日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 9月21日開催分)
平成22年10月 8日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 9月21日(火) 午前9時00分〜9時40分

<出   席   者>
 福地会長、永井技師長、金田専務理事、溝口理事、八幡理事、
 大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1126回経営委員会付議事項について
(2)視聴者対応報告(平成22年7・8月)について

2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成22年7・8月)
(2)NHK文化祭2010について
(3)契約・収納活動の状況(平成22年8月末)

議事経過

1 審議事項
(1)第1126回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 9月28日に開催される第1126回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「衛星放送の現行3波の廃止および新規2波の申請について」と「日本放送協会放送受信規約の一部変更について」、報告事項として「NHK受信料制度等専門調査会の設置について」、「視聴者対応報告(平成22年7・8月)について」、「契約・収納活動の状況(平成22年8月末)」、「財政の現況(平成22年8月末)」、「NHK文化祭2010について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。また、その他の事項として「平成23年度予算編成の課題とスケジュール」です。

(会 長)   原案どおり決定します。

(2)視聴者対応報告(平成22年7・8月)について
(視聴者事業局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成22年7月・8月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、9月28日開催の第1126回経営委員会に報告したいと思います。
 NHKに寄せられた視聴者の声の総数は、7月が39万0,119件、8月が39万6,288件でした。内訳は、苦情を含む「意見・要望」が、7月は9万4,169件(24%)、8月は8万3,179件(21%)で、「問い合わせ」が、7月は25万3,790件(65%)、8月は27万1,367件(68%)、「その他・不明」が、7月は4万2,160件(11%)、8月は4万1,742件(11%)でした。苦情や要望などを含めた意見のうち、1次窓口で対応を完了した件数の割合は、7月が93%、8月が92%でした。残りの7月の7%、8月の8%は該当部局に転送し、2次対応しました。分野別では、7月の「放送番組」への反響が、14万7,000件を超えました。これは、6月に大相撲の賭博問題や「2010FIFAワールドカップ」の放送についての声が非常に多くありましたが、7月も引き続き大相撲の賭博問題に関する反響が多く寄せられたことによるものです。8月は、約13万4,000件と通常の件数に戻っています。
 7月の参議院議員選挙関連番組への反響について報告します。NHKでは、7月11日に行われた参議院議員選挙に際して、公示前や公示期間中のさまざまな選挙報道番組、投開票当日から翌朝にかけての開票速報、結果判明後の「討論スペシャル」と、関連する多くの番組を放送しました。このうち、「参院選2010開票速報」には、7月中に633件の反響が寄せられました。これは、昨年の衆院選の開票速報に寄せられた814件や、3年前の参院選の開票速報に寄せられた878件の反響よりも少ない件数でした。視聴者からは、「開票率が0%なのに、“当選確実”を出すのは早すぎる」、「各候補者の得票数をもっと放送してほしい」などの意見や要望がありました。また、翌日に放送した、討論スペシャル「有権者の声にどうこたえる」には、619件の反響が寄せられました。「きょうの番組はいい討論だと思う。司会者が批判合戦にならないよう上手に誘導している」といった好評意見や、「FAXやメールでしか意見を受け付けないのではなく、電話でも対応してもらいたい」といった要望などさまざまな反響がありました。また、昨年の衆院選で放送した同様の番組と比べると、60代と70歳以上の方からの反響がやや多くなっています。
