日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 6月21日開催分)
平成22年 7月 9日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 6月21日(月) 午後1時30分〜2時10分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1121回経営委員会付議事項の変更について
(2)視聴者対応報告(平成22年5月)について

2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成22年5月)
(2)契約・収納活動の状況(平成22年5月末)
(3)財政の現況(平成22年5月末)
(4)財団法人放送文化基金の平成21年度事業報告および収支決算に
   ついて
(5)地方放送番組審議会委員の委嘱について

議事経過

1 審議事項
(1)第1121回経営委員会付議事項の変更について
(経営企画局)
 あす6月22日とあさって23日に開催される第1121回経営委員会に付議する事項の変更について、審議をお願いします。
 当初、議決事項として付議を予定していた「中央放送番組審議会委員の委嘱について」は、今回は付議を取りやめます。また、報告事項の「地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について」は、議題名を「地方放送番組審議会委員の委嘱について」とします。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)視聴者対応報告(平成22年5月)について
(視聴者事業局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成22年5月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、あさって6月23日の第1121回経営委員会に報告したいと思います。
 5月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は、37万1,963件でした。4月は世帯移動の時期にあたり受信料関係の問い合わせや意見が増えたため通常よりも多くの反響件数がありましたが、5月は通常の件数に戻っています。内訳は、苦情を含む「意見・要望」が7万0,492件(19%)、「問い合わせ」が26万0,943件(70%)、「その他・不明」が4万0,528件(11%)でした。苦情や要望などを含めた意見のうち、1次窓口で対応を完了した件数の割合は91%でした。残りの9%は該当部局に転送し、2次対応しました。
 5月に、放送番組に関して寄せられた反響総数は、12万4,493件で、意見は4万5,274件、問い合わせは7万9,219件でした。
 5月に反響の多かった上位10番組の中に、総合テレビ5月28日放送のシリーズ 音楽のチカラ「ピアニスト辻井伸行〜心の目で描く“展覧会の絵”〜」(437件、8位)が入っています。5月26〜28日の3夜にわたって、さまざまなジャンルの音楽ドキュメンタリーをシリーズで放送したうちの3回目の番組です。この「シリーズ 音楽のチカラ」には、3回合わせて907件の反響がありました。作詞家の松本隆さんを取り上げた1回目には40代の女性から、イギリスの女性歌手スーザン・ボイルさんを取り上げた2回目には50代の女性から多くの反響が集まり、辻井伸行さんを取り上げた3回目には60代の男性と40〜60代の女性を中心に反響が寄せられています。なお、この3回目の番組に対して、再放送の希望が5月の番組で3番目に多い254件あり、6月10日に再放送しました。
 関連して、音楽番組の中でもクラシック番組には、ファンから詳細で専門的な指摘が寄せられることが多いので、その例を紹介します。
 5月30日のFM放送「名演奏ライブラリー」で、スペインのソプラノ歌手モンセラット・カバリェさんの歌を紹介しました。放送では正しく「スペインの歌手」と紹介しましたが、ホームページやNHKの番組情報誌「ステラ」の番組表には、「イタリアの名ソプラノ」と記載されていました。間違っているという指摘を受けて、ホームページを修正しました。また、5月11日のFM放送「ベストオブクラシック」で、ホームページの番組表に記載されている楽曲の演奏時間が間違っていることが、指摘によりわかりました。音楽ファンにとっては演奏時間も重要な情報なので、ホームページの掲載情報にもいっそう正確を期すよう、関係の部局に注意を喚起しました。
