日本放送協会 理事会議事録  (平成23年 3月28日開催分)
平成23年 4月15日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年 3月28日(月) 午前10時00分〜10時35分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1140回経営委員会付議事項の追加について
(2)放送法関係省令等の整備に関する意見募集への対応について(改 
   正放送法施行関係)
(3)平成23年度暫定収支予算、事業計画及び資金計画の認可申請に
   ついて

2 報告事項
(1)第17回統一地方選挙に伴う政見・経歴放送の編成計画および実
   施体制について
(2)2010年度放送評価調査の結果について


議事経過

1 審議事項
(1)第1140回経営委員会付議事項の追加について
(経営企画局)
 あす3月29日開催の第1140回経営委員会に付議する事項の追加について、審議をお願いします。
 3月23日の理事会で審議、決定された事項のほかに、議決事項として「平成23年度暫定収支予算、事業計画及び資金計画の認可申請について」を追加します。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2) 放送法関係省令等の整備に関する意見募集への対応について(改正放送法施行関係)

(経営企画局)
 放送法関係省令等の整備に関する総務省の意見募集に対して意見を提出したいので、審議をお願いします。
 昨年11月の臨時国会で改正放送法等が成立したことを受け、総務省では、その施行に向けた準備を進めていますが、このたび「放送法施行規則」をはじめ関係省令等13本の改正案を作成し、3月5日から4月4日までの間、これに対する意見募集を行っています。これについて関係部局と検討した結果、改正案の内容に特に大きな問題はないと考えますが、NHKとして幾つかの意見を提出するものです。
 はじめに、意見募集の対象となっている主な省令や告示について、提出意見に関係するものを中心に、概要を説明します。
 まず、「放送法施行規則」の改正案についてです。改正放送法の第113条等で、「基幹放送設備に起因する放送の停止」などの「重大な事故」が発生したときは、「遅滞なく、総務大臣に報告」することが新たに規定されました。今回の改正案では、どういう場合を「重大な事故」と取り扱うかの基準や、報告の方法などを定めています。改正案によると、「重大な事故」として取り扱うのは、NHKの地上放送では、親局での15分以上の放送停止、チャンネルプラン(放送用周波数使用計画)に記載されている中継局での2時間以上の放送停止の場合となっています。チャンネルプランに記載されていない小規模局は報告の対象外です。衛星放送では15分以上の放送停止の場合です。また、報告の方法は、速報として、発生日時、場所、原因、措置模様等を適宜の方法にて報告し、その後、30日以内に正式な様式による報告書を提出することになっています。また、放送の実施状況については、「業務日誌」に記録し、その中の幾つかのものは定期的に行政に報告することになっていますが、今回の改正案では簡素化される内容となっています。なお、ここでは、NHKについては衛星放送に関することを指していますが、地上放送に関する業務日誌については、「電波法施行規則」で定められています。さらに、今回の法改正によって、地上放送にもハードとソフトの分離が導入されましたが、それに対応した放送の種類や区分等が細かく定められます。
 「無線局免許手続規則」は、地上放送の免許申請に必要な手続きを定めるものです。基本的には現在の法運用をそのまま移行したものですが、改正放送法に放送設備の技術基準適合義務が新設されたことに伴い、一部提出資料の記載事項が追加されたものがあります。
 「放送局の開設の根本的基準」と「放送普及基本計画」について説明します。放送普及基本計画は、改正後は「基幹放送普及計画」という名前になりますが、いずれも、放送局の免許などにあたっての基準や行政方針などを定めるものです。地上放送にもハードとソフトの分離が導入されたことから、ハードに関する電波法制とソフトに関する放送法制が分離され、電波法に基づく「放送局の開設の根本的基準」にはハードに関する事項のみを定め、ソフトに関することは「基幹放送普及計画」に定められることになっています。
 以上の改正案に対し、NHKが提出する意見について説明します。大きく分けて4つの内容の意見を提出したいと思います。
 第1は、“全体を通しての意見”です。今回の省令等改正案は、新たな放送・通信融合法制の具体的な運用を定めるものと理解しており、その内容には、基本的には異論はないと考えています。ただ、今後の運用にあたっては、NHKにとって過重な負担や事務作業を課すものとならないように、適切な制度運用が行われるよう要望したいと思います。
 第2は、“「難視聴解消を目的とする放送」区分についての意見”です。 現在NHKが衛星第2で行っている地上放送の難視聴解消放送は、総務大臣の認可を得て、この4月1日で放送を終了することになっていますが、今回の改正案でも放送法施行規則の別表に記載されています。これは、省令改正の時点ですでに存在しない放送区分であることから、削除されることを要望します。
 第3は、“免許手続きについての意見”です。「無線局免許手続規則」の別表で、放送局の免許申請書に添付する無線局事項書の書式が定められています。そこに、今回新たに、「基幹放送の業務に用いる電気通信設備の概要」等の3項目が追加されています。NHKに特段大きな業務負荷がかかるようなものではないようですので、追加されること自体には反対しませんが、念のため、事務作業等の過剰な負担を課すものとならないよう、運用において十分に配慮されるよう要望します。
 第4は、“その他、放送法施行規則の規定の修正を求める意見”です。これは、単純な規定上の不備と思われる4点の事項について指摘するものです。そのままでは不都合が生じますので、修正を要望します。
 最後に、スケジュールについてですが、省令等の整備は、改正法の施行時期にあわせて段階的に実施されています。放送番組の種別の公表に関する放送法施行規則の改正については、NHKの意見を3月15日の理事会で決定し、既に意見を提出済みです。改正放送法のうちこの件に関する条項は、他の規定に先行して3月31日に施行される予定です。今回の改正案については、意見募集の終了後、4月の電波監理審議会に諮問される予定です。このほかに、設備維持のための技術基準関係の改正案がまだ検討中ですが、これについても、改正案がまとまり意見募集が行われる際は、NHKとして対応したいと考えます。

