日本放送協会 理事会議事録  (平成23年 1月25日開催分)
平成23年 2月10日(木)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年 1月25日(火) 午前9時00分〜9時15分

<出   席   者>
 松本会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。付議事項に先立ち、松本会長か
ら就任のあいさつがあった。 付議事項 1 審議事項 (1)平成22年度第3四半期業務報告 (2)中央放送番組審議会委員の委嘱について (3)「放送受信料免除における更新手続き」の考え方への意見募集の実施
   について 2 報告事項 (1)契約・収納活動の状況(平成22年12月末) (2)地方放送番組審議会委員の委嘱について

議事経過

会長就任あいさつ
(会 長)
 本日付で会長に就任しました。役職員の皆さんとともに、放送法の原点を踏まえながら、よりよいNHKを目指して仕事をしていきたいと思います。私は、企業・組織のトップの仕事は“決めること”だと思っています。最終的にはトップとして私が決断しますが、決断するまでのプロセスにおいては、皆さんと一緒によく考え、組織の総合力を最大限に発揮していくことに努めます。そうした形で、よりよいNHKづくりにまい進していきたいと思いますので、よろしくお願いします。


1 審議事項
(1)平成22年度第3四半期業務報告
(経営企画局)
 放送法第22条の2第3項に定める会長の職務の執行状況を、「平成22(2010)年度第3四半期業務報告」のとおり取りまとめましたので、審議をお願いします。
 「平成21〜23年度 NHK経営計画」は、計画期間の半分を過ぎ、この第3四半期から後半の取り組みに入りました。「接触者率3年後80%」、「受信料支払率3年後75%、5年後78%」という経営2目標の達成を確実なものとするため、計画後半の取り組みを組織一丸となって、これまで以上に強化します。
 まず、「今期の概況」として、経営2目標の達成に向けた取り組みと、テレビ放送の完全デジタル化への対応状況を中心に、説明します。
 テレビ放送の完全デジタル化まで残り半年となりました。NHKによる送信設備の整備については、22年12月末までに、総務省が公表したロードマップで示された2,070局すべての開局を完了し、目標を達成しました。一方、受信側の対応については、集合住宅やビル陰共聴(共同受信施設)のデジタル化などが引き続き課題となっています。NHKとしては、国や民放、デジサポ(総務省テレビ受信者支援センター)など関係団体と連携し、対策を強化しているところです。また、周知広報活動も本格化させ、12月からは、衛星第1を含むすべてのアナログ放送で、常時、告知スーパーを実施するようにしました。デジタル化移行の最終段階の取り組みに全力を挙げていきます。
 「接触者率の向上」では、10月に平成22年度後半期の番組改定を行いました。総合テレビでは、半年ぶりに「プロフェッショナル 仕事の流儀」や「ブラタモリ」などを編成しました。11月には大河ドラマ「龍馬伝」が終了しましたが、最終回の平均世帯視聴率は21.3%に上り、12月に放送したスペシャルドラマ「坂の上の雲」は、最高世帯視聴率15.0%となるなど、いずれも好評でした。また、年末の「第61回NHK紅白歌合戦」にも、引き続き高い評価をいただきました。この間、チリの鉱山での落盤事故で地下に閉じこめられた作業員の救出や、北朝鮮による韓国への砲撃など、世界的なニュースが相次ぎました。いずれも特設ニュースなどで詳しく伝え、高い関心を集めました。3−Screensの取り組みでは、「NHKオンデマンド」の新サービスとして、「特選見放題パック」を開始したところ、12月の特選番組の視聴回数が、前月に比べ3.4倍と飛躍的に伸びました。11月には、放送文化研究所が実施している全国接触者率調査の結果が出ました。放送と放送外も含むNHKのメディアに接触した人の割合を示す全体リーチは74.9%と、1年前に比べ若干低下しましたが、統計上の有意差はありませんでした。一方で、放送外リーチは、3ポイント上昇し21.2%となりました。平成23年度は、衛星放送の2波化や地上テレビ放送の完全デジタル化などがあり、大きな節目の年になります。今後、テレビ4波の役割分担を明確にした番組改定などによって、接触者率の向上を図っていきます。
 次に、「受信料支払率の向上」ですが、第3四半期も地域スタッフの業務を契約対策にいっそうパワーシフトしたことなどにより、放送受信契約総数の増加は15万件となりました。今年度累計では39万件の増加で、年間目標の35万件を上回りました。衛星契約も、この期間に26万件増やし、契約現在数が1,523万件となって1,500万件を超えました。今年度予算で見込んだ受信料収入6,550億円の確保や、衛星契約の年間増加目標の達成にめどがたってきました。受信料をめぐっては、10月に「NHK受信料制度等専門調査会」の第1回会合を開催しました。フルデジタル時代の受信料制度に関する諸課題を整理し、次期経営計画の策定に資することなどを目的にしたもので、今年6月ごろを目途に最終報告をまとめる予定です。
 続いて、「収支の概況」について説明します。
 22年12月末の事業収入は5,117億円、事業支出は4,901億円となっています。予算の進捗率は、事業収入が75.4%、事業支出が71.6%となっています。また、事業収支差金は215億円となっています。
 事業収入のうち受信料については、契約総数の増加数、衛星契約の増加数ともに前年度同期の実績を上回って推移しています。今年度累計の受信料収入は、12月末で4,941億円と、前年度比で104億円の増収となっています。今後、年度末に向けて、全局を挙げて受信料収入の確保に取り組むことで、今年度予算で見込んだ受信料収入6,550億円は確保できる見込みです。
 事業支出については、デジタル化にかかる経費助成などの支出が増える見込みですが、全般的な支出抑制に努め、最終的には、予算で61億円の赤字を計上していた年度末の収支を、均衡まで改善することを目指します。
 今期のもう1つのポイントとして、全国の各放送局が22年度の目標として掲げ独自に取り組んでいる「放送局のちから」の中から、活動状況をいくつか紹介します。
 和歌山放送局では、自局のホームページ上に「ティーチャーズサポート」というサイトを新設し、教育現場でNHKの番組をいっそう活用していただこうという取り組みを進めています。
 静岡放送局では、自局ホームページの「防災ポータルサイト」の充実を目標に掲げています。いざというときの避難場所の情報を、パソコン・携帯端末・デ―タ放送で確認できる「避難場所マップ」をサイトに追加し、アクセス数を着実に伸ばしています。
 松山放送局では、スペシャルドラマ「坂の上の雲」のロケの様子を見学したいという視聴者の声にお応えしようと、松山市内でのロケの様子を、ドラマ撮影用とは別に自局のカメラで撮影・伝送し、局内のロビーで生の上映会を実施しました。
 このように全国53の放送局は、それぞれの「放送局のちから」の取り組みを通じて、経営目標の達成に努めています。
 以上の内容が決定されれば、本日開催の第1135経営委員会に報告します。