 5月には、宮崎県内で家畜の伝染病である口てい疫の感染が相次ぎ、政府は、総理大臣を本部長とする対策本部を17日に設置、18日には宮崎県が非常事態宣言を出しました。感染の第一報が伝えられた4月20日から5月末までの期間に、関連のニュースや番組に対して2,055件の意見や感想が寄せられました。口てい疫に関する反響は、政府の対策本部が設置された17日を境に急増しています。また、同日までの反響は、「関連の放送が少ない、もっと放送してほしい」という意見や要望が中心でしたが、その後は、県や国の対応に対する批判や、放送内容への不満・要望が多くなっています。この関連で対応事例をひとつ紹介します。5月26日の「時論公論」で、「宮崎県の家畜改良事業団で飼育していた49頭の種牛の中から感染の疑いのある牛が見つかった」と解説しましたが、正しくは、同じ施設で飼っている牛に感染の疑いが見つかったもので、49頭の種牛に感染の疑いは出ていませんでした。視聴者から指摘があり、翌日の同じ番組でおわびと訂正をしました。
 視聴者から寄せられた意見や要望への対応事例を紹介します。
 教育テレビの「ハーバード白熱教室」は再放送枠がなく、多くの視聴者から再放送の要望が寄せられていました。そこで、5月以降、毎週日曜日午前1時05分から再放送することにしました。編成計画になかった定時の再放送枠を年度の途中から設けることは通常あまりないことですが、視聴者の声に応えたものです。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読については、視聴者からの指摘に基づき確認した結果、62件の表記のミスや読み間違いなどがありました。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知し、現場に注意を喚起しました。特に、「一段落」を「いちだんらく」ではなく「ひとだんらく」と誤って読んだことに対する指摘が、今年1月から5月に放送した4つの番組でありましたので、あらためて注意喚起しました。
 放送受信料に関して、コールセンターに寄せられる苦情の中には、事務処理の遅れや行き違い等が原因となっているものがあります。こうした苦情ができるだけ発生しないようにする取り組みのひとつとして、営業局では、全国の営業職員がこれまでの対応事例を教訓とするための冊子「業務のチェックポイント」を作成・配付し、部内での情報の共有を図っており、5月にはこれをリニューアルして、あらためて業務の改善につなげています。こうした取り組みにより、受信料の事務処理関係の苦情は、20年4月には420件、同5月には350件発生していましたが、今年4月は211件、5月は157件と、2年前の件数から半減しています。
 経営全般に対して、5月に寄せられた意見や要望は2,375件でした。
 NHKでは、民事手続きによる受信料の支払督促を実施していますが、支払督促の申立てまたは判決が確定したにもかかわらず、支払いがないままの8人の相手方に、このまま支払いがない場合は強制執行により回収を行わざるを得ないことを、5月14日付で郵送により予告しました。そのうえで、支払いに応じてもらえなかった5人に対し、5月26日、所在地を管轄する地方裁判所に強制執行の申立書を発送しました。受信料の未収者に対する初の強制執行申立てについて、「受信料を払わない人がいるのは不公平。もっと早く強制執行すべきだった」という意見や、「裁判で取り立てるのではなく別の対策を講じるべき」という声など、合わせて182件の反響がありました。NHKとしては、今後も誠心誠意の対応を尽くして支払いをお願いするという基本姿勢は変わらないものの、どうしてもやむを得ないと判断した場合は、支払督促制度と強制執行手続きを活用して、受信料の公平負担の徹底を図っていく旨のコメントを発表しています。

(会 長)   原案どおり決定し、あさっての経営委員会に報告します。


2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成22年5月)
(視聴者事業局)
 受信料支払率向上と接触者率向上の経営2目標の達成に向けた「放送局のちから」活動について、平成22年5月分を報告します。
