日本放送協会 理事会議事録  (平成23年 8月30日開催分)
平成23年 9月22日(木)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年 8月30日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、大西理事、
 今井理事、塚田理事、吉国理事、冷水理事、新山理事、石田理事、
 木田理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成23年度後半期の国内放送番組の編成について
(2)平成23年度後半期の国際放送番組の編成について

2 報告事項
(1)「周波数再編アクションプラン」の見直しに係る意見募集に対する
   意見の提出について


議事経過

1 審議事項
(1)平成23年度後半期の国内放送番組の編成について
(編成局)
 平成23年度後半期の国内放送番組の編成について、審議をお願いします。
 後半期の改定については、昨年度スタートした総合テレビの「あさイチ」や、今年度改定した土曜日と日曜日の午前の時間帯で視聴率の向上など成果が見られるため、夜間帯を中心に変更し、さらなる視聴者層の拡大を目指します。
 後期改定は、各波とも10月3日から実施しますが、BS1は海外のサマータイムが終了となる11月7日からが後期改定となります。時刻表をもとに各波の主なポイントを説明します。
 まず総合テレビです。後期からスタートする番組のうち、いくつかの番組は10月中旬からのスタートとなります。これは、前半期の番組が東日本大震災の影響で放送開始が遅れたことから10月中旬まで続くためです。例えば、「プロフェッショナル 仕事の流儀」は10月17日から、また、火曜日に新設するドラマ「ビターシュガー」は10月18日から開始となります。
 新設する番組のうち、目玉となるのは火曜日午後10時55分に編成する30分間のドラマ枠「よる☆ドラ」です。現在火曜日は午後10時から「ドラマ10」を編成していますので、ドラマが2階建てとなります。新設する「よる☆ドラ」は、「ドラマ10」に比べ、いっそう気楽に見ていただけるようなエンタテインメント性の高いものとします。「よる☆ドラ」の最初のシリーズが「ビターシュガー」です。
 「連続テレビ小説」は、世界的に有名な服飾デザイナー・コシノ姉妹の一家をモデルとした大阪局制作の「カーネーション」です。10月3日のスタートです。さらに、12月4日の午後7時30分からは3年にわたり放送してきた「スペシャルドラマ 坂の上の雲」の第3部、最終回までの4話を放送します。
 そのほか、木曜日の午後8時台を「地球イチバン」に、また、月曜日の午後10時台を「プロフェッショナル 仕事の流儀」、木曜日の午後10時台を「ブラタモリ」にそれぞれ改編します。また、金曜日午後10時55分からは若い女性に好評の「ドラクロワ」を、土曜日午後11時30分からは「祝女(しゅくじょ)」を放送します。
 Eテレでは、土曜日午後11時台に「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」(10月〜12月)や「アンジェラアキのSONG BOOK in English」(1月〜3月)などの若者向けの番組を新設しました。また、現在午後6時台に放送している土曜日のアニメ枠は、午後5時台に繰り上げ、より見やすい編成としました。
 BS1は、ヨーロッパ等のサマータイム終了に伴い、朝の海外ニュース「ワールドWaveモーニング」を8時台まで拡大するほか、月曜日から金曜日の午後11時台に生放送している「地球テレビ エル・ムンド」を再編集した「地球テレビ エル・ムンド増刊号」を、日曜日午前(土曜日深夜)0時台に編成します。内容については高い評価を受けているため、今後のさらなる定着を目指して「増刊号」を放送することにします。
 BSプレミアムでは、水曜日・木曜日の午後8時台から9時台の番組の見られ方を精査し、それぞれの番組をより見やすい時間帯に再配置しました。新設番組では、金曜日午後10時台の海外ドラマ枠に、スタンダールの名作に着想を得た日韓共同制作ドラマ「赤と黒」を17回シリーズで放送します。この「赤と黒」は、出演者が全員韓国の俳優で、ロケーションや制作費用を共同で分担する形で制作しています。また、Eテレで好評のアニメ「忍たま乱太郎」を日曜日午前8時45分から編成するほか、月曜日から木曜日の昼の0時45分にも「はなかっぱ」などのアニメ番組を連日編成するなど、親子での視聴を意識した時間帯を設定し、視聴者層の拡大を目指します。
 ラジオ第1は、日本のプロ野球のシーズンオフに伴い、現在プロ野球を中継している木曜日午後8時台からは、桐島かれんさんをパーソナリティーとした「かれんスタイル」を新設します。金曜日の同じ枠には「いとしのオールディーズ」を編成します。また、日曜日午後3時台は、リニューアルしたスタジオパークで公開収録を行う「スタパ落語会」がスタートします。
 ラジオ第2は、「高校講座」の課目の入れ替えのみの変更です。ワンセグ独自サービスでは、土曜日の「モバイル週間ニュース」を午後5時台から6時台に移設します。なお、FM放送は、変更がありません。
 全体的には編成時間帯の大幅な変更ではなく、一つ一つの番組を精査したうえでの並び替えや入れ替えが中心になっています。
 なお、教養・教育・報道・娯楽の4部門の番組種別については、いずれの放送波も免許の条件を満たした割合となっています。今後は、さまざまな手段を活用してPRに力を入れていきます。
 以上の報告内容が決定されれば、9月13日開催の第1150回経営委員会に報告事項として提出します。

