日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 7月30日開催分)
平成25年 8月30日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 7月30日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、石田専務理事、
 木田理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、下川理事、森永理事
 井原監査委員、上田監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)「V−Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化
   に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針(案)」に
   対する意見について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項

(1) 「V−Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針(案)」に対する意見について

(経営企画局)
 総務省は、平成25年2月から「放送ネットワークの強靭(じん)化に関する検討会」(以下、「検討会」)を開催し、主にラジオの強靭化について検討を行ってきました。検討会は、7月17日に「AMラジオ放送の難聴対策、災害対策にFM波の利用を可能とすることが適当である」ことなどを提言した中間とりまとめを公表しました。また、総務省は、25年3月から4月にかけて「V−Lowマルチメディア放送に係る参入希望調査等」を実施し、5月10日にその結果を公表しました。これらの提言や調査結果を踏まえ、総務省は7月17日に「V−Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針(案)」(以下、「基本的方針案」)を公表し、8月19日まで意見募集を行っています。これに対しNHKの意見を提出したいので、審議をお願いします。
 これまで、76MHzから108MHzの周波数帯域については、76MHzから90MHzまでが主として超短波放送(FM放送)、90MHzから108MHzまでがアナログテレビ放送の1チャンネルから3チャンネルに割り当てられてきました。また、アナログテレビ放送が1チャンネルを使用していた地域などでは、85MHzから90MHzまではテレビ放送とFM放送の混信を避けるため、割り当てを行わないガードバンドとされてきました。
 今回示された基本的方針案では、これまで地方向けマルチメディア放送に割り当てられることが想定されてきた90MHzから108MHzまでの帯域(V−Low)について、99MHzから108MHzまでを予定どおり地方向けマルチメディア放送に割り当てるとともに、90MHzから95MHzまでを民放中波放送(AM放送)の難聴対策や津波等の災害対策に係るFM方式の中継局およびコミュニティ放送に割り当てています。なお、95MHzから99MHzまでは、双方の混信を避けるためのガードバンドとされています。
 90MHzから95MHzにおけるNHKのAM難聴対策等の扱いについては、民放のFM中継局やコミュニティ放送局の置局状況を考慮して検討することとされ、民放AM局に比べて劣後の扱いとなっています。
 併せて、これまでAM放送の外国波混信への対策としてFM方式による小電力の中継局の置局が認められてきた76MHzから90MHzの帯域について、新たにAM放送の地理的・地形的影響による難聴対策にも使用できるようにしています。
 基本的方針案に対するNHKの意見について、周波数帯域ごとに説明します。
 まず、90MHzから95MHzについてです。

難聴対策に係るFM方式の中継局への周波数割り当てについて
 周波数の割り当てが民放のみに認められ、NHKについては、民放のFM方式による中継局およびコミュニティ放送局の置局状況を考慮し、検討を行うとされていますが、民放がAM放送の都市型難聴対策のためにFM方式による補完的な置局を行う際には、同じ地域でNHKのAM放送、特にNHKの音声放送の基幹波であるラジオ第1放送も同様の置局を行うことが、聴取者の利便性確保の観点から望ましいと考えます。特に、非常災害時においては、現在NHKは、ラジオ第1放送で全国向けの緊急報道を行い、FM放送で県域向けの帰宅困難情報やライフライン情報を届ける体制を整えており、AM放送の難聴地域においてラジオ第1放送の情報がFM受信機で聴けるようになることは、国民の安心安全の点からも有用であると考えています。したがって、NHKも同様の置局を行うことが可能となるような周波数の割り当てが行われることは必須と考えていますので、配慮を要望します。
津波等の災害対策に係るFM方式の中継局への周波数割り当てについて
 標記についても民放のみに認められ、NHKについては民放FM方式による中継局およびコミュニティ放送局の置局状況を考慮し、検討を行うこととされています。南海トラフ巨大地震等により、低地にあるAM放送の送信所に津波の浸水被害が起きることが想定されています。そうした場合においても、特にラジオ第1放送は、人々の生命や暮らしを守る「安心ラジオ」として、放送を継続することが重要です。したがって、NHKが公共放送として、また災害対策基本法上の国の指定公共機関としての使命を果たすため、AM放送の津波等の災害対策のために、必要に応じて、FM方式による中継局の置局が可能となるよう要望します。  続いて、76MHzから90MHzについてです。
難聴対策に係るFM方式の中継局への周波数割り当てについて
 NHKは公共放送として、これまでもAM放送の難聴改善に努めてきましたが、FM方式の中継局の置局は離島における外国波混信対策のみに認められてきました。今回示された基本的方針案で、FM方式の中継局の置局の目的として、従来の中波放送の外国波混信対策に加えて、地理的・地形的難聴対策が新たに含まれていることは、今後、NHKについても、離島以外の地域においてAM放送の難聴対策のためにFM方式の中継局を置局することを可能にするものとして賛成します。
津波等の災害対策に係るFM方式の中継局への周波数割り当てについて
 AM放送の津波等の災害対策に係るFM方式の中継局には、90MHzから95MHzの周波数のみを割り当てる方針案となっていますが、空中線電力の小さい中継局については、他の目的の放送局への周波数割り当てに及ぼす影響が比較的小さいことから、受信端末の普及状況を考慮し、地域の周波数事情に応じて、76MHzから90MHzの周波数の割り当ても可能となるよう措置されることを要望します。

 以上の内容が決定されれば、NHKの意見を総務省に提出します。

(石田専務理事)  放送現場としては、緊急災害時のために、FM方式による補完的な置局を可能とする周波数を確保することは極めて重要なことと捉えています。今後の折衝にあたってはNHKの立場や考えをしっかりと主張して実現してもらいたいと考えます。
(森永理事)  NHKには、公共放送として、災害報道などの重要な使命があるにもかかわらず、この基本的方針案では、なぜ民放に劣後するような位置づけとなっているのでしょうか。
(塚田専務理事)  NHKは既にFM放送を1系統実施していることや、東京などの大都市部でFM用の周波数がひっ迫していてコミュニティ放送局の新たな開局ができない状況になっている等の中で今回の検討が行われていることから、こうした方針案になっていると考えられます。
(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 平成25年6月17日から7月23日までの間に放送した、ニュースと番組について考査した内容を報告します。この期間に、ニュース22項目、番組56本の考査を実施しました。
 ニュースでは、7月21日に投開票が行われた第23回参議院議員通常選挙の開票速報などを中心に考査しました。開票速報では、正確かつ迅速に当選確実の情報を伝えたほか、今回から解禁となったインターネットを利用した選挙運動について、ネット上の膨大な情報(ビッグデータ)を分析した結果を伝えました。
 番組では、立場の異なる3人を継続取材し、復興に向けた住民合意への模索の日々を記録した、NHKスペシャル シリーズ東日本大震災「住民合意 800日 葛藤の記録」(6月28日放送)や、達人のまさかの目の付けどころを紹介する、マサカメTV「超人気スイーツ大特集」(7月13日放送)、また、日本のマンガ界の草分けとして時代を築いた手塚治虫と石ノ森章太郎の創作の秘密に迫る、手塚×石ノ森 ニッポンマンガ創世記 第一夜 ドキュメンタリードラマ 手塚治虫編「神様最後の一日」、第二夜 石ノ森章太郎編「神様への鎮魂歌」(BSプレミアム 7月6日、13日放送)を中心に考査しました。
 考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。


(2)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州沖縄、東北、北海道、四国)の平成25年6月開催分の議事録についての報告(注)。

注: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「経営情報」のなかに掲載しています。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 8月27日
                     会 長  松 本 正 之

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