日本放送協会 理事会議事録  (平成20年10月14日開催分)
平成20年 10月31日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年10月14日(火) 午前11時00分〜11時15分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、溝口理事、八幡理事、永井理事、大西理事、
 関根理事、今井理事

 多賀谷監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1080回経営委員会付議事項について
(2)次期経営計画について

議事経過

1 審議事項
(1)第1080回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 本日開催される第1080回経営委員会の付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「次期経営計画について」です。審議事項、報告事項はありません。

(会 長) 原案どおり決定します。


(2)次期経営計画について
(会 長)  
 10月7日の経営委員会に提出した次期経営計画について、委員会から4項目の申し入れがありました。これを受けて討議を重ねてきましたが、その結果を執行部の見解としてとりまとめ、会長である私から本日の経営委員会で回答したいと思います。内容は次のとおりです。

 (経営委員会申し入れに対する執行部の見解)
 10月7日(火)の経営委員会に執行部は、理事会で決定した「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK 平成21〜23年度 NHK経営計画」を正式に提案し、議決を求めました。
 これに対して、経営委員会から、「受信料収入の10%を原資にした値下げ」「24、25年度の収入・支出・繰越金の明示」「24年度の値下げを次期経営計画の目標の一つとして記載する」「『今後の受信料体系の見直しについての考え方』と関連箇所の修正」の申し入れがありました。
 前回の経営委員会での議論も踏まえ、執行部は真摯(しんし)に検討を致しました。その結果について、NHKの業務の執行に責任をもつ会長として申し上げます。

 受信料体系の見直しについては、先に正式提案した3か年の経営計画において、「今後、完全デジタル化への移行を見定めつつ、受信料の公平負担への取り組みを徹底し、構造改革を進めることで、収支差金を生み出す努力を続け、平成24年度からの次の経営計画で、受信料の引き下げを行います」と、受信料引き下げの方針を明確に表明しました。
 経営委員会からの申し入れを真摯に検討しましたが、申し入れにあった、本経営計画の対象期間を超える平成24年度からの「受信料収入の10%を原資にした値下げ」を、現時点で、明記することはできません。
 その理由は次のとおりです。
 平成23年7月の地上テレビ放送のアナログからデジタルへの完全移行は、放送環境の激変をもたらす極めて大きな波です。視聴者のみなさまにご理解を得ながら、デジタル化への円滑な移行に万全を期して取り組みますが、デジタル追加経費への備えが新たに必要となったように、完全デジタル化が迫るにつれて顕在化する、予見できない課題や収支両面でのリスクがあります。そうした事態に適切に対応しながら、この3年間を乗り切っていくことが、公共放送NHKの経営にとって、当面の最大の課題です。このため、当初から、デジタル化を見据えた3か年の経営計画として策定にあたってきました。
 加えて、経済は緊迫の度を高めています。アメリカ発の金融危機が、株価の暴落など、世界の金融市場の大混乱を引き起こし、日本経済にも大きな打撃を与えています。先行きが見通せない経済情勢の中で、この時点で、24年度、25年度を含む収支計画を策定し、4年先の「受信料収入の10%を原資にした値下げ」をお約束することは困難です。
 そもそも、ことし3月11日に経営委員会から執行部に示された「中長期計画策定に資する重要検討事項のまとめ」において、経営委員会は、「収支計画上は、デジタル化に向けた3か年計画が適当と考える。ただ、基本的な構想については、デジタル化後も睨(にら)み、5か年程度の中長期のレンジで考えていただきたい」と提示しました。今回の経営計画は、執行部として、この点を十分受け止めて真剣に議論し、3か年の収支計画を盛り込んで策定したものです。
 本3か年計画の中に、収支計画の裏づけを欠いたまま、4年先の平成24年度からの「受信料収入の10%を原資にした値下げ」を記載することは、視聴者のみなさまに混乱を招くだけであり、責任ある経営とは言えないと考えます。

