日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 4月28日開催分)
平成21年 5月22日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 4月28日(火) 午前9時10分〜10時15分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室
<議    事>
 議事に先立ち、新型インフルエンザ対策本部事務局から、メキシコやアメリカなどで新型インフルエンザの感染が相次いでいることに関し、最新の状況と今後の対応について報告があった。これを受けて福地会長から、今後も対策部会で対策方針等、必要な議論を行い、事務局で集約して必要な情報は迅速に共有するよう指示があった。その後、会長が開会を宣言し、議事に入った。
付議事項
1 審議事項
(1)平成20年度第4四半期業務報告
(2)創作用素材の電気通信回線を通じた一般への提供等の業務の実施に
   関する理事会議案の一部修正について

2 報告事項
(1)平成20年度決算の速報
(2)「平成20年度の“約束”NHKによる自己評価」について
(3)考査報告
(4)平成20年度事業業務実施結果
(5)平成21年度放送技術研究所公開について
(6)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)平成20年度第4四半期業務報告
(総合企画室)
 放送法第22条の2第3項に定める会長の職務の執行状況を「平成20年度第4四半期業務報告書」のとおり取りまとめました。財務諸表については、まだ決算が確定していないので、報告書に記載していません。6月中には、放送法に基づき、平成20年度業務報告書および財務諸表を総務大臣に提出することになっており、現在、取りまとめ作業を進めているところです。
 ここからは、事業支出の区分ごとに、業務の執行状況と課題などについてポイントを絞って報告します。報告は、各項目の(主な実績)、(評価)、(課題・今後の取り組み)について説明していきます。
 まず、国内放送です。
 ゴールデンタイム(夜7〜9時台)の視聴率は、1〜3月の平均視聴率が12.6%で、第3四半期(10〜12月)と同じでした。その結果、年間の平均は13.1%となり、僅差でフジテレビに次ぐ2位となりました。昨年夏の北京オリンピックを除いてみても、同様に視聴率は高くなっており、ゴールデンタイムには幅広い視聴者層に見られています。
 ジャンル別にみていきます。
 最初に「幅広い世代に親しまれる多彩な番組」についてです。(主な実績)として、大河ドラマ「天地人」は、1話から12話まではすべて視聴率20%以上でした。1月〜3月の平均視聴率は23.1%で、前作の「篤姫」に続き、大河ドラマが高い支持を得ていることがわかります。さらに、ホームページのアクセス数は「篤姫」の2倍を記録しており、ネット世代からの反応も大きくなっています。また、「ためしてガッテン」が引き続き好調で、今年度の最高視聴率を2回更新しました。ためしてガッテン「頑固なコリの真犯人!“慢性痛”徹底対策2」(3月4日(水))が19.2%、「低カロリーダイエット 失敗と成功の分岐点」(1月21日(水))が17.5%で、さらにNHKスペシャル「うつ病治療  常識が変わる」(2月22日(日))などに大きな反響があり、視聴者の健康への関心の高さがうかがえます。(課題)として、「ドラマ8(エイト)」は、10代男女というターゲット層には評価が高かったものの、視聴率には結びつきませんでした。グループインタビューなど事前調査をいかしていきたいと思います。
 「次の世代を担う青少年に向けた教育番組の充実」については、(主な実績)として、1月5日から10日までの1週間、教育テレビ放送開始50周年の関連番組を編成しました。これまで教育テレビが果たしてきた役割や、これからの期待などを、視聴者のみなさまとともに見つめなおしたいと、さまざまな特別番組を放送し、関連イベントやキャンペーンも展開しました。番組では、「ETV50 もう一度見たい教育テレビ」(1月5日(月)〜9日(金))、「教育テレビが見つめた くらしまるごと半世紀」(1月5日(月))、「あつまれ!キッズソング50〜スプー・ワンワン宇宙の旅〜」(1月10日(土))などを放送しました。(評価)としては、「ETV50 もう一度見たい教育テレビ」には18万通のリクエストが届いたほか、「あつまれ!キッズソング50〜スプー・ワンワン宇宙の旅〜」には800件の再放送希望が寄せられ、視聴者からは「ETVの映像はまさに財産だ」という声や「こどもと一緒に見たが、あっという間の2時間だった」という感想など、全体に好評な意見が多く寄せられました。(今後の取り組み)としては、4月以降も「ETV50 もう一度見たい教育テレビ」のリクエストを継続し、アーカイブス特集を計画的に編成していきます。
 「“ラジオルネサンス”音声放送の大幅刷新」については、総合テレビの日本の、これから「 雇用危機」と連動し、「ラジオ特集 雇用不安時代〜あなたはどう生き抜きますか〜」(2月11日(水))を編成しました。「日本の、これから」の議論を踏まえて、テレビで紹介しきれなかったメールやFAXを紹介するなど連携度を高めました。ラジオ放送中にもメール、FAXが300通が寄せられ、テレビからのリレーという連携の形式に可能性を示すことができました。また、FM本放送開始40年を記念して「FM40 ラジオデー」(2月28日(土)、3月1日(日))を実施し、48時間にわたって多彩な音楽番組を放送しました。40〜50代を中心に1,500件のリクエストメールやFAXが寄せられ、FMポータルサイトへのアクセスは、ラジオデー初日に80,000件を記録しました。(評価)としては、20年度は「ラジオルネサンス」として、時間ごとのゾーン・イメージを明確にし、聴取者との双方向性を進めてきましたが、おおむね期待していた効果を上げることができました。11月に放送文化研究所が行った調査でもラジオ第1放送の接触者率が19%台に上がったほか、ホームページのアクセス数は前年度より倍増、また各番組へのメール、ファックスなども増加しています。21年度は20年度に未着手の番組について改定をすすめ、さらに聴取者の拡大を目指します。
