日本放送協会 理事会議事録  (平成22年11月30日開催分)
平成22年12月17日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年11月30日(火) 午前9時00分〜9時15分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1131回経営委員会付議事項について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)放送番組審議会議事録(資料)


議事経過

1 審議事項
(1)第1131回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 12月7日に開催される第1131回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、審議事項として「平成23年度国内放送番組編集の基本計画について」、「平成23年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について」、および「平成23年度収支予算編成要綱」です。また、その他の事項として「平成22年秋季交渉の結果について」です。
(会 長)  原案どおり決定します。


2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 平成22年10月19日から11月16日までの期間に、ニュースと番組について考査した内容を報告します。
 期間中に、ニュースは22項目、番組は事前考査として45本、放送考査として24本の合計69本を考査しました。この期間の大きな項目として、尖閣諸島沖の衝突事件のビデオ流出関連のニュースや、“無縁社会”関連番組などがありました。考査の結果、これらの一連のニュースや番組は、放送法や国内番組基準等に照らし、「妥当」であったと判断します。
 まず、ニュースの考査結果について報告します。
 最初に、沖縄県の尖閣諸島沖で中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で、衝突時の様子を撮影したビデオ映像が、インターネットの動画投稿サイトに流出した問題に関するニュースについてです。11月5日の「NHKニュース おはよう日本」でビデオ映像がインターネット上に流されていることがわかったと伝えました。8日に検察庁が国家公務員法の守秘義務違反事件として捜査を開始、10日に神戸市にある第5管区海上保安本部の海上保安官が「自分が流出させた」と名乗り出ましたが、捜査当局は15日に、この海上保安官を逮捕せずに任意で捜査することを決定しました。ニュースでは、こうした一連の事態の展開を、逐次、詳しく伝える一方で、今回の映像流出が投げかけた多くの論点、「外交機密と“知る権利”」、「ネット社会における情報管理」、「守秘義務」などについて多角的に整理して説明していました。モニターからは、「現状を全体的に捉えることのできる内容で、見ごたえがあった」などの声が寄せられました。なお、今回、インターネットの動画サイトに投稿された映像をニュースで放送しましたが、放送にあたっては、事前に、映像が本物であると確認できたこと、国民が大きな関心を持っていること、すでにインターネットを通じて広く伝わっていることなどのポイントを総合的に判断したということです。適切な判断だったと考えます。
 次に、一連の外交問題に関するニュースについてです。10月29日、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国際会議が行われていたベトナム・ハノイで、いったん決まっていた日中首脳会談が突然中止となり、翌30日に“懇談”という形で行われました。これについてニュースでは、その経緯や背景を伝え、「日中関係の溝の深さをあらためて露呈することになった」と指摘していました。さらに、11月1日、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問したとのニュースでは、大統領の同島訪問の模様を、NHKが委託した地元住民の撮影による独自映像を交えて伝えるとともに、「今回の訪問は尖閣諸島問題と連動している面がある」と指摘していました。その後、13日、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が開かれた横浜市で、日中首脳会談と日ロ首脳会談が相次いで行われましたが、いずれも関係修復に向けた具体的な進展はなかったことを、ポイントを的確に整理して伝え、菅政権の外交立て直しの厳しさを指摘していました。一連のニュースを視聴したモニターからは、「専門家の話で中国の内部事情がわかった」、「北方領土に関するアメリカの立場も紹介され、全体状況がよくわかった」、「ニュースを見て、今後の外交がどのように進んでいくのか、目が離せなくなった」などの声が寄せられています。
