日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 1月15日開催分)
平成20年 2月 1日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 1月15日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田専務理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、石村理事、西山理事、日向理事、溝口理事、八幡理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)電波利用料見直しに係る料額算定の具体化方針(案)への意見募
   集の対応について

2 報告事項
(1)受信料体系の見直しに関する「意見募集」の結果について
  

議事経過
1 審議事項
(1)電波利用料見直しに係る料額算定の具体化方針(案)への意見募
   集の対応について
(技術局)
 電波利用料見直しに係る料額算定の具体化方針(案)への意見募集の対応について審議をお願いします。
 総務省では、3年に1回行うこととしている電波利用料の見直しに向けて、昨年4月より「電波利用料制度に関する研究会」を開催し、同研究会は、次期(平成20〜22年度)電波利用料の制度、使途、料額の在り方について、昨年7月に報告書を取りまとめました。
 これを踏まえ、総務省は、電波利用料見直しに係る料額算定の具体化方針(案)を作成し、無線局免許人等からの意見募集を今月15日を期限に行っています。
 具体化方針(案)の概要は次のとおりです。
 「総論」として、見直し後の電波利用料の基本的な構造は、現行制度と大きな違いはなく、具体的な使途に係る費用を「a群」と「b群」に分類しています。「a群」は、電波の経済的価値の向上につながる事務費用で、具体的には、電波資源拡大のための研究開発、無線システム普及支援事業(携帯電話等エリア整備支援事業)、無線システム普及支援事業(地上放送のデジタル化への完全移行のための送受信環境整備事業)、アナログ周波数変更対策業務(一部)等です。「b群」は、「a群」以外の事務費用で、具体的には、電波監視施設の整備・運用等、総合無線局監理システムの整備・運用、アナログ周波数変更対策業務(一部)等と整理されています。今回、「a群」の中に、「地上放送のデジタル化への完全移行のための送受信環境整備事業」が明記され、「アナログ周波数変更対策業務」についてはこれまで「b群」に分類されていましたが、「a群」と「b群」の双方で案分することに変更されました。
 「『a群』に係る金額の計算方法について」は、電波の逼迫帯域である6GHz以下に基本的に負担額を配分すること、逼迫帯域のうち、移動・放送系を中心とした3GHz以下の帯域と、固定・衛星系を中心とした3〜6GHzの帯域に、それらの逼迫度に応じて8:1の配分比率で負担額を配分すること、各無線システムへは、原則として、その使用周波数帯域幅に基づいて配分すること、ただし、テレビジョン放送やラジオ放送については公共性等を考慮して使用周波数帯域幅を1/4倍に換算すること、テレビジョン放送については、出力に加え、広域圏における放送であるか否か等も勘案するとなっています。
 「『b群』に係る金額の計算方法について」は、現行と同様、無線局数で均等配分した額に、無線データベースのデータ量案分額を加えた額にするとなっています。
 「電波利用料の負担について」は、個別の無線局に係る電波利用料は、原則として「a群」と「b群」に対応する金額の合計とすること、地上テレビジョン放送に係る電波利用料については、負担の急激な変動や円滑なデジタル化の推進等に関する政策的な必要性等を考慮した経過措置的な手段を講じること、国、独立行政法人(一部)、国立大学法人からも一部新たに電波利用料を徴収するとなっています。

 こうした具体化方針(案)のうち、1アナログ周波数変更対策業務の費用を「a群」と「b群」の双方で案分することについて、2「a群」の事業である「地上放送のデジタル化への完全移行のための送受信環境整備事業」について、3「a群」に係る金額の計算における使用周波数帯域幅や出力などの勘案について、4地上テレビジョン放送に係る電波利用料について経過措置的な手段を講じることについて、NHKとしての意見を次のとおり提出したいと考えています。