 「地域放送充実への取り組み」の中で、「放送設備のハイビジョン化、放送会館建て替え等、地域放送局の設備投資」の項目については、(主な実績)として、拠点局のスタジオのハイビジョン化が大阪、名古屋、札幌、松山の4局で完了しました。また、ハイビジョン中継車の整備は広島で完了し、ニュースカーのハイビジョン化も9台整備が終了しました。放送会館の建て替えでは、横浜、千葉、甲府で建設、設計が進んでいますが、太陽光発電など環境に配慮した会館建設を推進しています。
  続いて、国際放送です。
 (主な実績)として、新たに建設したニューススタジオから24時間毎正時、英語ニュースを放送しています。アジア、ヨーロッパで受信環境整備を進めていますが、インドネシアでは360万世帯、ベトナムでは10万世帯、西ヨーロッパでは2,630万世帯が視聴可能になりました。(評価)については、ホームページ「NHKワールド・オンライン」へのアクセスが2倍になり、1日平均20万ページビューをこえました。NHKワールドTVの視聴可能世帯は、目標だった1億1,000万世帯を達成しました。番組に対する海外からのご意見ですが、「はじめの10分で全世界のさまざまな最新ニュースを伝え、アメリカのメディアと比べて良いと感じた」あるいは「スマートでプロフェッショナルな報道番組だ」といった好評意見が多く寄せられています。今後も、番組の充実と受信環境整備に努めるとともに、視聴実態調査も行っていきます。 
 「訪問集金の廃止と、それによる効果的・効率的な契約収納体制の構築」についてです。訪問集金廃止後の新しい契約・収納体制への移行が円滑に行われ、(評価)としては、訪問集金に費やしていたパワーを未契約対策や未収対策にシフトした結果、委託契約収納員の下半期の契約総数取次は前年度比で約16%増加し、89万件となりました。また、口座振替・クレジットカードの利用者は19年度末に比べて約89万件増加し、前年度をはるかに上回る実績を確保しました。(今後の取り組み)については、新しい契約・収納体制を定着させていくことで、未契約対策や未収対策を強化していくとともに、口座振替やクレジットカード継続払いの利用促進に努めていきます。
 「多様な活動による未契約・未収対策の強化」については、(主な実績)として、未収者に対する受信料請求は、のべ1,184万件、支払督促申立て総件数は、3月末までで407件となっています。(評価)として、未収者への受信料請求の結果、払い込みがあったのは約77,000件で約25億円となっています。払い込み率は低いものの、引き続き請求は継続していきます。407件の支払督促申立て総件数のうち、3月末までに296件が支払い、または支払意思を表明しています。(今後の取り組み)としては、支払督促の実施地域を今後も拡大していくとともに、未契約者に対する民事手続きを進めていきます。
 「より公平で合理的な受信料体系への改定」については、2月に事業所割引を導入しました。(評価)としては、事業所割引適用に伴う契約内容の見直し等により、事業所契約件数は、約7万件増加し、223万件となりました。また、家族割引の拡大も12月から事前受付をして、2月から実施し、この結果、3月末までに利用件数は約10万件増加し、36万件となりました。今後も、公平負担を徹底し、不公平感を解消していくために取り組んでいきます。
 続いて、調査研究のうち、「放送と通信の連携サービスの開発」についてです。12月1日、インターネットを通じて過去の番組を有料で提供する新サービス「NHKオンデマンド」を開始しました。3月末までの配信数は「見逃し番組」で1,705本、「ニュース番組」522本、「特選ライブラリー」で1,740本でした。3月の月間購入者数は約1.4万人で、目標の8.1万人に対して大幅な未達となりました。景気の低迷や、有料サービスに対する抵抗感などが要因ではないかと考えます。(今後)としては、「見逃し番組」の視聴時間の延長や対象番組の拡大を図ります。また、4月からは「見逃し見放題パック」の初月無料を実施し、さらに、一部の「特選ライブラリー」のドラマを初回は無料にしました。8月からは新たにテレビ向けプラットフォームも追加予定で、さまざまな方策を考え、利用者拡大に努めたいと考えています。
 「地上デジタル放送の普及促進」については、(主な実績)として、デジタル中継局を75局整備し、NHK共聴へのデジタル導入が591施設完了しました。20年度累計で中継局446局、NHK共聴1,984局の整備が完了し、目標を達成しました。世帯カバー率は約96.9%で、デジタル中継局、NHK共聴とも計画通りに整備が終了しました。
 (今後の取り組み)としては、21年度は、デジタル中継局600局、NHK共聴のデジタル化を約1,600施設の整備を予定しており、年間を通じた工程の標準化と工程管理に取り組みます。新たな難視については、調査結果を踏まえて地域協議会で調整し、対策計画案を策定していきます。
 「地域放送局の取り組み」については、各放送局とも、21年度を初年度とする「NHK経営計画」のスタートにあたり、“放送局のちから”の策定と実行への準備にあたりました。ドラマを通して放送局の存在感をアピールする取り組みとして、新潟放送局では、大河ドラマ「天地人」の放送に合わせ原作を朗読で伝えるシリーズ番組「朗読 天地人」をラジオで開始しました。さいたま放送局では、朝の連続テレビ小説「つばさ」に連動した広報活動を行っています。長崎放送局では、2010年の大河ドラマ「龍馬伝」の広報活動を始めています。松江放送局と鳥取放送局でも、朝の連続テレビ小説「だんだん」にちなんだトークショーなどを開催しました。いずれも、地域を盛り上げる取り組みとして好評を得ています。
 最後に「3−Screensを通した接触者率向上の取り組み」の中から松山放送局の取り組みを報告します。宇和島市で行われた「NHKのど自慢」で、予選会の熱唱ぶりを公開ホームページで紹介するサービスを初めて行いました。楽曲の権利許諾や出場者の了解を得るなど、手続きに時間を要しましたが、ホームページへのアクセス数は普段の10倍になり、出場者にもたいへん好評でした。
 本議案が決定されれば、本日の第1093回経営委員会に報告事項として提出します。

