日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 9月24日開催分)
平成20年 10月10日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 9月24日(水) 午前9時00分〜9時40分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事

 多賀谷監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1078回経営委員会付議事項の追加について
(2)就業規則の一部改正について
(3)「周波数再編アクションプラン」の見直しに係る意見募集に対する
   意見の提出について
(4)BSデジタル放送の委託放送業務に係る総務省の参入希望調査への
   対応について
(5)中央放送番組審議会委員の委嘱について

2 報告事項
(1)教育フェア2008について
(2)2008年9月放送評価調査の結果について

議事経過

1 審議事項
(1)第1078回経営委員会付議事項の追加について
(総合企画室)
 本日開催される第1078回経営委員会付議事項の追加について審議をお願いします。
 9月17日(水)の理事会で審議、決定された事項のほかに、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」を追加したいと思います。

(会 長) 原案どおり決定します。


(2)就業規則の一部改正について
(人事総務局)  
 今年10月1日付で契約スタッフの雇用期間を最長3年から5年に延長します。これに伴う事項を含めスタッフ就業規則を次のとおり改正したいと思いますので、審議をお願いします。
 改正点は2点です。
 1点目は、年次有給休暇の付与日数についてです。スタッフの年次有給休暇は、継続勤務年数と一週間の勤務日数に応じて付与日数を定めています。今回、雇用期間を最長5年としますので、延長した年数に対応する日数を追加します。これは、今年10月1日から施行します。
 2点目は、スタッフの基準賃金(時給)の改定です。これについては、就業規則で最高額と最低額を定め、その幅の中で、各放送局長が自局で契約するスタッフの基準賃金を、地域の事情に応じて決めています。その最高額、最低額をともに引き上げます。これは、今年8月1日にさかのぼって適用することとします。
   
(会 長)  休暇付与日数は、社会の一般的な水準と比べてどうなっていますか。
(人事総務局)  労働基準法で定められているとおりですので、社会水準と違いはありません。
(副会長)  基準賃金は地域の事情に応じてということですが、実態はどうなっていますか。
(人事総務局)

 都道府県ごとに法定最低賃金が異なっており、全国的に見て最低賃金が低い地域もあります。NHKが基準賃金を全国一律にすると地域によっては地元の水準より高くなる場合が出てきますので、各放送局が、それぞれの地域の賃金水準からかい離し過ぎることがないよう、適切な額を定めています。

(副会長)  地域では有能な人材の確保が難しく、また、地域放送局の業務においてスタッフは貴重な戦力になっています。人材を確保するため、地元の事情に配慮したうえでNHKの業務の特殊性も加味した額を定めるようにすべきだと思います。
(人事総務局)  部局長の判断により基準賃金に個別に加算ができる制度となっていますので、スタッフそれぞれの能力や働きに応じた処遇で対応してもらいたいと思います。
(会 長)

 原案どおり決定します。


(3) 「周波数再編アクションプラン」の見直しに係る意見募集に対する意見の提出について
(技術局)  
 総務省では、電波利用状況調査に基づく周波数再編の実施に向けて、「周波数再編アクションプラン」を毎年見直しています。今回、平成19年度の電波の利用状況調査の評価結果に基づいて「周波数再編アクションプラン(平成20年10月改定版)」(案)が公表されました。そのうちNHKにかかわる事項は、次の2点です。

 1

 950MHz帯の音声STL(放送局から送信所に放送番組を伝送する無線回線)/TTL(送信所間で放送番組を伝送する無線回線)については、周波数有効利用の観点から、60MHz帯、160MHz帯および2GHz帯を候補として、平成27年度を目途に移行を図る。

 2

 3.4GHz帯の音声STL/TTL/TSL(FPU基地局等から放送局に番組素材を伝送する無線回線)および監視・制御回線については、6.5GHz帯または7.5GHz帯に周波数移行が可能な期限を設定し、移行方策を検討する。また、新たな音声STL等の開局も同様の周波数帯とする。


 このアクションプラン(案)について、現在、意見募集が行われていますので、以下のとおり対応したいと考えます。
 今回の見直しは、今後の移動通信等への周波数割り当てのために国の施策として行われるものであるため、NHKとしても協力することとします。ただし、対象となる回線はラジオ放送の実施に必要不可欠なものであり、その数が500回線を超えることから、周波数移行にあたって放送を確実に継続するため、次のことを要望します。

