日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 5月12日開催分)
平成21年 5月29日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 5月12日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室
<議    事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。
付議事項
1 審議事項
(1)コミュニティ放送に係る規定の整備に関する意見募集への対応につ
   いて

2 報告事項
(1)監査結果報告
(2)平成20年度末 本部資金監査結果
(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について

議事経過

1 審議事項
(1) コミュニティ放送に係る規定の整備に関する意見募集への対応につ
いて
(技術局)
 コミュニティ放送は、市区町村の一部の区域に向けて地域に密着した情報を提供する超短波(FM)放送局です。これは平成4年1月に制度化されたものですが、現在、総務省では、その関連規定の一部改正に向けて意見募集を行っています。これについてはNHKのFM放送にかかわる内容も含まれていることから、NHKの意見を提出したいと考えますので、審議をお願いします。
 現行規定では、コミュニティ放送の空中線電力は20W以下で必要最小限のものとされ、中継局を設置する場合には主たる放送局(以下、親局)と同じ周波数を使用することになっています。しかし、市町村合併により自治体の面積が拡大し、現在の空中線電力の上限値等では市町村をカバーするために十分でないケースも出てきています。
 そこで、総務省は、コミュニティ放送の空中線電力の上限値を撤廃するとともに、中継局用に親局と異なる周波数を使うことも認める方針を固めました。そのための混信防止等の観点から、20Wを超える電力を認めようとする場合の免許の審査基準を明確化することなどを内容として、放送普及基本計画と電波法関係審査基準の一部改正案を作成しました。
 総務省による改正案の概要は次のとおりです。
 放送普及基本計画については、一般の放送事業者とは異なり、コミュニティ放送の空中線電力は必要最小限のものとする方針を明記しています。
 電波法関係審査基準については、20Wを超える例外的な空中線電力の審査について、他の無線局に混信を与えないものであること、空中線電力の増加以外に世帯カバー率向上の技術的方法がないこと、新規の開局が計画されているコミュニティ放送や県域の一般放送事業者(民放FM)の中継局に影響がないことという基準を明記しています。また、中継局の設置にあたり親局と異なる周波数を指定する際の審査基準として、同一周波数の使用が技術的に困難な場合等に限るとしています。このため、審査にあたっては、周辺市区町村での新たなコミュニティ放送局の開局計画への影響について調査することを追加しています。
 これらを受けて、NHKとしては、次の内容の意見を提出したいと考えます。
 電波法関係審査基準に関して、例外的な措置として、20Wを超える空中線電力や親局と異なる周波数が指定される場合は、既存の無線局に混信を与えないように十分な審査が行われることを求めるとともに、万一混信が発生した場合は、コミュニティ放送局が責任をもって速やかに対処するように総務省が指導することを要望したいと思います。
 また、審査において、コミュニティ放送を実施しようとする地域の周辺市町村で計画されている、コミュニティ放送局および一般放送事業者の新たな中継局設置に影響がないことを基準としていますが、NHKの中継局設置にも影響しないことが必要であることを述べたいと思います。
 以上の対応が決定されれば、5月18日までに総務省に意見を提出します。今後については、6月10日の電波監理審議会での諮問・答申を経て、7〜8月頃に関係省令が改正される見通しです。