(会 長)   原案どおり決定し、本日の経営委員会に報告します。


(2)創作用素材の電気通信回線を通じた一般への提供等の業務の実施に
   関する理事会議案の一部修正について
(放送総局)
 4月21日の理事会で審議・決定を得た「創作用素材の電気通信回線を通じた一般への提供等の業務の実施について」の議案のうち、総務大臣あての認可申請書案を、一部修正することとしたいと思います。本件は、本業務用ウェブサイトにおいて創作用素材の効果的な活用を図る主旨を明確にするためのもので、実施する業務の内容に一切変更はありません。
 以上の内容が了承されれば、本日の第1093回経営委員会には、修正した議案を議決事項として提出します。

(会 長)   原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


2 報告事項
(1)平成20年度決算の速報
(経理局)
 経理局から、「平成20年度決算の速報」について報告があった。


(2)「平成20年度の“約束”NHKによる自己評価」について
(総合企画室)
 平成20年度の“約束”評価方針のひとつに、「NHKによる自己評価の活用」があります。外部有識者で構成するNHK“約束”評価委員会(以下、委員会という)によると、NHK自らが公表した“約束”の達成状況や、目標や評価指標に照らしあわせて自己評価した結果を、委員会が評価をする際の材料や、評価報告書に引用することもありうるとしています。委員会による評価のスタンスは、視聴者視点からの外部評価であることに変わりはなく、こうした自己評価とともに、全国規模の視聴者調査や、NHK職員アンケート、関連団体の役職員・社員アンケートなど、さまざまな客観的データを活用して評価を行います。
 NHKの“約束”の各項目ごとに、各役員に担当分野の自己評価を記述してもらい「平成20年度の“約束”NHKによる自己評価」として取りまとめました。この報告の後、委員会に提出したいと思います。