 1

 950MHz帯の音声STL/TTL回線については、示された期限内に移行する所存です。ただし、対象となる回線は見通し外で長距離の回線も含まれるため、移行先の周波数帯はVHF帯を要望します。また、地域や周波数によって電波環境が異なるため、事前の調査を踏まえたうえで具体的な移行先を決定し、確実な移行が可能となるよう要望します。

 2

 3.4GHz帯の音声STL/TTL/TSLおよび監視・制御回線の移行にあたっては、回線数が膨大であることを踏まえ、移行実務を配慮した移行期限の設定と、円滑に具体的な周波数が割り当てられるような十分な配慮を要望します。


(会 長)

原案どおり決定します。


(4) BSデジタル放送の委託放送業務に係る総務省の参入希望調査への対応について
(技術局)  
 総務省では、平成23年に予定されているBSアナログ放送(NHK衛星第1/衛星第2およびWOWWOW)の終了によって空く3周波数と平成12年に追加割当された4周波数を、BSデジタル放送に割り当てるのに伴い、現在、新規委託放送業務への参入希望調査を実施しています。
 NHKのBSデジタル放送については、BSアナログ放送終了後の保有チャンネル数が2を超えないことを前提に見直されることとされており、総務省で開催された「NHKの衛星放送の保有チャンネル数の在り方に関する研究会」で、「ハイビジョン放送を2チャンネルとすること自体について、ただちに合理性を欠くものではない」との結論が出されました。NHKとしては、難視聴解消を衛星セーフティネットに委ね、BSデジタル放送でハイビジョン放送2チャンネルの保有を要望しています。平成23年度以降にNHKが保有するBSデジタル放送波に関しては、総務省の「放送普及基本計画」の変更が必要となりますが、今回の調査への対応がその手続きの正式な開始となります。
 このため、以下の内容でNHKの要望を提出します。
 放送番組(チャンネル)数は2番組で、「NHK衛星第1TV」と「NHK衛星第2TV」とします。放送の種類は、衛星第1/衛星第2とも、ハイビジョン画質による高精細度テレビジョン放送、データ放送、降雨減衰に対応した放送とします。使用する周波数は、現在デジタル放送に使用している周波数を希望します。スロット数については、衛星第1は20〜24スロット程度、衛星第2は24スロット程度です。番組については、いずれも現在の衛星第1/衛星第2をそのまま移行するのではなく新規の内容とし、衛星第1の番組内容は報道等を中心とする総合編成、衛星第2の番組内容は教養・娯楽を中心とする総合編成とします。

(会 長)   原案どおり決定します。

(5)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(日向理事) 
 中央放送番組審議会委員の委嘱について、審議をお願いします。
 塚田和夫氏(前(財)アジア農業協同組合振興機関常務理事)が、今年9月30日付で退任されるのに伴い、向井地純一氏(全国農業協同組合中央会専務理事)に10月1日付で新規委嘱したいと思います。 

(会 長) 原案を了承し、経営委員会に諮ります。
 

2 報告事項
(1)教育フェア2008について
(編成局)
 10月22日(水)から11月3日(月)まで開催する「NHK教育フェア2008」について報告します。
 今回は、平成21年1月の教育テレビ開設50周年の先触れとして、公共放送NHKが展開する多様な教育サービスを、視聴者やイベントの参加者に広く知ってもらうことで、いっそうの信頼につなげる機会とします。具体的には、あらゆる人の学ぶ意欲に応える公共放送NHKの姿勢をアピールし、子ども番組や生涯学習番組の特集によって教育テレビへの親近感を高めてもらいます。また、教育コンテンツの国際コンクール「日本賞」の開催や、アジア太平洋放送連合(ABU)との連携を通じて、世界の放送の発展に寄与したいと思います。
 主な内容は次のとおりです。


