日本放送協会 理事会議事録  (平成19年10月 9日開催分)
平成19年10月26日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年10月 9日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田専務理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、石村理事、西山理事、日向理事、溝口理事、八幡理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)中央放送番組審議会委員の委嘱について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)教育フェア2007について
(3)秋の職員採用の結果について

議事経過
1 審議事項
(1)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 池田理代子氏(劇画家・声楽家)に平成19年10月10日付で再委嘱したいと思います。
 なお、この内容が了承されれば、第1053回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることにします。


2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 19年8月から9月に放送されたニュース・番組について、概要を報告します。
 まず、福田内閣発足のニュースについてです。
 9月25日(火)、自民党の福田新総裁は第91代の首相に指名されました。NHKは、午後4時50分から6時20分まで「ニュース」を特設し、首相選出の模様を伝え、「ニュース7」は6時40分から8時まで放送時間を拡大して組閣情報を伝えました。初入閣は文部科学相の渡海紀三朗氏だけで、再任が13人、2人がポストを代えて引き続き入閣となったことなどを紹介しました。「ニュースウオッチ9」は10時35分まで延長し、福田首相の記者会見の模様を中継し、首相自ら“背水の陣内閣”だと述べたことなどを伝えました。また、これに先立って、24日(月)には、午後1時の「ニュース」で自民党役員人事を伝えました。全体的に、派閥の領袖クラスを政府・党の要職に据えた新体制の特徴を丁寧に伝えました。
 安倍首相の辞意表明のニュースについては、9月12日(水)、午後0時57分にスーパーで一報を伝えたほか、2時から行われた首相の会見の模様を中継するなど、首相辞意の衝撃と波紋の大きさを多角的な取材で伝えました。
 次に、ミャンマーの軍事政権がデモに発砲したニュースについてです。
 9月27日(木)、ミャンマーの軍事政権は、政権に不満を持つ市民と僧侶によるデモに発砲し、死者が出ました。「ニュース7」では、デモは燃料価格の大幅引き上げがきっかけで起こり、軍事政権への不満から10万人規模に拡大した模様であるなどと伝えました。午後7時56分には「ニュース」を特設し、ヤンゴン中心部で数人の遺体が発見され、そのうちの1人が日本のパスポートを所持していたことを伝え、「ニュース&スポーツ」では、この死亡した日本人が通信社の契約記者の長井健司さんであることが確認されたと伝えました。28日(金)の「ニュース7」では、長井さんと見られる男性が至近距離から兵士に銃撃された様子をとらえた民主化勢力系の放送局が配信した映像を紹介しました。現地取材が困難な状況で、現地のさまざまな映像を入手して報道しました。
 「防災の日」関連では、定時番組や特集番組を9月1日を中心に集中的に編成し、災害に備える意識の向上や10月から始まる「緊急地震速報」の周知に努めました。
 「防災の日」関連のうち、地域発!どうする日本「災害列島 “地域力”がいのちを守る」(8月31日放送 名古屋放送局制作)は、地震や大型台風、集中豪雨により頻発する自然災害に対し、住民同士が救助・復旧に協力し合う“地域力”の大きな成果を、名古屋局と全国各地を中継で結び、生放送で伝えました。被災地での体験談や防災への地域の取り組みが報告され、人々のきずなや日ごろのつきあいが地域力となって、災害時に大きな力となることがよく分かりました。モニターからは、「全国の“地域力”が取材され、防災に役立つ有意義な内容」などの意見が寄せられました。