 10月20日、鹿児島県奄美大島で、24時間に600mmを超える記録的な豪雨により被害が出たニュースでは、被害の状況を、いち早く被災地に入った記者のリポートなどで刻々と伝えるとともに、その後、被災地住民が撮影したビデオ映像を紹介し、あらためて豪雨のすさまじさや襲ってきた濁流の恐ろしさを生々しく伝えていました。このニュースについて、あえて指摘するとすれば、道路が寸断されている中で記者がいち早く被災地に入りましたが、どうやって現場に到着できたのか、ルートや手段を紹介していれば、地元にとってさらに役立つ情報になったと思います。
 10月21日、羽田空港の新国際線ターミナルがオープンしたニュースでは、オープン初日の動きを紹介するとともに、安全運行面での懸念や着陸料の高さなど国際化に向けて多くの課題があることを伝えていました。当日正午の「ニュース」の中で、中継リポートする記者が、地図や建物の見取り図を説明する際に、フリップの代わりに、タブレット型の携帯情報端末を使っていたことが、新しい試みとして目を引きました。
 続いて、番組の中から3本の考査結果について報告します。
 11月7日放送のNHKスペシャル「862兆円 借金はこうして膨らんだ」では、旧大蔵省の歴代幹部の証言を記録した内部文書「財政史口述資料」と関係者へのインタビューを基に、国の借金が巨大な額に膨らんでいった過程をわかりやすく検証していました。赤字国債の発行が社会保障制度の充実、景気対策、減税などの代償として行われてきた事情が、よく理解できました。ただ、「財政史口述資料」が、どのような意図をもって記録されたものなのか、それが財政政策にどう生かされてきたのか、あるいは生かされてこなかったのか、そうした資料の性格についてもう少し知りたいという感想を持ちました。また、今後の財政問題をどう解決するかについて、もう少し具体的な道筋を提示してもよかったのではないかと思います。モニター報告の中にも同様の指摘がありましたが、全体的には好評意見が多数でした。
 日本の、これから「どうする?無縁社会」(10月30日放送)は、台風14号が関東地方に接近する中、「台風情報」をはさみながらの長時間の生放送でした。独り暮らしのお年寄りを含めた市民や福祉関係者など21人の方が、“無縁社会”の実態と今後の解決策について話し合っていました。今回特に目立った工夫として、3人の専門家がそれぞれ具体的な解決プランを提案し、それを基に議論していたことで、論点がわかりやすく整理され、活発な議論につながっていました。今回の議論を生かして、今後どのような社会をめざすのかについての展望や理念を示してほしいと思います。モニター報告の中には、「大都会だけでなく地方の現状にも焦点を当ててほしい」という声もありました。なお、番組では留守番電話で高齢者の声を募集し、紹介していましたが、そこに寄せられた声は、ラジオ第1でも、11月3日午後に特集番組「あなたの声を聞かせてください〜高齢者の絆は今〜」を編成して紹介していました。
 衛星第1の新番組「China Wow!」は、外国人向けテレビ国際放送の番組を国内向けに放送するもので、“中国の今”をシリーズで伝える番組です。第1回「北京モーターショー 美女たちの戦い」(11月1日放送)は、北京国際モーターショーで活躍する女性モデルたちの姿を追った内容でしたが、国内放送番組として気になった点を3点指摘します。1点目は、音声チャンネルの主音声が英語になっていたことです。通常の番組を見慣れた視聴者は戸惑ったのではないかと思いますし、録画予約していた場合、設定によっては英語音声しか収録できなかったケースもあるのではないかと考えられます。2点目として、番組タイトルで“美女”という言葉をことさらに使うことは、避けるべきではなかったかと考えます。国際放送の原題では、“Model”となっていました。気になった3点目は、自動車を運転中の人にインタビューしていたことです。以前の考査報告でも指摘しましたが、運転中のドライバーにインタビューすることは、会話に気を取られて事故につながる恐れもあり、その必要性を十分に検討したうえで細心の注意をはらって行う必要があります。今回は高速道路の走行中だったこともあり、あらためて注意を呼びかけたいと思います。
 最後に、番組ホームページについてのモニターからの報告です。
 今回は、「福祉ネットワーク」、「きらっといきる」、「天才てれびくんMAX」、「デジスタ・ティーンズ」など、福祉番組や教育番組についてモニタリングを依頼しました。全体としては、「福祉、教育番組のホームページにふさわしく、文字やレイアウトが見やすく工夫されている。人権やプライバシーについてもよく配慮されている」という感想が寄せられました。また、番組に関連した商品の情報についても、NHK内で定めたルールの範囲内で紹介しており、問題はありませんでした。


(2)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成22年10月開催分の議事録についての報告(注)。

 注: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年12月14日
                     会 長  福 地 茂 雄

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