日本放送協会 理事会議事録  (平成22年11月16日開催分)
平成22年12月 3日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年11月16日(火) 午前9時00分〜9時30分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。
 付議事項の最後に、福地会長から経営理念の具体化に関する指示があ
った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1130回経営委員会付議事項について
(2)地上デジタルテレビ放送の都市難視地域における受信障害対策共聴施
   設への経費助成の実施について
(3)平成22年度後半期国内放送番組の編成の一部変更について
(4)「外国人向けテレビジョン国際放送の放送番組を有線テレビジョン放
   送事業者に放送と同時に提供する業務」の実施について

2 報告事項
(1)「NHK文化祭2010」の実施結果について

3 経営理念の具体化に関する会長指示


議事経過

1 審議事項
(1)第1130回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 11月24日に開催される第1130回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「『外国人向けテレビジョン国際放送の放送番組を有線テレビジョン放送事業者に放送と同時に提供する業務』の実施について」と「地上デジタルテレビ放送の都市難視地域における受信障害対策共聴施設への経費助成の実施について」、審議事項として「平成23年度予算編成方針」です。また、報告事項として「平成22年度後半期国内放送番組の編成の一部変更について」、「平成22年度上半期決算について」、「契約・収納活動の状況(平成22年10月末)」、「財政の現況(平成22年10月末)」、「視聴者対応報告(平成22年10月)について」、「『NHK文化祭2010』の実施結果について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2) 地上デジタルテレビ放送の都市難視地域における受信障害対策共聴施設への経費助成の実施について

(技術局)
 地上テレビ放送のアナログからデジタルへの完全移行が目前に迫っていますが、受信障害対策共聴(共同受信)施設のデジタル化改修はいまだ遅れており、視聴者保護の観点からその短期間での推進を図るため、ビル陰等による電波受信障害の対策として設置された共聴施設の、デジタル化改修等に必要な経費の一部を助成する業務を、きわめて緊急的かつ暫定的・一時的な措置として実施することとしたいと考えます。本業務は、放送法第9条第2項第8号に規定する「放送及びその受信の進歩発達に特に必要な業務」として実施しますので、同法第9条第10項の規定により総務大臣の認可が必要となることから、認可申請に向けて審議をお願いします。
 本業務は、ビル陰等による地上テレビ放送の都市難視聴地域に設置された受信障害対策共聴施設のうち、NHKの地上デジタルテレビ放送が引き続き都市難視聴となる地域において、NHKの地デジ放送を安定的かつ継続的に受信できるようにその施設の改修等を実施しようとする場合について、当該施設の管理者等に対し、国が改修等に要した経費と認めた額の4分の1を、100万円を上限として助成するものです。対象となる施設の要件は、NHKのデジタル都市難視地域にあること、施設の設置・運用が有線電気通信法や有線テレビジョン放送法など関連法規に適合した共聴施設であること、国の支援制度を利用していることなどで、助成先はNHKと放送受信契約を締結している施設管理者等に限ります。
 実施期間は、平成23年1月1日から24年3月31日までで、申請の受け付けは、23年7月24日までとします。22年度中は、約1,000施設(約11万世帯)に対して実施し、約7億円を支出することになると見込んでいます。23年度は約3,000施設(約33万世帯)に対する実施を見込んでおり、経費として21億円を予算に計上する予定です。
 以上の内容が了承されれば、11月24日開催の第1130回経営委員会に議決事項として提出し、経営委員会の議決が得られれば、総務大臣に認可を申請します。


(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

(3)平成22年度後半期国内放送番組の編成の一部変更について
(編成局)
 8月31日の理事会で決定した、「平成22年度後半期の国内放送番組の編成について」の、総合テレビの放送番組時刻表について、土曜日と日曜日の午前中の編成を、1月から変更したいと考えます。
 土曜日については、現在、午前8時45分から放送している「さわやか自然百景」と、午前9時から放送している「小さな旅」を、いずれも日曜日に移設し、午前8時45分から9時25分まで、新番組「ニュース 深読み」(1月15日〜)を編成します。土曜日の朝、家族向けに、最新の話題や出来事をていねいに、深く、おもしろく解剖する番組です。“わかりやすい”ニュース番組が求められている昨今ですが、この番組では、“わかりやすい”だけでなく、複数の専門家や事情通による多角的視点を提供し、背景や深層まで“深読み”します。
 日曜日については、午前7時45分から「さわやか自然百景」を、午前8時から「小さな旅」を、移設して編成します。午前8時25分からは、「課外授業 ようこそ先輩」(現行午前8時35分〜9時)を5分拡大して編成し、「お知らせ」をはさんで午前8時57分から「気象情報」を新設します。現在午前7時45分から放送している「新・三銃士」と、午前8時から放送している「週刊こどもニュース」は、年内で終了します。
 本議案が決定されれば、11月24日開催の第1130回経営委員会に報告事項として提出します。

