日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 3月11日開催分)
平成20年 3月28日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 3月11日(火) 午前9時00分〜10時15分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、後藤理事、大西理事、関根理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)放送法改正に伴う定款変更について
(2)役員の報酬及び退職金並びに職員の給与及び退職金の支給の基準
   の公表について
(3)服務に関する準則の策定・公表について
(4)平成20年度視聴者サービス活動基本方針について

2 報告事項
(1)平成20年度CS(お客さま満足)向上活動方針
(2)平成20年度部外解説委員の委嘱・解嘱について
(3)日本放送協会健康保険組合の平成20年度収入支出予算について
(4)日本放送協会共済会の平成20年度事業計画ならびに収支予算
   について
(5)契約・収納業務の公開競争入札の試行(NHK市場化テスト)
   について

議事経過
1 審議事項
(1)放送法改正に伴う定款変更について
(総合企画室)
 放送法改正に伴う定款変更については、2月26日の理事会で素案を審議していただき、同日の経営委員会にも審議事項として提出しました。その際にいただいたご意見を踏まえ、若干修正しました。
 修正点は、経営委員の再任が可能である旨を明確にしたこと、経営委員会および監査委員会の事務局の執行部からの独立性に関する文言を追加したこと、放送法の規定に従い、専務理事以外の理事も代表権を有する旨を規定したことなどです。
 この内容が了承されれば、本日の経営委員会に議決事項として提出し、議決が得られれば、総務大臣に認可申請します。

(会 長) 原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


(2)役員の報酬及び退職金並びに職員の給与及び退職金の支給の基準
   の公表について
(人事総務局)
 役員の報酬及び退職金並びに職員の給与及び退職金の支給の基準の公表については、2月26日の理事会で審議され、同日の経営委員会にも審議事項として提出し、ご意見をいただきました。それらを再検討し、役員退職金支給基準について、業績その他の理由により退職金を減額または不支給とすることがある旨を盛り込みました。また、職員の給与等の支給の基準について、給与体系を図示し、わかりやすくするなどの変更をしました。
 なお、この内容が了承されれば、本日の経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長) 原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


(3)服務に関する準則の策定・公表について
(人事総務局)
 服務に関する準則の策定・公表についても、2月26日の理事会で審議され、同日の経営委員会にも審議事項として提出し、ご意見をいただきました。
 大きな変更点は、役員から職員まで包含した一つの準則としていましたが、経営委員、会長以下の執行役員、職員とそれぞれ分けて準則を策定することにしました。
 また、会長以下執行役員の準則について、会社法に倣って忠実義務を加えるなどの修正をしました。
 なお、この内容が了承されれば、本日の経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長) 原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


(4)平成20年度視聴者サービス活動基本方針について
(視聴者サービス局)
 「平成20年度視聴者サービス活動基本方針」について審議をお願いします。
 平成20年度は、平成16年の不祥事を契機に失った視聴者からの信頼回復を目指して“視聴者第一主義”を掲げ、協会全体で懸命に取り組んできた「3か年経営計画」の最終年度です。
 視聴者総局においてもこれまで「3か年経営計画」に基づき、受信料収入確保と公平負担の徹底を目指すとともに、CS向上活動や公共放送の理解促進活動、情報公開の推進に努めてきました。
 結果、18年度以降受信料収入は回復基調に転じるとともに、視聴者の“声”に基づく「改善」が協会の各部門で図られるようになり、信頼回復に向けた努力の中で、協会全体に「視聴者と向き合う姿勢」が定着しつつあります。
 しかしながら、20年1月の不祥事発覚により、協会はいま、公共放送の存在意義を問われる未曾有の危機に再び直面しています。また、視聴者を取り巻くメディア環境はますます多様化し、激しく変化しています。こうした状況の中で、公共放送のその全てを支える「視聴者との結びつき」をより確かなものとし、3年後の完全デジタル化に向け、新たな公共放送の基礎を築かなければなりません。
 こうした認識のもと、視聴者総局は20年度、視聴者サービス活動を次の新たなステージに進めることを目指し、一人ひとりの視聴者の“声”を貴重な経営資源と捉え、その収集や把握・分析を強化し、経営や放送部門へ的確に伝え、協会内の各業務への反映・改善の一層の推進を図ります。
 特に、20年4月からの改正放送法の施行に伴い、「苦情その他の意見への適切かつ迅速な処理」と「経営委員会への処理結果の報告」が義務づけられることから、そのための体制を整備し、視聴者意向への的確な対応を協会全体に徹底していきます。
 また、営業業績の確保とその向上は信頼回復の証であり、新たな公共放送の基盤づくりに必要不可欠なものです。受信料の公平負担の徹底に向けて、効率的な契約収納活動を推進するとともに、訪問集金廃止等の新たな施策の実施と、より公平で合理的な受信料体系への改定を行います。
 そして、「自主・自律」を支える受信料制度を将来にわたって堅持できるようイベントや広報展開を通じて公共放送の理解促進に一層努めるとともに、事業運営の透明性を高め説明責任が果たせるよう情報公開をさらに推進します。
 さらに、信頼回復の「鍵」となり、新生NHKの基盤そのものである「人材」の育成についても一層の強化を図っていきます。
 平成20年度、視聴者総局は、以下の重点的な取り組みを通じて、失った視聴者からの信頼回復にとどまらず、完全デジタル時代に向け、受信料制度で支えられる公共放送のより強固な基盤の確立を目指していきます。