1. 公開イベント「NHK秋のふれあい広場〜教育フェア2008〜」
 幼児から中高年まで、みんなが楽しく学べるNHKの教育コンテンツの面白さを体感できる場として、10月31日(金)から11月3日(月)まで、本部放送センター4階正面ロビー、正面広場、5階スタジオなどで開催します。具体的には、人気の幼児番組やアニメをはじめ、語学番組や趣味実用番組、福祉番組、新しい時代に向けたデジタル教材まで、会場をひとまわりすれば、バラエティーに富んだNHKの教育サービスを実感できる展示をそろえます。屋外ステージでは、幼児・子ども番組の人気キャラクターショー、ミニコンサートなどを催します。NHKの映像に親しむ新サービス「そうぞうライブラリー」のデモンストレーションなど、新しい企画も登場します。また、来年1月の教育テレビ50周年に向けて、教育テレビのあゆみが一覧できるボードを会場内に設置し、これを見て視聴者が心に残る番組をその場で投票するなど、参加感をもって、1月の教育テレビ特別編成を待ち望んでもらえる企画を実施します。さらに、5階スタジオでは、例年親子連れに大好評の双方向型展示として、ハイスピードカメラ、クロマキー合成、人形劇に音響効果を付けるコーナーなどを通じて、来場した視聴者と制作現場のプロたちが直接ふれあいながら、放送番組制作の現場を実感してもらいます。
 11月1日(土)〜3日(月)の3日間は、4階正面ロビー内の特設ステージを中心に、会場から熱気あふれる生放送を送出します。また、10月31日(金)〜11月3日(月)は、NHKスタジオパークを「視聴者感謝デー」として無料で公開するとともに、1日(土)〜3日(月)の3日間、館内のパークギャラリーにて親子で番組作りを楽しめる「NHKファミリー放送体験クラブ」を開催します。

2.

第35回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール
 「日本賞」は、世界の教育番組の向上を図るとともに国際的な理解と協力の増進に役立つことを目的として、NHKが1965(昭和40)年に創設したコンクールです。世界的に、デジタル放送やインターネットが教育現場に急速に普及している現状を踏まえ、最先端のコンテンツが競う場となるよう、今回から従来の「教育番組」にとどまらず「音と映像を用いた教育コンテンツ」に対象を広げました。その結果、世界59の国・地域の173機関から、史上最多となる293本の作品応募がありました。うち初参加の国が4か国(アルメニア、チャド、グレナダ、セントルシア)、初参加した機関が96機関ありました。NHKからは、コンテンツ部門にNHKスペシャル「100年の謎はなぜ解けたのか〜天才数学者失踪の謎〜」(平成19年10月22日放送)をはじめ5本の番組が、今回新たに設けられたシリーズ番組部門に「ハートをつなごう 性同一性障害」(平成20年6月30日放送)が参加しています。
 コンクールの透明性を高めるため、今回から審査基準を事前にホームページで公開するようにしました。10月22日(水)から27日(月)まで、日本や中国、アメリカ、イギリス、ブラジルなど13か国から迎えた17人の専門家が厳正に審査を行い、28日(火)に授賞式を開催します。
 関連番組として、開催に先がけ10月18日(土)午後3時から総合テレビで第35回日本賞関連特集「Education2.0〜激変する世界の教育〜」を放送、出品された新しい形のコンテンツを紹介しながら、世界の教育現場にデジタルメディアが広がっている様子を伝えるほか、11月2日(日)午後9時から教育テレビで授賞式の模様を放送します。また、受賞した作品は、11月3日(月)の午後6時から教育テレビで一挙に紹介します。

3. 視聴者とともにつくる特別編成
 教育フェア関連番組を集中的に編成し、教育番組の存在意義をアピールします。目玉となるのは、「NHK秋のふれあい広場」の会場から3日間公開生放送する、「生放送!教育フェア2008」(11月1日(金)、3日(月)教育、2日(日)総合)です。同じく会場からの視聴者参加型番組として「きょうの料理 クッキングコンテスト」(11月2日(日)教育)も生放送の予定です。また、BS世界のドキュメンタリー「シリーズ 現代社会と子どもたち」(10月21日(火)〜25日(土)衛星第1)やBSドキュメンタリー「アジアに生きる子どもたち」(10月28日(火)〜31日(金)衛星第1)など子どもの未来や教育について考える番組、先に挙げた「日本賞」の関連番組や来年実施する「ABU未来への航海2009」の関連番組、定時番組のスペシャル版などを、各波の特色を生かして展開します。

4.

第59回放送教育研究会全国大会 第12回視聴覚教育総合全国大会 合同大会
 昨年に引き続き、放送教育研究会の全国大会を視聴覚教育研究団体の大会と合同で、10月24日(金)〜25日(土)に開催します。会場は国立オリンピック記念青少年総合センターと千代田区立九段小学校です。

5.

アジア教育プロデューサー会議
 10月23日(木)〜28日(火)の期間、来年3月にフィリピンで実施する国際的な環境教育イベント「ABU未来への航海2009・サンゴ礁の海を守れ」に参加を予定しているアジア各国の放送機関とNHKの教育番組プロデューサーが集い、現地での学習プログラムや撮影方法について議論するとともに、国際共同制作の実践的な研究を行います。

6.

