日本放送協会 理事会議事録  (平成24年 5月29日開催分)
平成24年 6月15日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成24年 5月29日(火) 午前9時00分〜9時40分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
 石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、
 福井理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1168回経営委員会付議事項について

2 報告事項
(1)23年度関連団体の事業運営状況等について
(2)日本放送協会健康保険組合および財団法人日本放送協会共済会の
   事業運営状況について
(3)技研公開2012実施結果について
(4)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)第1168回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 6月5日に開催される第1168回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「日本放送協会放送受信規約の一部変更について」と「ミャンマーにおける協会国際衛星放送の実施について」です。また、報告事項として「23年度関連団体の事業運営状況等について」と「平成23年度業務報告書の構成および今後のスケジュールについて」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)関連団体の事業運営状況等について
(関連事業局)
 関連団体運営基準第15条、第19条、および第20条に基づき、関連団体の事業運営状況等について報告します。
 まず、平成23年度の関連団体の決算概要について報告します。
 最初に子会社13社についてです。子会社13社の単純合計で、売上高は2,491億円となり前年度(22年度)に比べ47億円の減収、当期純利益は44億円で22億円の減益となりました。最大の要因は、地上デジタル関連業務が大幅に減少したことです。ただし、2月末の決算見込み時からは、ほとんどの社の収支が改善しました。売上高のうち、NHKとの取引額は1,402億円と、前年度に比べ29億円の減収となりました。また、関連団体との取引額は192億円、NHKグループ以外との取引額は896億円になりました。この結果、売上高に占めるNHKとの取引の割合は56.3%になり、前年度から0.1ポイント減少しました。
 個別にみると、4社が増収増益となり、その中で日本国際放送は、設立4年目の決算で、計画より1年早く累積損失を解消することができました。一方で、6社が減収減益となりました。長引く出版不況と東日本大震災の影響を受けてテキスト等の販売不振が続いているNHK出版と、教室の閉鎖など震災の影響を大きく受けたNHK文化センターの2社が赤字となりました。
 単純合計による売上と当期純利益の推移をみると、22年度までは増収増益基調でしたが、23年度は減収減益に転じました。23年度は、会計上の特殊要因として、24年度からの法人税減税に伴う繰延税金資産の取り崩しが7.2億円あり、当期純利益を引き下げる要因になりました。
 次に、関連会社5社については、海外現地法人のNHK Cosmomedia AmericaとNHK Cosmomedia(Europe)の2社が、番組制作事業の増等により増収増益となりました。特に、NHK Cosmomedia Americaは、設立以来の累積損失を解消することができました。このほか、総合ビジョン、ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズは減収増益、放送衛星システムは増収減益となりました。
 関連公益法人7団体については、全ての団体が減収となり、うち6団体が減収減益となりました。NHKエンジニアリングサービス、NHK放送研修センター、日本放送協会学園の3団体は赤字決算となりました。
 NHKと関連団体の取引の透明性向上を図るため、20年度から「NHKとの取引」と「NHK以外との取引」を区分し、それぞれの営業利益率を算出しています。子会社13社全体の営業利益率は3.5%で、うちNHKとの取引は2.8%、NHK以外との取引は4.3%となりました。「平成21〜23年度 NHK経営計画」で目標としていた、23年度にNHK取引の営業利益率を3%以下にすることは、達成できました。今後も適正な営業利益率を維持し、引き続き区分経理の精度向上に向けた指導を行っていきます。
 NHKへの財政貢献については、関連団体の23年度決算に基づく24年度の配当総額は31.3億円、うちNHKの受取額は19.3億円を予定しており、NHK受取配当金の24年度予算額15.9億円を上回る見込みです。また、23年度のNHKの副次収入総額は、前年度に比べ2.4億円少ない66.9億円でした。減少の主な要因は、番組提供の減少等による二次使用料の減と、地上デジタル受信機の特許実施料の減などです。
 平成23年度の関連団体業務運営状況調査の結果について報告します。
 調査は、関連団体運営基準第19条に基づき、子会社13社、関連会社2社、関連公益法人等9団体の24団体を対象に、外部監査法人に委嘱して実施しました。調査内容は3点で、1点目は、関連団体の業務活動が、関連団体運営基準に照らして適正に行われているかの調査です。その結果、1団体1件の検出事項の報告がありました。債券の購入にあたって必要となる事前協議連絡票の提出が漏れていたもので、当該団体に対し、提出漏れのないよう指導しました。2点目は「『NHK取引とその他の取引の区分経理に関する基本方針』への準拠性」です。関連団体から提出された「NHK取引とその他の取引の区分経理」資料が、区分経理に関する基本方針に準拠しているかを調査したところ、対象とした19団体のうち、基本方針に準拠しない計算が行われていた団体が9団体ありました。そのうち6団体については、誤認または計算違いであったため修正を求めました。残る3団体については、システム等の構造的な課題であるため、システム更新等の機会を捉えて改善するよう指導を行いました。3点目は「実績原価報告のサンプリング調査」です。実績原価調査の対象として事前に抜き出した59件の業務委託契約について、関連団体側に発生している売上原価の実態を調査しました。結果については、今後の業務委託契約の検討材料として、関連団体および委託元部局に提供しました。
 続いて、23年度の関連団体との事前協議等の概要についてです。関連団体運営基準第11条に掲げる経営上の重要な事項は、NHKとの事前協議を義務づけています。すでに理事会に報告済みの分を除いて、23年11月から24年3月末までに生じた事前協議事項は18件でした。その内容は、重要な組織変更や新規事業、資産の取得・処分等についてでした。
 最後に、23年度関連団体事業活動審査委員会の活動結果についてです。
 関連団体事業活動審査委員会は、NHKの関連団体の事業活動について、外部から意見・苦情を受け付け、その適正性を審査するために設置しているもので、副会長を委員長とし、NHKの関係役職員と、議論の公正性を確保するため公認会計士と弁護士の2名の外部委員とで構成されています。23年度は、外部からの意見・苦情等の受け付けはありませんでした。委員会は、23年12月5日および24年4月18日に開催し、意見・苦情等の受け付け状況を報告したほか、関連事業に関して意見交換を行いました。なお、委員会事務局では、NHKのホームページからもメールで意見・苦情等の受け付けができるようにしており、委員会が有効に機能するように努めています。
 以上の内容は、6月5日開催の第1168回経営委員会に報告します。

