日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 5月28日開催分)
平成25年 6月14日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 5月28日(火) 午前9時00分〜10時10分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、石田専務理事、
 木田理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、福井理事、下川理事、
 森永理事
 井原監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)職務権限事項等の改正について
(2)協会国際衛星放送の廃止について

2 報告事項
(1)平成24年度関連団体の事業運営状況等について
(2)考査報告
(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について

議事経過

1 審議事項
(1)職務権限事項等の改正について
(総務局)
 職務権限事項等の改正について、審議をお願いします。
今回は、組織改正に関する項目に加え、既存業務の見直しに伴う項目等の改正です。

1 職務権限事項について

(1)組織改正に関する項目について、新「総務局」の設置、「人事局」の設置、組織関係業務の移行、災害対策関係業務の一部移行、国際放送局の組織再編、放送技術研究所の研究部再編に関する項目について、それぞれ関連する本部各部局職務権限事項を改正します。また、その他組織名称変更、組織再編に関する項目について、本部各部局共通管理事項、本部各部局職務権限事項、および地域拠点局の支援・調整に関する共通職務権限事項を改正します。

(2)職務権限事項の明確化について、職務範囲および責任体制の明確化を図るため、本部各部局の一部の職務権限事項、本部・放送局各部共通管理事項等を改正します。

(3)組織改正により、関東甲信越地方各放送局に対する支援・調整機能が総務局総務・地域部に明確化されたことに関連し、「関東甲信越地方各放送局に対する支援・調整に関する共通職務権限事項」を追加します。また、経理局、放送技術局、首都圏放送センターについても、支援・調整に関する職務基準を追記します。

(4)その他、字句の修正等を行います。

2 営業の受け持ち地域変更について
 契約・収納業務の受持区域の一部を、浜松支局から静岡放送局に変更します。
3 必要に応じて置く職位について
 必要に応じて置く職位に、「内部統制推進部長」「管理部長」を加えます。
 本件が決定されれば、組織改正に関する項目については、管理職異動にあわせて、平成25年6月14日付で実施します。その他の一部の項目については、それぞれ必要な時期に実施します。


(会 長)  原案どおり決定します。

(2)協会国際衛星放送の廃止について
(国際放送局)
 英語による情報の海外向け発信を強化し、外国人視聴者の日本に対する理解を一層促進するため、放送法第20条第1項第5号の業務として実施している、外国人向けのテレビ国際放送「NHKワールドTV」において、一部の放送の業務を廃止したいと思いますので、審議をお願いします。
 今回、廃止の対象となるのは、協会国際衛星放送のうちインドネシアの衛星放送事業者「メガメディア・インドネシア社」を通じ、「パラパD」という衛星を用いて実施している放送の業務です。今年5月、受信環境整備業務を委託している株式会社日本国際放送に対し、先方から、チャンネルラインナップの見直しのため、「NHKワールドTV」を含む複数のチャンネルを、7月1日(日本時間)をもって打ち切る旨の通知があったものです。
 それを受け、同社との交渉を重ねてきましたが、NHKは費用負担をしていないこと、同社が既に新チャンネルの放送開始の方針を固めており、その方針が覆らないことに鑑み、放送継続が困難と判断されることから、平成25年7月1日(日本時間)をもって本業務を廃止することとしたいと思います。
 なお、本業務を廃止しても、インドネシアでは、同社以外に衛星事業者2社を通じて協会国際衛星放送を実施するなどして、あわせて約360万世帯が「NHKワールドTV」を視聴することが可能です。
 本件が了承されれば、本日開催の第1190回経営委員会に諮り、議決を得たうえで、総務大臣に協会国際衛星放送の業務廃止の認可申請を行います。