 次に、8月に反響の多かった戦争関連の3つの番組について報告します。8月12日に放送した「爆笑問題の“戦争”入門」では、408件の反響が寄せられました。爆笑問題の2人を司会に、矢口真里さんや品川祐さんをはじめとする“戦争を知らない1億人”の代表と、神山繁さんほか“戦争を知っている2千万人”の代表が出演し、クイズや再現ドラマ、当時の流行歌や物語の解説なども交えて展開するかつてない戦争論に、多くの意見が寄せられました。具体的な声として「同じ世代の爆笑問題が進行することで、戦争をより身近に感じることができた」、「若手の芸能人と戦中派の出演者たちとの議論がかみ合っていなかった」といった意見が寄せられました。
 8月13日に放送した、「色つきの悪夢〜カラーでよみがえる第二次世界大戦〜」には、731件の反響が寄せられました。「カラー化された映像がリアルで、若いゲストの謙虚な意見にも感動した」、「戦争についてもう一度自分自身に問う良い機会となった」など多くの好評意見が寄せられました。また、8月15日に放送した、NHKスペシャル 終戦特集ドラマ「15歳の志願兵」には、軍部が学校と一体となって中学生を軍国少年に変えていったという実話を基にした内容に、多くの好評意見を含む357件の反響が寄せられました。
 次に、視聴者から厳しい意見が寄せられた事例を報告します。8月6日の広島平和記念式典の中継では、菅首相のあいさつが終わった後の8時38分に全国放送の中継を終了したところ、その後に行われたパン・ギムン国連事務総長の演説を中継で聞きたかったという意見が426件寄せられました。NHKでは、例年、首相のあいさつまでを中継していることもあり、今年も全体の番組編成の関係で、全国放送で中継するのは菅首相のあいさつまでとし、パン事務総長の演説の模様など中継で放送しきれなかった式典の様子については、その後のニュースの中で伝えるという判断をしました。しかし、今回寄せられた多くの視聴者からの指摘を踏まえ、今後は、視聴者のニーズを勘案し、より柔軟な編成を検討する必要があると考えています。
 続いて、視聴者から寄せられた意見や要望への対応事例を紹介します。8月25日に放送した、ためしてガッテン「夏冷え解消!しょうが 使い方が間違ってた!」では、薄くスライスしたしょうがを電子レンジで加熱し、乾燥しょうがを作る調理法を紹介しましたが、この調理法を試してみたところ、しょうがが燃えるなど、うまく調理ができないという指摘が10件以上寄せられました。放送前の予備実験では、しょうがが燃える事象は発生しなかったため、このような事態を想定していませんでしたが、使うしょうがの分量や厚さ、水分量、電子レンジの機種など条件によっては加熱しすぎとなり、しょうがが燃える恐れがあることがわかりました。そこで、「ためしてガッテン」と連動して同じ話題を取り上げた27日の「あさイチ」では、乾燥しょうがを作る際には、天日干しをし、電子レンジは使わないよう注意を呼びかけるとともに、「ためしてガッテン」の再放送では、電子レンジでの作り方のシーンをカットし、電子レンジは使わないよう呼びかけました。
 また、この夏の猛暑に際したデータ放送に関する指摘を紹介します。「ニュースでは東京都練馬区の最高気温が38.2度だったのに、データ放送では37.9度になっている。間違っているのではないか」との指摘がありました。NHKでは、ニュース、データ放送ともに、気象庁が全国に設置しているアメダスで観測された最高気温のデータを伝えています。このうちニュースでは、全国の観測データのうち“10秒間隔で観測した”最高気温を伝えていますが、データ放送では“10分間隔で観測した”データを最高気温として伝えています。同じ最高気温でも観測の精度が異なっているため、データ放送では多くの場合、最高気温が実際よりも低く表示されています。しかし、今回の指摘を踏まえ、今後はデータ放送の最高・最低気温の値についても、“10秒間隔”の精度の高い気温を表示できないか、システムの改修も含め、検討していきます。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読については、視聴者からの指摘に基づき確認した結果、7月は62件、8月は43件の表記のミスや読み間違いなどがありました。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知し、現場に注意を喚起しました。