第9回NHKアジア・フィルム・フェスティバル
 アジア諸国の新進気鋭の映画監督と映画を共同制作することで、互いの文化を理解しあい、アジアの映像文化の振興に寄与することを目的に、11月1日(土)から5日(水)まで、NHKふれあいホールで開催します。


(金田専務理事)

 関連番組については、こうした日本の取り組みを、国際放送を通じて世界に発信すべきだと思います。
 また、「NHKアジア・フィルム・フェスティバル」は
東京で開催されている各種の映像フェスティバル等と連
携を考えたらいいのではないでしょうか。

(編成局)

 関連番組のいくつかは、国際放送で世界に発信することにしています。
 また、「NHKアジア・フィルム・フェスティバル」については、他のコンテンツフェスティバルとの連携を図りながら、来年度以降の実施のあり方を検討しています。


(2)2008年9月放送評価調査の結果について
(放送文化研究所)
 2008年9月放送評価調査の結果について報告します。
 放送評価調査は、NHKの放送に対する視聴者の評価を把握するためのもので、昨年度に4回実施し、今年度は2回目です。今回は9月5日(金)から9月7日(日)までの3日間、電話法(RDD追跡法)により、全国の20歳以上の男女1,866人を対象に実施し、1,135人(60.8%)から回答を得ました。調査期間は、北京オリンピックの特別編成が終了した後の時期でした。
 調査項目は、全体評価として「信頼(NHKの放送を信頼しているか)」、「満足(NHKの放送に満足しているか)」、「親しみ(NHKの放送に親しみを感じているか)」、「独自性(NHKの放送は民放にはない特色があると思うか)」、「社会貢献(NHKの放送は社会の役に立っていると思うか)」の5項目です。また、側面別評価として「正確・公平(事実を正しく、公平に伝えている)」、「生命・財産を守る(災害、大事件、大事故のニュースをいち早く伝えている)」、「娯楽性(楽しんだり、リラックスしたりする番組を放送している)」、「知識・教養(知識や考えを深める番組を放送している)」、「実用性(仕事や生活に役立つ番組を放送している)」、「地域への貢献(地域に役立つ番組を放送している)」、「文化の継承・発展(伝統文化の継承や、新しい文化の発展に役立つ番組を放送している)」、「福祉(お年寄りや障害者を持つ人々のための番組を放送している)」、「教育(子どもや青少年のためになる番組を放送している)」、「国際理解(国際理解に役立つ番組を放送している)」の10項目を掲げています。15項目それぞれについて1点から5点で回答してもらい、4点以上の肯定的評価があった回答の率を出しています。なお、調査対象者の番組視聴頻度は、これまでと差はありませんでした。
 調査結果を説明します。
 項目間の高低など全体的な傾向はこれまでと変わっていません。全体評価では、「信頼」「社会貢献」の評価が高く、「親しみ」が低くなっています。また、側面別評価では、「生命・財産を守る」の評価がたいへん高く、「娯楽性」「地域への貢献」が低くなっています。
 ただし、昨年度4回の結果の平均と比較すると、全体的に評価が下がっています。全体評価は、「信頼」を除くすべての項目で下がっています。年層別で見ると60代の低下が注目されます。50代も同様の傾向が見られます。特に男性よりも女性の方が低下しています。側面別評価でも「知識・教養」「地域への貢献」「文化の継承・発展」「教育」の4つの項目で評価が下がっており、年層別では50代・60代で複数項目の低下が見られます。
  次回の調査の結果を注視したいと思います。

(金田専務理事)  今年度1回目の調査結果と比較した場合はどうなっていますか。
(放送文化研究所)  前回は6月、岩手・宮城内陸地震の発生直後に調査しました。前回の方が今回に比べて高い評価が得られました。昨年度4回と比べても高い数値でした。
(金田専務理事)  調査直前の放送内容が結果に反映されているということですか。
(放送文化研究所)  電話法による調査のため、あまり多くの項目を質問できません。どうしてそう思うのかという点まで踏み込んで聞いていませんので、回答の背景を明確に分析できない状況です。
(今井理事)

 背景の分析につながる項目を加えて調査できないのですか。

(放送文化研究所)  今年度中に背景分析が可能な項目を加えた試みの調査の実施を検討しています。
(会 長)   来年度から3か年経営計画を実行していく中で、取り組みの評価につながる調査です。今後も着実に調査を継続してください。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 10月 6日
                     会 長  福 地 茂 雄

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