(会 長)  今回の協会国際衛星放送の廃止は、アジアにおける国際放送の充実に影響はありませんか。
(国際放送局)  廃止対象である協会国際衛星放送は、視聴可能世帯数が約7,800世帯と少なく、一方でインドネシア全体では、別の事業者2社等が「NHKワールドTV」の放送を実施しており、視聴可能世帯は約360万世帯と広くカバーされているため、今回の廃止による影響はきわめて軽微なものと考えています。
 一方で、アジアでの国際放送の展開は重要であることから、今後も一層、視聴可能世帯の拡大に力を入れていきたいと思っています。
(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)平成24年度関連団体の事業運営状況等について
(関連事業局)
 平成24年度関連団体の事業運営状況等について報告します。
1. 関連団体の決算概要について
(1)子会社の決算概要
 平成24年度の子会社の決算概要については、子会社13社の単純合計で、売上高は2,425億円となり、前年度(23年度)に比べ66億円の減収となっています。このうちNHKグループ以外との取引額は766億円と、前年度に比べ129億円の減となり、売上高に占める比率は、前年度の36.0%から31.6%に低下しました。
 当期純利益は、13社の単純合計で63億円と、前年度に比べ19億円の増益となりました。これは、事業活動による増益に加え、23年度は会計上の特殊要因として、法人税減税に伴う繰延税金資産の取り崩し等があり、当期純利益を引き下げていたことが主な要因です。
 NHK出版は、減収傾向が続いているものの、発行部数の適正化による実売率改善等の施策により収支が改善し、黒字に転換しました。また、NHK文化センターも減収となるものの、人件費等の削減により、黒字を確保しました。NHKグローバルメディアサービス、日本国際放送、NHKアート、NHKメディアテクノロジーの4社は、増収増益、NHKプラネット、NHKアイテック、NHK営業サービスの3社は減収減益となりました。子会社13社全体の営業利益率は3.7%で、うちNHKとの取引は3.8%、NHK以外との取引は3.5%となりました。今後も適正な営業利益率を維持するよう指導し、引き続き区分経理の精度向上を目指します。
(2)関連会社・関連公益法人の決算概要
 関連会社5社のうち、放送衛星システムは、放送チャンネル数の増加が通年で寄与し、大幅な増収増益となりました。総合ビジョン、NHK Cosmomedia America、ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズの3社は減収減益となりました。
 関連公益法人7団体については、24年12月の決算見通しでは4団体が赤字となる見込みでしたが、収支が改善し、赤字は日本放送協会学園(NHK学園)の1団体のみとなりました。前年度赤字だったNHKエンジニアリングシステムとNHK放送研修センターは、黒字に転換しました。
(3)健保・共済会の決算概要
 日本放送協会健康保険組合の会計は一般勘定と介護勘定に分かれていますが、一般勘定は、後期高齢者医療制度等の納付金が11億円増の45.5億円となり、負担が増加しました。事業収入の中に別途積立金からの繰入金を計上することで収支相償としていますが、実質的には赤字決算となっています。
 日本放送協会共済会の一般会計は、24年度のNHK交付金を未措置としたため、一般正味財産増減額が8.4億円の赤字になりました。共済会特別会計の一般正味財産増減額は5.2億円となっていますが、「退職医療援助制度」資産の運用等による期中増減のためで、これを除けば収支相償となります。
(4)NHKへの財政貢献
関連団体の配当総額は30.4億円、うちNHKの受取額は17.8億円を予定しており、NHK受取配当金の予算額12.2億円を上回りました。また、24年度、関連団体からのNHKの副次収入総額は、前年度に比べ4.5億円少ない59.7億円でした。減少の主な要因は、DVD商品の販売低迷などにより、メディアミックス収入が減少したことです。
2.業務運営状況調査の結果について
 平成24年度の関連団体業務運営状況調査については、子会社13社、関連会社2社、関連公益法人等9団体の24団体を対象に、外部監査法人に委嘱して実施しました。調査項目は3点で、1点目は、「『関連団体運営基準』への準拠性」です。関連団体の事業活動が、関連団体運営基準に照らして適正に行われているか調査が行われ、その結果、3団体3件の検出事項の報告がありましたので、当該団体に対し、適正な業務運営を指導しました。2点目は「『NHK取引とその他の取引の区分経理に関する基本方針』への準拠性」です。関連団体から提出された「NHK取引とその他の取引の区分経理」資料が、区分経理に関する基本方針に準拠しているかを調査したところ、検出事項はありませんでした。3点目は「実績原価報告のサンプリング調査」です。実績原価調査の対象として事前に抜き出した61件の業務委託契約について、関連団体側に発生している売上原価の実態を調査しました。結果については、今後の業務委託契約の検討材料として、関連団体および委託元部局に提供しました。
3.事前協議等の概要について
 関連団体運営基準第11条に掲げる経営上の重要な事項は、NHKとの事前協議を義務づけています。すでに理事会に報告済みの分を除いて、25年1月から25年3月末日までに生じた事前協議事項は18件でした。その内容は、NHKエンタープライズと総合ビジョンの合併や、重要な資産の取得・処分についてなどでした。
 事前説明事項、報告事項に該当する事項は、そのつど説明、報告を受けています。
4.関連団体事業活動審査委員会の活動結果について
 関連団体事業活動審査委員会は、NHKの関連団体の事業活動について、外部から意見・苦情を受け付け、その適正性を審査するために設置しているもので、副会長を委員長とし、NHKの関係役職員と、議論の公正性を確保するため公認会計士と弁護士の2名の外部委員とで構成されています。24年度は、外部からの意見・苦情等の受け付けはありませんでした。委員会は、24年12月14日および25年4月15日に開催し、意見・苦情等の受け付け状況を報告したほか、関連事業に関して意見交換を行いました。
 本件は、6月11日開催の第1191回経営委員会に報告します。