 放送受信料に関して、7月は17万2,374件、8月は19万2,363件の意見や問い合わせが寄せられました。受信料の事務手続きの遅れや行き違い等について寄せられた苦情の中には、視聴者のみなさまに手続きをしていただく際に、地域スタッフの説明が不十分だったことが原因となっているものがあります。こうした事例ができるだけ発生しないようにする取り組みのひとつとして、営業局では、7月から事務手続きに関する注意点をまとめたDVDを全国の地域スタッフに視聴させ、情報の共有化を図ることで業務の改善に結びつけています。
 最後に、地上デジタル放送への移行についての反響を報告します。放送の完全デジタル化まであと1年となり、7月5日からは、NHKと民放のアナログ放送のほぼすべての番組の画面がレターボックスサイズ(上下に黒い帯のような部分が出て映像が横長に映る画面)となりました。これに対し、8月までに736件の意見や問い合わせが寄せられました。初日の7月5日には、「きょうから画面の上下が黒くなっているが、非常に見にくい」などの意見や問い合わせが85件寄せられましたが、1週間後の12日には35件、以後7月末までは1日10件から20件程度、8月に入ってからは1日10件以下と日を追って少なくなっています。また、完全デジタル化のちょうど1年前にあたる7月24日には、総合テレビで関連番組を集中して編成しました。これらの番組についても「今までの地デジ関連番組で一番わかりやすかった」、「デジタル放送を見るための費用負担をもっと明確にすべきだ」などさまざまな意見が寄せられました。

(会 長)   原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。


2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成22年7・8月)
(視聴者事業局)
 受信料支払率向上と接触者率向上の経営2目標の達成に向けた「放送局のちから」活動について、平成22年7月・8月分を報告します。
 7月・8月には、全国の放送局から362件の活動報告が集まりました。その取り組み内容を、「視聴者層拡大」、「地域・社会貢献」、「地デジ普及促進」、「3−Screens展開」、「受信料支払率の向上」、「その他」の6種類に分類すると、今回は「視聴者層拡大」と「地域・社会貢献」に向けた取り組みがともに多く報告されています。また、放送の完全デジタル化まで1年となった7月は、「地デジ普及促進」に向けた活動も積極的に行われました。その中から取り組み事例をいくつか紹介します。
 はじめに、口てい疫の発生でさまざまな影響が出た宮崎県での取り組みについてです。宮崎放送局では、5月18日の口てい疫に対する県の非常事態宣言を受けて、さまざまな取り組みを行いました。5月20日には、口てい疫に関する情報を掲載する専用ホームページを開設し、8月末までの3か月間で、95万ページビューのアクセスがありました。また、夕方の地域情報番組では、宮崎県にゆかりのある著名人の応援メッセージを放送し、視聴者から「勇気づけられた」という反響が寄せられました。無観客試合となってしまった高校野球の県大会では、試合の様子をテレビで4試合、試合の結果をラジオで36試合、球場からリポートしました。さらに、8月27日の終息宣言の後も地域応援キャンペーンを続けようと、宮崎放送局内に「ファイト!宮崎プロジェクト」を発足させました。今後も、さまざまな番組やイベントを展開していくことにしています。
 静岡放送局では、東海地震の備えに対する機運が高まる中、行政が定めている警戒宣言時の避難場所について「複雑で、実際の避難イメージがつかみづらい」という声があり、周知が課題とされていたことから、避難場所をわかりやすいマップにし、防災ポータルサイトやデータ放送に掲載しました。パソコンや携帯に加えデータ放送でも手軽にご覧いただくことができます。ホームページへのアクセスは、特に防災月間の9月に入ってから大幅に増加しており、9月第2週までの累計アクセス数は、パソコンと携帯をあわせ27万4,258ページビューに上がっています。
