日本放送協会 理事会議事録  (平成22年10月12日開催分)
平成22年10月29日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年10月12日(火) 午前9時00分〜9時15分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。
 付議事項の最後に、今井理事から、報道局職員によるコンプライアンス
事案について、報告があった。


付議事項

1 審議事項
(1)中央放送番組審議会委員の委嘱について

2 報道局職員によるコンプライアンス事案について

議事経過

1 審議事項
(1)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について、審議をお願いします。
 駒崎弘樹氏(NPO法人フローレンス代表理事)に、本日(平成22年10月12日)付で新規委嘱したいと思います。また、大軒由敬氏(朝日新聞社論説主幹)に、11月1日付で再委嘱したいと思います。
 本件が了承されれば、本日開催される第1127回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。

2 報道局職員によるコンプライアンス事案について
(今井理事)
 報道局スポーツ部で取材を担当する職員が、大相撲の野球賭博をめぐる取材の過程で、警察の捜査情報と受け取られかねない内容の携帯メールを日本相撲協会の関係者に送っていたことがわかりました。これについては、10月8日に報道発表しましたが、その後、新たな事実は出ていません。この件により、視聴者の皆さまのNHKに対する信頼を損ねるとともに、関係する方々に多大な迷惑をおかけしましたことを、深くお詫びいたします。申し訳ございません。
 職員による株のインサイダー取引の事件があってから、NHKでは、ジャーナリストとしての職員教育や報道倫理の徹底に取り組んできました。しかし、今回、報道に携わる者として基本中の基本を逸脱した言語道断の事案が発生したことは、残念でなりません。職員教育に至らぬ点があったと言わざるを得ないと考えます。
 報道局では、緊急の会議を開いて事案の経緯を説明するとともに厳しく注意喚起し、報道倫理の徹底を呼びかけました。全国の報道現場に対しても、インサイダー取引事件の後、報道倫理に関する職場討議を毎年実施してきましたが、今回、緊急の討議を開催し、事案について説明しながら、あらためて報道倫理の徹底を図りたいと考えています。
 また、ジャーナリストとしての職員教育のありようについて、抜本的な見直しが必要であると考えます。総務局人事労務部にも職員教育のメニューを再検討してもらいますが、今後、第三者である有識者の意見も取り入れる形で職員教育の内容を見直し、コンプライアンスの徹底に努めていきたいと思います。

(会 長)  今回の事案を受けて緊急の討議や研修等を行うことはもちろん大切ですが、職員に向けたコンプライアンス教育は、ずっと継続して実施し、職員全員が漏れなく参加するようにしてください。今回の事案が起こったのは、私が記者会見して、日本相撲協会の反社会的勢力に対する姿勢に問題があるため大相撲名古屋場所の中継を中止すると発表した数時間後でした。報道を担当していれば、会見を通じて自らの組織のトップが何を考えているかを聞いていたはずですが、それにもかかわらず、直後に問題のメールを関係者に送信するとは、普通では考えられないことです。今回の事案は、インサイダー取引事件からおよそ2年半がたち、職員の中に気のゆるみが出てしまうことがあるのではないかと危ぐしていた矢先のことでした。コンプライアンスについては、やはり継続的な取り組みが必要です。あらためてコンプライアンスを徹底するように、適切な第三者の意見も聴きながら、職員教育のありようを再度検討してください。
(今井理事)  当該の職員も、報道局内で毎月実施してきた研修等に参加していました。それでもなお、今回の事案が起きたということは、肝心の中身が伝わっていなかったということです。この点を真剣に反省し、職員教育をどのようにしていけばいいか、しっかりと考えていきたいと思います。
(副会長)  今回の事案は、基本にかかわる問題として、報道に携わるすべての者が自らの戒めとしなければならないと思います。この件では、携帯メールが手段として使われたことが特徴的です。取材や番組制作の手段として、携帯端末を含めたインターネットの使用が増えていますので、取材や番組制作でインターネットを使用する際の心構えについても、あらためて検討したほうがいいと思います。
(金田専務理事)  以前に勤めていた企業で、当時の経済部の記者と懇談を交わす機会がありましたが、企業合併などのいわゆる“スクープ”情報は、当事者と深い関係を結ばなければ得ることができないと言っていたことを覚えています。それは、経済の取材に限った話ではないと思います。しかし、今でもそうした取材のしかたがよいのか、コンプライアンスということを越えたより大きな観点から、ジャーナリズムのありようについて考え直したほうがいいのではないでしょうか。職員教育については、外部の有識者の意見を聴くことも大事ですが、ジャーナリズムのありようは基本となることですから、NHKの内部でしっかりと議論すべきことだと思います。
(吉国理事)  ちょうど今月から12月までをコンプライアンス推進強化月間として、さまざまな活動を展開していこうとしていましたが、報道現場に限らずNHK全体として、以前の不祥事から少々時間がたち、厳しい立場に置かれた当時の経験が風化してきているのではないかと思われる部分があります。もう一度引き締めるためにも、「コンプライアンスには終点がない」ということを訴え続けながら、全部局の職員が自ら真剣にコンプライアンスに取り組む活動としていきたいと思います。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年10月25日
                     会 長  福 地 茂 雄

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