(会 長)  原案どおり決定します。

(3)

平成23年度暫定収支予算、事業計画及び資金計画の認可申請について

(経理局)
 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画(本予算)が今年度内に国会の承認を得ることができない場合に備え、平成23年度暫定収支予算、事業計画及び資金計画(暫定予算)を策定し、経営委員会の議決を得ておきたいと思います。
 暫定予算は、本予算承認までの間、経常的な事業運営に支障を来さないようにするため、放送法第37条の2第1項の規定に基づき総務大臣に認可申請を行うもので、本予算が国会に承認されれば効力を失います。
 本件が了承されれば、あす3月29日開催の第1140回経営委員会に議決事項として提出します。

 

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)

第17回統一地方選挙に伴う政見・経歴放送の編成計画および実施体制について

(編成局)
 第17回統一地方選挙では、北海道、東京、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、佐賀、大分の12都道県(岩手は震災の影響で延期)で知事選挙が実施されます。これらの知事選挙は、3月24日に告示され、4月10日に投票が行われます。これに伴う、政見・経歴放送の編成計画および本部における実施体制について、報告します。
 政見・経歴放送の編成計画については、総合テレビとラジオ第1で、3月28日から投票日の2日前である4月8日までの期間のうち、土・日曜を除く10日間の視聴好適時間に編成します。
 放送回数は、公職選挙法などの規定により、経歴・政見放送(政見放送5分30秒以内、経歴放送30秒以内)を、テレビで2回、ラジオで2回放送します。また、経歴単独の放送(30秒以内)は、テレビで1回、ラジオで3回放送します。
 具体的な編成時間帯については次のとおりです。経歴・政見放送は、総合テレビでは、月〜金曜の午前7時30分〜7時56分(以下、終了時刻は不確定)と午後11時10分〜11時36分に放送します。ただし、計画停電の影響を受ける恐れのある大電力圏の東京(東京都・神奈川県)と、大阪(奈良県)は、午前5時30分〜5時56分に、名古屋(三重県)は、午前6時〜6時26分に放送します。ラジオ第1では、月〜金曜の午前7時20分〜7時46分と午後9時30分〜9時56分に放送します。また、経歴単独の放送は、総合テレビでは、月〜金曜の午前11時54分〜11時57分に、ラジオ第1では、月〜金曜の午前11時55分〜午後0時と午後6時50分〜7時に放送します。ただし、東京都知事選挙の経歴放送は、候補者の人数が多いため1分前倒しして、ラジオ第1の午前11時54分から開始します。
 最後に、政見・経歴放送の実施体制については、放送総局長を実施本部長とし、編成局、広報局制作部、放送技術局を中心に実施しています。

(会 長)  政見・経歴放送の編成計画についてはどういう手順で決めているのですか。
(編成局)  知事選挙が実施される地域の各放送局が、編成局および各都道県の選挙管理委員会と相談・調整しながら放送計画案を作成します。
(副会長)  東北関東大震災の影響で、放送計画を縮小したということはありませんか。
(編成局)  経歴・政見放送の放送時間帯については、計画停電が行われる時間を考慮して編成しましたが、放送回数・内容・時間は、通常と変わりありません。
(金田専務理事)  政見・経歴放送を実施しているときに、緊急報道の必要性が生じた場合は、どのような対応を行うのですか。
(編成局)  視聴者の生命・財産に危険があると考えられる場合は、緊急報道を優先します。政見・経歴放送を中断・休止したときは、改めて後日に編成するなど、当該の候補者に不利が生じないように措置します。

