日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 7月 1日開催分)
平成20年 7月18日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 7月 1日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、後藤理事、大西理事、関根理事、今井理事

 多賀谷監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1072回経営委員会付議事項について
(2)放送局の開設等における経営委員会の議決を要しない軽微事項に
   ついて
(3)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(4)視聴者対応報告(平成20年4月・5月)について

2 報告事項
(1)20年5月の視聴者満足(CS)向上活動報告について
(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(3)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過
1 審議事項
(1)第1072回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 7月8日(火)に開催される第1072回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「放送局の開設等における経営委員会の議決を要しない軽微事項について」、「地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について」、審議事項として「次期経営計画について」です。また、報告事項は、「総務省『公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会』最終報告書について」、「関連団体等の社長・理事長の交代について」、「地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について」、そして「視聴者対応報告(平成20年4月・5月)」です。その他事項は、「『契約の適正な執行に関する行政評価・監視』に関する総務省行政評価局からの協力要請について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(2)放送局の開設等における経営委員会の議決を要しない軽微事項に
   ついて
(永井理事)
 本年4月1日より施行された改正放送法第14条第1項第1号「ヘ」では、「放送局の設置計画並びに放送局の開設、休止及び廃止」については経営委員会の議決事項とされています。ただし「経営委員会が軽微と認めたものを除く」となっていますので、次の基準により経営委員会の議決を必要としない事項を定めたいと思います。審議をお願いします。

1.放送局の開設のうち設置計画についてすでに経営委員会で議決を 受けたもの、及び協会以外の団体等が設置し協会が免許人となることを委託されたもの

2.放送局の休止のうち総務大臣の認可を要しないもの

3.放送局の廃止のうち過疎化した地区において住居者の転居により当該放送局を受信している世帯が皆無になったもの、及び定められた条件に該当するもので当該放送局以外の協会の放送が安定的かつ継続的に受信できることとなったことにより、当該放送局を受信している世帯が皆無になったもの

 この基準は、放送法の改正以前の運用と同じ内容です。なお、放送局の設置計画はすべて経営委員会の議決を得ることとします。また、上記の基準に基づき議決を経ない軽微事項については、事後取りまとめて経営委員会に報告します。
 本議案が了承されれば、7月8日の第1072回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることにします。


(3)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(永井理事)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について審議をお願いします。
 放送局設置に関する諸条件が整った北海道の南喜茂別、厚沢部、知駒、稚内、幌加内、本別、中標津、根室、佐呂間、若佐、佐呂間知来、振内、岩手県の大槌、秋田県の矢島鳥海、森吉、湯沢東、大森、栃木県の鹿沼、千葉県の小見川、佐原、下総光、山梨県の富沢、静岡県の修善寺、藤枝堀之内、河津、川根、芝川柚野、岐阜県の多治見、滋賀県の八日市、甲賀大原、京都府の和束、奈良県の三郷立野、和歌山県の槇山、田辺、由良、下津、南部川、印南切目、大阪府の川西池田、柏原、岬深日、兵庫県の神戸長田、中町、山芦屋、川西けやき坂、相生、赤穂、神崎、神戸生田、広島県の志和、向原、戸山、安浦、香川県の綾上、土庄、高知県の窪川興津、徳島県の一宇、一宇東、佐賀県の大和川上、長崎県の東長崎、飯盛、外海、矢上、長与、畝刈、鹿児島県の大隅、牧園、喜界、日当山、鹿児島小野、与論、沖縄県の石垣、多良間の73地区に地上デジタルテレビジョン中継放送局を設置したいと考えています。
 今回の整備に要する経費はおよそ53億円を見込んでいますが、既設のアナログ施設の活用や民間放送との共同建設などを通じて、コストの削減に努めます。
 本日、了承されれば、第1072回経営委員会に諮りたいと思います。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることにします。