(3)考査報告
(考査室)
 3月下旬から4月中旬にかけて放送したニュースと番組について報告します。
 最初に、概況です。
 まず、ニュースについては、郵便割引制度の悪用で10人が逮捕された事件、核廃絶に向けてのオバマ大統領の決意、タイで起きた反政府デモによりASEAN国際会議が中止になった事件、イチローのプロ野球最多安打の更新など、さまざまな視点から24項目について考査しました。その中から、北朝鮮が国際機関に試験通信衛星を4月4日(土)から8日(水)の間に打ち上げることを通告した「北朝鮮ミサイル発射」に関するニュースでは、4日の発射情報が誤探知であったことを伝えた特設ニュースや、5日(日)の発射に関する特設ニュースで、素早く対応し、Em−Netシステム画面を使って、情報を迅速かつ冷静に伝えたと評価しています。また、その後の政府の反応、国際社会の反応など、的確に視聴者に伝えていたと考えます。
 次に、番組についてです。この期間に24本の番組を対象に考査し、うち8本については事前考査も実施しました。なお、事前考査したトータル本数は30本です。「NHKスペシャル」、「世界遺産への招待状」などを事前考査の対象としています。今回は、4月スタートの新番組について報告します。まず、連続テレビ小説「つばさ」は、事前考査の段階で、エンドタイトルに出てくる「絆」という文字が常用漢字ではないことを指摘し、初回の放送から「きずな」とふりがなが打たれるようになりました。内容については、ヒロインのつばさと翔太のさわやかな笑顔と玉木家の人たちの今後について展開が楽しみですが、ドタバタのシーンがこれまでの連続テレビ小説のファンの皆さまに受け入れられるのか、不安な一面もあると思います。また、食品を扱うシーンでの衛生面の配慮や、食べ物を粗末にするような印象を与えないような配慮を忘れないでもらいたいと思います。総合テレビの夜10時台放送の「歴史秘話ヒストリア」では、歴史上の人物の素顔を興味深く紹介しており、女性の視聴者の開拓を意識した番組作りの工夫がよく伝わっています。同じく、総合テレビの深夜の「探偵Xからの挑戦状!」、「特ダネ!投稿DO画」、「タイムスクープハンター」について報告します。まず、「探偵Xからの挑戦状!」は、携帯小説と放送を連動させ、ミステリーの謎解きをする番組で、新しい視聴者の開拓につながる可能性を十分に秘めていると考えています。「特ダネ!投稿DO画」は、番組のホームページや動画サイトなどで募集した投稿動画を紹介する番組ですが、権利処理はもちろんのこと、個人情報への配慮についても、留意をしてほしいと思います。「タイムスクープハンター」は、臨場感を出すために揺れる映像を多用した演出があり、意欲的な挑戦をしていますが、揺れを大画面で視聴することで船酔いのような感覚になる可能性があるため、その点を指摘しました。すでに現場で検討してもらっています。
 続いて、個別のニュース・番組について報告します。
 4月10日(金)、政府与党が15兆円の過去最大の新経済対策を決定しました。このニュースに関しては、特に生活に関わる項目を重点的にわかりやすく伝えており、将来の消費税の増税につながりうることなど専門家の話を交えて、財政運営が難しくなることを適切に指摘していたと評価しています。
 4月21日(火)、平成10年に和歌山市で起きた毒物カレー事件で、最高裁が無罪を主張していた被告に死刑を言い渡しました。このニュースでは、直接証拠がない中、多くの状況証拠から導き出された判決であることや、犯行動機が解明されないことによる被害者家族のもどかしさ、裁判員制度に向けての課題などを整理して伝えていたと考えます。
 次に、4月12日(日)〜13日(月)の、海賊対策としてソマリア沖に派遣された海上自衛隊の活動に関する船上リポートについてです。
 海上自衛隊に護衛されソマリア沖を航行する貨物船に同乗し、海賊に備えて緊張する船内や護衛の状況を記者リポートしました。海賊の目標にされないよう、夜間は灯火管制にする様子や、護衛対象ではない外国籍の船2隻から船団に加えてほしいと要請される自衛隊の苦労など、現場の緊張した雰囲気が伝送映像や電話リポートでよく伝えられていました。また、今回の海賊対策の活動における多くの課題を浮き彫りにするリポートであったと評価します。
 NHKスペシャル「私の声が聞こえますか〜植物状態からの帰還」(3月28日(土)放送)は、最新の治療で植物状態から抜け出そうと格闘する患者と家族の記録で、患者が回復していく姿を通して、脳には驚くべき回復力が秘められていることがよくわかるとともに、それぞれの家族の深い愛情が感動的に描かれていました。モニターからは「医療の力と家族の愛情が意識を変えていくことができるのだと改めて実感した」など、好評意見が寄せられ、「たいへん良い」または「良い」と答えたモニターは全体の93%を占めました。
 プロジェクトJAPAN NHKスペシャルシリーズ「JAPANデビュー」第1回「アジアの“一等国”」(4月5日(日)放送)は、一等国をめざした日本による台湾の植民地政策の変遷をテーマに、膨大な史料と海外の研究者による解説をもとに、日本や列強の思惑をわかりやすく読み解いていたと考えます。
 追跡!A to Z「狙われる銀行口座」(4月18日(土)放送)は、売買された銀行口座が悪用される現状と対応に追われる銀行の現場の様子を伝えました。メガバンクの最新の取り組みにはよく迫っていたと考えますが、新番組ならではの新鮮な切り口やリポートで課題に迫ってほしいと思います。
 続いて、教育テレビの福祉ネットワーク「18歳 里親からの旅立ち」(4月13日(月))についてです。鳥取放送局が制作したこの番組は、18歳を迎え里親との関係が終わる脳性まひの女性が抱える悩みや不安を描き、そして自立してほしいと、あえて距離を置こうとする里親夫妻の思いを十分に伝えていました。親心に気づき、歩み始める女性の姿を温かく描いていたと考えます。
 BSハイビジョンの新番組、プレミアム8 ワイルドライフ「世界の大草原シリーズ アフリカ〜ビッグキャット・サバンナに生きる」(4月6日(月)放送)では、セレンゲティ平原での300万頭の草食動物とチーターなどネコ科の大型動物の生存競争や子育ての様子が迫力ある映像で描かれ、草食動物のエネルギー源が “C4植物”と呼ばれる高効率の光合成を行うイネ科の植物であることを科学的にわかりやすく伝えていました。モニターからも「親子愛、出産、植物の芽吹きなど心が癒され、見応えがあった」など、好評意見が寄せられました。