(会 長)  原案どおり決定し、本日の経営委員会に報告します。

(2)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について、審議をお願いします。
 白石興二郎氏(読売新聞社専務取締役論説委員長)に、平成23年2月1日付で再委嘱したいと思います。
 本件が了承されれば、本日開催の第1135回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

(3)「放送受信料免除における更新手続き」の考え方への意見募集の実施
   について
(営業局)
 放送受信料の免除制度をよりいっそう適正に運用するため、免除事由の継続について確認調査が実施できない場合に限り、再度申請をいただく更新手続きの導入を検討しています。検討にあたって、視聴者の皆さまからの意見募集を実施することとしたいので、審議をお願いします。
 放送受信料の免除については、「日本放送協会放送受信料免除基準」に基づき公的扶助受給者の方や市町村民税非課税の障害者の方等を対象に実施しており、平成21年度末の適用件数は257万件となっています。この免除の適用を希望される場合、免除を受けようとする理由等を記載した申請書と理由の証明書等をNHKに提出していただくとともに、免除の事由が消滅したときは、遅滞なくその旨をNHKに届け出ていただくことが、「日本放送協会放送受信規約」において規定されています。しかしながら、公的扶助の受給状況や市町村民税の課税状況の変更等により免除事由が消滅しても、NHKへの届け出を失念される場合等があり、すべての方から遅滞なくお届けをいただくことが困難な状況にあります。
 こうした状況のもと、NHKでは免除を適用されている方の免除事由の継続について、自治体など免除事由の証明先に定期的に確認調査を実施していますが、本人が調査に同意されない場合や証明先の事情等により、一部では、この確認調査を実施できない場合があります。確認調査が実施できない場合、現在も本人からの届け出をいただくよう周知等を行っていますが、今後、よりいっそう適正に免除制度を運用するため、免除に適用期間を定めることとしたいと考えています。そのうえで、確認調査が実施できない場合に限り、適用期間満了後に免除の継続を希望される方は、あらためて免除申請書と理由の証明書等をNHKに提出していただく更新手続きを導入したいと考えるものです。
 具体的な実施内容は次のとおりです。
 免除の適用を希望される場合、免除を受けようとする理由等を記載した申請書と理由の証明書等をNHKに提出していただくとともに、免除の事由が消滅したときは遅滞なくその旨をNHKに提出していただくという、基本的な手続きの流れは変更ありません。そのうえで、免除の適用については、免除の事由ごとに期間を定めることとし、期間を満了した後も引き続き免除の適用を希望する場合は、あらためて免除申請書と理由の証明書等をNHKに提出していただく更新手続きをお願いすることとします。免除の適用期間については、課税状況等の収入状況が要件となっている場合は1年、それ以外のものについては2年を考えています。災害被災が免除適用の要件となっている場合は、これまでどおり原則として2か月とします。
 ただし、これまでと同様に、自治体など免除事由の証明先に定期的に確認調査を実施し、免除事由が継続していることが確認できた場合、および社会福祉施設または学校においてNHKが免除事由の継続を確認できた場合は、特に免除の更新手続きは必要なく、免除を継続します。一方、免除を受けている方が確認調査に同意していただけない場合や証明先の事情等により、確認調査が実施できない場合は、新たに更新手続きをお願いすることとし、手続きをしていただければ、引き続き免除を適用します。期限までに更新手続きをされない場合は、免除の適用は終了します。更新手続きにあたっては、更新期限の前に、対象者の方にあらためて手続きが必要である旨を通知するとともに、更新手続きを受け付ける期間を十分に確保し、手続き漏れ等がないように留意します。
 この更新手続きの導入により、年間約1万1千件の免除適用解除数が適正化されると見込んでいます。内訳は、全額免除約7千件、半額免除約4千件です。免除適用解除件数の適正化により、年間約8千万円の受信料収入の増加を図ることが可能と考えています。一方、更新手続き対象者への事前通知に伴う郵送費等で、年間約2千万円の運用経費が必要となると見込んでいます。
 実施時期については、平成23年度中に運用を開始したいと考えています。
 今回の意見募集は、以上の検討案と募集要項をNHKホームページに掲載し、視聴者の皆さまに、メール、郵便、FAXでの意見提出をお願いするものです。募集期間については、1月26日から2月8日までの2週間を予定しています。より多くのご意見をいただくために、放送等を通じて募集を周知することとしています。寄せられた意見の概要については、それに対するNHKの考え方と併せて、2月22日の理事会および同日の第1137回経営委員会に報告した後、速やかにNHKホームページ等で公表します。
 そのうえで、意見募集の結果を踏まえ、あらためて「日本放送協会放送受信規約」および「日本放送協会放送受信料免除基準」の変更を理事会・経営委員会に諮り、決定が得られれば、総務大臣に認可を申請することとします。
 以上の内容が決定されれば、本日開催の第1135回経営委員会に報告します。なお、1月18日の理事会で決定した経営委員会付議事項から、議題名を本件のとおりに変更したいと思います。