 続いて、札幌放送局の活動についてです。昨年、札幌放送局では、30代の親たちからの要望に応えて、NHK交響楽団のメンバーによる演奏で、子ども連れでも楽しむことができるクラシックコンサートを企画・開催しました。反響が大きかったこのコンサートを、今年は札幌、函館、釧路の3か所で実施し、さらに函館と釧路では子どもたちが直接楽器に触れる機会も作って話題になりました。イベント終了後も専用のホームページを通して、参加者とのふれあいを続けています。
 次に、1年後となった放送の完全デジタル化をPRする取り組みについて、2つの地域放送局の事例を紹介します。鳥取県の米子市など県西部の地域では、これまで教育テレビは鳥取放送局の電波を受信できず、ほとんどの世帯が松江放送局の電波を受信していたため、鳥取放送局では、高校野球の県大会などの県域放送を教育テレビで編成できませんでした。平成18年10月に地上デジタル放送の中継局を整備したことで、県西部でもデジタル放送では鳥取放送局発の教育テレビを受信できるようになりましたが、まだ受信機の普及が少なかったため、デジタル教育でも鳥取県域の放送を見合わせてきました。しかし、今年3月の総務省による調査で、鳥取県の地デジ対応テレビの世帯普及率が86%となったことから、鳥取放送局では今夏の高校野球の県大会で一部の試合を初めてデジタル教育テレビで県域中継し、県西部の視聴者に地デジをアピールしていっそうの普及促進につなげました。また、沖縄放送局では、世帯普及率の向上を目指して、完全デジタル化のちょうど1年前にあたる7月24日に、那覇市内中心地の国際通りでNHK、民放各社、総務省テレビ受信者支援センターと共同で、地デジ普及イベントとパレードを行い、地デジの普及促進に努めました。
 7月・8月に全国から寄せられた活動報告には、祭りや花火大会など地域のイベントにあわせた視聴者層拡大の取り組みも多く、43件の報告がありました。いくつかの事例を紹介します。徳島放送局では、「阿波おどり」にあわせ、会館ロビーで「第4回 NHK熱い夏 みんなロビーで阿波おどり」(8月13日〜15日)を開催しました。41連(グループ)2,100人が踊りを披露し、過去最多の4,700人の観客が来場しました。8月12日には、徳島を舞台とした平成21年度後期の連続テレビ小説「ウェルかめ」に出演した室井滋さんを先頭に、総勢60人の“NHK連”が市内最大の藍場演舞場で踊りを披露し、地域放送局のPRに努めました。6月からは専用ホームページを開設し、衛星ハイビジョンで放送した「新日本風土記・阿波おどり」の動画配信なども行いました。盛岡放送局では、東北地方を代表する夏祭り「盛岡さんさ踊り」に、放送会館周辺の住民たちと踊りのチームであるNHK連を結成して参加し、地域とのつながりを強めています。子どもが参加できる数少ないチームであることから、20代から30代の親子連れの参加が多く、若年層とふれあう絶好の機会となっています。秋田放送局では、全国的に知名度の高い「秋田大曲全国花火競技大会」を平成10年から衛星ハイビジョンで生中継し、秋田を全国にPRしていますが、昨年からはホームページも立ち上げ、大会の見どころや過去の映像を配信しています。今年8月のホームページのアクセス数は39.6万ページビューで、昨年の同時期と比べ約2倍となりました。また、地元で行われる花火大会の打ち上げ会場に近い松江放送局や福岡放送局では、花火大会にあわせ、放送会館や付属施設を開放し、視聴者とのふれあいを深めました。
 続いて、ふれあいミーティングについて報告します。7月・8月のふれあいミーティングは全国で180回開催し、5,839人の方が参加しました。
 そのうち、本部のライツ・アーカイブスセンターと制作局、視聴者事業局が共同で開催したふれあいミーティングでは、東京・渋谷の放送センターに訪れた全国各地の商業高校の先生24人と、教育現場に役立つ番組の活用方法などを議論しました。「高校簿記などの専門教科の放送を充実してほしい」、「生徒のためになる『ためしてガッテン』、『クエスタ』などの番組は続けてほしい」などの意見や要望がありました。また、ミーティングの題材となるよう、参加者が教えている各校の生徒898人に、事前にアンケートを実施し、若い世代のテレビ視聴動向の把握に努めました。その結果、約4割の生徒が好きな番組のジャンルを“バラエティ”や“お笑い”と答え、また「部活や勉強が忙しい」、「面白い番組がない」などの理由で約3割が「テレビを見ない」と答えていることもわかりました。
