日本放送協会 理事会議事録  (平成20年11月25日開催分)
平成20年12月12日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年11月25日(火) 午前9時00分〜9時15分

<出   席   者>
 福地会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、八幡理事、
 永井理事、大西理事、今井理事

 多賀谷監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 報告事項
(1)考査報告
(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
議事経過

1 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 10月下旬から11月中旬にかけて放送したニュースと番組について報告します。
 まず、ニュースについてです。10月30日(木)、麻生首相が記者会見を行い、金融危機に対する追加経済対策を発表しました。報道では、総額2兆円規模の給付金や高速道路の通行料金値下げなど、追加経済対策の要点を具体的に紹介するとともに、3年後の消費税値上げへの言及や衆議院の解散・総選挙の先送りについて、その背景などを解説していました。そうした報道内容を評価します。ただ、経済対策に対する経済界の受け止め方や、対策の効果についての専門家のコメントなども伝えてもらいたかったと思います。
 11月5日(水)、アメリカ大統領選挙で、オバマ候補が史上初の黒人大統領に選ばれ、民主党が8年ぶりに政権を奪還しました。報道では、分厚い取材体制で両陣営や接戦州からの中継などを交えながら、ニュースを特設するなどして開票状況を刻々と伝えていました。ち密な取材計画が放送に反映されており、迅速・的確な報道で視聴者の関心に応えていたと思います。
 10月22日(水)の「NHKニュース おはよう日本」で、同月4日(土)の夜、都内で脳内出血の症状があった出産間近の女性が複数の病院から次々に受け入れを拒否されていたことを伝えました。NHKは、このニュースを他に先駆けて報道しました。23日(木)の「NHKニュース7」では、NHKが全国の総合周産期母子医療センターに対して行ったアンケートの結果や病院院長へのインタビューなどを通じて、周産期医療の課題や問題点を指摘していました。こうした報道が、その後に周産期医療体制の改善に向けて行政や関係諸機関を動かすきっかけとなったと評価します。
 10月31日(金)、当時の航空自衛隊の田母神俊雄幕僚長が、都市開発会社グループの懸賞論文に、日本が過去にアジアで行った戦争についてこれまでの内閣の歴史認識と異なる見解の論文を投稿した問題で、更迭されました。報道では、当日の「ニュースウオッチ9」の番組中にスーパー速報で伝え、さらに他に先駆けて本人へのインタビューを紹介していました。初動が早かったこととともに、報道内容についても、空自トップが政府見解と異なる論文を発表したことの問題点をきちんと伝えていた点を評価します。
 続いて、いくつかの番組について、報告します。
 10月27日(月)放送のNHKスペシャル シリーズ「日本とアメリカ」の第3回「日本アニメvsハリウッド」についてです。事前考査を実施した際、特定の企業名が紹介されていましたが、番組の内容上必要な情報で問題はないと判断しました。番組では、アメリカ・ハリウッドの映画産業が、新しい映画の題材を日本のアニメーションに求める一方、日本のアニメ業界では、テレビでの放送枠が減ってきたことからアメリカに新たな市場を見出そうとしているという、日米双方の思惑やスタッフの交渉の様子を伝えていました。日米双方が相手の考え方を尊重しながらグローバルな展開を目指し、新たな関係を構築しようとしている様子がよくわかったというのが、考査室の評価です。モニター報告では、「日本側に理解を示すアメリカ側の考え方が新鮮に感じた」「日本アニメがアメリカ映画産業のターゲットになっていることに驚いた」という声がありました。
 11月10日(月)放送のNHKスペシャル「デジタルネイティブ〜次代を変える若者たち」を事前考査した結果、特に指摘事項はありませんでした。番組では、すでにインターネットが普及した時代に生まれ、それを使いこなし独特の感性を持つ、「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代について紹介していました。考査室の評価として、ネットを自在に使う若者の多様な可能性を感じさせ、また、これらの若者たちへの周囲の戸惑いも描かれていましたが、事例からは「デジタルネイティブ」と、他の世代でネットに精通し活用している人々との違いが明確に伝わってこなかったと思います。モニターからは「“デジタルネイティブ”という言葉を初めて知った。少年ポルノサイトなどネットの負の部分も紹介されていた点がよい」「彼らが今後世界にどんな影響を与えるのか解説してほしかった」などの声が寄せられました。
 11月5日(水)放送の秋・つながる心「60歳のラブレター」は、夫が妻へ、妻が夫へ思いをつづった8万通の手紙から14通を取り上げて紹介していました。事前考査を行ったところ、題材のラブレターについて番組中のコメントでは「ある金融機関が募集した」と紹介し、末尾のテロップで「取材協力」としてその金融機関名を表示していたのは、適切な対応だったと考えます。夫婦の歩みをほうふつとさせる心温まる手紙で、朗読の雰囲気が良く、織り込まれた映像も内容の理解に適切でした。夫婦が苦楽を共にした道を振り返り感謝しあう気持ちに素直に共感できたと評価します。モニターからは、「感謝やいたわりの言葉が言えずにいることが多い。やはり、言葉や文字で伝えることが大切だと痛感した」「司会やゲストが控えめで主役の夫婦をよく浮かび上がらせていた」という声が寄せられました。 
 11月9日(日)放送の不屈の者たちへ「倒産社長 再起へのハンドル」は、事前考査での指摘事項はありませんでした。経営する工務店が倒産し、タクシー運転手に転じてトップドライバーとなった人物を見つめた番組です。考査室の評価として、すべてを失った男性がタクシードライバーとして再起するまでの軌跡が、丹念な取材でよく描かれていました。ただ、ナレーションも兼ねたプレゼンターと案内役の役割が混然となっていたので、明確にしてほしかったと考えます。モニターからは、「閉そくした時代にあって意義ある好企画だった」「再現映像を交えて不屈の道程が描かれ、無駄のない構成だった」という声が寄せられた一方、「ナレーションは大げさで、やや力みすぎという印象を持った」という意見もありました。 
 教育テレビで10月25日(土)に放送した、土よう親じかん 秋のスペシャル「『子育ての鉄則』それってホント?」は、教育フェア2008関連のスペシャル番組です。日ごろ子育てに奮闘しているゲストの人選が良く、その苦労話が子育てに悩む親たちにとって良いヒントになったと評価します。モニターの声でも、「子育てに悩む親たちに活力を与えてくれた番組」「体験をベースにした具体的な話に引き込まれた」「ゲストの室井佑月さんの“子育ては修業”という言葉が印象に残った」など、高い評価を受けました。


(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(日向理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 四国地方で、野田文子氏(からり直売所出荷者協議会名誉会長)に、12月1日付で再委嘱します。

 

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年12月 9日
                     会 長  福 地 茂 雄

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