 1について
 アナログ周波数変更対策は、放送業務のみならず他業務も含めた無線局免許人全体の受益を図るための国の施策として行われる事業です。アナログ周波数変更対策業務の電波利用料制度における位置づけについては、平成16年度の電波有効利用政策研究会の最終報告書において、「二度の国会審議を経て、負担関係の整理も含め電波法が改正された経緯を踏まえることが必要」、「引き続き、現行の算定方法を踏襲することが適当」とされ、これに係る経費を「b群」に位置づけて実施されています。当該業務により新たに使用可能となる周波数帯域の周波数割当計画が改正されたものの、実際にその周波数帯において新たな無線業務が実施されない現時点においては、その位置づけは何ら変わらないものと考えられます。加えて、既にアナログ周波数変更対策業務の大半が実施されている状況の中で、現時点でその位置づけ自体を変更することは適当でないと考えます。
 2について
 地上放送のデジタル化は国の施策として行われる事業であり、かつ、それによる周波数の有効活用は当該周波数を使用する無線局全体の受益に繋がることから、そのために必要となる「デジタルテレビジョン中継局の整備支援」、「共聴施設の整備支援」、「デジタル混信等対策」及び「デジタル受信相談体制の整備」の支援事業は、電波利用料の「a群」による事業として適当と考えます。
 3について
 無線システムの形態は、それぞれの業務において異なるものであり、使用する周波数帯域幅が広いことや出力が大きいことがそのまま電波の経済的価値が高いことを意味するものとは単純には考えられません。放送業務は、その公共性から広いエリア内の視聴者に対して一斉に効率的に電波でサービスを行うものであり、必然的に広い周波数帯域幅を用いる高出力のシステムになる特性があります。放送業務の電波利用料の算定において、その公共性等を勘案し使用周波数帯域幅を小さく算定することは適当ですが、放送の公共性を確保するための無線システムの特長である高出力や広域性を根拠に料額を増やすことは公共性の勘案の主旨に反することから適当でないと考えます。また加えて、NHKの公共放送としての役割と受信料に支えられた事業運営の性格についても十分勘案すべきと考えます。
 放送事業者は平成22年(2010年)までアナログ周波数変更対策業務に係る追加的な電波利用料を負担しており、その期間は特例措置として、テレビジョン放送局の「a群」に係る金額はおおむね現行水準程度に設定することが適当と考えます。
 4について
 放送事業者は、現在、地上放送のデジタル化に全力を挙げて取り組んでおり、デジタル送信・送出設備等の整備に多大な投資を行いつつ、2011年までのサイマル期間においてはアナログとデジタル両方の放送設備の維持管理を行わなければならない過渡的な状況にあります。したがって、テレビジョン放送に係る電波利用料について経過措置的な手段を講じることは適当と考えます。
 以上です。

(会 長)  原案どおり決定します。



2 報告事項
(1)受信料体系の見直しに関する「意見募集」の結果について
(営業局)
 受信料体系の見直しに関する「意見募集」の結果について報告します。
 NHKでは、平成20年度の実施を検討している「訪問集金の廃止」、「事業所割引の導入」、「家族割引の拡大」、「障害者免除の適用範囲拡大」について、昨年、視聴者のみなさまからのご意見を募集しました。募集期間は、「訪問集金の廃止」、「事業所割引の導入」、「家族割引の拡大」については11月15日から12月6日まで、「障害者免除の適用範囲拡大」については12月6日から20日まででした。
 その結果、364の個人・団体から、合計546件のご意見が寄せられました。「訪問集金廃止について」は122件で、その内容はNHKの考え方を支持するご意見を多くいただく一方、「視聴者の意見を聞く観点から存続すべき」、「お体の不自由な方に対する継続を希望する」等のご意見をいただきました。NHKとしても視聴者との結びつきの強化は重要であると考えており、コールセンターの充実や利便性の向上等、引き続き視聴者のみなさまとの回路の充実に努め、また、お体の不自由な方へは、定期的な訪問による収納活動を実施する仕組みを検討していきます。
 「事業所割引について」は127件で、NHKの考え方を支持するご意見をいただく一方、ホテル・旅館の事業者・団体の方から「BBC方式(15部屋まで1契約、以降5部屋ごとに1契約)を希望する」とのご意見や貸しテレビ事業者・団体の方から「病院の契約を無料とすべき」等のご意見を多くいただきました。BBC方式は受信料収入の大幅減となり、一般世帯に与える影響が大きく導入が困難であること、病院における契約について事業者がテレビを設置した場合は事業者に契約をお願いしていることを説明したいと思います。
 「家族割引の拡大について」は82件で、NHKの考え方を支持するご意見をいただく一方、「同一世帯であれば2契約目は無料とすべき」、「低所得者、高齢者の割引を導入すべき」等のご意見を多くいただきました。また、「これ以上の割引対象、割引額の拡大に反対」とのご意見 もいただきました。同一世帯の2契約目無料については導入が難しく、また、低所得者や高齢者などを対象とした割引のあり方については今後引き続き検討していきます。
 「障害者免除について」は75件で、NHKの考え方を支持するご意見を多くいただく一方、「免除適用条件を緩和すべき」とのご意見も多くいただきました。また、「免除額を細分化すべき」、「これ以上の障害者免除拡大に反対」等のご意見もいただきました。免除のあり方については、運用面での課題も含め、引き続き検討していきます。
 その他番組内容等に関するご意見等多岐にわたるご意見が140件ありました。
 お寄せいただいたご意見を踏まえ、さらに検討を進め、よりよい受信料体系にしたいと思います。また、今回のご意見については、一部は要約し、NHKの考え方とあわせて、ホームページ(http://www.NHK.or.jp/css/answer)で公表します。なお、提出された全てのご意見(原文)については、個人情報に関わる部分を除き、「NHKハートプラザ」で閲覧可能とします。

(会 長)  訪問集金時にNHKへの意見をいただくことも多かったと思いますが、これを廃止しても、視聴者のみなさんのご意見をうかがう体制をしっかり備えていることを積極的にPRしてほしいと思います。営業部門だけでなく、放送などでもフォローしてください。

 

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 1月29日
                     会 長  福 地 茂 雄

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