 視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善について報告します。7月・8月は、全国の放送局から159件の改善事例が報告されました。
 そのうち、仙台放送局では、猛暑の今年、視聴者のニーズに応えて、データ放送に温度計表示を加えました。「いまの気温・湿度」、「3時間ごとの天気」、「明日以降5日間の天気予報」が簡単に切り替えられるなど操作性の向上にも力を入れました。また、鹿児島放送局では、台風進路図を県内向けに拡大表示も可能にするなど加工し、データ放送で情報提供しました。視聴者からは「とても見やすくなった」と好評です。鳥取放送局では、7月5日のアナログ放送画面のレターボックスサイズ化に伴い、画面が左右に広く使えるようになったことを生かして、これまで2日先まで表示していた公共交通機関の空席情報を、1日増やし、3日先まで表示できるように改善しました。
 最後に、NHKネットクラブについての報告です。8月末のNHKネットクラブ会員数は、75万4,649人となっています。
 7月・8月は、夏休み期間にあわせ、会員向けの親子イベントを集中的に開催しました。なかでも、8月2日の「ワンワンとあそぼうショー」に、7,418件もの応募があったのをはじめ、いずれのイベントも多くの方々が訪れました。また、夏休みの子ども向け企画として、NHKや番組のキャラクターのぬり絵15種類がダウンロードできるサービスを実施したところ、延べ1万4,978件のダウンロードがありました。そのうちポイント特典とした3種のぬり絵のダウンロードサービス利用者は、計2,648人で、その1割は、新規に会員登録をされた方でした。

(金田専務理事)  「ふれあいミーティング」と「改善活動」については、 取り組み件数が多い上位10の放送局がわかる表を資料として出してもらいましたが、これらは大変重要な活動です。全放送局のそれぞれの取り組み件数がわかる表にしてもらいたいと思います。
(会 長)  そのとおりだと思います。視聴者目線での放送や業務運営を行ううえで、「ふれあいミーティング」は、視聴者のご意見を直接伺うことができる大変貴重な機会です。また「改善活動」も重要な活動だと考えています。全国的に取り組むことはもちろんですが、まず本部が率先して積極的に取り組んでいかなくてはなりませんので、本部各部局の件数もわかるようにしてください。

(2)NHK文化祭2010について
(編成局)
 10月20日から11月7日まで開催する「NHK文化祭2010」について報告します。
 昨年までは、子どもとその家族を対象とした“教育番組の祭典”として「NHK教育フェア」を開催してきました。今年からは、若者をはじめ幅広い層に対象を広げ、教育分野だけでなくより多様な文化的・国際的コンテンツサービスを体験できるようにするとともに、制作者にとっては、国内外の最先端で切磋琢磨(せっさたくま)しあい新たなサービス開発につなげる複合イベントを目指して、「NHK文化祭」にリニューアルします。
 「NHK文化祭」を構成するおもなイベント等としては、「NHK文化祭たいけん広場2010」、「第37回『日本賞』教育コンテンツ国際コンクール」、「関連番組特別編成」、「アジア教育プロデューサー会議」、「第11回NHKアジア・フィルム・フェスティバル」があります。それぞれについて説明します。
 最初に、「NHK文化祭たいけん広場2010」です。昨年まで「NHK秋のふれあい広場」として親しまれてきた、東京・渋谷の放送センターの会館公開イベントをリニューアルし、コンテンツの制作現場にじかに触れて楽しみながら、3Dコンテンツや新時代のデジタルコンテンツをはじめ、子ども向け、若者向け、アニメ、国際放送、アーカイブス、語学・趣味実用コンテンツなど、あらゆる世代に向けたNHKの教育・文化的サービスを実感していただきます。今回の展示はいずれも、番組制作現場の担当者が企画・提案したものです。