 執行部は、本経営計画を策定するにあたって、平成21年度から3か年の収支の状況を踏まえて、公共放送の使命をきちんと果たしつつ、業務の一層の効率的な運営などを進める改革努力により、収支差金を生み出し、これを視聴者のみなさまの負担の軽減に充てたいと考えました。そして、受信料体系の見直しについて、2つの施策を実施できないか、具体的に検討しました。
 第一に、所得の低い、市町村民税の非課税世帯のうち、収入を得る機会が限られていて経済的に厳しい状況にある高齢者世帯、例えば、世帯主が75歳以上で、単身もしくは夫婦のみの世帯を対象に受信料の免除を実施したいと考えました。
 さまざまな出費を伴うデジタル化への切り替えにあわせて、この施策を実施することにより、デジタル化の恩恵をすべての視聴者のみなさまに享受していただき、とりわけ、緊急災害時には、安全・安心にかかわる情報を得ていただきたいと考えたからです。
 本計画において、現段階では、収支の状況などを考えて、この施策をお約束することは困難であると判断しましたが、実現可能であれば、市町村民税非課税の高齢者世帯、例えば、まず、世帯主が80歳以上で、単身もしくは夫婦のみで生活している世帯を対象とした免除を、平成23年度の予算・事業計画に盛り込みたいと考えます。そして、平成24年度以降、収支の状況が許せば、対象年齢を引き下げ、受信料の免除を拡大することができないか、次の経営計画の策定時に検討していきます。

 執行部が二つ目に検討したのが、衛星付加受信料の引き下げです。衛星付加受信料は、衛星放送にかかる経費を原価としており、収支が黒字化した場合は、料額を見直すことが、仕組み上、求められています。平成21年度に衛星放送の収支が黒字化する見通しであることなどから、総務省におかれた外部有識者からなる「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」の報告書でも、衛星収支の変動要素などを十分検証した上で、「平成元年以来同額としてきた衛星付加受信料の料額の水準を見直すこと(受信契約者への還元)も検討課題の一つと考えられる」と指摘されています。
 衛星付加受信料の引き下げについても、本計画に盛り込むことはできませんでしたが、優先度の高い課題として、平成24年度からの経営計画の中で、責任を持って答えを出していくことが必要であると考えています。
 受信料の引き下げについては、受信料体系をより公平で合理的なものにしていく視点から、地上契約、衛星契約を含めて総合的に検討していくことが必要であると考えます。そして、公共放送の使命を果たし、受信料の公平負担の取り組みを進め、さまざまな改革努力を続ける。これにより収支差金を生み出し受信料の引き下げを行うのが、責任のある経営であると考えます。
 執行部は、今回、平成24年度からの経営計画で受信料の引き下げを行うことを、強くお約束しました。具体的な方法や減額の幅については、デジタル化への移行などの対応状況について見通しが立つようになる平成23年度に、具体的な収支計画に基づいて、責任を持って視聴者のみなさまにお示しします。

 経営委員会と執行部は、今年春から半年にわたり、経営方針や具体施策について、細部に至るまで意見交換や議論を重ねてきました。それを踏まえて策定した平成21年度から23年度の計画期間内の方針や施策については、十分ご理解をいただいたと考えています。
 経営委員各位におかれましては、公共放送NHKの執行責任者として、私が以上申し上げたことを十分に受け止めていただき、「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK 平成21〜23年度 NHK経営計画」を議決いただきたい。

 以上です。

(多賀谷監査委員)  質問します。経営委員会からは4点の申し入れがありました。そのうち「受信料収入の10%を原資とした値下げ」に対しては、“明記しない”と明確に回答していますが、「24、25年度の収入・支出・繰越金の明示」および「24年度の値下げを次期経営計画の目標の一つとして記載」もできないという回答ですね。
(会 長)

 そうです。

(多賀谷監査委員)  「『今後の受信料体系の見直しについての考え方』と関連箇所の修正」に対する回答として、低所得の高齢者世帯に対する受信料の免除施策を申し出たものと考えていいのでしょうか。
(会 長)  それについては、計画を修正するのではなく、経営委員会への回答の中に1つの意見として盛り込むものです。平成22年度に23年度の年次計画を策定する際に、具体的に提示できればと思います。 執行部として誓約する以上、今は21〜23年度の計画の中で実現できるものを明記したいと思います。
(八幡理事)  今の多賀谷委員の質問は、経営委員としての質問ですか、それとも監査委員としてのものですか。
(多賀谷監査委員)  経営委員として回答の内容を問うのではなく、監査委員として、執行部が経営委員会からの申し入れに明確に回答しているかを確認するために質問しました。
(会 長)  ほかに意見はありますか。
(各理事)  異議ありません。
(会 長)  原案どおり決定します。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 10月 28日
                     会 長  福 地 茂 雄

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