(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)契約・収納活動の状況(平成22年12月末)
(営業局)
 平成22年12月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、放送受信契約総数の増加状況です。12月は、契約総数活動専念期間を設定するなど、契約・支払い再開活動へのパワーシフトのさらなる徹底に向けて取り組みました。その結果、契約総数の月間増加数は、前年度同月を3.6万件上回る4.6万件となり、12月末の年度累計増加数は、前年度同時期を15.8万件上回る39.0万件(年間計画に対する進捗率111.3%)となって、22年度事業計画の35万件を上回りました。なお、障害者免除や公的扶助受給世帯の増加による有料契約から全額免除への変更は、月間で1.6万件となり、前年度同月を2千件下回りました。12月末の年度累計は13.6万件と、前年度同時期(13.5万件)とほぼ同水準になっています。
 12月の衛星契約増加は、新規契約の確保や、移動世帯の衛星放送受信確認と契約勧奨の徹底に取り組んだ結果、前年度同月を3.1万件上回る9.2万件となりました。年度累計増加数は、前年度同時期を16.0万件上回る67.6万件(年間計画に対する進捗率103.9%)となり、22年度事業計画の65万件を上回りました。
 12月の当年度の収納額は519億円で、前年度同月を10.3億円上回りました。年度累計では4,816億円で、前年度同時期と比較して105.7億円の増収となり、22年度事業計画の増収計画額107億円にほぼ達しています。
 また、前年度受信料の回収額実績は年度累計59.7億円(前年度同時期57.4億円)で、21年度決算時の翌年度回収予定額の58.8億円を超える業績となりました。前々年度以前受信料の回収額実績は、年度累計34.2億円となり、前年度同時期を16.8億円上回りました。
 以上の内容は、本日開催の第1135回経営委員会に報告します。


(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 中国地方で河添達也氏(島根大学教育学部教授)に、九州地方で竹井成美氏(宮崎大学教育文化学部教授)に、いずれも平成23年2月1日付で新規委嘱します。また、中部地方で奥村隆司氏(株式会社べにや旅館代表取締役社長)に、同日付で再委嘱します。
 なお、中国地方の小泉凡委員(島根県立大学短期大学部教授)と九州地方の渡邊眞一郎委員(宮崎県酒造組合会長)は、いずれも任期満了により1月31日付で退任されます。
 本件は、本日開催の第1135回経営委員会に報告します。

(会 長)  先ほど審議した中央放送番組審議会の委員も含めてですが、放送番組審議会の委員の委嘱にあたって、人選はどのような形で行っていますか。
(日向専務理事)  中央も地方も同様なのですが、“学術”や、“文学・芸術”、“経済・産業”などさまざまな分野のバランスをできるだけ考慮しながら、その分野で高い評価を得ている方に委嘱しています。各地方放送番組審議会の委員については、そうした基準に基づいて各地域ブロックの拠点局が推薦し、本部でも確認を行ったうえで委嘱を決定します。全国の委員の分野別の比率は、ここ最近ほぼ一定です。
(会 長)  先ほど中央放送番組審議会では、新聞社の方に再委嘱したいということでしたが、その方も分野のバランスを考えたうえで選ばれたわけですね。
(日向専務理事)  委員を選ぶ際の分野のひとつに、“マスコミ”があります。中央放送番組審議会では、これまで全国紙の論説委員の方に委員となっていただくことが多くなっています。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成23年 2月 8日
                     会 長  松 本 正 之

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