日本放送協会 理事会議事録  (平成24年 5月 8日開催分)
平成24年 5月25日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成24年 5月 8日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
 石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、
 福井理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1166回経営委員会付議事項について
(2)退任役員の退職金について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)平成23年度事業業務実施結果
(3)技研公開2012について
(4)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)第1166回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 本日開催される第1166回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「退任役員の退職金について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)退任役員の退職金について
(総務局)
 平成24年4月24日付で退任した永井研二前専務理事・技師長、金田新前専務理事、大西典良前理事、今井環前理事に対し、「会長、副会長および理事の退職金支給基準」に基づき、退職金を支給することとしたいと思いますので、審議をお願いします。支給額は、4人の総額で9,308万円です。
 本件が了承されれば、本日開催の第1166回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 平成24年3月26日から4月25日までの間に、ニュースと番組について考査した内容を報告します。この期間に、ニュース22項目、番組102本の考査を実施しました。
 ニュースの主な項目としては、日本海にある低気圧が急速に発達し、台風並みの暴風雨が全国各地で猛威を振るったことや、南海トラフ付近で発生が予想される地震による巨大津波などの新たな想定が発表されたことのほか、北朝鮮関連で、事実上のミサイル発射が失敗したことや、キム・ジョンウン氏が父親の権力を継承し、最高指導者のポストに就任したことなどがありました。
 また、番組では、東日本大震災で得た膨大なデータを基に、今回の地震の実像を検証し、今後に迫る脅威を探ったドキュメンタリーシリーズ、NHKスペシャル「MEGAQUAKEU 巨大地震」の第1回「いまの日本の下で何が起きているのか」(4月1日放送)のほか、戦後復興期から高度経済成長期に下町の人々の命を守ろうと奮闘する医師の姿を描く、連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の第1週「あたらしい朝が来た」(4月2日〜7日放送分)や、経済学の知識や考え方を分かりやすく伝える、オイコノミア「アーユー下流?」(4月3日、10日放送)、10代の若者が幸せな未来を手に入れるために役立つ情報番組、オトナへのトビラTV「美肌計画 モテ肌のつくり方!?」(4月19日放送)などの新番組を中心に考査しました。
 考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。