 5月には、全国の放送局から154件の活動報告が集まりました。そのうち4分の1にあたる38件が、大型連休期間中に実施した視聴者とのふれあい活動に関するものでした。その取り組み事例をいくつか紹介します。
 北九州放送局では、平成15年に現在の放送会館に移転して以来、毎週日曜日に局内のスタジオで、地元の音楽家たちによる演奏会「NHKサンデーコンサート」を開催しています。実施回数は300回を超え、これまでに出演した市民は2,000人以上にのぼります。5月2日には、「あつまれ!ちびっこ音楽家」と題して、幼稚園児から小学校6年生までの地元の子どもたち32組が歌や演奏を披露しました。その模様は会館受付前の大型モニターでも同時上映しました。子どもたちにとって励みになるとともに、保護者からは「子どもが演奏する機会が身近にあることにとても感謝している」という声が寄せられました。
 大阪放送局では、毎年春と秋の2回、大規模な会館公開イベントを実施しています。今春は5月1日から5日にかけて実施し、参加者は10万人を超えました。今回は、大阪放送局の新しいマスコットキャラクター“びぃきんぐ”をお披露目するのにあわせて、NHK各放送局のマスコットキャラクターを集めたコーナーを企画し、“どーもくん”や“ななみちゃん”をはじめ全国24放送局から37のキャラクターが大集合してステージショーなどを展開、会場を盛り上げました。マスコットキャラクターを通じて各放送局の存在感をアピールするとともに、お客様からもたいへん喜ばれました。
 山形市内の商店街と商工会議所が、はしご消防車や災害用炊き出し車など市民のために活躍する車を展示するイベントを、昭和62年から毎年5月5日に開催しています。山形放送局では、その第1回から中継車を展示し、毎年工夫を凝らしたふれあい活動を展開しています。今年は、中継車を使ったカメラマン・スイッチャー体験に200人、局のホームページで展開している写真ギャラリー「笑顔をつなぐ」の撮影に76人、「おかあさんといっしょ」などの人気キャラクターとの親子記念撮影に400家族1,000人の参加がありました。
 奈良放送局では、平城遷都1300年にあたり、観光都市・奈良の活性化に向けて行政などと連動したさまざまな取り組みを展開しています。そのひとつとして、昨年に続いて2回目となる「NHKなら万葉ウォークラリーU」を5月3日に開催しました。前回の参加者から、「ラリーに加えて奈良の魅力を学べる機会があると良い」という声があったのを受けて、今回は古都・奈良を音で体感してもらう工夫をしました。元興寺では住職による声明を、春日大社では雅楽の演奏を通じて奈良の魅力を紹介し、32組60人の参加者からは、「もっと奈良を歩いてみたい」、「奈良の歴史の奥深さに感動した」などの声が寄せられました。
 5月の154件の活動報告について、その取り組み内容を、「地域・社会貢献」、「視聴者層拡大」、「地上デジタル普及促進」、「3−Screens展開」、「受信料支払率の向上」、「その他」の6種類に分類すると、「地域・社会貢献」が88件で最多となっています。
 各放送局の取り組みをいくつか紹介します。
 富山放送局では、夕方の地域ニュース情報番組の中で「月イチお出かけ隊」というコーナーを今年度からスタートさせました。この企画は、富山県内各地へ出向いて地域の取り組みを生中継で伝えるとともに、経営目標の達成と地上デジタル放送の普及促進につながるふれあい活動を展開するものです。5月25日には、富山大学のキャンパスに出かけ、サッカー解説者が2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会の見どころを紹介するトークショーや、同大学のサッカー部員が出演しての「地上デジタルひとくちメモ」コーナーの収録、5.1chサラウンド放送の体験コーナー、中継車の公開などを実施しました。あわせて新入生をおもな対象として、受信料制度の理解促進と受信契約の勧奨に取り組み、支払率向上につなげました。
 本部のライツ・アーカイブスセンターでは、NHKアーカイブスに保存されている番組の教育現場での活用を促進しています。その一環として、NHKアーカイブスの大学等での学術利用に向けたトライアル研究をスタートさせました。これは、「保存されているニュースや番組を研究論文の材料として閲覧したい」という研究者からの要望に応えたもので、3月に、「メディア環境における『水俣』の記録と記憶」をテーマにした法政大学のメディア研究チームや、「寺山修司の放送ジャンル活動の実証研究」をテーマにした東京大学の大学院生など、第1期の5グループが閲覧を開始しました。アーカイブスを利用した研究の開始が話題となり、研究利用の要望が多く届いたことから、第2期となる5月は研究枠を拡大し、11グループの閲覧利用が決定しています。