(大西理事)  こうしたコミュニティ放送局は、いま全国で何局くらいありますか。
(技術局)  現在227局あります。
(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)監査結果報告
(内部監査室) 
 本部の放送総局アナウンス室、放送技術局、放送総局首都圏放送センター、および広報局と、海外総支局のうちベルリン、ロサンゼルス、サンパウロの各支局に対する監査結果の概要について報告します。
 まず、本部各部局について報告します。監査は3月中旬から下旬にかけて実施しました。
 最初に、アナウンス室についてです。視聴者に最も近い放送の最前線で、ニュースや番組、スポーツ中継などに活躍しています。特に、平成20年6月の岩手・宮城内陸地震では、全国から47人のアナウンサーを現地に派遣し、現地の状況を伝えて視聴者の安全・安心を支えました。また、「お元気ですか 日本列島」の「気になることば」コーナーでは、地域性豊かな若者の方言に注目して“新方言シリーズ”を制作し、興味深いリポートが話題を呼びました。視聴者とのふれあいでは、視聴者サービス局事業センターと連携して小学校で「朗読ひろば」を開催し、子どもたちに朗読の楽しさを伝え、父母や教師からも好評を得て、NHKの新たな社会貢献の場を広げました。
 次に、放送技術局についてです。大河ドラマ「篤姫」「天地人」での実写とCGを合成した映像や、「NHK紅白歌合戦」でのミリ波モバイルカメラ(ハイビジョン映像を少ない遅延で無線伝送できるワイヤレスカメラ)による機動性を生かしたカメラワークなど、さまざまな技術を積極的に活用し、ざん新な映像・音声表現、制作手法に取り組んでいます。また、緊急報道への対応強化に努め、昨年5月に中国で発生した四川大地震では、可搬型衛星IP伝送装置などにより、困難な状況の中で伝送路を確保しました。NHKオンデマンドやデジタルラジオの動画サービスなど新サービスを展開するためのシステム運用ワークフローの設計を行うなど、“3−Screens”の実現に向けて、技術面での先導的な役割も果たしています。
 首都圏放送センターでは、事件事故災害などに対応する迅速・的確な緊急報道の強化に努めています。平成20年度は、6月の東京・秋葉原での通り魔事件、夏に相次いだゲリラ豪雨、9月の千葉・東金市での女児死亡事件などで、迅速な取材や中継を行い、きめ細かな情報発信によって視聴者の関心に応えました。また、センター内に“消費経済班”を設置し、首都圏住民の暮らしに密着したテーマを深く掘り下げて、好評を得ています。首都圏放送センターが主管し、平日夕方5時台に全国各地の放送局を結んで放送している「ゆうどきネットワーク」については、20年度は前年度から10局増えて47局が参加、放送時間も25分間拡大し、ネットワークを生かした広域の地域情報番組として、情報発信を充実させています。
 広報局では、「平成21〜23年度 NHK経営計画」や、NHKオンデマンドのサービス開始、新しいテレビ国際放送の開始など、NHKの取り組みについて積極的な広報を行い、理解促進に努めています。また、外部のメディアに番組広報用の原稿や写真を提供している電子番組広報システム「エプロン」を、昨年10月に大幅改修し、広報用原稿の入力・確認を担当部局が局内イントラネットから簡単にできるようにするなど、効率的な業務運営に向けて機能性を向上させました。組織活性化の取り組みとしては、若手職員が部の垣根を越えてグループを組み業務の改善策などを検討する「セル・グループ・ムーブメント」を昨年6月から開始し、情報誌を手にとってもらいやすくする対策など、改善の提言、実施を進めています。
 各部局のコンプライアンス活動についてですが、放送技術局では、昨年12月に所属職員による不正経理が発覚したことを受け、管理職のチェックや総務担当者によるモニタリングを強化するとともに、職員間のコミュニケーションの充実を図り局長と職員の対話を重ねるなど、再発防止に向けた取り組みを独自に進めています。その他の部局も、それぞれ独自に勉強会や意見交換会、職員の個別面談などを行い、コミュニケーションの充実による意識・風土改革に努めています。また、広報局では、過去の不祥事対応の経験を他の部局に紹介し、情報共有を通じて職員の倫理意識・行動の向上を図る「出前広報」の活動を、20年度に14回実施しました。
 適正経理の取り組みでは、19年度に指摘した処理手続きの不備はすべて改善されていました。20年度については、放送技術局に対して、適正化に向けたいっそうの取り組みを指示したほか、一部部局で物品管理に遺漏がありましたので、当該部局に管理徹底を指示しました。
 また、アナウンス室、放送技術局、首都圏放送センターについて業務プロセス監査を実施し、業務の管理状況は適正あるいはほぼ適正と判断しました。ただし、一部の委託番組について、経費支払いプロセスの管理状況に適正でない点がありましたので、改善を提案しました。
 続いて、海外支局について報告します。監査は、ベルリン支局については1月下旬に、ロサンゼルス支局とサンパウロ支局については3月下旬に実施しました。
 ベルリン支局では、旧ユーゴスラビア・セルビアからのコソボの独立問題について、現地からの中継を含めて伝えたほか、世界的な金融危機を受けてのドイツ内外の景気・雇用問題や、国連温暖化対策会議の事務局がボンにあることから地球温暖化問題について継続して取材するなど、幅広いテーマを取り上げニュースや番組として発信しています。平成21年は、「ベルリンの壁」崩壊、旧東欧圏の社会主義体制の崩壊から20年にあたり、番組への展開などを視野に取材を続けています。
 ロサンゼルス支局では、平成19年度、バージニア工科大学での銃乱射事件、ミネソタ州での橋の崩落事故などアメリカで起きた事件事故災害の緊急報道に迅速・的確に対応しました。20年度は、いわゆる“ロス疑惑”で、日本では無罪となった三浦和義元社長の米当局による逮捕から自殺までの動きをめぐる報道に取り組み、自殺の目撃者に独自インタビューを行いました。また、大統領選挙では10州で取材し、社会問題に焦点を当てながら17本のリポートを制作しました。
 最後に、サンパウロ支局では、平成20年が日本人ブラジル移住100年にあたることから、日系社会の現状と今後の展望について多角的に取材し、4月と6月に重点的に放送しました。また、11月、ブラジルに集まったG20やペルーで開催されたAPECで、金融危機に揺れる各国の様子を伝えるなど、新興国・資源国として世界の中で存在感を増している中南米の姿を伝えています。
 海外支局の適正経理の取り組みについては、不適切な経理処理はありませんでした。なお、これらに関連し、現地雇員による経費手続きに関するガイドラインの検討を報道局総務部に要請しました。