(板野理事)  子会社の23年度決算について、赤字の要因は東日本大震災の影響が大きいとのことでしたが、今後、震災の影響が少なくなれば、いずれも財務状況が好転し、黒字に回復するものと見ていますか。
(関連事業局)  震災の影響を特に大きく受けたのはNHK文化センターで、教室の閉鎖等により大幅な減収となっています。影響がいつまで続くのかは見通しが難しいところですが、人件費等の経費削減を継続し、新たに講座を開発するなど顧客獲得に取り組んで収益を上げ、営業利益の黒字転換を目指しています。その他の団体については、おおむね震災の影響から脱してきていると考えています。
(副会長)  営業利益について、NHK以外との取引には関連団体間の取引が多く含まれていますが、それを除いた利益率を今後も継続して見ていく必要があると思います。また、NHKへの財政貢献について、関連団体の配当総額は31.3億円、そのうちNHKの受取額は19.3億円となっていますが、関連団体の受取額はどのくらいですか。
(関連事業局)  およそ6億円です。
(会 長)  子会社の中で、23年度決算で赤字となった会社の24年度の事業計画はどのようになっていますか。
(関連事業局)  NHK出版とNHK文化センターの2社が赤字となりましたが、両社とも、24年度は当期純利益で黒字転換を図る計画で、引き続き経費の削減を行っていきます。例えばNHK出版については、テキスト全体の発行部数を販売見込みに合わせて適宜削減するなど、返品率の低減等による経費削減を行い、当期純利益での黒字転換を図ります。また、「きょうの料理」については、番組の再放送がより視聴しやすい時間帯になったことの効果もあって、4月段階でかなり良いスタートを切っており、NHK出版としては今の状況を前向きに捉えています。ただ、家庭テキストの種類が減っている状況ですので、発行点数の維持・改善に向けたテキスト発行計画についてNHKの放送部門等とよく相談しながら、売上回復に取り組んでいきたいと考えています。
(会 長)  よく検討、努力して、予算の目標達成を目指してほしいと思います。また、NHK出版については、NHKの放送部門との連携がテキスト販売に大きく影響しますので、連携を密にして発行計画を練り、黒字転換を目指してほしいと思います。

