日本放送協会 理事会議事録  (平成21年11月24日開催分)
平成21年12月11日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年11月24日(火) 午前10時00分〜10時30分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成22年度国内放送番組編集の基本計画について
(2)平成22年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集
   の基本計画について
(3)平成22年度予算編成方針

2 報告事項
(1)財政の現況(平成21年10月末)
(2)契約・収納活動の状況(平成21年10月末)

議事経過

1 審議事項
(1)平成22年度国内放送番組編集の基本計画について
(編成局)
 平成22年度国内放送番組編集の基本計画について審議をお願いします。
 まず、編集の基本方針についてです。
 国内外の情勢が大きく変動し、公共放送への期待と責務がますます大きくなる中、NHKは信頼され質の高い放送を通して社会や文化の発展に尽くし、視聴者の期待に応えるよう努めます。
 平成21年度の視聴好適時間の平均世帯視聴率では、NHK総合テレビは昨年度に引き続きよく見られています。また、総合テレビ「EYESゾーン」などへの反響、「NHKオンライン」サービスへのアクセス数の増加などを見ると、従来より幅広い視聴者を引き付けつつありますが、日常的にNHKに接している人は、幼児のいる家庭が教育テレビを見ているほかは、全体として高齢者層に偏っているという状況が続いています。
 こうした状況を受け、映像・音声各波と各時間帯の役割を明確にして視聴者の期待にきめ細かく応えるとともに、インターネット、携帯端末向けサービスなどの特性を生かして、NHKの豊富な情報と多彩なサービスを必要としているところに着実に届け、“誰にとっても必要な番組・コンテンツが少なくともひとつはある”多様な編成とサービス提供を目指します。
 平成22年度国内放送番組の編集にあたっては、こうした考えのもと、公平・公正で、質の高い情報・番組をあまねく確実に届けて公共放送に対する期待に応えるとともに、経営資源の計画的配分による質の向上に取り組み、限られた経営資源を有効に活用していきます。
 編集の重点事項は次の9項目です。
1.  視聴者のニーズにきめ細かく応える情報番組の充実・強化
 総合テレビの情報番組を刷新し、ニュースで伝えた情報をより深く、よりわかりやすく掘り下げます。平日朝は主婦を中心とする在宅女性層向けに、平日夜は“働き盛り”の層向けに、週末は家族向けにと、それぞれ生活時間帯に合わせた情報番組を配置し、きめ細かなサービスを提供します。
2.  多様なサービスによる視聴者層の拡大
 すべての世代の視聴者にNHKが親しまれ、役立ててもらえるように、各波の番組やサービスのねらい・役割を明確にし、充実を図ります。
3.  信頼に応え、暮らしに役立つ報道の強化
 正確・迅速な報道は公共放送の重要な責務であり、デジタル時代にふさわしい取材・制作体制の整備に重点的に取り組みます。
4. “衛星新時代”に備えた衛星放送の充実
 平成22年度は、衛星放送の完全デジタルハイビジョン化と2波化を控えた最終年度として、現行のソフトを厳選して質を高めるとともに、ニュースや番組を効果的に編成し、NHK−BSならではの魅力を視聴者に強く訴えていきます。
5.  放送以外の多様なメディアを活用したサービスの“選択と集中”
 パソコンや携帯端末などを活用するサービスは、これまでの開発・試行段階からの歩を進め、利用者の満足度向上を追求します。また、NHKオンデマンドについては、内容のさらなる充実と普及促進に努めます。
6. “放送局のちから”を発揮した地域サービスの充実
 全国の各放送局は、地域の課題と将来像を視聴者とともに考える報道・情報番組を強化し、それぞれの地域の特性や要望に応じた多様な地域サービスを展開します。
7.  次代を担う青少年・子どもに向けた教育番組の充実
 教育テレビでは、“ティーンズ”向けの番組を拡充するほか、クロスメディア講座番組の充実など、デジタル技術を生かした効果的な学習環境を提供します。
8. “人にやさしい放送”の充実
 総合テレビ平日午後の生番組に新たに字幕を付与するなど、長期計画に基づいて、障害のある方や高齢の方向けのサービスを拡充します。また、解説放送や手話についても引き続き取り組み、“人にやさしい放送”を推進します。
9. ワールドカップサッカー・南アフリカ大会放送の実施
 日本代表が出場する「2010FIFAワールドカップ 南アフリカ大会」では、注目試合の中継放送や関連番組、データ放送やインターネットによる情報提供を通して視聴者の高い関心に応えます。
 以上の重点項目の実施にあたっては、限られた経営資源の効率的・効果的な活用による適正な制作体制を構築し、番組の多様化と質の向上に努めます。また、組織を横断した柔軟な連携を促進するとともに、企画競争などを通して国内外の優れた制作者のざん新な発想や手法を取り入れ、多様で豊かな可能性に挑戦します。さらに、人材の育成に力を入れ、確かな情報、質の高い番組を安定して提供します。
 このような施策を中心に、創造的で活力に満ちた取材・制作体制を構築します。
 なお、本件が了承されれば、12月8日の経営委員会に審議事項として提出するとともに、12月21日の中央放送番組審議会に諮問することとしたいと思います。