1

受信料の増収確保と公平負担徹底に向けた契約収納活動の強化

2

効率的な契約収納体制の構築と契約収納費の削減

3

CS(お客さま満足)向上活動のいっそうの推進

4

若い世代との結びつきの強化

5

公共放送の理解促進と情報公開のいっそうの推進

6

人材育成の取り組み強化

 1については、予算・事業計画に掲げた6,350億円の受信料の増収確保と受信料の公平負担に向け、外部委託の強化や民事手続きの活用のいっそうの推進など多様な活動により、受信料をお支払いいただけない方の支払再開や契約開発を促進するとともに、より公平で合理的な受信料体系への改定を行います。
 2については、20年10月に受信料の訪問集金を廃止することにより、効果的・効率的な契約収納体制を構築するとともに、契約収納にかかるトータルコストの削減と併せて営業経費率の圧縮を図ります。
 3については、20年4月に予定される改正放送法施行に伴う「苦情その他の意見への適切かつ迅速な処理と報告の義務化」へ的確に対応するとともに、視聴者のみなさまの多様なご意見・ご要望の多角的な把握と事業運営に反映していく仕組みをいっそう充実させていきます。
 4については、若い世代を対象としたイベントサービスの充実や、携帯サイトの一層の活用などにより、経営課題である若年層とNHKとの接触機会拡大と結びつきの強化を図ります。
 5については、3年後に迫る完全デジタル時代を見据えて、受信料制度を将来に向け堅持できるよう、イベント・広報活動を通じて視聴者のみなさまの公共放送への理解を深めてもらうよう努めます。また、番組制作経費や経営情報などの情報公開をいっそう推進し、説明責任を果たしていきます。
 6については、コンプライアンスや危機管理意識の組織内への浸透をはじめとして、信頼回復の推進とともに新生NHKの強固な基盤づくりを目指し、これまで以上に人材育成へ各部門が積極的に取り組みます。

(会 長) 原案どおり決定します。


2 報告事項
(1)平成20年度CS(お客さま満足)向上活動方針
(視聴者サービス局)
 平成20年度CS(お客さま満足)向上活動方針について報告します。
 19年度は、「ふれあいミーティング」や「チャレンジ54」(各地の放送局がそれぞれ地域や社会にきちんと貢献する活動)、視聴者のみなさまの声などを生かした「改善への取り組み」などさまざまなCS向上活動を行ってきました。
 「ふれあいミーティング」の中でも、番組と連動するなどの「企画型ミーティング」に対する視聴者のみなさまの満足度は極めて高く、これを拡充することで視聴者とのより強い連携が可能になると思います。また、20年10月から訪問集金が廃止されますので、これまで以上に視聴者との双方向コミュニケーションを充実していく必要があります。「チャレンジ54」については、さらに活性化していくことが必要です。また、20年度からは、放送法の改正に伴い、視聴者のみなさまの声をこれまで以上に的確に把握し、適切かつ迅速に対応することが必要になります。
 これらを踏まえて、平成20年度CS活動は、次の3点を柱として取り組みます。

1

視聴者との“直接対話活動”で、視聴者との“パートナーシップ”を構築

2

部局の垣根を越え、放送局が一丸となって、地域社会に貢献する「チャレンジ54」を拡充

3

視聴者のご意見・ご要望を、これまで以上に真しに受けとめ、適切かつ迅速に対応を行う

 1については、「ふれあいミーティング」をさらに充実させます。「企画型ミーティング」を全国で拡充し、役員が視聴者と直接対話する「大型ミーティング」にも引き続き取り組みます。また、番組担当のチーフプロデューサーやアナウンサーなどが参加して放送サービスについて話し合う「公募型ミーティング」も本部で毎月開催します。
 2については、「チャレンジ54」のCS活動と「地域応援キャンペーン」(地域の課題に向き合い、“地域の応援団”として情報を発信するNHKの放送サービスの重点項目)との相乗効果により、視聴者のみなさまとともに地域の課題に向きあう取り組みを展開していきます。また、公共放送で培った専門知識や専門能力を社会に還元し、子どもたちの健全な成長や心豊かなくらしの実現に寄与していきます。
 3については、視聴者コールセンターにとどまらず、全国のNHKに寄せられる視聴者のみなさまの声を幅広く把握し、分析を強化します。また、視聴者のみなさまの声を放送や経営に反映し、改善活動に結びつけていきます。


(2)平成20年度部外解説委員の委嘱・解嘱について
(日向 理事)
 平成20年度部外解説委員の委嘱・解嘱について報告します。
 平成20年度部外解説委員は、20年3月31日をもって委嘱期間満了となる4名のうち1名を再委嘱し、3名は解嘱します。
 再委嘱する方は、五十嵐公利氏(外交・政治評論家)です。園田矢氏(外交評論家)、田村孝子氏(芸術文化評論家)、松尾正洋氏(経済評論家)は解嘱します。