(4)平成20年度事業業務実施結果
(視聴者サービス局)
 平成20年度の事業業務実施結果について報告します。
 平成18年度より、全国で実施した公開番組・イベントの成果・効果を、「NHKへの接触機会(イベント実施件数・参加者数)」、参加者への浸透度を測る「視聴者との結びつき強化(アンケートによる視聴者意向)」、「営業業績への貢献」の3つの視点から数量的に捉える取り組みを行っており、20年度で3回目となります。
 平成20年度、全国で展開したNHKのイベントは、教育・教養・こどもイベント(NHK全国学校音楽コンクール、NHK放送体験クラブ等)、公開番組等(NHKのど自慢、ふるさと皆様劇場等)、福祉イベント(NHK歳末・海外たすけあい、NHKハート展等)、スポーツイベント(NHK杯国際フィギュアスケート競技大会、びわ湖毎日マラソン大会等)、美術展・展覧会(国宝薬師寺展、北京故宮書の名宝展等)、会館公開・展示(渋谷DEどーも、NHKスタジオパーク等)、福祉・食料・環境キャンペーン等(ふるさとの食にっぽんの食、NHKエコパーク等)をあわせて、2,680件実施し、19年度に比べて約30件増加しました。イベントへの総参加者数は約1,686万人で、昨年とほぼ同じでした。なお、20年度も、全体の85%にあたる2,300件近いイベントを地域で実施しました。
 また、イベントの成果・効果を把握するため、イベント来場者・参加者約60万人を対象にアンケートを実施しました。うち回答者率は15.2%で、89,132人の方から回答を得ました。アンケート項目は「イベントの満足度」、「NHKの事業活動への理解度」などで、調査期間は、平成20年4月から今年3月までです。
 その結果、NHKが主催するイベント参加者の満足度は80.8%(普通10.5%、無記入他8.8%)で、特に「参加型イベント(若者・こども向け)」が86.8%、「観覧型イベント(子ども向け)」が83.8%と高い結果となり、平成20年度の重点事項として取り組んだ、若い世代を対象にしたイベントで高い満足度を達成することができました。平成21年度も、引き続き若者・子どもを対象にしたイベントを重点事項として全国で推進し、子どもだけではなく、親子で楽しめるイベントを開発していきます。
 また、NHKの活動に対する「理解度」が深まった人の割合は64.0%(あまり深まらなかった8.0%、わからない他28.0%)でした。番組講演会、大学セミナーなどの「観覧型イベント(講演会系)」や、音楽芸能の公開番組を中心とする「観覧型イベント(音楽芸能系)」では、NHKに対する理解度が深まった人の割合は平均を上回りました。NHKの番組作りにじかに接することができる公開番組や、出演者、制作者が直接参加者に語りかける講演会等のイベントがNHKの理解促進に効果をあげていました。
 「受信料」を支払う意義があると答えた人の割合は61.5%(意義がない5.4%、わからない他33.1%)で、そのうち「観覧型イベント(音楽芸能系)」では63.6%と、すべてのイベントの平均値を上回りました。音楽芸能系のステージイベントなどは受信料の支払い意義に対する意識の向上に有効であると考えられます。また、子どもの番組参加など、親にとって受益感の高いイベントでは、高い数字が得られるという結果が出ています。
 このほか、営業施策では、営業部門との連携で、地方自治体、ケーブルテレビ会社、大学等各種団体との関係強化を図り、それぞれの団体の特性に応じた営業活動を展開したり、公開番組における受信料支払者に限定した観覧募集の拡大など、イベントを活用した優待施策を積極的に推進しました。