(会 長)  前半期の視聴状況を精査して放送番組の並び替えや入れ替えを行ったということですか。
(編成局)  特にBSプレミアムについては、前半期を踏まえていろいろと意見を聞きながら、週末に近いところにリラックスできる番組を持ってきたほか、BSの中で評価が高くよく視聴されている番組について、より広く見てもらえるよう増刊号という形にするなど、細かな工夫を重ねています。
(会 長)  いろいろな工夫やトライを行うことは大事なことですし、視聴者層を広げる取り組みは今後も続けていってください。
 原案どおり決定します。

(2)平成23年度後半期の国際放送番組の編成について
(国際放送局)
 平成23年度後半期の国際放送番組の編成について、審議をお願いします。
 大幅な改定はありませんが、海外発信を強化していくという方針に沿って、番組の強化を図っていきたいと思います。
 まず、外国人向けテレビ国際放送(NHKワールドTV)については、日本の最先端の科学技術を外国人にわかりやすく紹介する番組「Science View」を新設します。これまでは、Eテレの番組「サイエンス ZERO」を英語化して放送していましたが、国内放送の素材を最大限に活用して、国際放送独自の英語番組として制作します。日本発のサイエンスジャーナリズムの番組として、来年1月からの放送に向けて準備を進めています。
 12月からは、再び「プロフェッショナル 仕事の流儀」を開始します。総合テレビで放送した番組を英語の吹き替えにして、NHKワールドTVで放送します。
 5分単位のミニ番組については、数多くあるものを整理統合してコンセプトをはっきりさせたいと考えています。「新日本風土記」の素材を活用して制作した「もういちど、日本」を再編集し、「Fudoki−Culture and Topography of Japan−」という番組を放送します。「Fudoki」という日本語が、英語圏でも一般的に通用するようになればよいと願っています。
 また、総合テレビで放送している「シリーズ世界遺産100」の中から、アジア・オセアニア地域の世界遺産を厳選し、「WORLD HERITAGE WONDERS」というタイトルで放送する予定です。
 ラジオジャパンについては、アラビア語の放送時間を、現地がサマータイムから標準時に戻ることに伴い変更します。アフリカ西部向けのフランス語放送については、より聞きやすい時間にするため、現地の昼の時間帯から夜の時間帯へと変更します。ヒンディー語の放送については、これまで1日2回の放送でしたが、3回に増やすことで、インドを重視している姿勢を示したいと思います。
 以上の報告内容が決定されれば、9月13日開催の第1150回経営委員会に報告事項として提出します。

(会 長)  「Science View」について、最初から英語番組として制作することは面白い試みだと思います。作業量としてはどうですか。
(国際放送局)  番組制作はNHKエデュケーショナルへの委託となりますが、制作にあたっては、Eテレの「サイエンス ZERO」をはじめとする、いろいろな科学番組の素材を活用しています。現在NHKエデュケーショナルには、科学技術専門のジャーナリストがいますので、日本発英語版のサイエンスジャーナリズムとしてのクオリティをキープしながら、新しい番組に挑戦していこうと思っています。
(会 長)  従来ある映像資産を有効活用しながら、ノウハウを蓄積していってください。また、番組のさらなる展開を図る場合には、権利関係に十分注意を払って進めていってください。
「Fudoki−Culture and Topography of Japan−」について、Fudokiという言葉は定着する可能性はありますか。英語圏の人にとって発音しやすい言葉ですか。
(国際放送局)  短い言葉ですので発音しやすいかと思いますが、定着の可能性については、内容の面白さにかかっていると思います。話題になるように取り組んでいきたいと思います。
(会 長)  国際放送についても、新しい編成で、しっかりと進めていってください。
 原案どおり決定します。

2 報告事項

(1)

「周波数再編アクションプラン」の見直しに係る意見募集に対する意見の提出について

(技術局)
 「周波数再編アクションプラン」の見直しに係る意見募集に対する意見の提出について報告します。この案件は、意見募集に対するNHK意見の提出ですので、本来は理事会の審議を経るべきものですが、昨日8月29日が提出締め切りだったため、理事会運営規定第8条により、会長の決定を得て意見を提出し、本日報告するものです。
 「周波数再編アクションプラン」は、有限希少な電波資源の有効利用を促進するとともに、新たに電波を利用するシステムの導入や周波数の需要の増加に対応することを目的として、定期的に実施している電波利用状況の調査・評価の結果に基づいて、具体的な周波数の再編を円滑かつ着実に実施するために、総務省が随時策定、公表、見直しを行っているものです。今回、平成23年9月改訂版の案が公表され、意見募集が行われました。
 今回の改定案でNHKに係わる主な事項は5点ありました。