(3)日本放送協会健康保険組合の平成20年度収入支出予算について
(関根 理事)
 日本放送協会健康保険組合の平成20年度の収入支出予算について、2月20日の組合会において、提案どおりに可決されましたので報告します。
 20年度の健康保険の収入合計は98億7,100万円で、19年度の収入合計98億5,200万円に比べて1,900万円の増収を見込んでいます。
 主な事業計画については、付加給付、各種検診等の経費補助施策、メンタルヘルスへの対応等心身の健康増進施策について現行レベルを維持します。また、家族検診の経費補助対象範囲を「被扶養配偶者及び被扶養の父母」から「被扶養配偶者及び40歳以上の被扶養者」まで拡大します。


(4)日本放送協会共済会の平成20年度事業計画ならびに収支予算に
   ついて
(関根 理事)
 平成20年度日本放送協会共済会の事業計画ならびに収支予算については、2月20日の評議員会において、提案どおり可決されたので報告します。
 食堂業務、販売業務等の一般会計は、収入・支出とも同額の42億5,000万円を計上して実施します。食堂業務については、「食の安全・安心」と衛生管理の徹底、健康に配意した供食の実施と利用者の嗜好に合ったサービス向上を図ります。
 また、転勤者用住宅の管理等の特別会計は収入・支出とも同額の57億3,500万円を計上して実施します。


(5)契約・収納業務の公開競争入札の試行(NHK市場化テスト)
   について
(営業局)
 契約・収納業務の公開競争入札の試行(NHK市場化テスト)〜エリア管理型法人委託の開発〜について報告します。
 受信料の公平負担徹底による支払率の向上と契約収納関係経費の削減は最重要課題であり、これまでもさまざまな施策により、この課題に取り組んできました。
 受信契約に係る契約収納関係経費については、平成19年度、20年度ともNHKの「収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣意見で、政府の市場化テスト(官民競争入札)に準じて、可能な限り外部業務委託を行うなどの契約・収納業務の抜本的な見直しを検討するよう指摘されました。また、公共サービス改革基本方針(平成19年12月改定を閣議決定)でも、受信料徴収業務のうち、地域スタッフとの個別契約によって行われている契約取次業務、集金業務等について見直し、必要な民間活用をさらに推進するよう指摘されました。
 一般的に、市場化テスト(官民競争入札)は、公共サービス改革法に基づき、「官」と「民」が対等な立場で競争入札に参加し、質・価格の両面で最も優れた者が、そのサービスの提供を担う仕組みで、公共サービスに競争原理を導入し、民間事業者の創意工夫を適切に反映させることで、より良いサービスの実現や無駄なコストの削減を図ることなどが目的です。
 公共サービス改革法に基づく官民競争入札では、受託した民間事業者に「みなし公務員」規定が適用されますが、NHKは行政機関でなく、NHK職員も公務員でない等の不整合が生じます。また、公共サービス改革法に基づく官民競争入札を行うことはNHKが「官」と位置づけられ、公共放送NHKの性格に対する視聴者の誤解を招きかねず、かえって契約・収納業務の妨げとなるおそれもあります。NHKは、受信料の契約・収納業務の大半をすでに外部に業務委託していますが、先の総務大臣意見等も踏まえ、公共サービス改革法に基づく官民競争入札(市場化テスト)に準じて外部委託を自主的に進めていくことにします。
 契約・収納業務の公開競争入札の試行(NHK市場化テスト)の実施概要は次のとおりです。
 現行外部委託は、地域スタッフが主力ですが、営業経費の削減や公平負担の徹底(業績向上)、透明性の向上の3点を踏まえ、市場化テストの仕組みを活用し、新たな戦力を開発していきます。業務の委託にあたり、公開競争入札方式(価格と質を評価する「総合評価方式」)を採用し、従来の実施状況に関する情報を可能な限り開示します。対象業務は、契約・収納業務全般で、要員の管理業務も含みます。実施期間は平成21年2月から23年3月までとし、対象の地域は、首都圏、近畿で人口10〜20万程度の地域3か所とします。要求する水準は、地域スタッフの実績等に基づいて設定し、「質」を確保する指標も設定します。委託費については、「目標業績明示」に対してのコスト応礼とし、業績達成状況に応じ、支払額を増減します。
 今後のスケジュールについては、今月中旬に現在検討している実施要項(案)を公表し、広く民間事業者等の提案を募集します。提案内容を精査し、最終的な実施要項を今年8月頃に決定・公表し、今年の10月までには公開競争入札等の実施・落札をし、来年2月に運用を開始する予定です。
 なお、実施期間終了後、業績・コスト等を分析し、公開競争入札の有効性、実施要項のあり方等も含め、試行結果を検証し、今後の方向性を決定することにします。

 

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 3月25日
                     会 長  福 地 茂 雄

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