 おもな展示内容としては、“3D元年”と言われる今年にふさわしく、放送センターの4階正面ロビーに巨大な3Dシアターを特設し、人形劇「新・三銃士」の3D作品などを上映します。また、「あなたも出演!3D!」と題したコーナーでは、実際の3Dカメラとプロの技術者により、“自分の姿を3D映像で見る”という体験をお客様に楽しんでいただきます。
 さまざまなデジタルコンテンツの実験・開発に向けた展示もあります。1つは、AR(拡張現実)を通じて、未来のテレビ・デジタルコンテンツの魅力を体験するコーナーを設置します。ARとは、自分の周りの現実空間に架空のCGキャラクターや映像がシンクロして見える技術のことです。お客様の目の前にCGの昆虫が出現するなど、未来の映像技術を親子で体験していただきます。また、新番組「デジスタ・ティーンズ」と、NHKのコンテンツ素材提供サービス「NHKクリエイティブ・ライブラリー」を連携させた、「自分が出演するミニ番組」制作コーナーも設置します。このコーナーでは、NHKが保有する数々の良質な映像の中で、お客様自身がモデルとなったCGキャラクターがリポーターとして出演する、NHKならではのインタラクティブ・メディアが体験できます。
 そのほか、NHKふれあいホール、NHKスタジオパーク、屋外ステージでは、「シャキーン!」、「えいごであそぼ」、「J−MELO」など子どもやティーンズに人気の番組のスペシャルショーや、「たべもの一直線」、「ヒミツのちからんど」、「Jブンガク」など家族で楽しめる番組の公開収録を行います。
 「たいけん広場」の開催期間は、10月30日から11月3日までです。昨年の「ふれあい広場」には、約9万人の来場がありました。今年もそれ以上の人出を期待したいと思います。
 なお、この期間は、NHKスタジオパークを「視聴者感謝デー」として無料で公開します。また、10月30日土曜日と31日日曜日の両日、「たいけん広場」の会場やその周辺で、「“ふるさとの食・にっぽんの食”東京フェスティバル」が同時開催されます。
 次に、「第37回『日本賞』教育コンテンツ国際コンクール」について説明します。
 「日本賞」は、世界の教育番組の向上を図るとともに国際的な理解と協力の促進に役立つことを目的として、1965(昭和40)年にNHKが創設したもので、デジタル放送やインターネットが教育現場に急速に普及している世界の現状を踏まえ、一昨年に対象を“教育番組”から“音と映像を用いた教育コンテンツ”に広げてからは、今回で3回目となります。
 応募は、幼児向け、青少年向け、生涯教育などのカテゴリー別に受け付けていますが、今年から、同じカテゴリーに、放送番組などのリニア・コンテンツとウェブサイトなどのノンリニア・コンテンツの両方を出品できるようにすることで、いっそう多くの最先端のコンテンツが競い合う場となるよう改善しました。また、革新的なメディア活用に挑む優秀なノンリニア作品に贈る「イノベイティブ・メディア賞(経済産業大臣賞)」を新設しました。
 こうした取り組みにより、今年は、世界64の国・地域の226機関から、史上最多となる合計409本の作品応募があり、そのうちノンリニア・コンテンツの応募も88本で過去最多でした。今回の応募作品では、各国の教育省・文化省等の傘下の公共機関や、大学などの研究機関からの初参加が目立っています。また、同じカテゴリーにテレビ番組とウェブサイトの両方が出品できるようになったことで、イギリスのBBCやアメリカのWGBH教育財団など大手の機関から、複数のエントリーが戦略的に寄せられていることが印象的です。なお、NHKからは、コンテンツ部門の各カテゴリーに合計5本の番組と1本のウェブサイトを出品し、そのうち、幼児向け、児童向け、生涯教育、福祉教育の4本の番組が一次審査を通過しています。
 コンクールの透明性を高めるため、一昨年から審査基準をホームページで公開するようにしました。今年は、審査委員に12の国・地域(アメリカ、オーストラリア、カナダ、韓国、スウェーデン、台湾、ドイツ、トルコ、日本、ブラジル、ポーランド、南アフリカ)から15人の番組制作、教育学、コンテンツ制作の専門家を迎え、厳正な審査を行います。
 日程は、10月20日に開会式、20日から26日の期間に、上映会、プレゼンテーションと審査などを行い、27日に授賞式を開催します。