(1) 地上テレビ放送のデジタル化に伴う空き周波数への新たな700MHz帯携帯無線通信システムの導入について、電波法の改正により周波数移行に伴う経費負担は移行後の利用者が負担する措置が講じられたので、迅速かつ円滑な周波数移行を進めること、またこの周波数帯を利用するITS(高度道路交通システム)について、技術基準を平成23年度中に策定することとしています。

(2) UHF帯のホワイトスペース(諸条件により本来の使用目的とは別の目的に使用可能な周波数帯)を利用したエリアワンセグ放送システムについて、その実現に向け、平成23年度中に環境整備を行うとしています。

(3) 800MHz帯のFPU(無線中継伝送装置)と特定ラジオマイクの移行先について、それぞれ候補となる周波数帯を設定し、技術的な検討と移行に向けた作業を実施するとしています。

(4) 3.4GHz帯のSTL(放送局から中継局への番組伝送無線回線)、TTL(中継局間の番組伝送無線回線)、TSL(FPU基地局等からの番組素材伝送用の無線回線)、および監視・制御回線について、移行期限を最長で平成34年11月30日とするとともに、第4世代の移動通信システムの早期導入が想定される地域は、移行期限の前倒しの検討を行い、平成24年までに結論を得るとしています。

(5) 21.4GHz〜22GHz帯の衛星放送の導入について、他国との国際調整を進めるとしています。

 以上の5つの項目について、NHKから提出した意見の考え方と概要を説明します。
 (1)の 地上テレビ放送のデジタル化に伴う空き周波数、いわゆる“アナログ跡地”への携帯電話など放送業務以外のシステムの導入については、隣接した周波数帯を放送業務用無線局や地上デジタルテレビ放送が利用しているので、こうした無線局や受信設備の運用に支障を与えることがないよう、十分な方策がとられることを要望しました。
 (2)のエリアワンセグ放送システムの実現については、ホワイトスペース、すなわち地上デジタルテレビ放送と全く同じ周波数帯を利用することから、現行の放送への影響がないことは当然として、技術革新による将来の放送業務にも支障を与えないための適切な措置が講じられていることが必須であることを要望しました。
 (3)の800MHz帯のFPUおよび特定ラジオマイクについては、移行先となる周波数の候補が示されましたが、この移行先周波数においても伝送特性や品質、運用性において支障をきたすことがないことを前提に検討・作業を進めるよう要望しました。
 (4)の3.4GHz帯のSTL、TTL、TSLおよび監視・制御回線については、NHKでは430回線という膨大な数の回線を有していることから、前倒しの検討にあたっても設備更新に合わせた無理のない移行計画を基本として放送事業者に過度の負担を強いることのないような移行方策が示されることを要望しました。
 (5)の21.4GHz〜22GHz帯の衛星放送については、スーパーハイビジョンに適した周波数帯の候補とされていることから、これまでの方針から一歩進めて、国が国際調整を進めることとした取り組みを支持するとともに、その実現に向けた積極的な支援を要望しました。

(会 長)  総務省の方針に対して、NHKとして要望すべきことはすべて盛り込まれていますか。
(技術局)  これまでも周波数再編アクションプランについては、NHKとしての意見を表明してきましたが、今回そのプランがより具体化されましたので、これまでの方針に基づき、必要な意見を提出しています。
(会 長)  今回の意見提出により、どのような効果があるのですか。
(技術局)  これまでもいろいろな場でNHKの意見や要望を出していますが、今回、総務省が改めて広く意見を募集するということですので、NHKとしての公式見解をきちんと示すことで、我々のスタンス、立場を明確にするという意味があります。今後も、必要に応じてこの見解に基づいた意見を出していくこととなります。
(会 長)  今後の電波利用について、将来危惧される点に対する要望を出しましたが、今回、これらの意見・要望を提出することで、危惧する方向にならないようにできるのですか。
(技術局)  国の政策なので、NHKの意見が必ず認められるものではありませんが、例えば、法改正により空き周波数を利用 する事業者がそれに係る経費負担をするという措置が取られたのも、これまでいろいろな場で公式に意見を表明してきた成果だと思っています。今後も公式に意見を表明していくことで、国に対して必要な働きかけをしていきたいと思います。
(会 長)  きちんと意見を表明していくようお願いします。
(技術局)  いろいろな審議会等もありますので、そうした場でも折衝を続けていきたいと思います。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成23年 9月20日
                     会 長  松 本 正 之

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