(板野理事)  関連団体のNHKへの財政貢献について、配当性向が低い団体には何か働きかけなどを行っているのですか。
(関連事業局)  一部、配当性向が低い会社がありますが、これは、利益の多寡にかかわらず、毎年、安定配当を行っている会社があること等によるものです。
(吉国専務理事)  子会社13社の「NHKとの取引」における営業利益については、利益率が高めの団体には、利益が過大にならないよう指導するとともに、NHKからの委託業務の適正化と透明化を一層推進していきたいと思います。関連各部局にも協力をお願いしたいと思います。
(上滝理事)  関連公益法人について、NHK学園は、前年度に引き続き赤字決算となり、財政の立て直しが必要です。生涯教育の生徒数の減少をどう取り戻していくかが1つのポイントとなると思いますが、今後どのように対応していく予定ですか。また、基本金の組み入れについても、あわせて説明してください。
(関連事業局)  NHK学園の業務については、現在、25年度からの新たな3か年事業計画を策定すべく検討を行っています。赤字削減のため、人件費を中心とする大幅な経費削減や、生涯教育の見直し等を主な課題と考えています。
 近年、通信教育を行う学校数が増加したこともあり、厳しい競争が起きています。地方の中学校、高校への周知活動に注力していきたいと思っています。
  基本金の組み入れについては、生涯教育の新システムの開発のために3年間組み入れを行ってきましたが、24年度で終了となります。
(森永理事)  NHK取引と自主事業のバランスについては、どう取っていこうと考えていますか。
(吉国専務理事)  いろいろな考え方がありますが、例えば自主事業については、単に利益の追求にとどまらず、NHKの作った番組を資産の活用として社会に還元するという意味合いも持っていると思います。NHKとの取引についてもさらに適正化を進め、事業をきちんと成り立たせていくことが必要だと思います。
 そのうえで、各社で今後どう展開を図っていくのか、改革について検討を行っていきたいと思います。
(会 長)  それぞれ構造的な問題などもあると思いますが、今後どう解決に向けていくのか、きちっと道筋をつける努力をしていってほしいと思います。

(2)考査報告
(考査室)
 平成25年4月15日から5月22日までの間に放送した、ニュースと番組について考査した内容を報告します。この期間に、ニュース20項目、番組80本の考査を実施しました。
 ニュースの主な項目としては、飯島勲内閣官房参与が北朝鮮を訪問し、朝鮮労働党の最高幹部と会談したことや、企業決算で自動車メーカーが円安・株高の恩恵を受けた一方で、電力、鉄鋼業では円安が経営の圧迫要因となるなど、業種により明暗が分かれたこと、また、日ロ首脳会談が行われ、北方領土問題を巡り、交渉を再スタートすることで合意したことなどがありました。
 番組では、明日に向かって奮闘する人を応援する新番組、「応援ドキュメント 明日はどっちだ」(総合テレビ 4月2日、9日、16日放送)と、圧倒的な知識を誇る賢人と、テーマとなる分野の関係者100人のチームとが対決する新設のクイズ番組、クイズ100人力「文房具対決!」(総合テレビ 5月4日放送)を中心に考査しました。
 考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。


(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(木田理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 関東甲信越地方で国崎信江氏(株式会社危機管理教育研究所 代表)と、伊藤由貴子氏(神奈川県立音楽堂 館長・プロデューサー)に、近畿地方で佐野純子氏(奈良インターカルチャー 代表)に、中国地方で久保田典男氏(島根県立大学総合政策学部 准教授)に、東北地方で小林好雄氏(株式会社まちづくり鶴岡 代表取締役社長)と、照沼かほる氏(福島大学行政政策学類 准教授)に、北海道地方で藤野彰氏(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 教授)と、まさきとしか氏(作家)に、四国地方で松井忍氏(NPO法人GCM庚申庵倶楽部 理事長)に、平成25年6月1日付で新規委嘱します。
 また、近畿地方で牛尾郁夫氏(成安造形大学 学長)と、山口芳彦氏(電機連合大阪地方協議会 顧問)に、中部地方で立花貞司氏(トヨタホーム株式会社 取締役会長)に、中国地方で濱本笙子氏(下関市社会福祉事業団 理事長)に、東北地方で鈴木素雄氏(河北新報社 編集局長)に、いずれも同日付で再委嘱します。
 なお、関東甲信越地方の吉川知惠子氏(弁護士)、近畿地方の中野聖子氏(株式会社ホテルサンルート奈良 代表取締役社長)、中国地方の松永和平氏(農事組合法人松永牧場 代表理事)、東北地方の折原亨氏(学校法人原田学園山形女子専門学校 校長)と、増子恵美子氏(学校法人福島学院 理事)、北海道地方の桜木紫乃氏(作家)と、渡邉浩平氏(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 教授)、四国地方の竹田美喜氏(松山市立子規記念博物館 館長)は、いずれも任期満了により、平成25年5月31日付で退任されます。
 本件は、本日開催の第1190回経営委員会に報告します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 6月11日
                     会 長  松 本 正 之

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