日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 6月25日開催分)
平成25年 7月12日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 6月25日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、石田専務理事、
 木田理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、福井理事、下川理事、
 森永理事
 井原監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1192回経営委員会付議事項の追加について
(2)NHKエンタープライズと総合ビジョンの合併について
(3)協会国際衛星放送の廃止について
(4)日本放送協会平成24年度財務諸表について
(5)平成24年度NHK連結決算について
(6)平成25年度予算総則の適用について

2 報告事項
(1)予算の執行状況(平成25年5月末)
(2)契約・収納活動の状況(平成25年5月末)
(3)考査報告

議事経過

1 審議事項
(1)第1192回経営委員会付議事項の追加について
(経営企画局)
 本日開催される第1192回経営委員会に付議する事項について、6月18日の理事会で決定した事項に加え、追加事項がありますので、審議をお願いします。
 追加する付議事項は、報告事項として「NHKエンタープライズと総合ビジョンの合併について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)NHKエンタープライズと総合ビジョンの合併について
(関連事業局)
 NHK関連団体のうち、子会社の株式会社NHKエンタープライズ(以下、NEP)と関連会社の株式会社総合ビジョン(以下、SV)を合併したいと考えますので、審議をお願いします。
 これまで2社の統合に向けて検討を進めてきましたが、平成24年に外部株主等の同意を得たことを受け、25年7月1日付で、NEPがSVを吸収合併することとします。
 合併の主な目的は、NHKグループのアニメコンテンツ制作体制の一元化、NEPの国際展開・デジタル展開能力を活用したアニメ展開の拡大、および事務系業務の効率化です。優良アニメの国内・海外での番組販売やグッズ販売等による事業の拡大、保有するドラマの再活用など、事業展開の強化を図ることとします。
 本件が決定されれば、本日開催の第1192回経営委員会に報告します。

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

(3)協会国際衛星放送の廃止について
(国際放送局)
 外国人向けのテレビ国際放送「NHKワールドTV」において、海外の衛星を使用して実施している協会国際衛星放送の一部の放送の業務を廃止したいと思いますので、審議をお願いします。
 今回、廃止の対象となるのは、協会国際衛星放送のうち、ベトナムの放送事業者VTC社が運用する衛星に係る放送の業務です。
 平成25年1月、VTC社が運用する衛星「アジアサット5」を用いた「NHKワールドTV」の放送が、24年3月から一方的に中止されていることが判明しました。それまでNHKは、同社に対して機会あるごとに放送の実施について確認し、そのつど同社から「放送は継続している」との説明を受けてきましたが、本年1月になって初めて同社から「衛星の信号が弱く放送できない」と、放送を中止している旨の説明がありました。NHKは、直ちに同社に対して厳重に抗議し、放送再開を繰り返し強く求めましたが、同社からは、3月中旬になって「別の衛星による再開を検討中で、契約継続を希望する」旨の説明があったものの、その後の具体的な対応はありませんでした。
 こうした経緯を踏まえて、5月、NHKは同社に対し、「速やかに放送を再開しなければ、同社の契約違反に基づき契約を解除する」旨の通告を文書にて行いましたが、これに対し、同社が期限の6月7日までに放送再開と契約継続の意思を示さなかったことから、放送再開は困難であると判断しました。NHKは同社との契約を解除し、平成25年7月16日(日本時間)をもって、本業務を廃止することとしたいと思います。
 なお、本業務を廃止しても、ベトナムでは、同社以外に衛星事業者やケーブルテレビ事業者等を通じ、合わせて約190万世帯が「NHKワールドTV」を視聴することが可能です。
 本件が了承されれば、本日開催の第1192回経営委員会に諮り、議決を得たうえで、総務大臣に協会国際衛星放送の業務廃止の認可申請を行います。

(吉国専務理事)  本放送に関して、NHK側の費用負担はありませんか。
(国際放送局)  NHK側の費用負担は一切ありません。
(板野理事)  これは、VTC社の個別の問題によるものということで、ベトナムにおける外国語チャンネルの規制の問題とは関係ありませんね。
(国際放送局)  まったく関係ありません。ベトナムでは現在も、VTC社以外の複数の会社で「NHKワールドTV」が放送されています。
(会 長)  今回の件は、契約を解除した方がよいという判断ですね。
(国際放送局)  放送が行われていないため、実態にあわせて契約を解除すべきだと考えます。
(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