(会 長)  「週刊こどもニュース」は、ニュースを非常にわかりやすく解説する、とてもよい番組だと思いますが、もう放送しないのですか。
(日向専務理事)  「週刊こどもニュース」を発展させて、「ニュース 深読み」に移行するということになります。「週刊こどもニュース」は、子ども向けと言いながら、実際は、むしろ高齢者層がよく視聴しているという実態があります。そこで、子どもに限らず大人にとってもよくわかるニュースということを意識して、「ニュース 深読み」を新設するものです。
(会 長)  原案どおり決定します。

(4) 「外国人向けテレビジョン国際放送の放送番組を有線テレビジョン放送事業者に放送と同時に提供する業務」の実施について

(国際放送局)
 国内に在住する外国人視聴者の日本理解を促進するとともに、外国人視聴者から寄せられる意見等を放送番組に反映させることを通じて番組の質の向上を図り、国際放送の進歩・発達に資するため、NHKの外国人向けテレビジョン国際放送(NHKワールドTV)の放送番組を、有線テレビジョン放送事業者(CATV)に放送と同時に提供する業務を実施したいと考えます。本業務は、放送法第9条第2項第8号に規定する「放送及びその受信の進歩発達に特に必要な業務」として実施しますので、同法第9条第10項の規定により総務大臣の認可が必要となることから、認可申請に向けて審議をお願いします。
 本業務は、CATVに対し、その自主番組として、1日平均23時間程度、NHKワールドTVの放送番組を放送と同時に提供するものです。番組の提供は、アジアサット等の外国衛星から送信されるNHKワールドTVの放送番組を、CATVがパラボラアンテナを設置するなど自らの負担によって、直接または他の事業者を介して受信することにより実施します。提供する番組は、NHKワールドTVの全放送番組で、提供は無償とします。一方、提供先のCATVは、これを有線テレビ放送するにあたり、加入者から追加料金を徴収しないこととします。このほか、提供にあたっては、有線テレビジョン放送法上の国内番組編集準則や当該CATVの番組基準に適合させることを目的とする限りにおいて、CATVによる番組の改編等を認めます。提供先は、NHKワールドTVの放送番組が国内在住の外国人の日本理解の促進にも資するとの観点からそれを受信し有線テレビ放送する等の実施計画があり、NHKに対し提供を求めているCATVで、NHKが本業務を実施するにふさわしいと認めた事業者とします。NHKとしては、無償提供のため収入はなく、業務にあたっての支出も生じない見込みです。
 業務の実施時期は、平成23年1月1日から同年12月31日までとし、提供の継続が必要な場合は、1年ごとにあらためて提供継続のための認可申請を行うこととします。
 なお、NHKワールドTVと同じ放送波で、(株)日本国際放送(JIB)が独自に編成する番組も放送していますが、本業務の提供番組の中に、JIBの放送番組は含まれません。
 以上の内容が了承されれば、11月24日開催の第1130回経営委員会に議決事項として提出し、経営委員会の議決が得られれば、総務大臣に認可を申請します。