 ラジオ第1の防災の日特集「生かそう!!あなたの防災情報〜津波情報で命を守れ」は9月1日、2日と連続して放送しました。1日目の「来る前に知る 緊急地震速報」に続き、2日目の「津波情報で命を守れ」は、津波情報をどう生かし、命を守るためにはどうすべきか、全国各地の事例を中継やリポートで伝えながら考えました。去年11月と今年1月に千島列島沖で起きた地震で津波警報が発令されたとき、避難勧告が出た地域で実際に避難した人はわずか10%程度だった事実を紹介し、地震の大きさで津波を自己判断する危険性について実験や実例を伝えて警鐘を鳴らすとともに、全国の自治体の防災の取り組みを紹介しました。モニターからは、「津波がいかに危険であるのか認識が足りないと思った」などの声が寄せられました。
 NHKスペシャル にっぽん 家族の肖像 第3集「千住暮らし 黄昏(たそが)れて光の中」(9月16日放送)は、老いや死が迫る中、最期のときをどう過ごすのか、東京の下町・千住で暮らす二つの家族の一年を四季の移ろいとともに描きました。人生の黄昏れどき、老いや病を引き受け生きていく市井の人たちの姿が温かいタッチでつづられ、夫婦のきずなや親子の情愛が見事に描き出されていましたが、在宅医療を支える下町・千住ならではの医療環境をもう少し知りたいと思いました。モニターからは、「人生の黄昏れどき、やすらなか老後を迎えるためのヒントをたくさんもらった」などの意見が寄せられました。
 ETV特集「私はやってない〜えん罪はなぜ起きたか」(9月9日放送)は、最近明らかになった3つのえん罪事件を通して、えん罪はなぜ起きたのかを検証し、再発を防ぐための対策について考えました。強圧的な取り調べが行われたり、自白が偏重されたりする現行の司法制度の問題点が丁寧に検証され、えん罪が起こる原因と背景がよく分かる力作でした。モニターからは、「えん罪は昔の話と思っていたが、とんでもない思い違いだった」、「3つの事件を丁寧に検証し、たいへん分かりやすい内容だった」などの意見が寄せられました。
 「街道てくてく旅。〜日光・奥州街道踏破」(9月24日〜28日放送)は、プロ卓球選手の四元奈生美さんが旅で感じたことを俳句に詠んだり、地元の人と卓球を楽しんだりしながら、日光・奥州街道402キロを歩くことに挑戦する番組です。モニターからは、「1日のはじまりに晴れやかな気持ちになる」、「沿道の人たちとのハイタッチに好感を持った。歩く主役が明るいのが魅力」などの意見が寄せられました。この番組は、土日を除き、11月23日まで放送する予定です。
 次に、BSドキュメンタリー シリーズ“社会起業家”「ホームレスたちの再出発〜アメリカ・キッチンビジネス」(9月22日放送)についてです。このシリーズは、寄付や施しではなくビジネスの手法で、貧困に苦しむ人たちに手を差し伸べようとする“社会起業家”を紹介する番組ですが、今回は最終回で、ホームレスの人たちや元受刑者などを訓練してキッチンビジネスを展開するロバート・エガーさんの試みを追いました。ホームレス一人ひとりの辛い状況と再出発の姿が丁寧に描かれ、この取り組みと意義がよく分かりました。また、ホームレスの支援もビジネスで行おうとするエガーさんの姿勢には、自立を重んじるアメリカらしい精神が感じられ興味深かったと思います。モニターからは、「現場に踏み込んだドキュメンタリー、訓練生の真面目さや素敵な笑顔が印象的だ」などの意見が寄せられました。
 最後に、「特集 俳句王国」(9月15日放送 松山放送局制作)についてです。この番組は、子規忌にちなんだ特集として、松山市立子規記念館から生放送で伝えました。現代を代表する俳人が集まった句会のだいご味を生放送で満喫できる番組でした。合評のやり取りでは、和やかな中にも辛らつで腹蔵のない意見が交わされ、それぞれの個性がぶつかり合う句会ならではの楽しさを味わえました。モニターからは、「素人でも俳句の楽しさを味わうことができる充実した内容だった」などの意見が寄せられました。