(4)日本放送協会平成24年度財務諸表について
(経理局)
 NHKの平成24年度決算についての財務諸表を取りまとめましたので、審議をお願いします。
 まず、収支決算については、一般勘定における事業収入は6,603億円で、前年度(23年度)比63億円の減収となりました。このうち受信料収入は、24年10月からの受信料の値下げの影響で218億円の減収の影響がありましたが、全組織を挙げて業績確保の前倒し等に取り組んだ成果により、13億円の減収にとどめました。一方、事業支出は6,408億円で、前年度比35億円の減となりました。これは、公共放送の機能強化など経営計画の重点事項を着実に実施する一方で、業務全般にわたって効率的な運営を徹底したことによるものです。この結果、事業収支差金は195億円の黒字となり、これを新放送センターの建設等に備え、25年度に建設積立金(資産)に繰り入れたいと考えています。
 予算との比較では、事業収入は、受信料の増等により、111億円の増収となりました。また、事業支出は、番組制作をはじめ業務全般にわたって効率的な運営を徹底したことや、予備費を使用しなかったこと等により、全体として84億円を抑制しました。この結果、事業収支差金は、予算では収支均衡としていましたが、195億円の改善となりました。
 続いて、協会全体の財務状況等についてです。
 資産は、剰余金の増加に伴う現金預金および有価証券の増加等により、前年度末比324億円増の9,228億円となりました。負債は、退職給付引当金の増等により、前年度末比140億円増の3,220億円となりました。純資産は前年度末比184億円増の6,007億円となり、自己資本比率は65.1%と健全な状態を保っています。
 損益の状況については、経常事業収入が受信料の値下げ等により、前年度比12億円減の6,604億円となりました。経常事業支出は、効率的な事業運営等により、前年度比24億円減の6,494億円となりました。当期事業収支差金は、前年度比25億円減の184億円となり、減収減益となりました。
 最後に、キャッシュ・フローについては、事業活動により資金が940億円増加し、投資活動により1,238億円、財務活動により5億円それぞれ減少して、24年度末における資金残高は、前年度末から303億円減の1,264億円となりました。
 以上については、会計監査人たる監査法人から「独立監査人の監査報告書」を受領しており、監査の結果、「すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」との監査意見が表明されています。
 以上の内容が了承されれば、本日開催の第1192回経営委員会に諮り、議決を得たうえで、監査委員会および会計監査人の意見書を添えて、総務大臣に提出します。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

(5)平成24年度NHK連結決算について
(経理局)
 平成24年度のNHK連結決算について取りまとめましたので、審議をお願いします。これはNHKが独自に取りまとめ公表しているもので、連結の範囲については、連結子会社13社、および持分法適用会社2社を対象としています。
 経営成績については、経常事業収入は連結子会社における売上の減等により、前年度比135億円減の7,357億円となりました。経常事業支出は連結子会社の売上原価の減等により、前年度比155億円減の7,154億円となりました。当期事業収支差金は、連結子会社の法人税等を控除し、前年度比0.9億円増の224億円となりました。
 財政状態については、資産合計は、現金預金・有価証券の増等により、前年度末と比較して334億円増の1兆0,465億円となりました。また、負債合計は、退職給付引当金の増等により、前年度末比102億円増の3,608億円となりました。純資産合計は、前年度末比231億円増の6,857億円となり、自己資本比率は63.9%となりました。
 最後に、連結キャッシュ・フローについては、事業活動により資金が1,016億円増加した一方、投資活動により1,314億円、財務活動により20億円それぞれ減少して、現金および現金同等物の期末残高は、前年度末から318億円減少の1,623億円となりました。
 なお、連結財務諸表についても、NHK単体の財務諸表と同様に、監査法人から「独立監査人の監査報告書」を受領しており、監査の結果「すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」との監査意見が表明されています。
 本件が決定されれば、本日開催の第1192回経営委員会に報告します。