 続いて、ふれあいミーティングと、視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善について報告します。5月のふれあいミーティングは全国で184回開催し、3,567人の方が参加しました。なかでも放送技術研究所では、技研公開等にあわせて60回開催しています。業務の改善活動については、5月は76件の事例報告がありました。
 ふれあいミーティングの取り組み事例を紹介します。
 山口放送局は、来年地元で国体が開催されることから、スポーツをテーマにしたふれあいミーティングに取り組んでいます。5月30日には、バスケットボールの高校総体県予選にあわせて、地元出身でアトランタ五輪女子バスケットボール日本チーム主将の原田裕花さんをゲストに迎え、県予選に参加した高校生選手や指導者・関係者など50人とのふれあいミーティングを開催しました。
 また、本部の編成局では5月24日に、20〜40代の各企業の中堅社員30人が参加して、放送センターの見学や職員による「視聴者の声を生かした番組づくり」についての講演とあわせたふれあいミーティングを開催しました。
 業務の改善事例です。平成19年度後期の連続テレビ小説「ちりとてちん」に対して、放送終了後も再放送の要望や番組への思いを伝える熱心な声が寄せられ続けたことから、編成局では、今年度から毎週月曜午前1〜2時台に衛星ハイビジョンで再放送を開始しました。視聴者が少ない衛星ハイビジョンの深夜時間帯としては多くの世帯で視聴されており、再放送にあわせて復活させた番組の公式ホームページや携帯サイトにもアクセスが集まっています。
 最後に、NHKネットクラブについての報告です。5月末のNHKネットクラブ会員数は、65万5,660人となっています。
 放送技術研究所が開催した「技研公開2010」(5月27〜30日)では、企画イベントとして少人数のグループ向けに職員が展示を案内する「ガイドツアー」や、最新の放送技術を研究者がわかりやすく解説する「なっとくテレビ塾」で、NHKネットクラブのプレミアム会員(受信料をお支払いいただいている会員)を対象に参加者を募集し、87組160人の会員が参加しました。
 また、札幌放送局では、北海道ブロック放送の若者向け音楽番組「LIVE H」の公開録画(5月21日)に来場したプレミアム会員の中から、1組2人の方をバックステージに招待する優待サービスを実施しました。


(2)契約・収納活動の状況(平成22年5月末)
(営業局)
 平成22年5月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、放送受信契約総数の増加状況です。第1期(4月・5月)は、新社会人・新入学生を対象にした新規契約や、年度替わりに移動した世帯との早期の契約に重点的に取り組みました。期間の契約総数増加は、10.8万件(年度目標に対する進ちょく率30.8%)でした。増加数は、前年度同期を3.5万件下回っていますが、これは、前年度は事業所割引の適用に伴う契約内容の見直しなどにより、事業所契約が5.6万件増加したのに対し、今年度は割引の効果が落ち着いたことで1.5万件の増加にとどまったためです。一方で、世帯契約の増加数は9.3万件で、前年度同期を0.6万件上回っています。また、障害者免除や公的扶助受給世帯の増加による有料契約から全額免除への変更は、期間で2.7万件となっています。この件数は前年度より0.3万件増えており、今後の動向を注視する必要があります。
 衛星契約増加については、新規の契約確保や移動世帯の衛星放送受信確認に徹底して取り組むとともに、ケーブルテレビ事業者や電器店との連携を強化した結果、第1期の増加は、14.0万件(年度目標に対する進ちょく率21.5%)となりました。契約総数増加と同様、前年度は事業所割引の適用に伴う契約内容の見直しなどにより衛星の事業所契約が4.4万件増加したのに対し、今年度は1.4万件の増加にとどまっています。一方で、衛星の世帯契約の増加数が前年度より3.1万件伸びたことで、衛星契約全体の増加数は、前年度を0.1万件上回りました。