(会 長)   内部監査については、業務プロセス監査の導入もあり、確実に精度が上がってきていると思います。今回の報告で指摘があった委託番組の管理については、リスクを回避するため、引き続き適正な管理を徹底するよう、担当者への注意喚起をお願いします。
(今井理事)  今回の監査の対象となった首都圏放送センターでは、総務・経理業務の管理・指導を報道局総務部にゆだねていますが、業務管理の徹底の面で少々手薄な部分もあるのではないかと思います。業務体制のあり方を検討した方がいいのではないでしょうか。
(会 長)  それについては、報道担当理事と関係部局、内部監査室とで早急に協議し、必要な改善提案をお願いします。

(2)平成20年度末 本部資金監査結果報告
(内部監査室) 
 平成20年度末における本部資金監査の結果について報告します。
 4月に、20年度末における本部の現金、銀行等の預貯金および有価証券について、会計監査人である監査法人と共同で監査を行った結果、その在高が相違ないことを確認しました。また、株式会社放送衛星システム等27団体への出資金についても同様に監査し、その在高が相違ないことを確認しました。


(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(日向理事) 
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 関東甲信越、近畿、中部、中国、東北、北海道、四国の各地方で、計11人の方(※注1)に平成21年6月1日付で新規委嘱します。また、関東甲信越、近畿、中部、中国、東北、北海道の各地方で、計6人の委員(※注2)に同日付で再委嘱します。
 なお、関東甲信越、近畿、中部、中国、東北、北海道、四国の各地方の計11人の委員(※注3)が、いずれも任期満了により平成21年5月31日付で退任されます。


※注1:新規委嘱を行う方々
(関東甲信越地方)
 吉川知惠子 氏 (弁護士)
(近畿地方)
 中野 聖子 氏 ((株)ホテルサンルート奈良専務取締役)
 高橋宗治郎 氏 (滋賀経済団体連合会会長)
(中部地方)
 陶  智子 氏 (近世文化研究家)
(中国地方)
 松永 和平 氏 (農事組合法人松永牧場代表理事)
 柴田 英杞 氏 (財団法人鳥取県文化振興財団文化芸術デザイナー)
(東北地方)
 増子恵美子 氏 (福島学院大学附属幼稚園園長)
 折原  亨 氏 (服飾デザイナー、学校法人原田学園山形女子専門学校
          校長)
(北海道地方)
 桜木 紫乃 氏 (作家)
 渡邉 浩平 氏 (北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究
          院教授)
(四国地方)
 竹田 美喜 氏 (松山市立子規記念博物館館長)

※注2:再委嘱を行う委員
(関東甲信越地方)
 明石 要一 氏 (千葉大学教育学部教授)
(近畿地方)
 川口 清一 氏 (連合大阪会長)
(中部地方)
 杉野 正博 氏 ((株)INAX代表取締役会長)
(中国地方)
 井出崎小百合氏 (やまぐち育児サークルネットワークぷちネット代表)
(東北地方)
 桂川  実 氏 (河北新報社論説委員会副委員長)
(北海道地方)
 若山  直 氏 ((株)五島軒取締役社長)

※注3:退任される委員
(関東甲信越地方)
 上條茉莉子 氏 (特定非営利活動法人コペルNPO代表)
(近畿地方)
 朝廣 佳子 氏 ((株)読売奈良ライフ代表取締役社長・編集長)
 橋 政之 氏 (橋金属(株)代表取締役社長)
(中部地方)
 加藤  淳 氏 (前富山県水墨美術館顧問)
(中国地方)
 河部 眞弓 氏 (NPO法人結まーるプラス理事長)
 清水 昭充 氏 ((株)清水代表取締役社長)
(東北地方)
 大沼ヒサ子 氏 (桜の聖母短期大学非常勤講師)
 真下 清美 氏 (真下慶治記念美術館館長)
(北海道地方)
 藤堂志津子 氏 (作家)
 野坂 政司 氏 (北海道大学情報基盤センター教授)
(四国地方)
 脇口 倉重 氏 ((株)伊予銀行専務取締役)


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 5月26日
                     会 長  福 地 茂 雄

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