(会 長)  原案どおり決定します。

(6)平成25年度予算総則の適用について
(経理局)
 平成25年度予算総則の適用について、審議をお願いします。
 予算総則は、国会の承認を受けた予算書の中で、予算の各項間の流用等、予算の運営に関するルール等を定めているものです。
 25年度の予算総則第10条を適用し、平成24年度決算における後期繰越金の増加額のうち195億円を老朽化が進む放送センター建て替え等の財源に充てるため、建設積立資産に繰り入れたいと思います。
 本件が了承されれば、本日開催の第1192回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)予算の執行状況(平成25年5月末)
(経理局)
 平成25年5月末の予算の執行状況について報告します。最初に、一般勘定の事業収支の全体概況を説明します。5月末の標準進捗率は、16.7%(2か月/12か月)です。
 事業収入は1,078億円で、進捗率は16.6%です。受信料、雑収入が標準進捗率をやや上回り、全体としては堅調に推移しています。事業支出は1,033億円で、進捗率は15.9%です。退職手当・厚生費が標準進捗率をやや上回っていますが、全体として堅調な状況となっています。この結果、事業収支差金は45億円の黒字となっています。
 事業収入、事業支出それぞれのポイントについて説明します。
 まず、事業収入についてです。
 受信料は、契約収納活動を強化し、契約総数や衛星契約が増加していることから、標準進捗率をやや上回っています。副次収入は、番組活用収入の減等により進捗率が低くなっています。雑収入は、前々年度以前受信料の回収額が増加しており、標準進捗率を上回っています。特別収入は、進捗率が低くなっていますが、6月に大阪府の寝屋川運動場跡地の売却益を計上する見込みです。
 続いて、事業支出についてです。 
 国内放送費は、堅調な支出状況となっていますが、今後は、東京都議会議員選挙や参議院議員通常選挙関連の支出等が見込まれるため、進捗を注視していきます。契約収納費は、効率的な業務体制の構築など、経費抑制に向けた取り組みを計画的に進めており、堅調な支出状況となっています。退職手当・厚生費は、期待運用収益率の引き下げや割引率を見直したことなどにより退職給付費が増加し、進捗率はやや高くなっています。
 一般勘定の事業収支を前年同月と比較すると、事業収入は24年10月からの受信料値下げによる減収が通年で影響し、前年同月と比べ41億円減の1,078億円となりました。事業支出は受信対策費等の減がある一方で、国内放送費、国際放送費等の増により、前年同月とほぼ同額の1,033億円となり、事業収支差金は45億円の減となっています。
 受信料の状況については、5月末の受信料収入は1,050億円で、前年同月と比較して43億円の減となっています。その内訳は、受信料収納額が25億円の減、今後回収を予定している額が18億円の減となっています。
 最後に、番組アーカイブ業務勘定の状況です。
 5月は見逃し見放題・特選見放題の契約がともに増加基調を維持していることなどから、単月の売り上げは過去最高となり、事業収入は2.5億円となりましたが、事業支出は3.2億円で、事業収支差金は0.6億円の赤字となっています。
 この内容は、本日開催の第1192回経営委員会に報告します。

(会 長)  事業収入は、前年同月と比較すると41億円の減となっていますが、予算との比較で見ると、堅調と捉えてよいでしょうか。
(経理局)  事業収支差金は、25年5月末の実績額は45億円で、前年同月の90億円を下回っていますが、受信料の値下げの影響があることを考慮に入れると、現時点では堅調に推移していると言えると思います。
(上滝理事)  番組アーカイブ業務勘定については、事業収入が過去最高を更新しましたが、連続テレビ小説「あまちゃん」の人気による効果と捉えてよいでしょうか。また、事業収支差金については、昨年と比べ、かなり改善されつつあると受け止めてよいでしょうか。
(経理局)  事業収入が好調な理由としては、「あまちゃん」等の人気によるところが大きいと思います。また、スマートフォンのアプリによる利便性の向上等の取り組みもあって、順調に伸びてきていると思われます。
 事業収支差金については、24年度と比べると改善が見られますが、まだ赤字となっているため、支出の抑制においても、今後一層の取り組みが必要だと思っています。