(会 長)   原案どおり了承し、経営委員会に諮ることとします。


(2)平成22年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集
   の基本計画について
(国際放送局)
 平成22年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について審議をお願いします。
 まず、編集の基本方針についてです。
 平成21年2月に本格的に始まった英語による外国人向けのテレビ国際放送では、世界の視聴者から信頼され、選んでもらえるチャンネルを目指し、日本・アジアの情報発信をさらに強化します。24時間の英語ニュースは、日本やアジア各地に広がるネットワークを活用し、現地発のリポートを積極的に出していくとともに、緊急報道の体制も整えます。英語番組は、日本・アジアの政治、経済、伝統文化、紀行、ライフスタイル、ポップカルチャーなど多彩な情報を発信します。NHKの地域放送局や民放の優れた番組を英語化し、多角的に日本の姿を伝えます。また、国際放送のニュース・情報波としては世界初となるハイビジョン放送により、鮮明な画像を届けます。さらに、各地域の衛星放送やケーブルテレビなどを利用し、受信可能世帯の拡大に努めます。世界各地で実施している視聴実態調査の一層の充実を図るなど、視聴者の多様なニーズを的確にとらえ、番組制作・編成に生かしていきます。
 邦人向けのテレビ国際放送では、NHKワールドプレミアムを通じ、日本語のニュース・情報番組などを伝えます。また、大規模地震災害や重大事件が発生した場合には、在外邦人、日本人旅行者に迅速かつ的確に情報を提供し、ライフラインとしての役割を果たします。
 外国人向けラジオ国際放送は、短波だけでなく、衛星ラジオや中波・FM波での再送信などを通じて、効率的かつ効果的に世界に届けます。
 邦人向けラジオ国際放送では、国内外の最新情報をリアルタイムで提供します。
 インターネットについては、ニュース・番組の動画配信をさらに充実させると同時に、携帯端末への配信なども含めた、国際放送ならではの3−Screens展開を図ります。
 さまざまなメディアによる情報が世界を駆け巡る中で、NHKは、客観的で信頼できる情報を日本やアジアの視点で発信し、国際社会における相互理解の促進に努めます。
 なお、本件が了承されれば、12月8日の経営委員会に審議事項として提出するとともに、12月18日の国際放送番組審議会に諮問することとしたいと思います。

(会 長)   原案どおり了承し、経営委員会に諮ることとします。


(3)平成22年度予算編成方針
(経理局)
 平成22年度予算編成方針について審議をお願いします。
 本件は、前回の経営委員会に諮った予算編成のスケジュールにそって、平成22年度予算の編成方針を取りまとめたものです。
 平成22年度は「平成21〜23年度 NHK経営計画」の第2年度であり、予算編成方針における事業運営の具体的な重点事項については、21年度の重点項目とほぼ同内容となっています。なお、「放送の充実」については、22年度の放送番組編集の基本計画に即して表現を変えていますが、接触者率の向上という経営目標の達成に向けた基本的な考え方については、変えることなく取り組みを進めていきます。
 3か年の経営計画に掲げた各目標を達成し、目前に迫った完全デジタル化に着実に対応するため、必要な事業計画を一層効率的に実行する予算を本方針に基づき編成します。
なお、この内容が了承されれば、本日の経営委員会に審議事項として提出します。
 今後の経営委員会での予算審議日程については、12月8日に、事業計画の詳細と各事項の予算額を示す予算編成要綱を審議事項として提出し、最終的には平成22年1月12・13日に、収支予算、事業計画、資金計画からなる予算書を提出し、議決を求める予定です。