(4)視聴者対応報告(平成20年4月・5月)について
(視聴者サービス局)
 改正放送法第12条により、視聴者からの意見・苦情については適切かつ迅速に対応することが義務づけられ、さらに第22条の2第3項により、その対応状況について経営委員会への報告が義務づけられました。
 ついては、20年4月分と5月分について以下の内容で報告したいと思いますので、審議をお願いします。
 まず、4月の視聴者対応について説明します。
 4月にいただいたご意見・お問い合わせは456,229件でした。
 放送番組に関して寄せられた意見・要望・問い合わせについて、反響が多かった番組は、上位から「ためしてガッテン」「NHKニュースおはよう日本」「MLB・アメリカ大リーグ」などでした。4月は後期高齢者医療制度やガソリン税などの暫定税率をめぐる問題、長野市での北京オリンピック聖火リレーなどに関するニュースや番組に多くの意見や感想が寄せられました。
 特に好評な意見が集中した番組は、ためしてガッテン「医学で解明!顔若返り」(4月2日放送)、同「見過ごすと命とり!?しびれ・体からのSOS」(4月9日放送)、その時 歴史が動いた「“古事記”誕生〜日本最古の史書の謎〜」(4月23日放送)、プロフェッショナル 仕事の流儀「茂木健一郎の脳活用法スペシャル」(4月29日放送)などでした。
 一方、「歌謡チャリティーコンサート」(4月29日放送)は、番組全体では好評意見が多かったのですが、「オーケストラの演奏の音が大きすぎて歌手の歌が聞こえない」「マイクの音量が小さく司会者の声が聞こえない」など音声についての不評意見が目立ちました。また、ためしてガッテン「医学で解明!顔若返り」、「見過ごすと命とり!?しびれ・体からのSOS」 について再放送の要望が多く寄せられ、それぞれ定時の再放送枠に加え、衛星第2のアンコール放送枠で再放送しました。
 次に具体的な対応事例について、いくつか報告します。
 首都圏情報番組のビデオレターのコーナーで視聴者から寄せられたビデオに対して、「野鳥に餌付けするシーンがあったが、野生動物に餌付けする行為は禁止されているのではないか」という指摘がありました。3日後の同番組内でおことわりを放送し、指摘を受けたことを紹介しながら、「野鳥にえさを与えることは自然の状態を乱すことにつながり好ましくない」という日本鳥類保護連盟の話を伝えました。
 「プロ野球中継が特定のチームの試合に偏っているのではないか」という意見に対しては、NHKではプロ野球の放送カードの選択にあたって視聴率だけでなく全国世論調査なども参考にしながら、できるだけ多くの視聴者に見てもらえる編成を考えていること、どのチームにもファンがいることは十分認識しており視聴者からの意見を参考にして今後のカード選択に生かしていくことを説明して、理解をいただきました。
 テロップの表記のミスや原稿の読み間違いなどに対して、視聴者から数々の指摘がありました。番組担当者に連絡し、できるだけ放送の中で訂正するよう努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知して注意を喚起しました。
 4月3日にNHKが職員の株インサイダー取引の処分を発表したことについて、「調査や説明が不十分だ」「処分が甘い」など31件の抗議や意見が寄せられ、お詫びするとともに意見を集約して速やかに全役員に報告しました。
 続いて、5月分について説明します。
 5月にいただいた意見・問い合わせは369,323件でした。4月に比べて19%減っていますが、4月は例年新番組への反響が多いためだと考えています。放送番組への反響では、「ひらけ!魔法の扉〜いっしょに歌おう夢のうた〜」(5月5日放送)に好評意見が多く寄せられ、1,135件の反響のうち984件が好評意見でした。5月27日放送の「歌謡コンサート」は、全体では好評意見が多かったものの、出演した歌手に対する不評意見が目立ちました。再放送要望への対応では、前述の「ひらけ!魔法の扉」を再放送したほか、大雨の影響で広い地域で受信障害が発生した「太王四神記」最終回(5月19日放送)の再放送の要望が多く、衛星第2「あなたのアンコール サタデー」内で再放送しました。
 次にいくつかの具体的な対応事例についてです。
 「視覚障害者のスポーツを中継してほしい」という要望がたびたび寄せられたことから、8月に行われる「全国盲学校野球大会」の決勝戦の模様をラジオ第2の「視覚障害者の皆さんへ」の中で、中継録音でお伝えすることにしました。
 また、色覚障害がある視聴者から「ケータイサイトの表示で、カーソルをあてると文字が見にくくなるところがある」という指摘があり、改善に向けて検討を開始するとともに、その旨をご指摘いただいた方に回答しました。
 FMの「音の風景」に対して、「最近はナレーションが多くて本来の音が楽しめない」という意見があり、スタッフ一同初心に帰って音の魅力を伝えていくことを再確認しました。
 5月2日の「SONGS」の放送中にJR和歌山線の運転見合わせの情報をスーパーしたところ、「せっかくの番組の雰囲気が台無しになった」という意見がありました。これに対しては、列車の運転見合せなど地域の人々の生活に直結するニュース・情報をきめ細かく伝えることは公共放送の使命であること、スーパー速報には番組の放送時間を変更したり中断したりすることなく情報を速やかに伝えられる長所があることを説明し、理解を求めました。
 受信相談関係では、BSアナログ放送での「アナログ」のロゴ表示について問い合わせがあり、アナログ放送終了に向けた周知の一環であることを説明しました。
 最後に、経営関係の意見については、NHK職員の株取引問題に関する「第三者委員会報告」が5月27日に公表されたのを受けて、厳しい意見が5月末現在で782件寄せられました。いただいた意見は6月1日放送の「三つのたまご」や6月16日放送の検証番組「NHK職員 株取引問題」の中で紹介しました。