(2)契約・収納活動の状況(平成25年5月末)
(営業局)
 平成25年5月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、第1期(4月・5月)の収納額は1,019.5億円で、24年10月からの受信料の値下げの影響により、前年度同期を25.0億円下回りました。
 前年度分回収額実績は29.4億円と、前年度同期を0.6億円下回っています。前々年度以前分回収額実績は7.1億円と、前年度同期を0.9億円上回りました。
 放送受信契約総数の増加状況について、第1期は、取次が65.0万件と前年度同期を1.7万件上回ったものの、減少が50.6万件と前年度同期を2.0万件上回ったため、増加数は前年度同期を0.3万件下回る14.4万件となりました。
 第1期の衛星契約増加については、取次が前年度同期に比べ4.1万件上回り、減少は前年度同期を1.6万件上回ったため、増加数は前年度同期を2.5万件上回る18.9万件となりました。
 第1期の未収者削減については、前年度同期を0.5万件下回る3.1万件の削減となりました。その結果、5月末の未収現在数は、153.5万件となっています。
 最後に、第1期の口座・クレジットカード支払の増加数は、前年度同期を0.2万件下回る19.0万件となりました。
 以上の内容は、本日開催の第1192回経営委員会に報告します。

(会 長)  営業改革の進捗状況はどうですか。
(営業局)  営業改革については、特に地域スタッフの少数精鋭化と法人委託の開発に力を入れています。24年度は、公開競争入札による法人委託地域を9地区126万世帯拡大しました。今年度は、さらに増加させる計画を進めるなど、前倒しでの営業改革を進めています。
(会 長)  郵便の転居届を使った住所変更届受付の取り組みは、順調に進んでいますか。
(営業局)  郵便の転居届と一体になった住所変更届については、日本郵政側で帳票の適正な在庫管理を進めてもらうなど取り組みを進めていますが、第1期の帳票の返送数は、前年同期と比べると少し下がりました。今年度は高い目標を掲げていますが、その達成に向けて対策を強化していきたいと思います。
(会 長)  住民票除票調査による住所変更の手続きについては、順調に進んでいますか。
(営業局)  住民票除票調査による住所変更手続きは確実に増えており、施策の開始以来、約7,500件の取り次ぎを行っています。ただ、一部の自治体では除票の申請を受け付けていないため、そうした自治体への協力要請にも取り組んでいます。
(会 長)  自治体への対応については、営業部門だけではなく、放送局全体で取り組んでいってください。
 営業活動の質的向上については、しっかりと進められているようですね。
(営業局)  新規契約に占める衛星割合、新規契約と同時に口座支払を取り次ぐ率、支払再開と同時に口座支払を取り次ぐ率のいずれもが、前年度同期を上回っています。こうした積み重ねが、口座・クレジット支払利用数が19万件増加したことや、さらに契約の安定化にもつながっており、結果として減収額を25億円にとどめていると捉えています。
(会 長)  24年度の前倒しでの契約取次の確保を始め、全体的に業績の底上げに取り組んできた効果が出ていると思います。今後も引き続き、業績確保に取り組んでいってください。

(3)考査報告
(考査室)
 平成25年5月20日から6月18日までの間に放送した、ニュースと番組について考査した内容を報告します。この期間に、ニュース20項目、番組57本の考査を実施しました。
 ニュースの主な項目としては、南海トラフ巨大地震に関して、政府が設けた専門家等の検討会が最終報告をまとめたことや、安倍政権の成長戦略の柱となる経済政策が出そろい、戦略の素案が示されたこと、また、国と福島県内の多数の自治体が、放射能の除染に関して業者と数値目標の無い契約を交わしていることなどがありました。
 番組では、解明されていない難事件に挑む、NHKスペシャル 未解決事件 File.03「尼崎殺人死体遺棄事件」(6月9日放送)や、異色のレストラン経営者の仕事の哲学に迫った、プロフェッショナル 仕事の流儀「革新への情熱、未(いま)だ衰えず 起業家 坂本孝」(5月20日放送)、また、カネミ油症の事件発覚から半世紀近くたった今なお、苦悩する被害者の実態に迫った、ETV特集「毒と命〜カネミ油症 母と子の記録」(5月25日放送)を中心に考査しました。
 考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 7月 9日
                     会 長  松 本 正 之

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