 また、「日本賞」関連番組として、10月31日夜9時から「第37回『日本賞』授賞式」を、11月5日夜11時から今年の受賞作品を一挙に紹介する「第37回『日本賞』受賞作品」を、それぞれ教育テレビで放送します。さらに、昨年の「日本賞」受賞者の最新の挑戦と教育コンテンツの最前線を紹介する国際放送番組(英語版)「Cutting Edge AV for Education」を、9月26日にNHKワールドTVで、その日本語版「世界の教育コンテンツ最前線〜進化する双方向スタイル〜」を、10月30日午後2時から教育テレビ、および11月3日午後5時から衛星第1で放送します。
 第3に、「NHK文化祭」の期間を中心とした「関連番組特別編成」として、「たいけん広場」会場で来場者と一緒に作る公開番組や、「日本賞」関連番組など、多彩な教育・文化番組を、10月24日から11月7日の期間に集中的に編成します。公開番組の一部は、収録・編集の日程の都合により、この期間以降に編成するものもあります。
 第4に、「アジア教育プロデューサー会議」は、10月22日から27日の期間に開催します。これまでは国際環境教育イベント「ABU未来への航海」と連動してきましたが、今回は、2011(平成23)年から開催予定の国際共同制作番組「ABUデジスタ・ティーンズ」に参加を予定しているアジア各国のプロデューサーが集まり、今年度制作したパイロット版の視聴と、その制作に参加した韓国、香港、タイ、マレーシアの各放送局のプロデューサーによる報告を基に、今後の方向や若い世代のメディア教育のあり方などを議論します。また、プロデューサーたちは、「『日本賞』クロスメディア・フォーラム」などさまざまなイベントにも参加して、教育番組の制作スキルの向上と制作者同士のネットワーク強化を図ります。
 最後に、アジアの映像文化の振興に寄与することを目的として、アジア各国で活躍する気鋭の映画監督の新作から優れた作品を精選して上映する「第11回NHKアジア・フィルム・フェスティバル」は、10月23日から27日まで、NHKふれあいホールで開催します。今回は、映画の背景にある文化や歴史への理解を深める一助として、23日と24日の土日の上映にあわせて、各国の事情に詳しい識者の解説も予定しています。


(3)契約・収納活動の状況(平成22年8月末)
(営業局)
 平成22年8月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、放送受信契約総数の増加状況です。8月は、「第3期(8月・9月)総数プラス2万件活動」を全国で展開し、猛暑の中、営業職員と委託契約収納員が一緒になって現場を駆け回るなどして、業績確保に取り組みました。その結果、月間の増加数は、前年度同月を2.2万件上回る2.7万件となり、8月末の年度累計増加数は、前年度同時期を4千件上回って17.7万件(年間計画に対する進ちょく率50.6%)となりました。年度累計の増加数が前年度同時期を上回ったのは、今年度初めてです。一方で、障害者免除や公的扶助受給世帯の増加による有料契約から全額免除への変更は、月間で1.5万件となり、前年度同月を1千件上回っています。引き続き動向を注視する必要があります。契約総数増加の確保に向けては、今後も重点的に取り組んでいくことにしています。
 8月の衛星契約増加は、新規契約の確保や、受信機の買い替えによる地上契約から衛星契約への契約変更の対策を強化するとともに、集中対策日を設定して取り組んだ結果、前年度同月を1.6万件上回る6.5万件となりました。年度累計増加数は34.1万件(年間計画に対する進ちょく率52.5%)で、前年度同時期を4.9万件上回っています。
 8月の当年度の収納額は509億円で、前年度同月を7.2億円上回りました。年度累計では2,622億円で、前年度同時期と比較して53.1億円の増収となっています。
 前年度受信料の回収額実績は年度累計45.7億円で、前年度同時期を1.1億円下回っていますが、前々年度以前受信料の回収額実績は、累計18.0億円となり、前年度同時期を7.9億円上回りました。
 以上の内容は、9月28日開催の第1126回経営委員会にも報告します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年10月 5日
                     会 長  福 地 茂 雄

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