(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)「NHK文化祭2010」の実施結果について
(編成局)
 「NHK文化祭2010」の実施結果について報告します。子どもとその家族が対象の“教育番組の祭典”のイメージがあった「NHK教育フェア」を、今年から、若者も大人も対象とした、教育文化的・国際的サービスを多様に体験できるイベント「NHK文化祭」にリニューアルして、10月20日から11月7日まで実施しました。
 まず、「NHK文化祭」の中核となる視聴者ふれあいイベントの「NHK文化祭たいけん広場」について報告します。今年は、10月30日から11月3日まで5日間実施しました。あいにく台風14号に見舞われ土・日の出足に影響があったため、総入場者数は5万4,956人と、例年の6割程度でしたが、幸い事故やトラブルはありませんでした。
 展示内容としては、巨大シアターでの3D上映や、お客様が自分の姿を立体映像で視聴できる3D生体験、自分の周りの現実空間に架空のCGキャラクターや映像がシンクロして見えるAR(拡張現実)技術を使ったゲームなど、最新のデジタル技術を活用したコンテンツを体験していただきました。また、デジタルアニメとNHKライブラリーを融合させた新しい試みを通じて、お客様に新旧のNHKの映像資産にふれていただきました。
 会場での公開収録については、NHKの教育サービスを幅広くとらえて対象を広げるという観点から、教育テレビだけでなく総合テレビや衛星第1、ラジオ第1の番組を公開収録し、お客様に参加していただきました。
 さらに、新たな試みとして、NHKの正面エントランスとNHKスタジオパークのエントランスを仕切っているシャッターを開放し、それぞれのイベントステージをお客様が自由に行き来できるようにして、イベント会場の広がりを感じていただきました。
 なお、会場でのデジタルPR活動として、屋外ステージでキャラクター・ショー「地デジってナンだ?・BS見えない?MOTTAINAI〜忍たま乱太郎」を上演、親しみやすくデジタル放送を周知し、普及促進を図りました。
 次に、10月20日から27日まで実施した、「第37回『日本賞』教育コンテンツ国際コンクール」について報告します。
 平成20年度から、募集の対象を従来の「教育番組」から「音と映像を用いた教育コンテンツ」に広げてリニューアルしましたが、今年はさらに、革新的なメディア活用に挑む優秀なノンリニア作品を表彰する「イノベイティブ・メディア賞(経済産業大臣賞)」を新設し展開した結果、世界64の国と地域の226機関から、史上最多となる409本のエントリーがありました。また、期間中、フォーラム等も含め、32の国と地域から740人の参加がありました。
 11の国と地域からの14人の委員による審査の結果、グランプリ日本賞(コンテンツ部門最高賞)には、NHKが制作したハイビジョン特集「素数の魔力に囚(とら)われた人々 〜リーマン予想・天才たちの150年の闘い〜」が選ばれました。教育性と表現性がいずれも高く評価されたものです。NHKの番組ではほかに、NHKエデュケーショナルおよびカタールの放送局と共同制作した、大科学実験「音の速さを見てみよう」が、児童向けカテゴリー最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞しました。新設のイノベイティブ・メディア賞には、ドイツから出品されたウェブサイト「サウンドボックス」が選ばれました。
 関連番組については、例年どおり授賞式の模様を紹介する「第37回日本賞授賞式 輝け!教育コンテンツ世界一」を10月31日に放送したほか、受賞番組の紹介として、幅広い層に向けたダイジェスト番組「秋の夜長はまなびかふぇ〜日本賞 教育コンテンツ国際コンクール」(11月5日放送)と、受賞作品の最新の挑戦を紹介する番組「世界の教育コンテンツ最前線〜進化する双方向スタイル〜」(10月30日放送)の2番組を放送しました。
 続いて、「NHK文化祭」関連番組の特別編成についてです。これについても、教育テレビだけでなく、総合テレビ、衛星第1、ラジオ第1、国際放送の各放送波と連動した多彩なラインナップの番組編成を、10月23日から11月7日の期間、実施しました。例えば、「NHK文化祭たいけん広場」の会場では、教育テレビの人気番組「きょうの料理」のスペシャルイベント「クッキングコンテスト」を開催し、総合テレビで「きょうの料理 クッキングコンテスト2010」として生放送(10月31日)するなど、計8番組の公開収録を実施し、放送しました。さらに、教育テレビの定時番組のスペシャル版を集中編成し、番組のいっそうの周知と新たな視聴者の獲得を図りました。
 「アジア教育プロデューサー会議」は、10月22日から27日まで実施しました。今回は、「ABU未来への航海」の後続企画となる「ABUデジスタ・ティーンズ」に向けて、NHKのほかタイ、マレーシア、モンゴル、イランなど各国の放送局のプロデューサー9人が集まり、プレ番組として制作した「デジスタ・ティーンズ@ASIA」を視聴しながら、イベントや番組制作の方向性について議論しました。「ABUデジスタ・ティーンズ」は、ワークショップなどの持ち方を含めて教育的価値が高いと評価され、参加を希望する制作者が増えています。
 最後に、「第11回アジア・フィルム・フェスティバル」について報告します。今回は、10月23日から27日までの5日間実施し、アジア映画の新作4作品とアンコール3作品の計7作品を上映しました。昨年より会期が1日短かったことから、来場者数は952人と、昨年より200人程度少なかったのですが、来場者からは、「ふだん見ることができないアジア映画を紹介してくれる貴重な機会」、「NHKならではの企画、今後も長く続けてほしい」といった熱心な支持の声が寄せられました。

(会 長)  「NHK文化祭」では、「日本賞」やABUなどの関連番組等の内容が、非常に充実してきていると感じています。ただ、中核となる「NHK文化祭たいけん広場」の会場が、この3年間、諸般の事情でしだいに狭くなってきています。視聴者の皆さまとの“ふれあい”の場としてきわめて重要ですし、さまざまな部門の職員が連携しあって取り組んでいることにもたいへん意義がありますので、来年の開催に向けては、各役員も協力して「NHK文化祭たいけん広場」の拡充を図ってください。

3 経営理念の具体化に関する会長指示
(会 長)
 ひとつ提案があります。NHKには、“視聴者目線”や“視聴者満足”など、経営の考え方を表す言葉はありますが、経営理念を形として具体化したものがありません。来年、平成23年は、放送が完全デジタル化する、NHKにとって大きな変革の年になります。それにあわせて、NHKの経営理念を具体的な形で表すとともに、そこに職員がアイデンティティーを見いだせるような何かを作ってはどうかと思います。経営企画局で検討し、提案してください。

(経営企画局)  NHKの次期経営計画に掲げる経営理念、経営目標の検討にあわせて、経営理念を具体化する素案を準備したいと思います。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年11月30日
                     会 長  福 地 茂 雄

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