(2)平成23年度事業業務実施結果
(視聴者事業局)
 平成23年度の事業業務実施結果について報告します。
 公開番組やイベントを全国で実施する際には、その成果・効果として、イベントを通じて公共放送への理解がどれだけ進んだかについて、「NHKへの接触機会(イベント実施件数・参加者数)」、「視聴者との結びつき強化(アンケートによる視聴者意向)」、「営業業績への貢献」の3つの視点から、数量的に把握しています。
 まず、「NHKへの接触機会」についてです。23年度にNHKが全国で実施したイベントとしては、教育・教養・こどもイベント(「NHK全国学校音楽コンクール」、「NHK放送体験クラブ」ほか)、公開番組・音楽芸能等(「NHKのど自慢」などの全国放送公開番組、「N響演奏会」地方公演ほか)、福祉イベント(「NHK歳末・海外たすけあい」ほか)、スポーツイベント(「NHK杯国際フィギュアスケート競技大会」ほか)、美術展・展覧会(「生誕100年 岡本太郎展」、「空海と密教美術展」ほか)、会館公開・展示(「渋谷DEどーも」ほか)、福祉・食料・環境キャンペーン等(「ふるさとの食にっぽんの食」、「防災パーク」ほか)があります。また、被災地支援に向けた取り組みとして、全国各地で「東日本大震災義援金募集」やNHKキャラクターによる「被災地応援イベントキャラバン」(74公演)等の公開番組・イベントを行いました。その総実施件数は2,345件、総参加者数は約1,370万人で、それぞれ前年(22年)度より減少していますが、これは主に東日本大震災の影響によるものです。なお、イベントの中止に至る判断や、自治体等の共催相手との調整、参加予定者・視聴者への周知・連絡等、イベント中止に関わる業務については適正に遂行できたと考えています。本部以外の地域で実施した件数は2,013件で、その参加者数は約964万人となっています。全国の総実施件数を366日で割ると、平均で毎日およそ6件のイベントを、全国のどこかで開催してきた計算になります。
 第2点の「視聴者との結びつき強化」については、イベント来場者・参加者の意向や意識の変化、参加傾向等を測るため、23年度は、全国各地域の259件のイベントでアンケート調査を実施し、9万7,225人の参加者から回答を得ました。アンケートの項目は、「イベントの満足度」、「NHKの事業活動への理解度」、「受信料に対する考え方」、および「NHKのイベントへの参加回数」です。その結果、「満足」および「やや満足」という回答の率で示す「イベントの満足度」は、82.4%(前年度83.1%)で、目標とする満足度80%を達成しました。特に、障害者とアーティストとがコラボレーションした作品を展示する福祉イベント「NHKハート展」では、開催地によっては90%を超す非常に高い満足度を得られました。その他、「子ども音楽クラブ」(95.5%)や「親子のはじめてクラシック」(94.3%)をはじめとする子ども・ファミリー層向けのイベント、質の高い音楽・芸能イベントや公開番組で、高い満足度が得られています。
 「NHKに対する理解度」については、イベントへの参加を通じて「NHKへの理解が深まった」とする回答が、70.4%と、前年度に引き続き70%を超える高い数値を得ました。特に、NHKの番組作りに接することができる公開番組やイベント、番組の出演者・制作担当者が参加者に直接語りかける講演会が、NHKに対する理解促進に大きく寄与しています。
 「受信料支払いに対する意識」については、「受信料を支払う意義がある」という回答が64.1%となりました。特に、音楽芸能系の公開番組では、69.3%と高い数値を得るなど、一流のゲストが出演する地域実施の公開番組は、受信料支払いに向けた意識を高めることに効果があると言えます。また、富山放送局制作のドラマ「港町相撲ボーイズ」の出演者によるトークショーなど、地域に根ざしたイベント等も来場者の満足度は高く、支払い意識の向上に大きく寄与するものと思います。
 「NHKのイベントへの参加回数」については、NHKのイベントに初めて参加したという方の割合が57.7%でした。特に地域では、初めて参加した方が62.6%となっており、イベントを通じたNHKへの接触の拡大に寄与しています。また、若い世代向けに開発したイベントや若い世代向けの公開番組では、初めて参加するという方が63.4%で、福岡県での「とことんK−POPプレミアムライブ」(83.2%)や静岡県での「オンバト+」(75.2%)で、とりわけ高い数値を示しています。公開番組に参加した方の多くは、その番組を視聴すると思われますので、こうしたイベントをきっかけにNHKへの接触機会の拡大を図っていきたいと考えています。
 第3点の「営業業績への貢献」については、営業部門と連携しながら、イベントをきっかけとした受信料支払率の向上に取り組み、目標を上回る放送受信契約の取次につなげました。受信料をお支払いいただいている方に限定した観覧募集は、23年度は208本実施しました。
 最後に、平成24年度事業業務については、「平成24〜26年度 NHK経営計画」に基づき、「地域の文化拠点としての活動強化」、「次世代を担う世代に向けたイベントの積極展開」、「視聴者の知的関心に応える、放送と連動した質の高い文化事業の推進」、「“公共放送ならでは”の社会的なテーマへの取り組み」、「受信料制度の理解促進・営業活動に資する施策の推進」の5点を重点事項として取り組んでいきます。引き続き、東日本大震災の被災地を元気づける施策の推進や、新たなサービスの可能性を開く、スーパーハイビジョンによるオリンピックロンドン大会のパブリックビューイングについても、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。

