日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 7月16日開催分)
平成25年 8月 2日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 7月16日(火) 午前9時00分〜10時00分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、石田専務理事、
 木田理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、福井理事、下川理事、
 森永理事

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1194回経営委員会付議事項について
(2)視聴者対応報告(平成25年4〜6月)について
(3)新金沢放送会館の整備方針・概要について

2 報告事項
(1)新放送会館用地取得のための公募参加について
(2)平成24年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・
   公表について
(3)平成24年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(4)2013年6月全国個人視聴率調査の結果について


議事経過

1 審議事項
(1)第1194回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 7月23日に開催される第1194回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「逓信ビルからの転出による補償金の受領について」と「中央放送番組審議会委員の委嘱について」です。また、報告事項として「平成25年度第1四半期業務報告」、「新金沢放送会館の整備方針・概要について」、「新放送会館用地取得のための公募参加について」、「非現用不動産の売却について」、「平成24年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について」、「平成24年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について」、「視聴者対応報告(平成25年4〜6月)について」、「契約・収納活動の状況(平成25年6月末)」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。さらに、その他の事項として「営業改革推進委員会の取り組みについて」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)視聴者対応報告(平成25年4〜6月)について
(視聴者事業局)
 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、平成25年4〜6月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第39条第3項の規定に基づき、7月23日開催の第1194回経営委員会に報告したいと思います。
 まず、この期間の視聴者の声(意見・要望、問い合わせ)の総数は、4月が38万0,023件、5月が34万7,708件、6月が31万5,555件でした。
 次に、最近の報告から主な話題を紹介します。
 25年の大河ドラマ「八重の桜」は、放送開始から半年が過ぎ、物語は前半のクライマックスとなる会津戦争の「鶴ヶ城籠城戦」を迎えました。これまでに番組に寄せられた声は6,357件で、過去2作品と比べて反響は少なくなっていますが、男性からの反響が女性の2倍に上っています。厳しい意見は50代以上の男性で高く、30代以下では男女とも好評意見の割合が高くなっています。また、6月にユネスコの世界遺産委員会で、富士山が世界文化遺産に登録されたことについて、「NHKニュース おはよう日本」や「NHKニュース7」などで伝えたほか、「NHKスペシャル」をはじめ、富士山の歴史や文化、世界遺産の登録に伴う課題などについて伝える関連番組を放送しました。視聴者からは、登録を喜ぶ声や、関連番組の問い合わせ・要望など、768件の反響がありました。
 続いて、報告期間の視聴者からの指摘や意見・要望への主な対応について紹介します。
 ラジオ国際放送「NHKワールド ラジオ日本」は、短波や中波・FM放送などによる放送とインターネットを通して、ニュースや番組を18の言語で世界に発信しています。24年6月には、アップル社製のスマートフォンやタブレット端末でも聞くことができるよう、NHKが開発したアプリケーションソフト(以下、アプリ)を、無償で提供しました。放送と同時に音声が聞ける「ライブストリーミング」と、聞き逃した放送を後で繰り返し聞ける「オンデマンド」の両方に対応したもので、日本国内でも日本語を除く17言語でニュースと番組を聞くことができるようになりました。その後さらに、視聴者からアンドロイド端末で使えるアプリを求める声が寄せられたのを受けて、25年5月にはアンドロイド用アプリの提供を始めました。これで、国内のほぼすべてのスマートフォンやタブレット端末で、「NHKワールド ラジオ日本」を聞けるようになりました。災害、その他の緊急時には在日外国人の情報源の1つとなることも期待されます。
 最後に、誤記・誤読などに対する指摘について報告します。
 誤記・誤読などに対する指摘は、4月は61件、5月は50件、6月は70件ありました。指摘については、直接番組担当者に連絡し訂正するよう努めるとともに、再発防止のため、放送関係部局の連絡会で周知し、放送現場へ注意を喚起しました。

(会 長)  原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

(3)新金沢放送会館の整備方針・概要について
(経理局)
 新金沢放送会館については、平成25年3月19日の理事会、および3月26日の第1186回経営委員会での決定を受けて、金沢市広岡の用地を取得し、建設に向けての検討を重ねてきました。このたび、整備方針・概要がまとまりましたので、審議をお願いします。
 新放送会館の整備にあたっては、「緊急報道と防災・減災に役立つ情報発信への体制強化」、「石川県から全国、そして世界に向けての発信拠点とする」、「人々が訪れやすい、地域文化の交流拠点として整備する」、および「放送機能強化の観点からいかなる災害時にも対応できる建物」の4点を基本コンセプトとします。
 新放送会館は、敷地面積が4,000m2、延床面積が5,181m2で、地上4階程度の規模を予定しています。建設費は建物に21億円程度、放送設備に20億円程度を見込んでいます。
 新放送会館の主な機能としては、建物は免震構造を採用し、浸水被害を回避するために電源設備を上階に設置します。放送と技術の各機能を同一のフロアに置き、災害時などにも迅速・的確な緊急報道に対応できる体制を整えます。また、JR金沢駅から至近の立地条件を生かし、お客様向けのハートプラザを1階に設置して、多様な視聴者サービスを展開するなど、地域の人々が気軽に訪れて楽しめる放送会館とします。さらに、太陽光発電など自然エネルギーの活用や電力消費の少ないシステムを導入するなど、環境にやさしい会館を目指します。
 今後のスケジュールについては、26年度に基本設計に入り、27年度に着工、28年度に建物が、29年度に放送設備が完成し、運用を開始する予定です。
 本件が決定されれば、7月23日開催の第1194回経営委員会に報告します。