(2)2010年度放送評価調査の結果について
(放送文化研究所)
 2010(平成22)年度に実施した放送評価調査の結果について、報告します。
 放送評価調査は、NHKの放送に対する視聴者の評価を把握するため、2007(平成19)年度から年4回実施しており、今年度で4年目を迎えます。今年度の4回目の調査は、3月4日金曜日から6日日曜日までの3日間、電話法(RDD追跡法)により、全国の20歳以上の男女2,133人を対象に実施し、1,334人(62.5%)から回答を得ました。
 調査では、全体評価として「信頼」、「満足」、「親しみ」、「独自性」、「社会貢献」の5項目、側面別評価として「正確・公平」、「生命・財産を守る」、「娯楽性」、「知識・教養」、「実用性」、「地域への貢献」、「文化の継承・発展」、「福祉」、「教育」、「国際理解」の10項目を掲げ、それぞれについて1点から5点で回答してもらいます。結果は、4点以上の肯定的評価があった回答の率で表わします。新年度が最終年度となる「平成21〜23年度 NHK経営計画」では、この調査の「親しみ」の項目を年度平均で50%以上にすることを目標に掲げています。今年度4回行った調査の「親しみ」の項目の平均は、53%となり、初めて目標を超えました。
 2010年度の調査の結果について、説明します。
 今年度の4回の調査の平均を、2009年(平成21)年度4回の平均と比較すると、全体評価では、「親しみ」(53%、4ポイント増)と「社会貢献」(65%、2ポイント増)が前年度より高くなっています。回答内容を分析すると、「親しみ」の項目に満点の5点を付けた回答が、前年度は全体の21%だったのに対し、今年度は24%に増えました。同じく「満足」の項目に5点を付けた回答は、19%から21%に、「信頼」は30%から32%に増えました。側面別評価では、もともと高い評価を得ている「生命・財産を守る」(73%)と「知識・教養」(69%)などの3項目を除いた7項目で前年度より高くなっています。具体的には、「正確・公平」(63%、2ポイント増)、「娯楽性」(43%、3ポイント増)、「実用性」(58%、3ポイント増)、「地域への貢献」(42%、3ポイント増)、「文化の継承・発展」(55%、3ポイント増)、「福祉」(56%、2ポイント増)、「国際理解」(50%、4ポイント増)の7項目です。側面別評価でも「娯楽性」や「文化の継承・発展」など4項目で5点を付けた回答が増えています。
 男女の年層別に見てみます。全体評価では、若い年代層からの評価が相対的に低く、年代が高くなるにつれて評価も高くなるという傾向は変わっていません。しかし、男女別では、男性より女性の評価が高いという特徴が見られました。側面別評価では、20・30代女性で「正確・公平」、「実用性」、「地域への貢献」、「福祉」、「教育」、「国際理解」の6項目が、60歳以上の女性で「正確・公平」、「娯楽性」、「実用性」、「文化の継承・発展」の4項目が、それぞれ前年度平均より高くなっています。
 全国を北海道・東北、関東、中部・甲信越、近畿、中国・四国、九州の6つの地域に分けて見ると、全体評価では、これまで近畿での評価が他の地域に比べて低めの傾向がありましたが、今回、この近畿でも「親しみ」への評価が年度平均で49%と6ポイント増えました。また「社会貢献」も62%と5ポイント増加しています。地域別の側面別評価について見ると、「娯楽性」の項目では、北海道・東北を除いて全地域で前年度平均より評価が高くなりました。さらに、関東、中部・甲信越、近畿など広い範囲で、前年度より評価の高くなった項目が目立っています。
 この4年間の推移を見ると、「信頼」は、初年度61%であったものが、今年度は66%と5ポイント増加しました。「親しみ」は、初年度48%で、今年度は53%まで増加しました。全体として、どの項目も上昇する傾向が見られます。側面別評価で最も評価の高い項目は、「生命・財産を守る」、続いて「知識・教養」でした。「娯楽性」や「地域への貢献」の項目はパーセンテージ自体は低いのですが、これらの項目についても4年間で評価が上がってきています。
 最後に、この調査では、NHKの放送を視聴する頻度についても質問しています。その結果、視聴するのは「ほとんど毎日」、「3日に1回くらい」、「1週間に1回くらい」という回答を合計した割合が、79%ありました。

(会 長)  「地域への貢献」の評価があまり高くないようですが、これについては何か分析していますか。
(放送文化研究所)  この調査結果だけではなかなか判断しきれませんが、 他の項目を見れば、地域でもNHKの放送に対する評価は高いことから、決してNHKが評価されていないということではなく、地域の視聴者にとっては、NHKは“地域貢献”よりもむしろ、“全国放送”という役割に対するイメージを強く感じているせいではないかと推測しています。その点で、地域の視聴者は、NHKよりも地元の民放に対して「地域への貢献」や「親しみ」を感じているという側面もあるかもしれません。
(会 長)  「親しみ」の項目は5割を超えましたが、要因は何だと考えますか。
(放送文化研究所)  接触者率の向上を目指した番組編成の効果が大きい と考えています。より幅広い層に向けた番組の開発・編成を通じて接触者率向上を目指す取り組みが、徐々に視聴者に理解されてきたのではないかとみています。
(副会長)  20・30代女性の側面別評価の伸びが顕著ですが、この要因は何だと考えますか。
(放送文化研究所)  「あさイチ」や、「大河ドラマ」などの番組が若い女性の支持を得ていることが、大きな要因だと思います。特に「あさイチ」は、近畿でも若い世代から中高年の女性まで幅広い層に視聴されています。これらの番組の視聴率が上がり、視聴者層が拡大したことが、NHKの放送全体の評価に結びついたのではないかと分析しています。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成23年 4月12日
                     会 長  松 本 正 之

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