(会 長)

 好評意見が多かった番組については、どこがよかったのかを分析して共通点を引き出し、現場にフィードバックして次の番組作りに生かすことに留意してほしいと思います。
 経営委員会への報告内容については、原案どおり決定します。


2 報告事項
(1)20年5月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 20年5月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 まず、放送は6月ですが、検証番組「NHK職員 株取引問題」(6月16日放送)に対する反響を速報します。「司会者がNHKアナウンサーでは会長を追及する姿勢が感じられない」「生放送で視聴者の声をリアルタイムで紹介すべき」など番組に対する厳しい意見をはじめ、会長・副会長の発言に対する意見や当事者の厳正な処分を求める声、続編でのさらなる検証や再放送の要望など、放送後1週間で484件の反響がありました。
 環境キャンペーンとして集中編成した「SAVE THE FUTURE」(6月6〜8日放送)には、合わせて1,852件の反響が寄せられました。うち好評な意見・問い合わせが41%、厳しい意見が37%ありました。特に、7日に放送した「日本の、これから スペシャル」での出演者の発言に対してや、8日の「エコうた」での照明の明るさ、同じく夜遅くまでのライブについて厳しい意見が寄せられました。また、放送中に飛ばした飛行船には航路・通過時間についての問い合わせが数多く寄せられました。
 次に、ふれあいミーティングの実施状況です。盛岡放送局では、外国人視聴者と制作担当者が意見交換を行い、「外国人を取り上げた番組では、外国人にもわかりやすい内容にしてほしい」などの意見が出されました。
 続いて、視聴者のみなさまの声などを生かした改善の件数です。5月の改善件数は本部3件、各放送局で82件の合計85件でした。おもな改善事例を紹介します。これまでインターネットでの受信料の届出では、手続きの完了まで1週間から12日間かかっていました。届出用紙とNHKあての料金受取人払のあて先ラベルをパソコンからプリントアウトしてすぐ送付できるようにしたことで、4〜5日間に短縮しました。
 視聴者満足の向上を目指した取り組みとして、名古屋放送局では、地域在住のブラジル人に向けてポルトガル語のホームページを開設しました。日系ブラジル人による日本語でのコラムも掲載し、ブラジル人の考え方や文化を日本人に紹介して、両者の懸け橋となるよう努めています。
 最後に、全国54の放送局でそれぞれ地域や社会にきちんと貢献する活動「チャレンジ54」の取り組みについてです。札幌放送局では、環境キャンペーン「森の学校」を5月31日に開催しました。小学生の親子93名が参加し、森での体験学習を通じて森林保護が温暖化防止につながることを楽しみながら学んでもらいました。


(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(永井理事)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について報告します。
 経営委員会で議決された設置計画に基づき建設を取り進めてきた地上デジタルテレビジョン中継放送局のうち、今年の4月初旬から6月下旬にかけて、静岡県の秋葉、滋賀県の大津石山、大津藤尾、京都府の亀岡、兵庫県の市島、姫路西、広島県の南加計、豊栄、黒瀬、高陽、山口県の下関西、光、下松、香川県の讃岐白鳥、愛媛県の南宇和、伊予由良、徳島県の日和佐、阿波勝浦、池田松尾、高知県の本山、大豊、豊永、大分県の佐伯、熊本県の牛深、阿蘇、南阿蘇、阿蘇北、鹿児島県の頴娃、南種子、沖縄県の平良の30地区に中継放送局を開局しました。
 これにより、全国の地上デジタルテレビジョン放送局の世帯カバー率は93%となりました。


(3)放送番組審議会議事録(資料)
(編成局)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成20年5月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)



以上で付議事項を終了した。
 注1: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。
上記のとおり確認した。
      平成20年 7月15日
                     会 長  福 地 茂 雄

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