(会 長)  新会館のレイアウトは、機能性に配慮したものとなっていますか。
(石田専務理事)  放送局として標準的な造りになっており、機能性にも十分配慮したものになっています。
(福井理事)  地形や敷地面積などの条件によっても、会館機能の最適なレイアウトは変わってきますので、業務のあり方も検討しながら、放送局としての標準形について、引き続き考えていきたいと思います。
(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)新放送会館用地取得のための公募参加について
(経理局)
 新放送会館用地の取得に向けて、公募に参加します。
 本件の具体的な内容については、他者との関係もあり非公表とします。公募の結果については、別途、理事会および経営委員会に付議し、その際は内容を公表します。
 本件は、7月23日開催の第1194回経営委員会に報告します。


(2) 平成24年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について

(経理局)
 平成24年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について報告します。
 NHKが行う取引における随意契約については、総務省からの協力要請も踏まえ、NHKの自主的な取り組みとして20年度から見直し計画を策定・公表し、競争化に取り組んでいます。
 見直し計画の対象となる競争性のない随意契約は、見直しの基準年度としている18年度が金額ベースで50.0%でした。見直し計画では、この割合を25年度に37.0%に引き下げることにしています。
 24年度に締結した契約の状況は、競争契約の推進に取り組んだ結果、随意契約の割合は39.7%で、18年度に対して10.3ポイント低下しています。
 24年度に随意契約から一般競争入札に移行した主な取引には、放送用ビデオテープの循環作業、業務用返納ビデオテープ等の収集、運搬およびリサイクル作業等があり、指名競争入札に移行したものには、ビデオセンター運用管理業務があります。
 一般競争入札の件数は、24年度が555件と、23年度(458件)に比べ大幅に増加しています。
 24年度は、公共放送の機能強化のため、電源設備や自家発電設備など既設の設備の改修で随意契約が発生し、競争契約率の伸び率は若干鈍化しましたが、25年度の競争契約率63.0%の達成に向けて引き続き取り組みを進めていきます。
 本報告の内容は、7月23日開催の第1194回経営委員会に報告した後、7月中にNHKの公開ホームページで公表します。

(板野理事)  一般競争入札と指名競争入札とは、どういう基準で分けているのですか。
(経理局)  広く参加業者を募ることが可能なものは一般競争入札とし、放送機器の製作など専門性が高く、製造業者が限られているものは、指名競争入札としています。
(板野理事)  業種ごとの特性に合った形で入札を行っているということですね。
(会 長)  平成20年に立てた随意契約の見直し計画に沿って、随意契約の競争化に取り組んできましたが、状況の変化とともに、計画の見直しが必要となってきた部分もあるかと思います。検証については、どのように考えていますか。
(経理局)  この見直し計画は、今年度を計画の達成年度としていますので、年度終了後に関連団体との取引の競争契約化も含めて、改めて全体検証を行いたいと思っています。
(会 長)  公共放送の使命を果たすため、その機能をきちんと維持していくという観点から、基本となる考え方を整理して、時代の変化にも対応できるよう、検討を進めてほしいと思います。

(3)平成24年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(経理局)
 平成24年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について報告します。
 これは、平成14年度分から、関連団体運営基準第23条に基づき、NHKと関連団体との一定規模以上の取引について、毎年度その取引が適正に行われているかの評価を取りまとめ、公表しているものです。
 24年度の関連団体との評価・公表の対象となる取引(以下、「取引」)は、件数で2,207件、総額1,545億円でした。23年度と比較して件数で443件、金額では57億円増加しています。これは、公共放送の使命達成のための放送機能の強化、アナログ放送の終了に伴う放送設備の撤去の増などによるものです。
 取引の評価として、関連団体との取引が随意契約の要件を満たしているか、NHKの経理規程および業務委託基準に基づき適正に行われているかについて、NHKが自ら全件を点検しています。このうち、金額で全体の約9割を占める、1件3,000万円を超える取引については、3名の外部有識者で構成する「入札契約委員会」の点検等を受けています。その結果、いずれの取引も適正であると判断しました。
 24年度の随意契約は、件数で1,781件、金額にして1,402億円でした。23年度に対して、件数で370件、金額では33億円増加しています。
 競争契約の状況については、24年度は、件数で426件、金額にして143億円となり、23年度に対して、件数で73件、金額で24億円の増となっています。競争契約の主なものは、地上デジタルテレビ中継放送所送信設備関係の工事と共同受信施設の緊急故障修理・点検調査等の保守業務です。
 本報告の内容は、7月23日開催の第1194回経営委員会に報告した後、個別の全契約情報の一覧表とあわせて、NHKのホームページで公表します。また、公表にあたっては、関連団体の役割、番組制作業務委託の競争の考え方、随意契約の見直し、関連団体との取引に関する諸規定を取りまとめ、あわせて掲載します。