(会 長)

 「放送局のちから」を発揮するために、各地域の事業を、事業センターとして最大限支援してください。


(5)平成21年度放送技術研究所公開について
(放送技術研究所)
 平成21年度放送技術研究所公開について報告します。
 今年のNHK放送技術研究所公開の期間は、5月19日から24日までです。5月19日はオープニングセレモニー等を行います。20日は専門家招待日です。21日から24日まで一般公開日とします。
 全期間実施する研究展示の他、21日には放送技術研究所の研究主幹らによる「テレビは未来への窓〜超高臨場感を目指して」、「スーパーハイビジョンの伝送とWINDS衛星伝送実験の意義」の講演会を行います。21日、22日には、職員による展示関連の研究発表11件を2日間にわたり実施します。20日〜24日には、専門家向けに基礎研究の成果を深く掘り下げて紹介するポスター型展示も行います。また、23日、24日には、技研ガイドツアーとして、職員が解説しながら引率する一般来場者向けのグループツアーを実施します。その他、環境に役立つ研究や、技研の業務運営における環境保護の取り組みを紹介します。
 今回のテーマは“テレビの進化は止まらない”で、最新の研究成果を37項目展示します。「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」を実現する、直近の技術開発と、さらに先を見据えた放送メディアの開拓への取り組みを紹介します。
 次に、主な展示項目について報告します。
 まず、「放送をもっと身近に、未来の技術」ゾーンでは、特別展示として、高速インターネット実験衛星(WINDS)による、世界初のスーパーハイビジョン多チャンネル衛星の伝送実験を行います。3チャンネル同時に伝送実験を行い、そのうち1チャンネルは札幌から生中継をします。また、NHKオンデマンドなど、経営計画に直結するような研究成果を展示します。
 「クローズアップ地デジ」ゾーンでは、約2年後に迫った完全デジタル化への関心を高めるため、地上デジタル放送関連研究を一堂に集めて展示します。
 そのほか、「技研ビジョン」に関連した展示として、スーパーハイビジョンシアターなど「放送の未来」のコーナー、高齢者に適した音響再生方式などを紹介した「豊かなサービス」のコーナー、映像伝送のためのIPネットワーク技術などを紹介した「制作の高度化」のコーナーなどがあります。さらに、国際連携の取り組みとして、BBCやRAIとの共同研究の成果を展示します。


(6)放送番組審議会議事録(資料)
(編成局)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成21年3月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)


以上で付議事項を終了した。
 注1: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。
上記のとおり確認した。
      平成21年 5月19日
                     会 長  福 地 茂 雄

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