層が主な接触者となっています。
 「リアルタイム」、「タイムシフト」、「インターネット」の3つの接触者の重なりを見ると、最も多いのは「リアルタイムのみ」の接触(42.7%)、次いで「タイムシフトとリアルタイム」への接触(33.7%)、「タイムシフト、リアルタイム、インターネットのすべて」への接触(11.2%)と続きます。一方、リアルタイムには接触せず、「タイムシフトのみ」に接触した人は1.1%、同じく「インターネットのみ」に接触した人は0.3%と極めて少なく、放送関連の接触の基本はリアルタイムであることがわかります。NHKと民放を比べると、NHKは「リアルタイムのみ」の割合が最も多く、NHK接触者の半数以上(53.8%)を占めています。一方、民放は、「タイムシフトとリアルタイム」および「タイムシフト、リアルタイム、インターネットのすべて」の割合がNHKに比べて多く、「リアルタイム」と「リアルタイム以外」の両方に接触する人が多くなっている点が特徴となっています。
 3つの接触者の重なりについて、29歳以下、30〜50代、60歳以上の年層別に傾向を見てみます。NHKでは、「リアルタイム」の接触が年層によって大きく異なり、29歳以下は「いずれも接触しない」が44%を占めています。「タイムシフトのみ」、「インターネットのみ」という接触はほとんどありません。民放では、29歳以下と30〜50代では、「タイムシフトとリアルタイム」の接触が多く、それぞれ最も多数派となっている一方で、60歳以上は「リアルタイムのみ」が最も多く、年層差がみられます。また、民放の29歳以下は、「タイムシフトのみ」(3%)、「インターネットのみ」(2%)、「タイムシフトとインターネットのみ」(1%)という、リアルタイム以外での接触が合わせて6%あるなど、一定数の利用があることがわかりました。 
 次に、主なサービスの接触の状況について、NHK、民放、NHKと民放を合わせた「全体」の3つについて見ていきます。
 ラジオとインターネットラジオの接触については、全体では「ラジオ」のリーチが31.5%に対し、「ラジオとインターネットラジオの両方」に接触した人が1.6%、「インターネットラジオのみ」に接触した人が1.2%でした。「インターネットラジオのみ」の接触は、層としては少ないものの、ラジオと両方接触した人の割合(1.6%)と同程度あり、インターネットラジオ接触者の中では、インターネットラジオだけに接触する人が多いことがわかります。NHK、民放別に見ても、その傾向に変わりはありません。
 放送と録画再生の接触については、全体でみると、「テレビ放送のみ」(49.4%)と「テレビ放送と録画再生の両方」(40.4%)に対し、「録画再生のみ」は1.8%と少ない値となっています。NHKと民放とを比較すると、NHKは「テレビ放送のみ」が56.9%と多いのに対し、民放は「テレビ放送と録画再生の両方」および、「録画再生のみ」が多くなっています。「録画再生のみ」は、NHK0.7%に比べ民放が2.6%となっています。また、地上波とBSを比べると、BSは、「録画再生のみ」で接触する人の割合が多くなっています。
 最後に、NHKオンデマンド(NOD)について、「知っている」と答えた人の割合は30.1%でした。この質問内容は、全国接触者率調査と大きく変えていないため、結果を比較すると、若年層を中心として、認知率が順調に伸びている様子がうかがえます。しかし、1週間のリーチとしては、NODは0.6%、民放のVODは1.7%と少なく、全体的に接触はまだかなり小さいと言えます。
 次回の調査は、11月に実施の予定です。今後も定期的に実施してデータを積み重ね、放送サービスへの接触の動向について、推移を見ていきたいと思います。

(板野理事)  民放の番組を録画視聴する場合に、CM部分を飛ばして見る人が多いと言われていますが、今回の調査で民放のタイムシフトのリーチが高いのには、そうした要因があると見てよいのでしょうか。
(放送文化研究所)  今回の調査では、タイムシフトの目的については調査項目に入れていないため、把握はできません。
(会 長)  民放のVODの1週間のリーチは1.7%ということですが、これは民放各社の数字を足したものですか。
(放送文化研究所)  1週間に、民放のVODのどれかに接触した人の割合となります。
(副会長)  今回の調査の数字は、これまで行ってきた全国接触者率調査と比較・検討することはできますか。
(放送文化研究所)  今回始めた接触動向調査は、これまでのNHKのみを調査対象とした全国接触者率調査に比べ、民放も対象に加え、質問項目も少し見直しを行っています。そのため、数字のみを単純に比較することはできませんが、全体傾向として大きな流れを見ることはできると思います。
(会 長)  今回の調査から、どういうことが読み取れますか。
(放送文化研究所)  現在は、特にNHKについては、放送をそのまま見るリアルタイムでの視聴が基本となっていますが、今後は、若い世代を中心に、録画で見るタイムシフト視聴が増えていくことが予想されます。その時に、NHKとしてどういう編成を行っていくのかを考えていく必要があると思います。
(会 長)  今後、新しい調査としてデータを積み重ねて、時系列で変化を見ていくことで、番組編成に生かすことができるということですね。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 9月24日
                     会 長  松 本 正 之

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