(4)2013年6月全国個人視聴率調査の結果について
(放送文化研究所)
 2013(平成25)年6月に実施した、全国個人視聴率調査の結果について報告します。
 調査は6月10日月曜日から16日日曜日までの1週間、全国の7歳以上3,600人を対象に、配付回収法による24時間時刻目盛り日記式(個人単位)で実施しました。有効数は2,413人、有効率は67.0%でした。
 個人視聴率の、総合テレビ・Eテレ・衛星放送・ラジオの概要について説明します。
 まず、総合テレビについては、連続テレビ小説「あまちゃん」、「NHKニュース7」に加え、「鶴瓶の家族に乾杯」がよく見られました。民放も含めて関東地方でよく見られた番組でも、1位は「あまちゃん」、2位は「NHKニュース7」でした。また、大河ドラマ「八重の桜」が5位に入っています。
 総合テレビの週間接触者率の推移を見ると、今回は59.8%と、統計的に有意な差はありませんが、数字の上ではやや増加傾向が見られました。男女年層別に見ると、昨年と比べ男20代をはじめとする若年層で、接触者率がやや回復しています。ただ、10年前と比べ、30代から50代で大きく下がっているという傾向は改善されていません。NHKと民放の地上波と衛星波すべての接触率を合わせたテレビ総計は、年々減少傾向にあり、今回はこの20年で最も低い数字となりました。
 連続テレビ小説「あまちゃん」は、ここ数年と比較して、男女7〜12歳や20代などの若年層で接触者率が最も高くなっており、若年層への接触を広げていると言えます。
 今年度、番組改定を行った、総合テレビの土曜夜間の新番組の視聴率については、夜6時台の「マサカメTV」は昨年の同時間帯と同じ水準ですが、夜7時台の「伝えてピカッチ」と夜8時台の「突撃 アッとホーム」は、昨年より減少しています。一方、土曜夜間の接触者率は、年層別で見ると大きく下がった年層はありませんでした。今後も引き続き、年層の広がりや接触者率への影響などを見ていく必要があります。
 次に、Eテレについては、週間接触者率は26.7%で、この10年、ゆるやかに減少しています。男女年層別にみると、この3年間で男7〜12歳が減少傾向にあります。
 続いて、衛星放送については、自宅で見ることができる人の割合は46.8%で、前年(48.0%)と変化はありません。週間接触者率の推移を見ると、BS1とBSプレミアムはいずれも12.5%で、2つを合わせたNHK衛星計は、前々年から前年にかけて増加した水準を維持しています。BS1では、サッカーの「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」などのスポーツ中継が、男50代以上を中心によく見られました。BSプレミアムは、朝7時台の連続テレビ小説「あまちゃん」が若年層を含めて幅広く見られているほか、日曜日夜9時台の韓国歴史ドラマ「太陽を抱く月」、土曜日夜8時のスペシャル時代劇「大岡越前」、日曜日の「真夜中のパン屋さん」が女性50代以上によく見られました。
 最後に、ラジオについては、NHKと民放を合わせたラジオ全局計の週間接触者率は漸減傾向が続いていましたが、今回は39.4%で、前年(36.5%)より増加しました。NHKラジオ計の週間接触者率は21.1%、ラジオ第1は17.7%で、前年(16.9%)と同程度です。ラジオ全局計の接触者率が伸びたのは、民放FMの接触が増加したためです。年層では、女20代、男女30代などの若年層で増加しました。
 全国を9ブロックに分けた地方別の接触者率については、東北が78%(前年76%)、甲信越が77%(79%)と、全国平均の72.7%(70.3%)に比べ高くなっています。一方、近畿は65%(65%)と低い値となっています。地方別の傾向は、前年と変わりありません。

(会 長)  この結果について、どのように評価しますか。
(石田専務理事)  編成局でも毎月番組視聴の傾向をとりまとめて分析しており、それと重なるところもありますが、若干異なる傾向が出ている部分もあります。その辺りの検証を深めて、今後の番組編成に生かしたいと思います。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 7月30日
                     会 長  松 本 正 之

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