 第1期末の当年度の収納額は1,040億円で、対前年度増減額は24.0億円の増収となり、前年度同期を大きく上回っています。
 前年度受信料の回収額実績は28.6億円となり、前年度同期と比較して1.8億円上回りました。また、前々年度以前受信料の回収額実績は、7.1億円となり、これも前年度同期を上回りました。
 第1期末の支払い拒否・保留数は31.6万件となり、最も多かった時期の17年度11月末から96.4万件の削減となりました。また、未収数は、第1期に新たに13万件発生したのに対し、支払い再開などにより17万件減った結果、年度累計で4万件削減し、現在数は227万件となりました。
 最後に、第1期の口座・クレジットカード支払いの増加数は13.1万件で、年度計画に対する進ちょく率は32.7%となりました。
 この内容は、あさって6月23日の第1121回経営委員会にも報告します。


(3)財政の現況(平成22年5月末)
(経理局)
 平成22年5月末の財政の現況について報告します。
 まず、予算の執行状況です。
 事業収入の実績額は1,122億円で、進ちょく率は16.5%と、5月末時点の標準進ちょく率16.7%(2か月/12か月)とほぼ同程度になっています。事業収入のうち受信料は、訪問集金廃止による収納の遅れが解消してきたこと、地域スタッフや外部委託業者による契約・収納活動を強化した効果により、次第に上向いてきています。副次収入は、放送番組等の二次使用料の多くが年度後半に計上されることから、進ちょく率が低くなっています。財務収入等は、雑収入に計上する前々年度以前受信料の回収額が増加しているため、高い進ちょく率となっています。
 事業支出は1,083億円で、進ちょく率は15.8%と、標準進ちょく率を下回っています。事業支出のうち国内放送費は、堅調に推移しています。今後は、「2010FIFAワールドカップ南アフリカ」の放送や、参議院議員選挙の報道などの支出を予定しています。国際放送費も堅調で、インターネットによる配信の充実や受信環境整備の促進に努めています。管理関係費は、デジタル化に伴う共同受信施設等への経費助成について、施設の管理組合等からの助成申請に遅れがみられることなどにより、進ちょく率は大幅に低くなっています。減価償却費は、21年度決算においてアナログ放送設備の耐用年数を変更したことから、実績額が増加しています。
 これらの結果、事業収支差金は、今年度予算ではマイナス61億円としていますが、5月末現在でプラス38億円となっています。
 次に、損益計算書による前年同月との比較です。
 経常事業収入は、放送受信契約の契約総数・衛星契約の増加により受信料収入が増加したことなどから、20億円増加しています。一方、経常事業支出は、32億円増加しています。これは、国内放送費では、「2010FIFAワールドカップ南アフリカ」関連経費のほか、緊急報道など取材体制の強化や地域放送の充実などの経費が増加していること、国際放送費では、テレビ国際放送の充実や受信環境整備の推進に向けた経費が増加していること、管理関係費では、デジタル化に伴う共同受信施設等への助成などの経費が前年同月より増加していることなどによるものです。この結果、経常事業収支差金は51億円で、前年同月と比べて12億円の減となっています。一方、経常事業外収支差金は、前々年度以前受信料の回収額の増加による財務収入等の増加などにより前年同月より3億円増加しています。その結果、経常事業収支差金と経常事業外収支差金を合わせた経常収支差金は41億円で、前年同月と比べて8億円の減となっています。
 経常収支差金と特別収支を合わせた事業収支差金は38億円で、前年同月より9億円の減となっています。
 続いて、貸借対照表による21年度決算との比較です。
 資産の部では、現金預金・有価証券、および長期保有有価証券が、受信料前受金の増加、事業収支差金の発生などにより増加しています。一方で、有形・無形固定資産は、減価償却額が取得額を上回ったため減少しています。これらの結果、資産合計は8,514億円で、21年度決算から18億円の減となっています。
 負債の部では、受信料前受金が放送受信契約の契約総数・衛星契約の増加により増加しています。一方で、その他の流動負債は、設備整備費関係の未払金が決算時点で大きくなる傾向があるため減少しています。これらの結果、負債合計は2,846億円となり、21年度決算から57億円の減となっています。