(板野理事)  全国各地で開催するNHKの美術展やイベント等は、地域の方々に非常に喜ばれており、NHKが行う事業として、重要な位置づけになっていると思います。また、年間2,000件を超えるイベント等を開催しており、リスク管理の観点から、安全管理について、万全を期す必要があります。イベント等の実施にあたっては、リスク管理を担当する部局と緊密に連携を図りながら安全管理の徹底に努めてほしいと思います。
(視聴者事業局)  イベント等を実施するにあたっては、さまざまなリスクが想定されますので、リスク管理の担当部局と連携を取りながら行っていきたいと思います。
(福井理事)  「NHKに対する理解度」に関するアンケートについて、イベントの内容や開催する地域によって、NHKに対する理解度が異なると思いますが、地域別に分類したデータはありますか。
(視聴者事業局)  イベントを実施した各地域の放送局が、データを集約していますが、イベントの内容によって視聴者の意識や意向に差がありますので、集約したデータがそのまま地域の意識や意向として捉えることはできないと思います。
(塚田専務理事)  例えば、BSの公開番組では、営業業績が厳しい地域で開催したときでも、「受信料支払いに対する意識」について、高い結果が出ています。このように、アンケートの結果はイベントの内容と密接に連動しており、この数値から地域性を読み取ることは難しいと思います。
(木田理事)  大型の美術展などは、準備に長期間を要すると思いますので、早い段階で制作局や編成局と情報の共有化を図れば、大型のシリーズ番組として、より良い番組が制作できると思います。是非、きめ細かな対応をお願いしたいと思います。
(視聴者事業局)  美術展によっては、準備に4、5年かかることもあり、例えば、「生誕100年 岡本太郎展」などは、ドラマと連動した良い例だと思いますので、今後も早い段階から、制作部門や編成部門と連携を図っていきたいと思います。
(会 長)  業務を進めるうえで、他部局との密接な連携は、非常に効果的ですので、是非、積極的に行ってほしいと思います。
(上滝理事)  昨年度は、東日本大震災の影響もあり、イベントを中止せざるを得ない状況もあった中で、大きな問題もなく実施することができました。引き続き、ご指摘を踏まえつつ、「プロジェクト810」とも適切な連携を図りながら、経営計画の達成に資するイベント内容の充実に向け、一層、取り組んでいきたいと思います。

(3)技研公開2012について
(久保田技師長)
 平成24(2012)年度の放送技術研究所(技研)公開について報告します。
 今年の技研公開の期間は、5月22日から27日までです。5月22日はオープニングセレモニー等を行い、23日は招待者内覧会、24日〜27日を一般公開日とします。
 展示のポイントについて説明します。“わくわくが、あふれだす。”をテーマに、最新の研究成果を36項目展示します。テレビ放送の完全デジタル化後の放送サービスの充実に向けて開発を進めている「ハイブリッドキャスト(放送通信連携システム)」、「スーパーハイビジョン」、「インテグラル立体テレビ(眼鏡が不要な立体テレビ)」、「人にやさしい放送技術」などの研究成果を紹介します。とりわけ今回の「スーパーハイビジョン」は、自発光の直視型ディスプレイで世界初となる145インチのフル解像度プラズマディスプレイを展示します。さらに、接触者率向上に向けたオールNHKの取り組みとして、NHKネットクラブと連携して、プレミアム会員を対象に優先的に招待するイベントや、スタンプラリーを実施します。また、地元の世田谷区と連携した展示も実施します。
 全期間実施する研究展示のほか、5月24日には、技研所長による「2012〜2014年度NHK技研3か年計画」の講演をはじめ、「ハイブリットキャストの展開」や、「スーパーハイビジョンの研究開発とロンドン五輪」についての講演会を行います。また、26日・27日の土日に、技研の職員が解説しながら引率して、好評を得ている一般来場者向けのガイドツアーを実施するのに加え、新たな試みとして、手話通訳付で解説する聴覚障害者向けのツアー(24日〜27日)を実施します。そのほか、小学校高学年から中学生とその保護者を対象に、普段は公開していない技研の特殊実験室などの見学会「実験室探検隊」や工作体験なども実施(26日・27日)し、サービスの充実に努めていきます。


(4)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成24年3月開催分の議事録についての報告(注)。

 注:

放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成24年 5月22日
                     会 長  松 本 正 之

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