(会 長)   原案を了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。


2 報告事項
(1)財政の現況(平成21年10月末)
(経理局)
 平成21年10月末の財政の現況について報告します。
 まず、予算の執行状況です。
 事業収入の実績額は3,873億円で、進ちょく率は57.8%です。放送受信契約の増加件数については前年度を上回り順調に伸びているものの、受信料収入は、厳しい経済情勢や事業所割引の影響などにより伸び悩んでいます。副次収入は、DVD等の売り上げの減少や出版不況の影響で番組活用の収入が伸び悩んでいる状況です。財務収入等は、前々年度以前の受信料の回収額が増加し、また、関連団体から予算を上回る受取配当金があったため、10月末時点で予算額を上回っています。
 事業支出は3,706億円で、進ちょく率は55.1%です。国内放送費は、堅調に推移しています。10月には接触者率向上に向けて後期番組改定を行いました。今後は、スペシャルドラマ「坂の上の雲」やバンクーバー冬季オリンピック、年末年始特集などの支出を予定しています。国際放送費も堅調に推移しており、10月から新番組を開始するなど、テレビ国際放送の充実を図っています。契約収納費は、業界団体による受信料の取りまとめ経費の増加や10項目の追加施策に取り組んでいるため、進ちょく率は標準進ちょく率(7/12月=58.3%)より若干高くなっており、今後の推移を注視する必要があります。管理関係費は、デジタル化に伴う共同受信施設等への経費助成について、施設の管理組合等からの助成申請に遅れがみられることなどにより、進ちょく率は大幅に低くなっています。人件費は、年金資産運用環境の変化等により退職給付費用が増加しています。
 こうした結果、事業収支差金は10月末現在で166億円となっています。
 次に、損益計算書による前年同月との比較です。
 受信料収入は、放送受信契約の契約総数・衛星契約の増加により39億円増加しました。一方、経済情勢の悪化などの影響で、未収受信料欠損償却費は増加しています。国内放送費は、今年度は衆議院選挙関連の支出がありましたが、前年度には北京オリンピック等の大きな支出があったため、前年同月比で33億円減少しています。国際放送費は、テレビ国際放送の充実に伴い、番組制作費が増加しており、人件費も、年金資産運用環境の変化に伴い、退職給付費用が増加しています。これらの結果、経常事業収支差金は、前年同月と比べて21億円の増加となり、経常収支差金についても、前年同月と比べて2億円増加しています。
 特別収入は減少していますが、特別支出がそれ以上に減少したため、経常収支差金と特別収支を合わせた事業収支差金は、前年同月よりも4億円増加の166億円となっています。
 続いて、貸借対照表による前年度決算との比較です。
 資産の部では、事業収支差金の発生や受信料前受金の増加などにより現金預金・有価証券が増加しています。また、経済情勢の悪化などにより受信料未収金が増加し、有形・無形固定資産は減価償却額が固定資産の取得額を上回ったため減少しています。これらの結果、資産合計は8,814億円で、前年度決算から578億円増加しています。
 負債の部では、受信料前受金が障害者免除の適用範囲の拡大などの影響により前年同月末比では2億円減少したものの、前年度決算からは増加しており、また、退職給付引当金も繰入金が取崩額を上回ったことにより増加しています。その他の流動負債は、設備・整備費関係の未払金が決算時点で大きくなる傾向があるため減少しています。これらの結果、負債合計は3,141億円となり前年度決算から412億円増加しています。
 純資産の部では、10月末の事業収支差金の発生に伴い、前年度決算から166億円の増加となっています。
 自己資本比率は、受信料前受金の増加などにより、前年度決算比で2.5ポイント低下していますが、64.4%と良好な状態にあります。
 最後に、放送受信契約の状況は、契約総数の増加件数が20.2万件、衛星契約の増加件数が40.1万件と、ともに前年度を上回って推移しています。しかし、経済情勢の悪化や、事業所割引の影響、免除の適用範囲拡大等による全額免除件数の増加などから、受信料収納額は前年同月比で3億円の減収となっています。


(2)契約・収納活動の状況(平成21年10月末)
(営業局)
 21年10月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 10月の放送受信契約総数の増加状況については、全国一斉の契約・支払再開専念期間を設定するなど、パワーシフトの徹底を図り、契約総数増加が1.3万件、年度累計では20.2万件で目標の30万件に対して67.4%の進ちょく率となっています。また、障害者免除や公的扶助受給世帯の増加による有料契約から全額免除への変更は1.7万件となりました。なお、契約総数取次数は、未払込受信料の回収業務がなかった前年度同月と比較して86%となり、委託契約収納員の取次数を同様に比較すると79%となっています。
 衛星契約取次数の増加には、契約・支払再開活動へのパワーシフトを徹底する中で、移動世帯の衛星放送受信確認の徹底や地上契約から衛星契約への契約変更対策の強化に取り組みました。また、ケーブル事業者や電器店などとの連携強化、事業所契約の見直しなどにより、月間の衛星契約取次数は前年度同月比で114%となりました。月間の増加数は5.8万件、年度累計で40.1万件と前年度を大きく上回り、目標の60万件に対して66.8%の進ちょく率となっています。
 10月の当年度収納額は、口座振替率や継続振込の払込率の低下など、経済状況の影響があったものの、前期までの未払込受信料の回収業務に取り組み、2か月1期の前半月としては、21年度、初めて前年度比増収となりました。しかし、3期までの累計収納額が前年度比マイナスであったため、年間累計では3.2億円のマイナスとなり、前年度を下回っている状況をばん回するには及びませんでした。
 前年度受信料の回収額実績は、52.9億円となり、前年度同月(37.5億円)から15.3億円増加し、年度回収予定額を上回りました。また、前々年度以前受信料の回収額実績は13.9億円となりました。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年12月 8日
                     会 長  福 地 茂 雄

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