(2) 日本放送協会健康保険組合および財団法人日本放送協会共済会の事業運営状況について

(吉国専務理事)
 職務権限事項に基づき、平成23年度の日本放送協会健康保険組合ならびに日本放送協会共済会の事業運営状況について報告します。
 まず、健康保険組合の決算概要についてです。健康保険組合の会計は一般勘定と介護勘定に分かれており一般勘定の収入は、95億0,900万円で、予算に対して4億8,700万円下回りました。一方、支出は95億0,300万円で、予算に対して4億9,300万円下回りました。この結果、収支差引は600万円となる見込みです。これは別途積立金に繰り入れます。
 介護勘定については、収入は6億2,600万円で、この全額を介護納付金として納付します。その結果、収支差引はありません。
 次に、共済会の決算概要についてです。共済会の会計は一般会計と特別会計に分かれており、食堂業務や販売業務、宿泊施設等の利用業務などの一般会計は、経常収益が33億8,500万円、事業費や管理費の経常費用が33億7,400万円で、これに経常外増減を合わせた一般正味財産増減額は、1,100万円の増となっています。
 職員総合住宅業務などの特別会計は、住宅使用料収益等による経常収益が47億8,600万円、住宅管理業務費等による経常費用が47億6,300万円であり、経常外増減はありませんでしたので、一般正味財産増減額は2,300万円の増となりました。

(石田理事)  健康保険組合の一般勘定における納付金が増えているようですが、今後も増える見込みですか。
(吉国専務理事)  高齢者医療制度の創設以降、健保組合全体としての財政は悪化の一途をたどっています。高齢社会の進展に伴い、納付金の負担はますます増えていくと考えられます。

(3)技研公開2012実施結果について
(久保田技師長)
 平成24(2012)年度の放送技術研究所(技研)公開の実施結果について、報告します。
 今年の技研公開は、5月22日から27日までの6日間、そのうち一般公開は24日から27日までの4日間、開催しました。
 「わくわくが、あふれだす。」をテーマに、完全デジタル化後の放送の世界を来場者にわくわくしながら感じていただけるように展示、イベント等を実施し、来場者数は、昨年よりも約850人多い1万9,722人となり、会場は大変にぎわいました。
 展示では、放送と通信の連携サービス基盤であるハイブリッドキャストや、次世代の高臨場感放送サービスを目指すスーパーハイビジョンの145インチ大画面のプラズマディスプレイなどが人気を集めたほか、講堂では、新たに整備した機器によるスーパーハイビジョンの上映を行いました。
 24日には、技研3か年計画、ハイブリッドキャスト、スーパーハイビジョンをテーマとした3つの講演を実施し、予備のサテライト会場まで満席になる670人が聴講する盛況となりました。また、25日には、技研研究者によるスーパーハイビジョン用120Hzイメージセンサ等、展示についての研究発表を6件実施し、延べ1,511人が聴講しました。これらの模様は、P2P(Peer to Peer)技術を活用して、インターネットを通じたライブ配信を行いました。
 また、26、27日には、小中学生とその保護者を対象に、普段は公開していない特殊実験室等の設備を見てもらう「実験室探検隊」(28組72人参加)や、「工作体験」(294組598人参加)を開催しました。
 24〜27日には「世田谷区情報発信コーナー」を設け、世田谷区との連携を行ったほか、26、27日には、毎年好評の、技研職員がお客様を案内しながら展示している技術を解説するガイドツアーを、24〜27日には、今回初めてとなる手話通訳付きのガイドツアー(27人参加)を行い、参加者から好評を得ました。また、これらに併せてツアー参加者とのふれあいミーティングを行い、視聴者とのふれあい活動を展開しました。
 来場者へのアンケート結果では、8割を超える方から「内容がわかりやすかった」「NHKの活動に対する理解が深まった」という高い評価が得られました。


(4)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州沖縄、東北、北海道、四国)の平成24年4月開催分の議事録についての報告(注)。

 注:

放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成24年 6月12日
                     会 長  松 本 正 之

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