(2)教育フェア2007について
(編成局)
 10月23日(火)から11月4日(日)まで開催する「NHK教育フェア2007 学びたい!は終わらない」について報告します。
 今回は、公共放送NHKが展開する多様な教育サービスを、視聴者やイベントの参加者に広く知っていただき、NHKの存在意義を高め、さらなる信頼を築く機会とします。具体的には、教育に真摯に向き合う公共放送NHKをアピールし、子ども番組や生涯学習番組を特集化し、教育テレビへの親近感を高めていただき、「日本賞」や「ABU 未来への航海」の実施を通じて、世界の放送の発展に寄与したいと思います。
 主な内容は次のとおりです。
1  公開イベント「秋のふれあい広場〜NHK教育フェア2007〜」
(11月1日(木)〜4日(日))
2  第34回「日本賞」教育番組国際コンクール
(10月23日(火)〜29日(月))
3  視聴者といっしょにつくる「特別編成」
(10月27日(土)〜11月4日(日))
4  「ABU 未来への航海」担当者が集う「アジア教育プロデューサー会議」
(10月25日(木)〜29日(月))
 1については、本部放送センター4F正面ロビー、正面広場などで行います。幼児、若者、ファミリーから中高年まで、みんなが楽しめるイベントにしたいと思います。NHK教育テレビの放送番組は、幼児・学校向け、趣味・教育、福祉、語学、料理、暮らし、健康、科学、芸術など、幅広い世代の学びに関わるあらゆるジャンルを網羅していますが、会場では、魅力ある展示や番組に関わるクイズなどで参加感を味わっていただき、ここに来れば、誰もが必ず自分にフィットする番組と出会えるイベントにします。たとえば、中高年の来場者も楽しめる「趣味の園芸」ワークショップや「えいごであそぼ」、「からだのちから」、「どーする地球のあした」などの子ども向け番組もワークショップを展開します。また、「みんなのうた」で人気の「おしりかじり虫」のダンス教室をのべ8回開催します。そのほか、「いないいないばぁっ!」など幼児番組のキャラクターショーも行います。福祉関連としては、NHKとNHK厚生文化事業団が展開している「ハート・プロジェクト」と連動するバリア・フリーを体験したり、盲導犬にふれあえたりできるコーナーも設けます。さらに、制作現場のプロたちがハイスピードカメラや音響効果など番組制作の最先端で使われる技術を解説し、来場者にその世界を体験していただくコーナーや、今年で50周年を迎える「きょうの料理」にちなんで、土・日に5階食堂を一般に開放し、グッチ裕三さん考案のスペシャルメニューなどを用意するとともに「きょうの料理」50年の歩み、料理のレシピを紹介するコーナーも設けます。
 次に、2についてです。
 「日本賞」は世界各国の教育番組の向上を図るとともに国際的な理解と協力の増進に役立つことを目的として、NHKが1965(昭和40)年に創設したものです。今年は、世界56の国・地域の150機関から、番組部門(子ども番組の部、青少年の部、一般教養番組の部、教育ジャーナルの部)とウェブ部門、企画部門へ全部で262作品の応募がありました。NHKからは、子ども番組の部に「いないいないばぁっ!〜まる(球)であそぼう〜」(平成19年8月22日放送)、青少年番組の部に「中学生日記 僕は、ここにいる。〜父と子の闘争日記〜 春から夏へ」(平成19年7月28日放送)、一般教養番組の部に「NHKスペシャル 激流中国 青島 老人ホーム物語」(平成19年5月6日放送)、教育ジャーナルの部に「ドキュメント にっぽんの現場 ことばあふれ出る教室〜横浜市立盲学校」(平成19年5月10日放送)、ウェブ部門には、「Secret Civilizations インカ・マヤ・アステカ」(平成19年7月1日放送)が参加しています。
 参加作品は、アメリカ、カナダ、コロンビア、フランス、ドイツ、スウェーデン、ブルガリア、ナイジェリア、オーストラリア、シンガポール、韓国、日本の12か国17人の番組や教育の専門家が厳正に審査し、「日本賞」を決定します。
 「日本賞」関連番組として、今年は、初めて日本賞の審査プロセスに密着し、世界の教育番組ナンバー1が決まるまでをドキュメントする番組 特集「第34回日本賞・世界が教育を見つめた七日間(仮)」を11月2日(金)午後10時から総合テレビで放送するほか、今年の受賞作品を一挙放送する「第34回日本賞受賞番組」を11月2日(金)午後7時から教育テレビで、また、11月4日(日)の午後10時からは教育テレビで「第34回日本賞授賞式」を編成します。
 3については、教育フェア関連番組を集中的に放送します。たとえば、「秋のふれあい広場」の会場から、「生中継!今日はまるごとETV祭り(仮)」を11月3日(土)午前9時から教育テレビで放送する予定です。また、世界各国の学びの現場を捉えたドキュメンタリー「わくわく授業スペシャル」、「中国こども民主主義」、「子どもたちよ!世界にはばたけ」、「世界はこうしていじめと闘う13」を10月27日(土)午後9時から一挙に放送するなど、子どもの未来や教育について考える番組なども放送します。
 4の「アジア教育プロデューサー会議」については、世界最新の教育番組情報を交換し、今後の教育番組の制作に役立てます。

(会 長)  教育フェアは、イベントや放送を通じて、幼児、若者、ファミリーから中高年まで幅広く楽しんでいただけるいい機会だと思いますので、NHKのホームページやNHK携帯サイトなども活用して、積極的にPRしてほしいと思います。

(3)秋の職員採用の結果について
(八幡理事)
 秋の職員採用の結果について報告します。
 秋の職員採用については、専門能力の高い「即戦力」人材(キャリア採用)に加え、今年度は、来春卒業予定の新卒者についても募集の対象として実施しました。9月に選考を行った結果、最終合格者数は65人となりました。そのうち、女性は20人です。業務別では、〔放送総合〕が61人、〔放送技術〕が4人です。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成19年10月23日
                     会 長  橋 本 元 一   

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