 純資産の部では、5月末の事業収支差金の発生に伴い、21年度決算から38億円増加しています。自己資本比率は、事業収支差金の発生等により21年度決算比で0.6ポイント増加し、66.6%となっています。
 最後に、放送受信契約の状況は、契約総数の増加件数が10.8万件、衛星契約の増加件数が14.0万件となっており、事業所割引導入の効果が大きかった21年度の増加件数に比べて、契約総数は減少、衛星契約は微増となっています。また、契約総数・衛星契約の増加に加えて、21年度は事業所割引開始による返戻等の影響があったため、受信料収納額は前年度同月比で24億円の増収となっています。
 この内容は、あさって6月23日の第1121回経営委員会にも報告します。


(4)財団法人放送文化基金の平成21年度事業報告および収支決算に
   ついて
(経営企画局)
 財団法人放送文化基金の平成21年度事業報告および決算について、先の同財団の理事会および評議員会で承認されたので報告します。
 放送文化基金は、千代田区内幸町の旧東京放送会館の土地・建物の売却益の一部など123億円が基金となっています。その関係から毎年度の事業報告、決算は、NHKの理事会・経営委員会に概要を報告しています。
 まず、21年度の事業活動について報告します。
 21年度は、助成・援助事業や優れた番組に対する表彰事業を中心に、諸事業を重点的・効果的に実施しました。助成・援助事業では、「技術開発」と「人文社会・文化」の2分野で145件の応募があり、このうち49件6,500万円の助成を決定しました。表彰事業では、35回目の放送文化基金賞に加えて、ABUの番組コンクールや、「日本賞」教育コンテンツ国際コンクールでも賞を贈呈しています。また、設立35周年記念事業として、国際シンポジウム「テレビがつなぐ東アジアの市民 −交流から対話に向けて−」を、7月17日に実施しました。
 次に、収支の状況について説明します。収入総額は、3億1,561万円、支出総額2億8,845万円で、収支差額は2,715万円となりました。収支差額のうち1,000万円を基本財産準備資産に繰り入れ、残額を22年度に繰り越しました。予算と対比して決算を見ると、事業活動収入の大部分を基本財産の利息収入が占めていますが、その決算額は2億9,801万円で、予算を2,892万円ほど上回っています。これは、平均利回りが2.42%と、予算で見込んでいた2.18%を上回ったことによるものです。しかし、前年度と比べると、1,247万円の減収となっています。事業活動支出は、効率的な事業運営に努めた結果、2億7,427万円となり、予算より2,432万円節減しました。この結果、事業活動の収支差額は、予算では1,906万円の赤字と見込んでいたところ、それより4,783万円改善し2,877万円の黒字となりました。
 一方で、日本航空の破たんなどにより3億9,533万円の損失が発生したため、特別投資損失引当金の取り崩しや運用財産有価証券の売却等により補てんしたことから、貸借対照表における年度末の資産合計は3億7,341万円減少して、124億7,554万円となりました。
 この内容は、あさって6月23日の第1121回経営委員会にも報告します。


(5)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 関東甲信越地方で新井幸人氏(写真家)、国府田厚志氏(いちご農家・JAはが野理事)、坂本敬子氏(株式会社月の井酒造店代表取締役社長)に、中国地方で森陽子氏((社)被害者サポートセンターおかやま専務理事)に、平成22年7月1日付で新規委嘱します。また、中国地方で、山城滋氏(中国新聞社論説委員会論説主幹)に同日付で再委嘱します。
 なお、関東甲信越地方の小島俊一委員(JA宇都宮代表理事組合長)、澁谷勲委員((株)常陽銀行取締役会長)、富岡賢治委員(群馬県立女子大学学長)、および中国地方の加計美也子委員(学校法人順正学園理事長・総長)は、いずれも任期満了により6月30日付で退任されます。
 本件は、あさって6月23日の第1121回経営委員会にも報告します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年 7月 6日
                     会 長  福 地 茂 雄

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